外国人学校(がいこくじんがっこう)は、外国人を対象とした教育施設。日本ではインターナショナル・スクール民族学校などが含まれ、各種の初等教育中等教育が行われている。

概要 編集

日本にある外国人を対象とした教育施設には、学校法人による私立学校から、私塾寺子屋的ないわゆる無認可校まで多様なものがある。それらの多くは、学校教育法の第1条に定められている一条校ではなく、第134条(旧第83条)に定められる各種学校である[注釈 1]

日本では、学校教育法の定めるところにより、日本国民は、義務教育を受けさせなければならない子を、就学義務猶予免除された場合を除いて、小学校特別支援学校小学部、および、中学校中等教育学校前期課程、特別支援学校の中学部義務教育諸学校)に就学させなければならない(日本国民は就学義務を有している)[1]。すなわち、子に教育を受けさせる義務は保護者が負うが、その子が受ける教育は国の基準に基づいた1条校が提供するものに限られており、1条校でない教育施設が提供する教育を子に受けさせても義務教育を受けさせているとはされない[注釈 2]。このため、義務教育を受けさせなければならない子が就学している外国人学校が、小学校、特別支援学校の小学部、および、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の中学部に該当しなければ、子を保護する日本国民は、子に教育を受けさせる義務を履行しているとはされない。義務教育として認められているのは1条校のみであり、ホームスクーリング等も認められていない[注釈 3]

インターナショナル・スクール 編集

民族学校 編集

民族学校は外国人や少数民族の学習者の便宜を図る施設で、就学前教育初等教育中等教育を行うものが多い。民族学校には母国の経済的支援を受けている場合が少なくないため、国籍などの条件が合えば基本的に希望者全員を受け入れる。

この種の教育機関における教育は、対象とする国や民族の言語(公用語・民族語)を用いて、特別な教育課程で行われる。しかし、特定の国や民族を対象としている施設でも、国際バカロレア資格の取得が可能であったり、多様な国籍・民族の学習者を積極的に受け入れたりする施設もある。日本の韓国学校には1条校も多い。近年の日本では、その国や民族と何の関係もない日本人の両親が、外国語の修得などを目的に外国人学校に入学させたりするケースもあるものの、親自身もしくは本人が当該学校が主体とする言語を殆ど話さない場合、上記のように入学を断られるケースもある。

主要な外国人学校一覧 編集

日本の大学入学資格が認められるもの 編集

日本では文部科学省が国内の大学への入学資格について定めており、日本国内に於いて外国の教育を実施しているインターナショナルスクール及び外国人学校(ナショナルスクール)に関しては、受験資格を認めていなかった。

日本人が日本の高卒資格で海外の大学へ入学が認められている一方で、海外の高卒資格で日本の大学への入学が認められていない状況をビザの相互性に反するとの指摘や、サービス産業における教育分野においての非関税障壁として貿易関連の問題としての指摘もあった。しかしながら、現実には、国公立私立大学の中には、独自の判断で審査し入学を認める大学も少なくなかった。

2000年(平成12年)度より大学入学資格検定(大検)について、これまで受検が認められていなかったインターナショナルスクールや外国人学校の卒業者についても受検資格を拡大した。

2002年(平成14年)に、一旦国際的な評価団体(WASC, ECIS, ACSI)の評価を受けた17のナショナルスクールの卒業者に大学入学資格を付与する方針が公になったが、欧米系に偏っているとして批判を受け、アジア系や南米系の民族系外国人学校も含める方向で再度検討された。

2003年(平成15年)3月に中央教育審議会が、「大学入学資格の弾力化について【案】」として、1.国際的な評価団体(WASC, ECIS, ACSI)の評価を受けた17の外国人学校の卒業者、2.外国において当該外国の正規の課程(12年)と同等として位置づけられている25の外国人学校の卒業者、を提案した。

2003年(平成15年)9月19日に公布・施行された「学校教育法施行規則及び告示の一部改正について」で示された。

  1. 評価団体による評価、として、「国際的な評価団体(WASC, ECIS, ACSI)の認定を受けた外国人学校の12年の課程を修了した者で、18歳に達したもの」とし3つの評価団体を告示にて指定し、16校が対象となった。
  2. 本国での位置付けを尊重、として「外国において、高等学校に相当する外国の学校の課程(12年)と同等の課程を有するものとして外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設の課程を修了した者で18歳に達したもの」として5校を列挙した。

具体的・最新の状況は文部科学省のウェブサイトで「大学入学資格について」や「国際的な評価団体認定外国人学校一覧」を参照するとよい。

(1)国際的な評価団体による評価を受けた教育施設として対象となる学校 16校

(2)外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設として告示の別表に掲げた学校 5校

(3)その後追加された学校

さらに翌年以降、WASC・CIS・ACSI(国際的な民間教育機関認定組織)から追加で認定が与えられたインターナショナルスクール等が随時追加されている。

国際バカロレア資格参加インターナショナルスクール 編集

WASC・CIS・ACSI・ECIS認定組織 編集

WASC認定 編集

WASC(Western Association of Schools and Colleges) 本部:アメリカ

以下候補校(認定校ではない)

CIS認定 編集

CIS(Council of International Schools) 本部:イギリス ※ 2003年8月にECIS(European Council of International Schools)より名称変更

以下会員校(認定校ではない)

ECIS参加 編集

ECIS(European Council of International Schools)

ACSI認定 編集

ACSI(Association of Christian Schools International) 本部:アメリカ

民族学校 編集

大韓民国 編集

朝鮮民主主義人民共和国 編集

中華民国(台湾) 編集

中華人民共和国 編集

インド共和国 編集

フィンランド共和国 編集

ドイツ連邦共和国 編集

アビトゥア参加校
国際バカロレア資格参加校

フランス共和国 編集

バカロレア参加校

アメリカ合衆国 編集

WASC認定校

ブラジル連邦共和国 編集

各種学校認可校
無認可校

ペルー共和国 編集

その他 編集

どちらも一条校でもある。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 日本に居住する外国人を専ら対象とするものは専修学校になることができない。
  2. ^ ただし法令の範囲内で教育課程を工夫することにより、各民族特有の言語・文化・歴史などを1条校でありながら多く配分することは可能である。
  3. ^ ただし、1条校に在籍したうえで1条校の教員が派遣されてくる場合を除く。
  4. ^ 運営は学校法人ホライゾン学園横浜市鶴見区東寺尾より同市神奈川区大野町のポートサイド地区に2019年4月移転(詳細は「ポートサイド地区#YCAT跡地の開発」を参照)。また、同法人は仙台市ホライゾン学園仙台小学校(ホライゾン・ジャパン・インターナショナルスクール仙台〈幼稚部〉併設)を開校している。

出典 編集

参考文献 編集

  • 櫛田健児『OBトーク、インターナショナルスクール入門』(扶桑社、2008年9月)

関連項目 編集

外部リンク 編集