増田達至
増田 達至(ますだ たつし、1988年4月23日 - )は、兵庫県洲本市出身[2]のプロ野球選手(投手)。右投右打。埼玉西武ライオンズ所属。
埼玉西武ライオンズ #14 | |
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![]() 2013年7月18日、こまちスタジアムにて | |
基本情報 | |
国籍 |
![]() |
出身地 | 兵庫県洲本市 |
生年月日 | 1988年4月23日(32歳) |
身長 体重 |
180 cm 88 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投右打 |
ポジション | 投手 |
プロ入り | 2012年 ドラフト1位 |
初出場 | 2013年6月13日 |
年俸 |
3億円(2021年)[1] ※2021年から4年契約 |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
この表について
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経歴編集
プロ入り前編集
由良小学校4年生の時に野球を始め、当時は捕手、遊撃手。由良中学校では軟式野球部に所属し、3年生の時に投手になった。柳学園高校では1年生の夏にベンチ入りし、秋にはエースになった[2]。甲子園出場経験は無い[3]。
福井工業大学では1年生の春にはベンチ入りした[2]。4年生時の北陸大学野球・春季リーグで5勝を挙げるなどの成績でベストナインを獲得[3][4]。大学通算成績は35試合171回1/3を投げ11勝9敗、防御率1.42[5]。
大学卒業後にはNTT西日本に入社。同社野球部では1年目の春に公式戦に登板[3]。2年目は抑え投手を務め[2]、第83回都市対抗野球大会2回戦では8回の途中で救援登板し、1回1/3を投げ被安打0、無失点だった[6]。
2012年10月25日に行われたプロ野球ドラフト会議で、東浜巨の交渉権を重複指名による抽選で外した埼玉西武ライオンズと、同様に森雄大を外した広島東洋カープにそれぞれ外れ1位で指名され、抽選の結果西武が交渉権を獲得[7][8]。契約金1億円プラス出来高5,000万円、年俸1,500万円(金額は推定)で合意し[9]、入団、背番号は「14」に決まった[10]。
ドラフト後の11月に行われた第38回社会人野球日本選手権大会では計2試合2回2/3を投げ被安打0、無失点だった[11]。12月25日には入籍している[12]。
西武時代編集
2013年、春季キャンプはA班(一軍)スタートだったが[13]、途中で二軍落ち[14]。その後3月の二軍戦で左脇腹を痛め、5月下旬に実戦に復帰し、6月12日に一軍に初昇格した[15][16]。6月13日の対中日ドラゴンズ戦で同点の延長11回にプロ初登板。1死一、二塁から浅村栄斗の悪送球失策により勝ち越しを許し、自責点0で敗戦投手となった[17][18]。23日の対オリックス・バファローズ戦では同点の10回に登板、1回を投げ無失点で初ホールドを挙げ[19]、30日の対北海道日本ハムファイターズ戦では同点の7回途中に登板、1/3回を無失点に抑えると8回にチームが勝ち越しプロ初勝利を挙げた[12][20]。二軍では7月18日に行われたフレッシュオールスターゲームではイースタン・リーグ選抜メンバーに選ばれ、7回に救援登板し無失点だった[21]。8月3日の対福岡ソフトバンクホークス戦で松田宣浩に本塁打を放たれるまで14試合連続無失点を記録した[22]。9月26日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦では初先発し、4回1/3を投げ1失点で勝敗はつかなかった[23]。
2014年は右肩痛により開幕一軍は逃したが[24]、5月13日に出場選手登録[25]。44試合に登板しチーム最多の22ホールドを挙げた[26]。
2015年は初めて開幕一軍入りを果たした[27]。7月16日に、第1回WBSCプレミア12の日本代表第1次候補選手に選出された事が発表された[28]。監督選抜によりオールスターゲームのメンバーに選ばれ、7月18日に行われた第2戦において4番手で登板し、1回を投げ無失点だった[29]。9月8日の対オリックス戦の9回、2死一・二塁で登板して1/3回を無失点に抑え、プロ初セーブを挙げた[30]。この年、パシフィック・リーグ最多の72試合に登板し[31]、リーグ最多の42ホールドポイントおよび同40ホールドを挙げ、最優秀中継ぎ投手賞を受賞した[32]。
2016年、クローザーの髙橋朋己が負傷離脱した事を受け、クローザーに配置転換される。28セーブ・防御率1.66と好成績を挙げた。
2017年もクローザーとして57試合に登板。2年続けて28セーブを挙げた。
2018年は選手会長に就任[33]。序盤はクローザーを務めていたが不振で中継ぎに配置転換され、7月5日に二軍落ちしたこともあり、41試合の登板に留まった。
