南葵文庫

徳川頼倫が開設した私設図書館

南葵文庫(なんきぶんこ)は、1902年明治35年)に紀州徳川家当主・徳川頼倫東京府麻布区飯倉の自邸内に開設した私立図書館[1]

南葵文庫
閲覧室

概要 編集

この図書館は、一時期一般に公開されたこともあったが、関東大震災があった翌年の大正13年(1924年)に、蔵書は火災で全焼した東京帝国大学附属図書館に寄贈され、文庫は閉鎖された[1]。ただし長子の徳川頼貞が収集した音楽資料コレクションは、「南葵楽堂図書部」として旧南葵文庫事務所で公開された[2]。なお、東大図書館に寄贈された資料の一部はその後デジタル化され、2022年令和4年)に公開されている[3][4]

旧南葵文庫 編集

文庫の建物は、東大図書館の分館として使用されたのち、明治32年(1899年)竣工の旧館を残して取り壊され、旧館は1933年昭和8年)に頼倫の子・頼貞の別邸があった大磯に移築された[1]。その一部であるルネサンス様式の洋館は1987年(昭和62年)に移修改築されて熱海市伊豆山のホテル「VILLA DEL SOL」となり[1][5]2008年平成20年)には国の登録有形文化財に登録されている[5]2016年(平成28年)現在、星野リゾート所有[5]

飯倉の跡地には現在外務省飯倉公館と麻布台ヒルズ森JPタワーが建っている。この地にはかつて「日本郵政グループ飯倉ビル(旧郵政本省庁舎)」も建っていた。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d 和歌山県立博物館 2010.
  2. ^ 「南葵音楽文庫の1世紀」南葵音楽文庫紀要 第1号 (2018.3), pp4-5
  3. ^ 東京大学総合図書館、同館所蔵の「南葵文庫」の資料をデジタル化し公開|Current Awareness Portal 2022.2.1 2022年2月2日閲覧。
  4. ^ 東京大学総合図書館所蔵南葵文庫 2022年2月2日閲覧。
  5. ^ a b c 文化庁 2016.
  6. ^ 名古屋市 (2016年). “蓬左文庫トップページ”. 名古屋市蓬左文庫. 2016年9月29日閲覧。
  7. ^ 名古屋市 2016.

参考文献 編集

関連文献 編集

  • 坪田, 茉莉子『南葵文庫‐目学問・耳学問』東京都教職員互助会、2001年。全国書誌番号:20252474 

外部リンク 編集

座標: 北緯35度6分45.97秒 東経139度5分15.09秒 / 北緯35.1127694度 東経139.0875250度 / 35.1127694; 139.0875250