四暗刻
四暗刻(スーアンコウ)とは、麻雀における役のひとつ。役満。暗刻を4つ作って和了した時に成立する。門前役。暗槓が含まれていてもよい。
概要編集
対々和の上位役であるが、対々和が明刻であるか暗刻であるかを問わないのに対し、四暗刻は4面子すべてを暗刻にしなければならない。そのため必然的に門前役となる。しかし、多くの役満役が使う牌を限定しているのに対し、四暗刻は使う牌に関して一切の制限がなく、34種どれを使っても構わない。そのため役満の中では比較的出現しやすく、大三元や国士無双とともに初心者が最初に目撃する、もしくは最初に和了する役満のひとつとなっている(確率上は役満の中では最も出現しやすい)。また、大三元や国士無双が比較的警戒されやすい役満であるのに対し(大三元は三元牌2種を副露しており残り1種が2枚以上見えていない場合、国士無双は捨て牌が序盤から中盤まで全て中張牌である場合など)、四暗刻は役の性質上捨て牌に偏りが出にくく、副露もしないため、四暗刻狙いであることが他家に露見しないことも少なくない。
テンパイ形はシャンポン待ちか単騎待ちに限定される。シャンポン待ちの場合はツモ和了しなければ四暗刻にならない。シャンポン待ちをロン和了した場合は4つ目の刻子が明刻扱いとなるため、三暗刻+対々和で、他に役が複合していない場合は満貫止まりである。単騎待ちの場合は手の内に4つの暗刻が確定しているため、ツモ・ロンにかかわらず役満となる。また、難易度の高さから単騎待ちの四暗刻を「四暗刻単騎」としてダブル役満にするルールもあるが[1]、こんにちのプロ団体やフリー雀荘では採用していないところがほとんどである。
役満となる役の多くが対々和の形になりやすい、あるいは必ずその形になるため、理論上は国士無双と九連宝燈を除く様々な役満と複合可能である。しかし現実的には、難易度の高い役満を門前で成立させることが必要となるため、四暗刻が他の役満と複合するのは極めて稀である。
牌姿の例編集
(例)シャンポン待ちの場合
(例)注意を要するシャンポン待ち
- か をツモれば四暗刻になるが、この形は も待ちになっている。ダマテンの状態なら を引いても(和了を拒否して)暗槓できるが、リーチを掛けると の暗槓ができなくなる。この形でリーチを掛けて を暗槓した場合、 や をツモっても出あがりしても流局してもチョンボになってしまう。
- リーチ後の暗槓については立直#立直後の暗槓が認められないケースを参照のこと。なお、メンツ構成の変わらない と はリーチ後でも暗槓可である。
四暗刻単騎編集
(例)確定単騎
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- このような単騎待ちの四暗刻は「四暗刻単騎」「四暗刻単騎待ち」「スッタン」と呼ばれる。待ち牌は だけだが、ツモ・ロンにかかわらず四暗刻が成立する。また、前述のとおり四暗刻単騎をダブル役満とすることもある。ただし、純粋な単騎待ちのみや、単騎待ちにした上でツモ和了する必要があるなど、古いルールでは定義にバラつきが見られることもある(かつては単騎待ちのみが役満扱いだった)。
- いずれにせよ、四暗刻単騎の点数をどうするかは基本的には取り決め次第である。しかし、インフレ化の行き過ぎを嫌うルールではシャンポン待ちのケースと区別せず、通常の役満として扱う傾向が見られる。天鳳やセガネットワーク対戦麻雀MJ4では、和了役としては通常のツモり四暗刻と区別しているが、点数的には通常の役満と同じである。麻雀格闘倶楽部や雀魂ではダブル役満として扱われている。
(例)注意を要する単騎待ち
- このように一筒を暗槓すると、安目の待ちが消えて四暗刻単騎が確定する。受け変える前に4枚目の一筒を自模った場合には有効な手段である。ただし暗槓によって待ちが変わるため、立直をかけている時にこれを行うとチョンボになってしまう。四暗刻単騎を確定させたい時には、不確定の待ちのまま立直をかけるのは得策ではない。さらに、四暗刻単騎自体が確定しているこの牌姿でも、役満が確定していて、立直をする意味はほぼないため、一部の例外を除き、立直をすることは得策とはいえないため、四暗刻単騎で立直がかかることはほとんどない。
特記事項編集
漫画『じゃりン子チエ』には、登場人物のカルメラ兄弟が「香港では(四暗刻は)役がつかない」と語るシーンがある(『じゃりン子チエ』単行本第5巻181-182ページ)。現在では香港式ルールでも四暗刻を役として認めている。