2019年、開幕は中継ぎとして迎えたが、4月7日の日本ハム戦でクローザーとして起用されて以降、その座を確立させた。65試合に登板してリーグ3位の30セーブを記録するとともに、防御率1.81・WHIP0.88という好成績を収め、チームのリーグ連覇に大きく貢献した。9月24日のリーグ優勝を決めた試合にもクローザーとして登板し、レオニス・マーティンから三振を奪って胴上げ投手となった。
2020年は開幕から8試合連続無失点、1被安打など好スタートを切り、8月中旬まで防御率0点台を維持。同月中旬以降は走者を出すことも多くセーブ失敗もあったものの最終的に33セーブを挙げて自身初の最多セーブのタイトルを獲得した。同タイトルの獲得は西武では2010年ブライアン・シコースキー以来10年ぶり、日本人投手では2003年の豊田清以来17年ぶり。シーズン無敗の最多セーブ投手は1997年の佐々木主浩、2009年の武田久に続く史上3人目。また、通算136セーブとしたことで豊田清の135セーブを抜き球団最多記録となった[34]。12月4日、シーズン中に取得した国内FA権を行使した上で埼玉西武ライオンズに残留することを発表し[35]、同12日に4年契約を締結した [36]。
選手としての特徴編集
最速156km/h[37]のストレートと縦のスライダー、カーブに加え、社会人時代にチームの臨時コーチを務めた野田浩司から習得したフォークも投げ分ける[9]。
ストレートはナチュラルにカットボール気味に変化し[38]、スライダーとカーブは握りとリリースが同じだという[39]。
フォークは2018年まではほとんど投げない球種であったが、2018年の不調もあり、2019年からは精力的にフォークの質の向上に取り組んだ。その結果、フォークが決め球の選択肢に加わり、ピッチングの幅が広がったことで成績が向上した。
50メートル走のタイムは6秒3。遠投100メートル[2]。
詳細情報編集
年度別投手成績編集
年 度 |
球 団 |
登 板 |
先 発 |
完 投 |
完 封 |
無 四 球 |
勝 利 |
敗 戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝 率 |
打 者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬 遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴 投 |
ボ 丨 ク |
失 点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P |
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2013 | 西武 | 42 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 3 | 0 | 5 | .625 | 237 | 52.2 | 60 | 3 | 19 | 2 | 1 | 44 | 1 | 0 | 25 | 22 | 3.76 | 1.50 |
2014 | 44 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 | 0 | 22 | .429 | 181 | 44.2 | 35 | 3 | 13 | 4 | 1 | 37 | 0 | 0 | 14 | 14 | 2.82 | 1.07 | |
2015 | 72 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 3 | 40 | .333 | 302 | 74.0 | 64 | 1 | 15 | 2 | 4 | 62 | 2 | 0 | 26 | 25 | 3.04 | 1.07 | |
2016 | 53 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 28 | 5 | .375 | 232 | 54.1 | 51 | 1 | 15 | 5 | 2 | 53 | 0 | 0 | 13 | 10 | 1.66 | 1.21 | |
2017 | 57 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 28 | 4 | .167 | 220 | 56.1 | 41 | 7 | 13 | 2 | 0 | 58 | 0 | 0 | 17 | 15 | 2.40 | 0.96 | |
2018 | 41 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 14 | 2 | .333 | 170 | 38.1 | 44 | 5 | 9 | 2 | 2 | 23 | 1 | 0 | 23 | 22 | 5.17 | 1.38 | |
2019 | 65 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 30 | 7 | .800 | 272 | 69.2 | 51 | 5 | 10 | 1 | 0 | 74 | 0 | 0 | 15 | 14 | 1.81 | 0.88 | |
