千畳敷カール(せんじょうじきカール)は、長野県駒ヶ根市宮田村にまたがる中央アルプス(木曽山脈宝剣岳の直下に広がる氷河地形圏谷・カール)。

宝剣岳と千畳敷カール(7月)急峻なカール壁、平坦なカール底が形成するU字型の地形が確認できる。
宝剣岳と千畳敷カール(9月)
宝剣岳と千畳敷カール(2月)

麓には、通年営業の駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅があり、登山客の玄関口となっているほか、多くの一般観光客で賑わう。は多くの高山植物が咲き乱れるお花畑、は雪山の厳しさという両極端の姿を見せる。には、この時期だけTバーリフトを設置し、千畳敷スキー場が開設される(4月中旬~5月末)。期間中はスキースクールも開設され、連休中にはスキーバッジテスト(一級まで)が行われる。

地形と形成時期編集

宝剣岳周辺には、千畳敷カールのほか、濃ヶ池カール、三の沢カール群など大小の氷河地形が確認されている。 千畳敷カールは中御所谷源頭に位置する。典型的なカール地形であり、平坦なカール底、裸岩壁からなるカール壁を持っている。カール底の標高は2600メートルである。カール底と下流に続く氷食谷中には11 列のモレーンが存在する。

青木賢人は千畳敷カールおよび濃ヶ池カールのモレーンの堆積物に含まれる放射性ベリリウム(10Be)を分析し、試料の多くが1万7000〜1万9000年前であり、両カールが最終氷期極相期に形成されたと推定している[1]。また、それより古い5万年前には、千畳敷、極楽平カールに源を発する氷河が、現在ロープウェイ駅のある、しらび平(標高1,600~1,790m)まで達していたという指摘もある[2]

植生編集

千畳敷カール付近は夏は高山植物が咲き乱れる。コバイケイソウシナノキンバイチングルマハクサンイチゲミヤマカラマツ群落を形成し、特にカール上部の草地にはシナノキンバイは大群落を形成している。 千畳敷カールを含む木曽駒ヶ岳周辺の植物を調査した林武生は38 科96属128種を確認している[3]

雪崩編集

その地形から、冬場には雪崩がよく発生し[4]、1995年1月4日には、登山中の6人が巻き込まれ死亡している[5]

脚注編集

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  1. ^ 青木賢人、「10Be露出年代法を用いた氷成堆積物の形成年代の測定」『第四紀研究』 2000年 39巻 3号 p.189-198, doi:10.4116/jaqua.39.189, 日本第四紀学会
  2. ^ 柳町治、「木曽山脈北部における最終氷期の氷河の消長と編年」『地学雑誌』 1983-1984年 92巻 3号 p.152-172, doi:10.5026/jgeography.92.3_152, 東京地学協会
  3. ^ 林武生、「木曽駒ケ岳における植物調査」『研究紀要』 2009年 34巻 p.9-16, doi:10.20582/nfcc.34.0_9,名古屋文化短期大学
  4. ^ 亀山章、「木曽駒ケ岳千畳敷周辺の植生 : 植物郡落と生育環境について」『信州大学農学部演習林報告』 1979年 16巻 p.57-85, hdl:10091/13996, 信州大学農学部附属演習林
  5. ^ 1995年1月6日読売新聞朝刊

関連項目編集

座標: 北緯35度46分43秒 東経137度48分47秒