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南海10000系電車

南海本線の和歌山市発着・南海和歌山港線の和歌山港発着の特急サザンの座席指定車の車両

南海10000系電車(なんかい10000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)にかけて製造した特急形電車である。

南海10000系電車
南海10000系 今宮戎駅にて
南海10000系 今宮戎駅にて
基本情報
運用者 南海電気鉄道
製造所 東急車輛製造
製造年

(先頭車)1985年 - 1989年

(中間車)1992年
製造数 28両
運用開始 1985年11月1日
投入先 南海本線和歌山港線
主要諸元
編成 4両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1500V架線給電
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 3.7 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
車体 普通鋼
台車 S形ミンデン式ダイレクトマウント空気ばね台車
住友金属工業製FS-528形・FS-028形
主電動機 直流直巻電動機
MB-3072-B 375V
主電動機出力 145 kW × 4
駆動方式 WNドライブ
歯車比 83:18 (4.61)
制御方式 超多段式バーニア抵抗制御
制御装置 VMC-HTB-20AN
制動装置 電磁直通空気ブレーキ
(発電ブレーキ併用、応荷重装置付)
直通予備ブレーキ
Wikipedia laurier W.png
第26回(1986年
ローレル賞受賞車両

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南海本線でそれまで運行されていた特急「四国号」に代わる特急「サザン」の運行開始に合わせ、専用車として製造された。

1985年から1989年(平成元年)にかけて2両編成10本(20両)が製造されたが[1]1992年(平成4年)に中間車が8両製造されるとともに先頭車6両の中間車化改造が実施され、4両編成7本(28両)に組み替えられた。

目次

製造の経緯編集

南海本線では旧1000系による一部指定席の特急「四国号」が運行されていた。しかし、1000系は車体が製造後25年前後経過し老朽化が進み、また指定席車も座席は転換クロスシート・ロングシートであったため、1983年(昭和58年)に高野線の特急「こうや」に投入された全席リクライニングシート30000系に比べると車内設備が見劣りするようになっていた。

1000系は1973年(昭和48年)の昇圧時に機器を南海本線の普通から特急まで幅広く使用されている通勤形電車である7000系・7100系と同一のものに交換されていた。このため、自由席車には7000系・7100系を使用し、指定席車には1000系の機器を流用することで7000系・7100系との併結運転を可能としつつ30000系と同等の車内設備を持つ指定席専用車を使用し、「四国号」に代わる新たな一部指定席の特急列車を運行することとなった。これにより必要となる指定席専用車として製造されたのが10000系である。

編成・形式編集

当初は難波方先頭車が制御電動車のモハ10001形、和歌山方先頭車が制御車のクハ10901形の2両固定編成であったが、1992年に中間電動車のモハ10101形と付随車のサハ10801形を組み込み、難波方からモハ10001形(4号車) - サハ10801形(3号車) - モハ10101形(2号車) - クハ10901形(1号車)の4両固定編成となった。モハ10101形・サハ10801形は新製車 (10007F - 10010F) とモハ10001形・クハ10901形からの改造車 (10004F - 10006F) がある。このため、1992年に中間車化改造を受けた、10001F - 10003Fは編成としては抹消された。また、モハ10101 - 10103番車と、サハ10801 - 10803番車は今昔に渡って存在しない。

現在は難波寄りに一般車両を4両繋げて運行するため、モハ10001形は営業運転で先頭に立つことがない。

製造当初の組成

←難波   和歌山市→
形式 モハ10001形

(Mc)

クハ10901形

(Tc)

製造年
車両番号 10001 10901 1985年
10002 10902
10003 10903
10004 10904
10005 10905 1986年
10006 10906 1987年
10007 10907
10008 10908 1989年
10009 10909
10010 10910

4両編成化後(太字は1992年 新製車)

形式 モハ10001形

(Mc)

サハ10801形

(T)

モハ10101形

(M)

クハ10901形

(Tc)

廃車
車両番号 10004 10804 10104 10904
10005 10805 10105 10905 2013年
10006 10806 10106 10906 2012年
10007 10807 10107 10907
10008 10808 10108 10908
10009 10809 10109 10909
10010 10810 10110 10910

構造編集

車体編集

 
旧塗装時の10000系
※写真は、7000・7100系に「サザン」の列車名入り方向幕が用意されるまで自由席特急の方向幕で代用していた時のもの

普通鋼製の20m車体である。7000系・7100系と、あるいは10000系同士の併結運転を行うため、先頭車の前面は貫通形で、前面窓は大型曲面ガラスを使用している。

先頭車は運転台後方と連結面側車端部の両端2か所に出入台を設けており、側面に2か所の折戸を設置しているが、中間車は出入台が1か所のみに設けられており側面1扉である。中間車化改造された車両は運転台とともに出入台も1か所が撤去されている。側面窓は1985年に製造された車両は30000系と同形の窓で、1992年に製造された中間車は11000系と同じ連続窓風の窓である。

製造当時の車体塗装はオーシャングリーンにダークグリーンの帯で、30000系とは色が異なるが塗り分けは類似する塗装であった。のちにメタリックシルバー地にオレンジと青の帯の塗装に塗り替えられている。

機器編集

主電動機・制御装置・ブレーキなどの機器類は1000系から流用しており、抵抗制御電磁直通空気ブレーキである。7000系・7100系と同一品であり両系列との併結運転が可能であるが、10000系とほぼ同時期に造られた9000系とは併結運転できない。

台車は1000系から流用せず、空気ばね台車のFS-528(電動車)/FS-028(制御車・付随車)を新製している。また、歯車比は将来、最高速度を120km/hへ引き上げることを考慮して、85:16 (5.31) から83:16 (4.61) に変更されている[2]

