古典論

物理学における古典論とは、物理学の理論・手法において量子力学を陽に扱わないもののことである。対義語は量子論

現代物理学における基本理論の一つである量子力学は、ある対象に対して極めて高精度の結果を与える理論であり、物性物理学における問題のほとんどは原理的には量子力学によって完全に記述されると考えられる。量子力学的効果は、特に分子原子レベルやより小さなスケールでは本質的な効果を持ち、量子力学を考慮しない場合は、例えば原子が安定に存在し得ない等、現実と大きく異なる結果となる。原子・分子レベルの現象の古典論的扱いと量子論的扱いによる結果の大きな差異は、量子論や自然の本質を理解する上で重要である。

なお、量子力学は数学的な取扱いが著しく困難であり、現実の複雑な系を量子力学を用いて描くことは不可能な場合がほとんどである。一方で量子力学的な効果は、原子レベルでは本質的な効果を持つが、マクロな系への効果は一般にわずかであり、実用的な理論・手法としては、量子力学的効果を無視したり、古典力学の範囲内で取扱い可能な形に埋め込んだりすることが行われる。このように量子力学を陽に扱うことを回避した理論・手法も古典論と呼ばれ、現代物理学における重要な部門の一つである。

古典論の体系の大半は、ニュートンから始まり量子力学にはいたらない期間に構築された非相対論的な古典力学であるが、量子力学と同時期あるいはそれ以降に構築され現代物理学の一角をなす相対性理論も、量子力学を考慮に入れない限りでは古典論に含まれる。このように物理学における「古典論」という言葉は、あくまで「量子論」の対義語であり、伝統的・現代的の対比で用いることは一般的ではない。

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