メインメニューを開く

壺算(つぼざん)は古典落語の演目の一つ。原話は、延享4年(1747年)に出版された笑話本「軽口瓢金苗」の一遍である「算用合て銭たらず」。元々は『壺算用』という上方落語の演目。

主な演者として、東京の6代目三升家小勝柳家権太楼、上方の2代目桂枝雀笑福亭仁鶴などがいる。

あらすじ編集

 「二荷入りの水がめ」を買いたい主人公の吉公。しかしこの男は「黙っていた方が利口に見える」とまで言われるドジ。おかみさんに言われ、買い物上手と言う兄貴分の所へ協力を求めに訪れた。

 そんな吉公の頼みを快く引き受けた兄貴分。だが、瀬戸物屋を訪れた彼が目をつけたのは、なぜか半分の一荷入りの水がめだった。このかめの値段は本来三円と五十銭だったのだが、兄貴分は瀬戸物屋を太鼓持ちも顔負けの口調でおだて上げて五十銭値引きさせてしまった。何度も文句を言いかける吉公を制し、兄貴分は三円を置くと一荷入りの水がめを吉公に担がせて店を出てしまう。

「俺の買いたいのは二荷入りの壺だよ」「任せておけ。それじゃあ、また瀬戸物屋へ引き返すぞ」そして兄貴分は瀬戸物屋にこう告げる。

「実は手違いがあったんだよ。こいつの買いたかったのは二荷のかめなんだが、コイツが度忘れして一荷入りの水がめを買っちゃったんだ」

 瀬戸物屋に二荷入りの値段を訊くと、一荷入りが三円五十銭なので、二荷入りはその倍の七円になるという。兄貴分は瀬戸物屋に対し、さっき五十銭値下げしたのを引き合いに出してこっちも値下げしてくれとおだて上げながら交渉し、とうとう七円の水瓶を六円にまけさせてしまう。

 それではお代の六円分をという瀬戸物屋に、兄貴分は「水がめは二つもいらないから、さっき買ったのを下取りしてくれないか」。それを買った値段の三円で引き取るという瀬戸物屋。

兄貴分は「さっきの一荷入りを下取って三円、それから最初に渡した三円。足して六円だ」と言い、吉公に二荷入りの水がめを担がせて店を出ていくのだった。

 ドジの吉公でもこのトリックにはさすがに気が付いた。「ハハハ、あのご主人馬鹿だねぇ」「声出すな、気付かれるぞ」

何かおかしいと思い、慌てて呼び止める瀬戸物屋。それに対して兄貴分はさっきと同じ話を繰り返した。

また慌てて呼び止める瀬戸物屋、とうとう堪忍袋の緒が切れた風を装い、兄貴分は「算盤使って確かめてみろ!」と一喝。

言われたとおりに勘定してみると、確かに計算はあっているのだが手元を見るとやはり三円足りない。

とうとうパニックになった瀬戸物屋が「一荷入りも持って行ってください」。

兄貴分が「二つもいらないんだ」と言うと、瀬戸物屋が大きな声で一言。

「お金も返すから!」

上方版のオチ編集

困った瀬戸物屋が「もうし、これなんという壺でんねん。」と言うと、兄貴分が「それがこっちの思う壺や。」

概要編集

詐欺師噺編集

時そば』に並ぶ詐欺師が主人公の噺。似たパターンの話は世界各地にあり、詐欺師の考えは東西共通であることがうかがえる。また、詐欺に先立って、駆け引きによる合法的な値切りの話術が披露される二段構えになっているところもこの噺の特徴である。

元々は『壺算用』という上方落語であり、3代目三遊亭金馬が東京へ移入した。

一時期、カタコトの外人によるつり銭詐欺が「時そば詐欺」と言われたことがあるが、同じものを二度数えさせて相手を煙に巻いてしまうやり方はむしろこの『壺算』に近い。

壺屋の主人の見落とし編集

この噺は「料金紛失トリック」が絡んでおり、途中の「二荷入りの瓶の勘定は合っているのか、否か」を理解するために少し頭を使う必要がある噺である。

ちなみに、正解は「勘定は合っていない」である。

この場合、瓶屋の主人の勘違いは「二荷入りの瓶」=「一荷入りの瓶」+「支払済の3円」としていることにある。割引後の「二荷入りの瓶」=「一荷入りの瓶」+「3円」でいいのだが、この「一荷入りの瓶」=「支払済の3円」なので、「二荷入りの瓶」=「支払済の3円」+「3円」となり、もう3円兄貴分から受け取らなければならない。

しかし、実際に手元にある金はやはり兄貴分から受け取った「3円」であるため、瓶屋の主人はこれを大きく勘違いし、この噺のオチにつながってしまう結果となるのである。

関連項目編集