古長 拓(こちょう たく、1994年8月5日 - )は、福島県いわき市出身の元プロ野球選手内野手)。右投右打。NPBでは育成選手であった。

古長 拓
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 福島県いわき市
生年月日 (1994-08-05) 1994年8月5日(29歳)
身長
体重
164[1] cm
67[1] kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 内野手
プロ入り NPB / 2020年 育成選手ドラフト6位
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入り前 編集

いわき市立泉北小1年時に小名浜少年野球教室で野球を始める[2]いわき市立泉中3年時には主将として第3回GIANTS杯福島県中学野球大会で優勝し[3]、いわき市中学選抜の松風クラブにも選出された[2]

福岡県九州国際大学付属高等学校に進学。1年時からベンチ入りを経験し[4]、2年時に当高校は甲子園に連続出場。試合出場はなかったが背番号14番でベンチ入りし、三塁コーチを務めた[5][6]。 2学年上に榎本葵、1学年上に三好匠髙城俊人児玉龍也が在籍していた。

高校卒業後は九州共立大学に進学したが、リーグ戦に出場することなく中退した[2]

その後社会人野球チームの東北マークスを経て、2018年11月22日にベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)の福島レッドホープスに特別合格し入団[7]

BCリーグ・福島時代 編集

2019年は4月6日に行われた前期開幕戦(対新潟戦)で4番に座るなど44試合に出場し、打率.239、0本塁打、15打点、1盗塁。

2020年は36試合に出場し、打率.155、0本塁打、2打点、0盗塁。ほとんどが代打二塁手三塁手などの守備固めでの途中出場だった[8]

2020年10月26日、プロ野球ドラフト会議で、オリックス・バファローズから育成選手ドラフト6巡目で指名された[9]。福島レッドホープスからNPBドラフト会議で指名された選手は、育成選手も含め、古長が初となる[9][注 1]。11月30日に郡山市内にて入団交渉を行い、支度金300万円、年俸240万円で仮契約し[10]、12月19日に入団発表会見が行われた[11]背番号016[2]

オリックス時代 編集

2021年の春季キャンプでは、A-C組の内、二軍に相当するB組に振り分けられた[12]

2月27日に宮崎市清武総合運動公園(SOKKENスタジアム)第2球場で行われた練習試合では、対戦相手の東北楽天ゴールデンイーグルス側の選手事情で、オリックスのユニフォームを着て楽天の「8番・二塁」で出場した。一軍で実績がある荒西祐大から左翼線二塁打を放った[13]。シーズン開幕後は5月8日の対広島東洋カープ戦(オセアンバファローズスタジアム舞洲)で代打としてウエスタン・リーグ公式戦初出場。畝章真相手にライトフライに倒れた[14]。6月24日の対広島戦(オセアンバファローズスタジアム舞洲)で、中田廉から代打で公式戦初安打となるレフト線への二塁打を放った[15]。ウエスタン・リーグ公式戦には11試合出場したが、安打はその1本のみに終わった[16]。10月5日、1年目にして球団より戦力外通告を受けた[17]

オリックス退団後 編集

現役続行するかどうかについては未定としていたが[17]、退団後、他チームでプレーしているという情報は得られていない。2023年10月に発信された高校野球ドットコムの記事では、2022年で引退したと表記されている[18]

選手としての特徴 編集

50メートル走5秒9、遠投90メートル[2]

本職の三塁の他、内野全ポジションを守れるユーティリティープレイヤー[2]。オリックスでの二軍公式戦では二塁のみ守った[19]

オリックス担当スカウトの上村和裕は、「巧みなバットコントロールが魅力の独立リーグを代表する選手」と評しており[20][21]、編成部副部長の牧田勝吾は「ヘッドの使い方が良い」「打席での集中力もある」と評する[22]。古長自身はチャンスの場面での打撃に自信があると語っている[22]

身長164cmと小柄であり、2021年シーズンのNPB選手の中では最も低身長だった[23]

人物 編集

大学時代の先輩との縁で福岡ソフトバンクホークス今宮健太と親交があり、シーズンオフは今宮らソフトバンクの選手と一緒に自主練習を行っている[22]。憧れの選手としてもその今宮を挙げている[2]。オリックスの合宿所「青濤館寮」に入寮する際には新庄剛志の著書『わいたこら。』を持ち込み、「新庄さんはたくさんのファンの方に愛されている。ぼくもそういう選手になりたい」と語っている[24]