2020 | 48 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 33 | 1 | 1.000 | 196 | 49.0 | 41 | 3 | 10 | 1 | 2 | 42 | 0 | 0 | 11 | 11 | 2.02 | 1.04 | |
NPB:8年 | 422 | 2 | 0 | 0 | 0 | 25 | 26 | 136 | 86 | .490 | 1810 | 439.0 | 387 | 28 | 104 | 19 | 12 | 393 | 4 | 0 | 144 | 133 | 2.73 | 1.12 |
- 2020年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績編集
年 度 |
球 団 |
投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | ||
2013 | 西武 | 42 | 1 | 9 | 1 | 1 | .909 |
2014 | 44 | 2 | 10 | 0 | 0 | 1.000 | |
2015 | 72 | 3 | 12 | 1 | 0 | .938 | |
2016 | 53 | 1 | 5 | 3 | 1 | .667 | |
2017 | 57 | 2 | 6 | 0 | 0 | 1.000 | |
2018 | 41 | 4 | 6 | 0 | 0 | 1.000 | |
2019 | 65 | 3 | 6 | 0 | 0 | 1.000 | |
2020 | 48 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 422 | 17 | 56 | 5 | 2 | .936 |
- 2020年度シーズン終了時
タイトル編集
表彰編集
記録編集
- 初記録
- 初登板:2013年6月13日、対中日ドラゴンズ4回戦(西武ドーム)、11回表に6番手で救援登板、1回1失点で敗戦投手(自責点0)
- 初奪三振:2013年6月15日、対横浜DeNAベイスターズ3回戦(西武ドーム)、8回表に荒波翔から空振り三振[40]
- 初ホールド:2013年6月23日、対オリックス・バファローズ9回戦(西武ドーム)、10回表に6番手で救援登板、1回無失点
- 初勝利:2013年6月30日、対北海道日本ハムファイターズ12回戦(札幌ドーム)、7回裏2死に3番手で救援登板、1/3回無失点
- 初先発:2013年9月26日、対東北楽天ゴールデンイーグルス22回戦(西武ドーム)、4回1/3を1失点で勝敗つかず
- 初セーブ:2015年9月8日、対オリックス・バファローズ19回戦(西武プリンスドーム)、9回表2死に3番手で救援登板、完了、1/3回無失点
- 節目の記録
- 100セーブ:2019年9月11日、対福岡ソフトバンクホークス24回戦(メットライフドーム)、9回表に3番手で救援登板・完了、1回無失点 ※史上32人目
- その他の記録
背番号編集
- 14(2013年 - )
登場曲編集
- 槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」(2013年)
- MAN WITH A MISSION「Fly Again」(2013年)
- ベリーグッドマン「コンパス」(2014年 - 2016年シーズン途中・2018年)
- ベリーグッドマン「Hello」(2018年)
- ベリーグッドマン「ライオン」(2016年シーズン途中 - )
脚注編集
- ^ “西武 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2021年1月14日閲覧。
- ^ a b c d e 広島 外れ1位に152キロ右腕、NTT西日本・増田 スポニチ Sponichi Annex 2012年10月16日掲載
- ^ a b c 虎リストアップ即戦西日本・増田 日刊スポーツ 2012年5月22日紙面から
- ^ 記録 北陸大学野球連盟
- ^ 別冊宝島アプロ野球選手データ名鑑2013 宝島社発行 126頁
- ^ 第83回 都市対抗 本大会 7月20日 東京ドーム 第1試合 2回戦 公益財団法人 日本野球連盟
- ^ 2012年ドラフト会議 全指名選手 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2012年10月25日配信
- ^ 2012年 新人選手選択会議 (埼玉西武ライオンズ) 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ a b 西武増田 武器は野田直伝お化けフォーク 日刊スポーツ 2012年11月22日紙面から
- ^ 2012ドラフト指名選手 入団発表会! 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2012年12月13日配信
- ^ 第38回 日本選手権 本大会 11月3日 京セラドーム大阪 第1試合 1回戦、第38回 日本選手権 本大会 11月9日 京セラドーム大阪 第3試合 2回戦 公益財団法人 日本野球連盟
- ^ a b 増田初勝利!支えた妻に「ありがとう」 日刊スポーツ 2013年7月1日紙面から
