名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)

名古屋市交通局3000形電車(なごやしこうつうきょく3000がたでんしゃ)は、1977年昭和52年)に名古屋市営地下鉄鶴舞線用として登場した名古屋市交通局通勤形電車

名古屋市営地下鉄3000形電車
Nagoya-Subway Series 3000.jpg
名古屋市営地下鉄3000形
(2013年8月14日 / 上小田井駅)
基本情報
運用者 名古屋市交通局
製造所 日本車輌製造
日立製作所笠戸事業所
製造年 1976年 - 1984年
製造数 23編成92両
運用開始 1977年3月18日
投入先 鶴舞線
主要諸元
編成 4両→6両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 75 km/h(鶴舞線)
100 km/h(名鉄線)
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
車両定員 制御電動車140人
自重 制御電動車39.1t
全長 20,000 mm
全幅 2,746 mm
全高 4,128 mm
車体 セミステンレス鋼
台車 S形ミンデン空気ばね台車
住友[注釈 1] FS-394形
主電動機 分割界磁式直流直巻電動機
主電動機出力 135 kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 6.19
編成出力 3,240 kW (6M)
定格速度 49 km/h
制御方式 自動可変界磁式(AVF)電機子チョッパ制御
制動装置 回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
保安装置 CS-ATC
M式ATS
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鶴舞線のほか、名古屋鉄道犬山線豊田線三河線で使用される。ただし、三河線へは梅坪 - 豊田市間以外は営業運転内での直通は行われていない。

車両概要編集

 
3101 - 3113編成は側窓がHゴム支持による固定窓となっている。
 
3114編成以降は省エネルギー対策として約半数の側窓が金属支持によるバス窓に変更されている。

名古屋市営地下鉄で初めて車体に水色の帯が配され、ステンレス鋼車体と固定と自動可変界磁電機子チョッパ制御回生ブレーキが採用、冷房装置が搭載、荷物棚が設置された車両である。1977年[注釈 2]から1984年にかけて4両組成23本(92両)が導入された。

車体は外板をステンレス鋼製、台枠と骨組を普通鋼製としたセミステンレス構造で、両開きの客用ドアを片側あたり4箇所に配した標準的な20m通勤型車両(車体長19.3m)である。それまで全長15.5m × 全幅2.5m × 全高3.4mが車両の標準寸法となっていた名古屋市営地下鉄の車両にとっては初めての大型車となった。車体全高および室内高(平天井構造)の寸法も一般的なものとなっており、同じ目的で同時期に製造された名鉄100系よりも高い。車体幅も外板間は2740mm、最大幅当初は2805mmで、地方鉄道車両定規を超えていた(現在は2746mm)。車体長がJRなどの20m車よりも200mm短い関係で、客用ドア間隔も50mm短く、客用ドア間座席の1人当り占有幅は約443mmとなっている。これは桜通線6000形、3050形や名鉄100系についても同様である。このほか、運転台の平面ガラス構成のパノラミックウインドウや側窓の天地が小さめで、幕板の広い側面見付けに名鉄の影響が伺える。また、この車両から先頭車両前部上段には名古屋市営地下鉄のシンボルマークが入るようになった。

鶴舞線開業の5日前に当たる3月13日に開業した神戸市営地下鉄西神・山手線1000形と同様、冷房装置と自動可変界磁電機子チョッパ制御と回生ブレーキが導入された。室内化粧板は濃クリーム色である。

チョッパ制御装置は1C8M方式で、容量1,800kW、合成周波数486Hzである。主電動機の定格値は端子電圧375V、電流395A、出力135kW、定格回転数1,960rpm(80%界磁)、最弱め界磁率39%である。最長編成をMT比6M2Tの8両編成と設定したため、大出力の主電動機を採用した。

名鉄豊田線(当時豊田新線)との相互直通運転のため、保安装置は鶴舞線内でのCS-ATCに加え、名鉄用のM式ATSも搭載している。

車内放送には自動放送装置を採用し、名鉄線内でも使用されている。また、名鉄線対応設備として中間車にも車掌スイッチを設置している。これは名鉄線内において車内を巡回する車掌が任意の車両においてドア扱いを行うために設置されていたが、同社の駅員無配置駅における出改札自動化(駅集中管理システム)の進展により、運用線区全線において原則的に車内改札を省略するようになったことから、豊田線区間での車内巡回以外では利用されていない。