オリックス編成部副部長の牧田勝吾によると、福島時代の監督・岩村明憲に対して価値観の違いなどから自分の意見をぶつけた結果、干されてしまったことがあるという。牧田は「やんちゃというか、我の強い選手を毎年一人入れたかった」と思いの中で、独立リーグの中で最も厳しい練習をしていると聞いていた福島の選手の中で前述のエピソードを耳に入れた際、「これだ」と思って獲得を決めた[25]。また、牧田は苦悩した自身の現役時代と古長を重ね、「苦労した選手がいると、若い選手の刺激になる」との信念で、出場機会に恵まれないながらもベンチで声を嗄らす古長がチームに必要だと感じたといい[22]ムードメーカーとしての活躍を期待している[2]。なお、オリックスの指名挨拶時に岩村は「思い入れがありうれしい」「少しでも早く2桁背番号を勝ち取ってほしい」と古長にエールを送っている[2]

上記のような指名理由ではあったが、2020年の福島での成績は打率.155(2年通算では.207)と干される以前に芳しくないものであり、野球選手にしては小柄な体格、新入団選手にしては26歳と高齢でもある育成選手指名であったため、ネット上では「謎選手すぎる」「隠し球か」などと疑問を呈す書き込みが相次いだ[8]。古長自身も、ドラフト会議直後は指名されたことについて「自分でも分からない」「自分の名前呼ばれた瞬間、『えっ?』みたいな。びっくりしました」と漏らしていた[8][22]

スポーツライターの西尾典文は2022年11月のデイリー新潮の記事で、近年の不可解さを感じる代表的なドラフト指名として古長の事例を挙げており「野球のプレー以外の“何かしらの事情”が働いていた可能性は高い」と記している[26]。また、同記事内で、古長の指名はドラフト前に突然決められたものだと担当スカウトが漏らしていたとも記している[27]

詳細情報 編集

独立リーグでの打撃成績 編集









































2019 福島 44 105 92 13 22 1 1 0 15 1 4 1 8 0 20 .239 .300 .272
2020 36 67 58 8 9 1 0 0 2 0 4 0 5 0 7 .155 .222 .172
通算:2年 80 172 150 21 31 2 1 0 17 1 8 1 13 0 27 .207 .268 .253

NPB年度別打撃成績 編集

  • 一軍公式戦出場なし

背番号 編集

  • 4(2019年 - 2020年)
  • 016(2021年)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ドラフト会議を経ない福島のNPB入団選手では、2015年途中に読売ジャイアンツに移籍したカルロス・ペレスがいる。

