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古典電磁気学共変定式は古典電磁気学の法則(特にマクスウェル方程式ローレンツ力)をローレンツ変換のもとで明白に不変な形で、直線慣性座標系を使った特殊相対論の形式で書く方法を指す。これらの表現はともに古典電磁気学の法則がどの慣性座標系でも同じ形をとるということを証明するのを容易にし、場と力をあるフレームから別のフレームへ変換する方法を提供してくれる。しかし、曲がった時空や非直線座標系におけるマクスウェル方程式ほど普遍的ではない。

この記事はテンソルの古典的扱いとアインシュタインの縮約記法をいたるところで使っており、ミンコフスキー計量はdiag (+1, −1, −1, −1)という形式を取る。方程式が真空中で保持されると明示されている場合、代わりにそれらを総電荷および電流に関するマクスウェル方程式の定式化とみなすことができる。

この画像の様々な概念的な含意を含む、古典電磁気学と特殊相対論の間の関係のより一般的な概要については古典電磁気学と特殊相対性理論英語版参照。

目次

共変オブジェクト編集

基本的な4元ベクトル編集

ここでは次の種類のローレンツテンソルを用いて物体や粒子を説明する。

 
  • 4元速度
 
γ(u)は3元速度uのときのローレンツ因子
 
 は3元運動量、 総エネルギー 静止質量
  • 4元勾配
 
  • ダランベール演算子 と表される。 .

次のテンソル解析の符号は計量テンソルに使われる規約により異なる。ここで使われる規約はミンコフスキー計量テンソルに対応する+−−−である。

 

電磁テンソル編集

電磁テンソルは電場と磁場を組み合わせて、B場の量を入力とする共変反対称テンソルにしたものである[1]

 

添え字を上げた結果は以下

 

E電場B磁場cは光速

4元電流密度編集

4元電流密度は、電荷密度 ρ電流密度 jを組み合わせた反変4元ベクトルである。

 

4元ポテンシャル編集

電磁4元ポテンシャルは、次のように電位(スカラーポテンシャルとも呼ばれる)ϕと磁気ベクトルポテンシャル(ベクトルポテンシャルAを含む共変4元ベクトルである。

 

電磁ポテンシャルの微分は以下のようになる。

 

電磁応力 - エネルギーテンソル編集

電磁応力 - エネルギーテンソルは、運動量4元ベクトルの磁束密度と解釈することができ、全体の応力 - エネルギーテンソルに対する電磁場の寄与である反変対称テンソルである。

 

ε0真空の誘電率μ0真空の透磁率ポインティング・ベクトル

 

と表され、マクスウェルの応力テンソルは以下で与えられる。

 

電磁場テンソルFは次式により電磁応力 - エネルギーテンソルTを構築する。

 

ηミンコフスキー計量テンソル(符号+−−−)。次の事実を用いる。

 

これはマクスウェル方程式により予測されるものである。

真空におけるマクスウェル方程式編集

真空において(もしくは巨視的な物質の記述を含まない微視的方程式の場合)、マクスウェル方程式は2つのテンソル方程式として書くことができる。

2つの不均質なマクスウェル方程式、ガウスの法則アンペールの法則(マクスウェルの修正を含む)は(+−−− 計量を含み)次にまとめられる[2]

ガウスアンペールの法則

 

均質な方程式 – ファラデーの電磁誘導の法則ガウスの磁性法則は次のようにまとめられる
ガウスファラデーの法則

 

Fαβ電磁テンソルJα4元電流密度εαβγδレヴィ=チヴィタ記号、添え字はアインシュタインの縮約規則に従う。

これらの各テンソル方程式は、βの各値に対して1つずつ計4つのスカラー方程式に対応する。

偏微分に対する反対称テンソル記法とコンマ記法(リッチ計算参照)を使うと、2番目の式はよりコンパクトに書くことができる。

 

発生源がない場合、マクスウェル方程式は以下に帰着する。

 

これは電磁場強度テンソルにおける電磁波方程式である。

ローレンツゲージにおけるマクスウェル方程式編集

ローレンツゲージ条件は、ローレンツ不変ゲージ条件である(これは1つの慣性系におさまると他のゲージにおさまらないクーロンゲージのような他のゲージ条件とは対照的である)。これは4元ポテンシャルにより次のように表現される。

 

ローレンツゲージにおいて、微視的マクスウェル方程式は以下のように書かれる。

 

ローレンツ力編集

荷電粒子編集

 
運動している(電荷qの)荷電粒子に対するローレンツ力 f (瞬間速度 v)。EおよびBは空間および時間で異なる。

電磁場はローレンツ力により帯電した物質の運動に影響を及ぼす。このようにして電磁場を検出することができる(素粒子物理学における応用およびオーロラのような自然での発生)。相対論の形式では、ローレンツ力は次のような電磁場強度テンソルを使う[3]

座標時 tを用いて表現すると

 

pα は4元運動量、q電荷xβ は位置

共に動く基準座標系では、4元力を生み出す。

 

uβ は4元速度、τは粒子の固有時間。このτは座標時間とdt = γdτの関係にある。

帯電連続体編集

 
運動中の連続電荷分布(charge density ρ)における空間体積fあたりのローレンツ力

空間部分がローレンツ力である電磁気による力の密度は、次で与えられる。

 