車内設備編集

 
座席の違い(上が1次車、下が2次車)

座席は全席フリーストップ式(好みの角度で固定可能)リクライニングシートとなっている。1985年に製造された車両はセンターアームレスト(中肘掛)がなくテーブルも窓側にしかないが、カップホルダが設置されている。1992年に製造された車両は11000系と同じ座席で、センターアームレストやインアームテーブル(肘掛内蔵テーブル)が装備されている。また跳ね上げ式のフットレストもある。

モハ10101形には車椅子スペースおよびサービスコーナーを設置している。過去には「サザン」での車内販売が行なわれたことがあったが、朝ラッシュ時のみ行われていた。

2両固定編成で運用開始された当初は1000系と同様に便所・洗面所はなかったが、4両編成化で組み込まれたサハ10801形では洋式男女共用・男子用・女子用トイレと洗面所を設置している。

4号車の乗務員室内の車内放送用マイクには、編成別放送機能があり、自由席車両として7000系・7100系を併結して運転する際に、指定席車両向け、または自由席車両向けの放送をそれぞれ行うことができるようになっている。具体的には、扉の位置・開き方および携帯電話の使用法などが両者で異なるため、これらに関する注意事項が放送される。マイク端子箱上に放送切り替えレバーが付いている。

運用編集

南海本線の特急「サザン」にのみ使用される。基本的に4両編成で、全列車が7100系との併結運転である。2015年9月までは7000系との併結運転も行っていた。運用開始時から2009年10月3日までは10000系同士の併結運転による全車指定席の「サザン」も運行されていた。なお、空港線には一切乗り入れない。また高野線への入線は、千代田工場への出入場の場合以外はない。

また、和歌山で行われるみなと祭りでは、急行列車として運転されたことがある。急行として運転される際には、急行幕は入っていないため「-急行-(春木停車の急行)」で運転される。2002年(平成14年)4月28日には水軒駅廃止前のイベントで臨時列車として和歌山港線水軒駅まで乗り入れたこともある。

さらに10005Fが引退する事が発表され、これに伴うイベント列車として先頭車両2両の編成で加太線に入線することが発表された。加太線への入線はこれが初めてである[3]

今後の動き編集

 
創業130周年と7000系の9月末の運行終了を記念して、旧塗装に復元された編成
  • 本系列は製造後20 - 25年以上経過しているが車体更新が行われておらず、また走行機器も旧1000系の流用品であり老朽化が進んでいることから、2011年秋以降、「サザン」は新型車両の12000系に順次置き換えられる予定である[4]
  • 2012年12月25日付で10006Fが廃車・解体された[5]
  • また2013年4月にはホームページ上で10005Fの4両が引退する事が発表され[3]、その4両も同年5月7日付で廃車・解体された[6]。残りの編成についてはサザン向け12000系自体の増備が止まっていることもあり、現在のところ発表はない。
  • 2015年6月には、南海電鉄が創業130周年を迎え、7000系が同年9月末までに運行を終了することを記念して、10004Fが製造当時のオーシャングリーンにダークグリーンの帯の旧塗装に変更され、同じく緑のツートンカラーの旧塗装に変更された7000系と連結して、創業130周年記念のヘッドマークを掲出した「なつかしの緑色」の特急サザンとして2016年3月まで運用された[7]


ラッピング編集

  • 2014年10月5日からは、みさき公園におけるイベント「スーパー戦隊フェスティバルin みさき公園」の開催記念として、10004Fの和歌山方先頭車(10904)に「烈車戦隊トッキュウジャー」をデザインしたラッピングが施され、2015年1月7日まで運行された[8][9]
  • 2015年4月29日からは、10009F全車に「妖怪ウォッチ」のキャラクターをデザインしたラッピングが施され、6月28日まで運行された[10]。外装の他に、座席ヘッドカバーを特別デザインに変更するなど内装にも反映されている。

保存編集

2014年9月27日みさき公園内にオープンした「わくわく電車らんど」に、10005Fの和歌山方先頭車(10905)のカットボディが展示されている[11]

脚注編集

  1. ^ 藤井信夫 『車両発達史シリーズ 6 南海電気鉄道 下巻』 関西鉄道研究会、1998年12月、110頁。 
  2. ^ 飯島巌、藤井信夫、井上広和 『復刻版私鉄の車両23 南海電気鉄道』9ページ掲載
  3. ^ a b “ありがとう「10005編成」特急サザンが加太線を初運行” (PDF) (プレスリリース), 南海電気鉄道, (2013年4月5日), オリジナルの2013年4月14日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20130414110340/http://www.nankai.co.jp/odekake/burari/southern10005.html 
  4. ^ “新型特急「サザン」12000系を導入します” (PDF) (プレスリリース), 南海電気鉄道, (2011年1月17日), オリジナルの2011年3月12日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20110312181025/http://www.nankai.co.jp/company/news/pdf/110117.pdf 
  5. ^ 「車両データバンク」、『鉄道ファン』2013年8月号特別付録、交友社、2013年。
  6. ^ 「車両データバンク」、『鉄道ファン』2014年8月号特別付録、交友社、2014年。
  7. ^ 【南海】創業130周年&さようなら7000系記念企画 「懐かしの緑色」の特急サザンを運行します(PDF:280KB)
  8. ^ 「烈車戦隊トッキュウジャー」をデザインした特急サザンを運行 南海電気鉄道 2014年9月18日
  9. ^ 南海10000系に「烈車戦隊トッキュウジャー」ラッピング railf.jp(交友社) 2014年10月6日
  10. ^ 「特急サザン 妖怪ウォッチ号」を運行します 南海電気鉄道 2015年4月7日
  11. ^ 【南海】みさき公園に「わくわく電車らんど」が開館RM News2014年9月29日配信

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集