出典 編集

  1. ^ a b 016 古長 拓 選手名鑑2021”. オリックス・バファローズ. 2021年4月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i “オリックス育成6位古長が仮契約 BC福島から初”. 日刊スポーツ. (2020年11月30日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202011300000601.html 2020年12月4日閲覧。 
  3. ^ “いわき市立泉中学校が初V~G杯福島大会”. (2009年5月10日). https://www.giants.jp/G/tournament/tournament2/report_8920.html 2020年12月20日閲覧。 
  4. ^ “キュウトビ2011春号”. (2011年4月1日). https://www.kiu.ac.jp/hq/wp-content/uploads/kyutobi_vol8.pdf 2020年12月6日閲覧。 
  5. ^ “家族の無事願い…古長“気丈”コーチングで貢献”. Sponichi Annex. (2011年4月1日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/04/01/kiji/K20110401000539950.html 2020年12月6日閲覧。 
  6. ^ “自問の日々越え「被災地に感謝」 甲子園、決勝の両校”. 朝日新聞. (2011年4月3日). https://vk.sportsbull.jp/koshien/news/OSK201104030049.html 2020年12月6日閲覧。 
  7. ^ 特別合格選手のお知らせ”. 福島レッドホープス (2018年11月22日). 2020年12月4日閲覧。
  8. ^ a b c 小手川太朗 (2020年12月13日). “打率1割台の独立リーグ選手 ドラフト指名されたわけ”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASNDB430BND2UGTB00B.html 2020年12月16日閲覧。 
  9. ^ a b “ホープス・古長内野手、オリックス「育成6位」指名!ドラフト”. 福島民友新聞. (2020年10月27日). オリジナルの2020年10月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201028233404/https://www.minyu-net.com/news/news/FM20201027-550817.php 2020年12月4日閲覧。 
  10. ^ “オリックス育成6位古長が仮契約 BC福島から初”. 日刊スポーツ. (2020年11月30日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202011300000601.html 2021年3月18日閲覧。 
  11. ^ 新人選手入団発表記者会見”. オリックス・バファローズオフィシャルサイト (2020年12月19日). 2021年3月18日閲覧。
  12. ^ “オリックスの春季キャンプメンバーが発表! 新加入の能見、田城がA組スタート”. BASEBALL KING. (2021年1月28日). https://baseballking.jp/ns/261699 2021年2月1日閲覧。 
  13. ^ 北野正樹 (2021年3月11日). “「東北に勇気と感動を与える」東日本大震災から10年、福島県出身のオリックス新人・古長拓が誓う支配下昇格”. thedigestweb.com. 2021年3月23日閲覧。
  14. ^ オリックス vs 広島(2021年5月8日)ファーム戦速報・結果・1球速報”. dメニュースポーツ. 2021年5月21日閲覧。
  15. ^ 【ファーム】バファローズ・古長 公式戦2打席目で嬉しい初安打!! 2021/6/24 B-C(ファーム)”. パ・リーグ.com (2021年6月24日). 2021年9月1日閲覧。
  16. ^ 2021年度 オリックス・バファローズ 個人打撃成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年10月5日閲覧。
  17. ^ a b “オリックス 13年ドラ1吉田一将、鈴木優ら8選手に戦力外通告”. デイリースポーツ online. (2021年10月5日). https://www.daily.co.jp/baseball/2021/10/05/0014735723.shtml 2021年10月5日閲覧。 
  18. ^ 河嶋宗一「明暗くっきり2020年オリックスドラフト、球界屈指の投手輩出の陰で6人が球界を去ることに」『高校野球ドットコム』WoodStock、2023年10月31日。2024年2月17日閲覧
  19. ^ 2021年度 オリックス・バファローズ 個人守備成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年10月5日閲覧。
  20. ^ 2020年度ドラフト会議 契約交渉権獲得選手”. オリックス・バファローズ (2020年10月26日). 2020年12月4日閲覧。
  21. ^ “【ドラフト】オリックスがBCリーグ・古長(こちょう)拓を育成6位指名”. スポーツ報知. (2020年10月26日). https://hochi.news/articles/20201026-OHT1T50230.html 2020年12月16日閲覧。 
  22. ^ a b c d e 近藤大暉 (2020年12月4日). “オリックス 育成6位で古長を指名した3つの理由 「苦労人、岩村監督、ポテンシャル」”. Sponichi Annex. https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2020/12/04/kiji/20201204s00001173135000c.html 2020年12月5日閲覧。 
  23. ^ 宇根夏樹 (2021年3月14日). “現役プロ野球選手の「身長・体重ランキング2021」。身長は164~201cm、体重は65~120kg”. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/14aa52d6854215c758c34c556e78702b4730d131 2021年3月23日閲覧。 
  24. ^ “オリックス育成古長、新庄剛志氏の著書持って入寮”. 日刊スポーツ. (2021年1月6日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202101060000792.html 2021年2月1日閲覧。 
  25. ^ “【野球】オリックスが26歳、164センチ、打率・155の独立L内野手を指名したワケは”. デイリースポーツ online. (2020年11月16日). https://www.daily.co.jp/opinion-d/2020/11/16/0013867721.shtml 2020年12月16日閲覧。 
  26. ^ ドラフトで「コネ採用」? なぜ、アマ時代に全く活躍していない選手が指名されるのか”. デイリー新潮. p. 1 (2022年11月13日). 2023年1月18日閲覧。
  27. ^ ドラフトで「コネ採用」? なぜ、アマ時代に全く活躍していない選手が指名されるのか”. デイリー新潮. p. 2 (2022年11月13日). 2023年1月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集