そしてこれは電磁気応力 - エネルギーテンソルと次のような関係にある。

 

保存則編集

電荷編集

連続方程式

 

電荷保存則を表す。

電磁気エネルギー - 運動量編集

マクスウェル方程式を用いると、(上で定義された)電磁応力 - エネルギーテンソルは次の微分方程式を満たし、 これを電磁テンソルと電流4元テンソルと関係づけることがわかる。

 

もしくは

 

これは電磁相互作用による線形運動量とエネルギー保存を表す。

物質における共変オブジェクト編集

自由4元電流と拘束4元電流編集

ここで与えられた電磁気学の方程式を解くためには、電流(多くの場合Jν)の計算方法に関する情報を加える必要がある。電流を自由電流と拘束電流の2つに分けると扱いやすく、この2つは異なる方程式でモデル化されている。

 

ここで

 
 

マクスウェルの巨視的方程式が使われており、電束密度 D磁気強度 Hの定義は

 
 

である。M磁化P電気分極

磁化-分極テンソル編集

拘束電流は、反対称反変磁化-分極テンソルを形成するP場およびM場から導出される[1]

 

これが拘束電流を決定する。

 

電気変位テンソル編集

これをFμνと合わせると、次のようにD場とH場を合わせた反対称反変電磁変位テンソルが得られる。

 

3つの場テンソルは以下のような関係がある。

 

これは上記のD場とH場の定義と同じである。

物質におけるマクスウェル方程式編集

アンペールの法則

 ,

ガウスの法則

 ,

を組み合わせると1つの方程式になる。

ガウスアンペールの法則 (物質)

 

上で定義された拘束電流と自由電流は自動的にそして別々に保存される。

 
 

構成方程式編集

真空編集

真空において、場テンソルと変位テンソルの間の構成関係は

 

である。反対称性により、これら16個の方程式が6個の独立した方程式に簡約される。Fμν

 

と定義するのが普通であるため、構成方程式は(真空中における)ガウス・アンペールの法則と組み合わせることで以下の式を得る。

 

変位による電磁応力 - エネルギーテンソルは

 

となる。δαπクロネッカーのデルタ。上の添え字をηで下げると、対称的になり、重力場源の一部になる。

線形、非分散物質編集

このようにして電流Jνのモデル化問題を2つの(有望な)より簡単な問題(自由電流Jνfreeのモデルおよび磁化と分極 のモデル)に簡約した。例えば低周波数でもっとも単純な材料において

 
 
 

瞬時に共動する材料の慣性系であり、σは電気伝導率、χe電気感受率、χm磁化率

ヘルマン・ミンコフスキーにより線形材料(つまりEDに比例し、BHに比例する)に対して提案した Fテンソルの間の構成関係は[4]

 
 

である。uは物質の4元速度、εとμはそれぞれ物質の誘電率透磁率(すなわち物質の静止座標系)、 ホッジ双対を示す。

古典電磁気学に対するラグランジアン編集

真空編集

古典電磁気学に対するラグランジアン密度は以下となる。

 

相互作用項においては、4元電流はその変数に対して他の荷電場の電流を表す多くの項の略として理解されるべきである。4元電流はそれ自体基本的な場ではありません。

電磁気ラグランジアン密度 に対するオイラー=ラグランジュ方程式は次のようになる。

 

(注)

 ,

角かっこの中の表現は

 

である。 第2項は

 

である。 よって、電磁場の運動方程式は

 

となる。これは上記のマクスウェル方程式の1つである。

物質編集

拘束電流から自由電流を分けること、ラグランジアン密度を書く別の方法は以下の通り。

 

オイラー=ラグランジュ方程式を用いると、 に対する運動方程式を導くことができる。

非相対論的ベクトル表記法での等価な表現は以下の通り

 

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ a b Vanderlinde, Jack (2004), classical electromagnetic theory, Springer, pp. 313–328, ISBN 9781402026997, https://books.google.com/books?id=HWrMET9_VpUC&pg=PA316&dq=electromagnetic+field+tensor+vanderlinde 
  2. ^ Classical Electrodynamics by Jackson, 3rd Edition, Chapter 11 Special Theory of Relativity
  3. ^ The assumption is made that no forces other than those originating in E and B are present, that is, no gravitational, weak or strong forces.
  4. ^ D.J. Griffiths (2007). Introduction to Electrodynamics (3rd ed.). Dorling Kindersley. p. 563. ISBN 81-7758-293-3. 

参考文献編集

  • Einstein, A. (1961). Relativity: The Special and General Theory. New York: Crown. ISBN 0-517-02961-8. 
  • Misner, Charles; Thorne, Kip S.; Wheeler, John Archibald (1973). Gravitation. San Francisco: W. H. Freeman. ISBN 0-7167-0344-0. 
  • Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. (1975). Classical Theory of Fields (Fourth Revised English Edition). Oxford: Pergamon. ISBN 0-08-018176-7. 
  • R. P. Feynman; F. B. Moringo; W. G. Wagner (1995). Feynman Lectures on Gravitation. Addison-Wesley. ISBN 0-201-62734-5.