呪われた石碑』(のろわれたせきひ、原題:: The Stone on the Island)は、イギリスのホラー小説家ラムジー・キャンベルが1964年に発表した短編ホラー小説。クトゥルフ神話の1つ。

1964年にアーカムハウスからアンソロジー『Over the Edge』に収録されて発表された。翻訳者の尾之上浩司は、邪神が登場する大規模な物語ではない、奇妙な怪談タイプの話と解説した[1]

あらすじ編集

過去編集

ローマ時代以前から、セヴァーンフォードはずれの小島にある石碑には、正体不明の神が祀られていた。17世紀に黒魔術崇拝がやって来て、水の精霊を祭る宗教と出会う。これらのことに石碑は無関係だという。1790年ごろには黒魔術信仰が衰退したが、信者はその後も小島を訪れ続けていた。

そして1803年以降、石碑に近づいた者たちに、怪死や発狂が相次ぐ。「浮遊する青白い球体」の目撃情報も寄せられる。1890年には、調べに来た役人が石碑をロンドンに持ち帰るも、彼は血まみれで見つかり、石碑はいつの間にか島に戻っていた。20世紀になってからも犠牲者は出続け、今では誰もが呪いを恐れて石碑には近づかない。

マイケル・ナッシュ編集

1962年、スタンリー・ナッシュ医師が毒を飲んで自殺する。息子マイケルに宛てた遺書には「何かに執拗に付け狙われており、逃げるために自ら命を絶つ」「きっかけはセヴァーンフォードはずれの小島」「深入りするな」と記されていた。マイケルは、父の書類を調べて、研究を引き継ぐ。どうやら父は、石碑に近づきすぎたことが原因で、精神的に追い詰められたらしい。

翌日、マイケルは父の護符(五芒星型の石[注 1])を携え、小島に赴いて石碑に触れてみる。瞬間、ぞっとするような寒気が走り、マイケルは逃げ帰る。

マイケルは職場に復帰するも、「浮遊する青白い顔」の幻覚につきまとわれるようになる。目撃するたびに、化物の顔は1つずつ増えていき、また精神的に不安定になったことで対人トラブルを起こすようになる。あるとき、マイケルが職場の倉庫で一人でいると、再びバケモノがこちらを見ていたために、我を忘れたマイケルは全力で蹴りかかる。気づいたときには、蹴りで顔を潰された後輩の男の死体が転がっていた。自分が人殺しになったことを理解したマイケルは、逃げ出し、バスに飛び乗る。マイケルの乗ったバスを、「4つの顔」が浮遊しながらついていく。

終点のセヴァーンフォードで降りて、混乱しながらさまよっているうちに日が沈む。夜の岸に出たところ、川から5つの顔が上がってきて、マイケルの顔にねばつくフィルムのような物体を貼り付ける。

生きたまま顔の皮膚を完全に剥がされた男が、警察に保護される。じきに身元が「手配中の殺人犯」マイケル・ナッシュと判明するも、彼は完全に発狂しており、とても起訴できる精神状態ではない。刑事たちにとっても前例のない怪事件であり、ギャングかサディストの犯行と目されるが、犯人は見つかっていない。こうして呪われた石碑にまつわる事件が一つ増えた。

主な登場人物編集

  • スタンリー・ナッシュ博士 - 医師。オカルトを趣味とし、五芒星形の石を護符として持っていた[注 1]。突然自殺する。
  • マイケル・ナッシュ - 主人公。ナッシュ医師の息子。会社勤め。
  • グロリア - マイケルの同僚。
  • 職場の新入り - 錯乱したマイケルに、怪物と誤解されて殺される。
  • 怪物 - 浮遊する、青白い顔。目撃するたびに顔の数が増える。つきまとうだけかと思われたが、危害を加えてきた。

収録編集

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ a b 持っていてなおこの結末であり、効果が足りなかったようである。

出典編集

  1. ^ 扶桑社ミステリー文庫『クトゥルフ神話への招待』182ページ。

関連作品編集

  • 魔女の帰還 - キャンベルの神話作品。スタンリー・ナッシュが登場する。