吸湿発熱繊維(きゅうしつはつねつせんい)とは、などの水分を吸収して発熱する繊維

スポーツウェアや肌着[1]膝サポーター腹巻、キルティングの中綿などに用いられる。吸湿発熱素材吸湿発熱ウェアと呼ばれることもある。

2003年に、日本のユニクロが「ヒートテック」を発売し、の定番商品となった[2]

吸湿発熱の原理・概要編集

古くから、ウールが吸湿して暖かくなることは知られていた。特に電解質の極性官能基を分子にもつ、吸水性のある繊維に見られる性質である。これは、主に水分子が繊維表面のカルボキシ(ル)基などの親水基と強く相互作用し、水和エネルギーが熱として放出されるためである[3]。また、水を吸収した繊維分子の非晶部分の膨潤によって、その中の高分子鎖が引き伸ばされ(エントロピー弾性発現機構)て放出される熱も発熱に幾分寄与している[3]

極性官能基を化学的に導入したり、ウールよりも繊維を細くして全体の表面積を増やすことで、吸湿性を高め、水を多く吸着するようにした合成繊維が開発された。このような吸湿性能を高めた繊維と綿などを混用した素材を「吸湿発熱素材」と呼び、商品化が行なわれている[4][2]

無限に発熱を続けるわけではなく、繊維の吸湿が飽和状態になるとそれ以上は発熱しなくなるため、衣料に用いた場合の効果は最初の数分から十数分に限られる[5][6][7]

商標例編集

その他編集

 全くの別物として、吸湿発熱ではなく、太陽光を蓄熱する「蓄熱保温素材」(セラミックスによる吸光熱変換機能)[10]、加熱されることで遠赤外線を放射するセラミックス繊維[11]などもある[4]

脚注編集

  1. ^ 三省堂『スーパー大辞林3.0』 【発熱素材】
  2. ^ a b 「発熱」は最初の3分だけ!? 大ブーム“あったか衣料”の真実”. 日経トレンディ (2010年12月29日). 2014年12月4日閲覧。 p-1
  3. ^ a b 『繊維便覧 第3版』丸善、2004年12月15日、465頁。
  4. ^ a b KASEN TOPICS No.22:クールビズとウォームビズ対応素材”. 日本化学繊維協会 (2006年4月). 2014年12月5日閲覧。
  5. ^ a b c 「発熱」は最初の3分だけ!? 大ブーム“あったか衣料”の真実”. 日経トレンディ (2010年12月29日). 2014年12月4日閲覧。 p-2
  6. ^ 技術ラボ便り:吸湿発熱性について”. 一般社団法人ケケン試験認証センター (2014年8月26日). 2014年12月5日閲覧。
  7. ^ 【各種機能性】吸湿発熱性”. 一般財団法人ボーケン品質評価機構(旧・財団法人日本紡績検査協会). 2016年7月21日閲覧。
  8. ^ エクス - 日本エクスラン工業
  9. ^ 高吸湿発熱繊維 モイスケア - 東洋紡 AP事業部
  10. ^ ユニチカトレーディングの「サーモトロン」やクラレの「ブラックシリカ」など。
  11. ^ クラレの「ロンウェーブ」など。

関連項目編集

外部リンク編集