製造時期による差異編集

車体・車内編集

  • 1976年度末 - 1978年度初頭導入の3101 - 3113編成はHゴム支持による固定窓で、1981年度導入の3114編成以降は金属支持による約半数のバス窓に変更され、客室窓や窓枠が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度導入の3101 - 3117編成はHゴム支持で、1984年度導入の3118編成以降は金属支持に変更され、客用ドアの窓ガラス押さえが異なる。

車体・乗務員室編集

  • 1976年度末 - 1981年度導入の3101 - 3117編成はHゴム支持で、1984年度導入の3118編成以降は金属支持に変更され、乗務員室前面の窓ガラス押さえが異なる。

車体編集

  • 1976年度末導入の3101 - 3109編成は曲線で、1978年度初頭導入の3110編成以降は直線に変更され、乗務員室扉のバス窓枠下部の角形状が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭導入の3101 - 3113編成はポリエステルコーティングで、1981年度導入の3114編成以降はポリ塩化ビニル屋根に変更され、屋根の絶縁体が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭導入の3101 - 3113編成はキーストンプレートで、1981年度導入の3114編成以降はステンレス鋼に変更され、床板が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度導入の3101 - 3117編成はHゴム支持で、1984年度導入の3118編成以降は金属支持に変更され、方向幕の窓ガラス押さえが異なる。
  • 1978年度初頭導入の3110編成以降は正面貫通路部の厚みが減少している。
  • 1981年度導入の3114編成以降は標識灯兼尾灯カバーが大型化、助士側乗務員室扉右側の手すりの長さが短縮されている。

車内編集

  • 1976年度末 - 1981年度導入の3101 - 3117編成と1984年度導入の3118編成以降では客用ドア床面の滑り止めの形状が異なる。
  • 1978年度初頭導入の3110編成以降は車端部妻面に掲出されている禁煙プレートが若干小型化され、角が若干丸くなっている。

乗務員室編集

  • 1976年度末導入の3101 - 3109編成と1978年度初頭導入の3110編成以降では前面貫通扉のガラスの位置が異なる。
  • 1976年度末導入の3101 - 3109編成は運転席背後で、1978年度初頭導入の3110編成以降は乗務員室扉横に変更され、車掌スイッチの位置が異なる。
  • 1976年度末導入の3101 - 3109編成は上開きで、1978年度初頭導入の3110編成以降は下開きに変更され、前面方向幕蓋が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭導入の3101 - 3113編成と1981年度導入の3114編成以降では乗務員室扉下部の構造が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度導入の3101 - 3117編成は前面方向幕蓋で、1984年度導入の3118編成以降は下部に変更され、覗き窓の位置が異なる。
  • 1978年度初頭導入の3110編成以降は前面方向幕蓋の覗き窓が拡大されている。
  • 1981年度導入の3114編成以降は前面方向幕蓋が大型化されている。

編成編集

6両編成時代編集

形式
← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
3100
(Mc1)
3200
(M2)
3100A
(M1)
3200
(M2)
3700
(M1)
3800
(Mc2)
車両番号 3101 3201 3104 3204 3701 3801
3107 3207 3105 3205 3707 3807
3111 3211 3103 3203 3711 3811
3112 3212 3106 3206 3712 3812
3113 3213 3109 3209 3713 3813
3114 3214 3119 3219 3714 3814
3118 3218 3117 3217 3718 3818
3122 3222 3121 3221 3722 3822
形式
← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
3100
(Mc1)
3200
(M2)
3700
(M1)
3800A
(M2)
3700
(M1)
3800
(Mc2)
車両番号 3102 3202 3703 3803 3702 3802
3108 3208 3705 3805 3708 3808
3110 3210 3704 3804 3710 3810
3115 3215 3709 3809 3715 3815
3116 3216 3717 3817 3716 3816
3120 3220 3719 3819 3720 3820
3123 3223 3721 3821 3723 3823

