壺算
『壺算』(つぼざん)は古典落語の演目。別名に「壺算用』(つぼざんよう)[1]。巧妙な手口で壺を値切って買おうとする男の噺。原話は延享4年(1747年)に出版された京都板「開口新語」の一遍[1]。元は上方落語の演目で3代目三遊亭円馬が東京へ移入した。上方では「壺算用」の題で演じられる。登場するのは瓶(かめ)なのに、題は「壺」である理由について、唐沢俊一によれば、もともと家普請で坪数の計算誤りのことを「坪算」と言い、それに掛けたダジャレであると説明している[2]。
あらすじ
編集二荷入りの水壺(水瓶)が買いたい吉公は、値切りが上手という兄貴分の長さんを頼る。2人が瀬戸物屋に行くと、長さんは何故か1円15銭の一荷入りの水壺を1円にうまく値切って買ってしまう。不思議に思う吉公に長さんは「いいから」と言ってそのまま一度店を離れ、町内を回って再び瀬戸物屋を訪れる。長さんは店主に二荷入りのと取り替えて欲しいと言い、さらにさっき1円で買ったから二荷入りは2円でいいだろうと言う。これに吉公が感心していると、長さんはさらに続けて「さっき1円を払っただろう。ここに1円の水壺があるから、合わせて2円の勘定だ」と言って、実際には1円しか払っていないのに、まんまと店主から二荷入りの水壺を受け取ってしまう。
しかし、店主も腑に落ちず、2人を呼び戻してそろばんで計算する。「ちゃんと2円になるじゃないか」と長さんが言うと、店主は「へぇ。ただ金が合わんのです。これはなんという勘定なんで?」と尋ねる。すると長さんは言う。
「これは壺算用というのだ」
その他のバリエーション
編集5代目三升家小勝は、勘定がわからなくなった瀬戸物屋が「先ほど頂いた1円をお返ししますので、一荷入りのをどうぞ持ち帰ってください」と返答するサゲをやっている[1]。
上方では、困った瀬戸物屋が「もうし、これなんという壺でんねん」と言うと、兄貴分が「それがこっちの思う壺や」と返すサゲだった。
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 東大落語会『落語事典 増補』(改訂版(1994))青蛙房、1969年。ISBN 4-7905-0576-6。
- 立川談笑; 唐沢俊一『超(スーパー)落語! 立川談笑落語全集』アスペクト、2006年。ISBN 978-4757213043。