四四南村(すーすーなんつん[1])は、台北市に存在した眷村のひとつ。現在は公園、公民館および展示館からなる複合施設として使用されている。名前だけから受ける印象は、都会である台北市に存在するエリアとは思えない響きであるが、台北101にほど近い場所に立地し[2]、行政区画としては信義区に含まれる[3]

広場南側より。後ろに見えるビルは台北101。

第二次世界大戦が終結し、国共内戦にともなって大陸から避難してきた国民革命軍がこの地に定住したのは1948年のことであった[4]。もともとここにあった旧日本陸軍の倉庫を改修して住居としたもので[5]、台北に存在した眷村のうちでは最初期の部類である[4]。最初期どころか最初の眷村とされるケースも見られる[5]。四十四兵工廠(zh) の家族たちがまとまって居住したために四四南村と名づけられた[4] 。住民が増加すると四四東村と四四西村に分かれた[5]。1999年にこの地区の再開発計画が持ち上がると住民らは立ち退き、住居も撤去されることとなった[4]。一方で文化財としての価値を主張する声もあがり、2003年には歴史建築として認定され[6]、公民館や公園として利用することが決まった[4]。現存する建物は四棟で[5]、展示室として利用され、棟の間の小さな広場と西側の眷村文化公園とともにこの眷村は再生された[7]。他にも区民会館も存在し利用されている[8]。台北の発展にともない建築物の高層化が進み眷村はどんどん失われているが、かつての姿を残す一例である[9]

西側の眷村文化公園より。『好,丘』はカフェ兼雑貨屋の名前[10]

敷地はおよそ4,150坪で[7]、2010年からは毎週日曜のフリーマーケットも広場で行われている[10]。同じ広場にて、隔週ではあるが金曜夜に音楽祭も催される[5]。常設のカフェと雑貨屋もある[1]。カフェはベーグルが名物[10]

MRT台北捷運信義線台北101/世貿駅2番出口が近い[10]台北捷運板南線市政府駅から歩くことも可能[10]

脚注 編集

  1. ^ a b 矢作晃之 (2012年10月15日). “地元の人に人気のオアシス。「四四南村」に行ってみよう”. CREA WEB. 文藝春秋. 2016年11月27日閲覧。
  2. ^ 台北の中心地から徒歩5分!女子注目の新スポット「四四南村」がレトロでおしゃれ♡”. ガジェット通信. 東京産業新聞社 (2016年5月22日). 2016年11月27日閲覧。
  3. ^ 信義公民會館(四四南村)旅遊景點介紹(旅遊資訊王TravelKing)-台北市旅遊住宿-信義區旅遊-信義公民會館(四四南村)”. 締峯科技. 2016年11月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e 王恵君; 二村悟; 後藤治 監修『図説台湾都市物語 : 台北・台中・台南・高雄』河出書房新社〈ふくろうの本〉、2010年http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB01154634  83頁。
  5. ^ a b c d e 眷村の魅力に触れよう「四四南村」”. 交通部観光局 (2012年8月21日). 2016年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月27日閲覧。
  6. ^ 四四南村”. 文化部文化資産局. 2016年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月27日閲覧。
  7. ^ a b 前掲 (王, 二村 & 後 2010, p. 84) 。
  8. ^ 北側の看板より。2016年11月11日閲覧。
  9. ^ 前掲 (王, 二村 & 後 2010, p. 32) 。
  10. ^ a b c d e 好,丘”. 株式会社台湾ナビ (2012年8月28日). 2016年11月27日閲覧。

関連文献 編集

  • 横山透『台湾百年ストーリー: 20の物語に出会う旅』辰巳出版、2019年。ISBN 9784777822737 

外部リンク 編集

座標: 北緯25度01分54秒 東経121度33分42秒 / 北緯25.031677度 東経121.561574度 / 25.031677; 121.561574