4両編成時代編集

形式
← 豊田市・赤池
庄内緑地公園 →
製造年
3100
(Mc1)
3200
(M2)
3700
(M1)
3800
(Mc2)
車両番号 3101 3201 3701 3801 1976年
3109 3209 3709 3809
3110 3210 3710 3810 1978年
3113 3213 3713 3813
3114 3214 3714 3814 1981年
3117 3217 3717 3817
3118 3218 3718 3818 1984年
3123 3223 3723 3823

記念ステッカー編集

2005年日本国際博覧会(愛知万博)開催期間中は車体に愛知万博の記念ステッカーが掲出された車両もある。

新型車両の導入による置き換えの延期・計画の変更編集

本形式の内、開業当初からの車両は車齢が約30年を数えており、2006年度 - 2010年度の計画により、新型車両の導入による置き換えが行われることが決定していたが、交通局の予算の関係上、新型車両の導入による置き換えは2011年度に延期され、計画は3050形の増備再開からN3000形の導入へと変更された。

改造編集

発車予告ベルから発車予告ブザーへの交換編集

当初は発車予告ベルだったが、後に発車予告ブザーに交換された。そのため、他形式とは発車予告音が大きく異なる。

先頭車16両の中間車化改造・組成および形式変更編集

 
新造の3050形3159編成に
組み込まれた2両
(2006年2月2日 / 岩倉駅)

1993年8月12日の全線開業および名鉄犬山線との相互直通運転開始時に当初組成していた4両編成23本を2両ずつ分割し、先頭車16両は乗務員室の閉鎖および貫通路整備の上で車体前面の字幕方向幕埋込およびジャンパカプラ・渡り板・貫通幌取付を中心とする中間車化改造により、4両編成15本と編成を組み合わせ、6両編成15本に組成変更し、余剰となった2両は新造の3050形3159編成に組み込まれ、形式が3100A形と3800A形にそれぞれ変更された。なお、現行編成によって組み換え方や車番下2桁(さらに一部は客室窓や窓枠)が異なる。

車体前面の前照灯・尾灯撤去と車体連結部の転落防止幌設置編集

2003年から2004年にかけて全車に車体連結部の転落防止幌設置が行われた際、中間車化改造が行われた先頭車16両は設置スペースの関係で、車体前面の前照灯尾灯撤去も同時に行われた[注釈 3]

Mc車・M車のパンタグラフ撤去編集

2004年から2008年にかけて全編成のMc車・M車に1両当たり2基設置されたパンタグラフの内、豊田市・赤池寄りの1両当たり1基が撤去された。

ATC更新編集

2009年から2011年にかけて3次車以降で構成される6編成にATC更新が行われた。

省令対応改造編集

2012年には、3次車以降で構成される6編成に省令対応改造、2016年4月から5月にかけて残る未改造車2編成に限定的な省令対応追加改造が行われた。

客用ドア横の路線ステッカー更新編集

2015年8月から10月にかけて一部編成に客用ドア横の路線ステッカー更新が行われた。

車内のWi-Fiアンテナ設置編集

2017年1月から2月にかけて3次車以降で構成される6編成に車内のWi-Fiアンテナ設置が行われた。

乗務員室内の旧式非常はしご撤去および手すり付き非常はしご追加搭載編集

2018年2月には、3次車以降で構成される6編成に乗務員室内の旧式非常はしご撤去および手すり付き非常はしご追加搭載が行われ、専用カバーが掛けられた。

廃車編集

登場から約35年が経過し、車体や走行機器の老朽化が著しく進行しているため、2012年3月16日以降、N3000形の導入に伴い、2023年3月までに全車が廃車される予定。本形式の営業運転終了により、名古屋市営地下鉄の初期冷房車(電機子チョッパ制御車)は消滅し、全車両がVVVF車となる予定。

営業区間編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 現・日鉄
  2. ^ 実際には第一陣の落成は1976年内で、鉄道趣味誌では同年12月に運用開始した名鉄6000系と同じ号で紹介されている。
  3. ^ 3159編成中間車も同時期に行われた。

出典編集

参考文献編集

  • 電気学会「チョッパ制御ハンドブック(第2版)」1980年1月15日発行

関連項目編集

外部リンク編集