- ^ 2013年春季キャンプ参加選手決定! 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2013年1月17日配信
- ^ 西武ドラ1・増田、2軍へ「しっくりきてない 感覚違う」 スポニチ Sponichi Annex 2013年2月21日掲載
- ^ ドラ1増田が1軍初昇格へ「しっかりやりたい」 スポニチ Sponichi Annex 2013年6月11日掲載
- ^ 公示(出場選手登録・抹消) 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
- ^ 西武ドラ1増田 初登板で黒星、不運…打ち取ったが味方失策 スポニチ Sponichi Annex 2013年6月13日掲載
- ^ 2013年6月13日 埼玉西武 対 中日 成績詳細 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
- ^ 2013年6月23日 (日) 埼玉西武 9 - 9 オリックス 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 2013年6月30日 (日) 北海道日本ハム 4 - 8 埼玉西武 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 2013年度フレッシュオールスター・ゲーム 試合結果 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 【西武】増田、無失点試合14でストップ 日刊スポーツ 2013年8月3日掲載
- ^ 2013年9月26日 埼玉西武 対 楽天イーグルス 成績詳細 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
- ^ 1軍合流の増田 1時間汗流し意気込み「一生懸命やるだけ」 スポニチ Sponichi Annex 2014年5月12日掲載
- ^ 公示(出場選手登録・抹消) 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
- ^ 2014年 個人成績 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
- ^ 2015年 開幕登録選手発表! 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2015年3月25日配信
- ^ トップチーム第一次候補選手発表!11月に行われる「WBSC世界野球プレミア12」へ向けて65名が名を連ねる[リンク切れ] 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト (2015年7月16日) 2015年8月4日閲覧
- ^ マツダオールスターゲーム2015 出場者、2015年度マツダオールスターゲーム 試合結果(第2戦) 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 岸 10K粘投で5勝目!増田がプロ初セーブ スポニチ Sponichi Annex 2015年9月9日掲載
- ^ 2015年度 パシフィック・リーグ リーダーズ(投手部門) 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 2015年度 パシフィック・リーグ リーダーズ(投手部門) ホールド、2015年度 表彰選手 (パシフィック・リーグ) 日本野球機構オフィシャルサイト
- ^ 西武選手会長に増田 守護神で4年ぶりAクラス貢献日刊スポーツ 2017年11月28日掲載
- ^ 西武増田が球団最多の136セーブ、豊田清を超えた西日本スポーツ 2020年11月3日掲載
- ^ 西武増田がFA宣言残留表明「生涯ライオンズで」日刊スポーツ 2020年12月4日掲載
- ^ 宣言残留の西武増田が4年12億円超え大型契約 日刊スポーツ 2020年12月12日掲載
- ^ 「増田で打たれたら仕方ない」 安定感抜群の投球を続ける西武・増田達至は何が変わったのかSPAIA
- ^ 『野球太郎 No.18 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2016』廣済堂出版、2016年、59頁。雑誌69412-21。
- ^ 「週ベ・オーロラビジョン 守護神たちの序盤戦」『週刊ベースボール』2016年5月16日号、ベースボール・マガジン社、 45頁、 雑誌20443-5/16。
- ^ 試合結果 2013年6月15日 詳細、打席別結果 スポニチ Sponichi Annex
関連項目編集
外部リンク編集
- 個人年度別成績 増田達至 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、 The Baseball Cube
- 選手名鑑 14 増田 達至 - 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト