大井川鉄道cトキ200形貨車(おおいがわてつどうcトキ200がたかしゃ)は大井川鐵道井川線で使われている貨車

大井川鉄道cトキ200形貨車
トキ228 川根両国駅にて
トキ228 川根両国駅にて
基本情報
車種 無蓋車
運用者 大井川鐵道
所有者 中部電力
製造所 三菱重工業近畿車輛
製造年 1953年昭和28年)
製造数 50両
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 11,000 mm
車体長 10,400 mm
全幅 1,830 mm
車体幅 1,650 mm
全高 1,865 mm
荷重 16 t
自重 8.95 t
換算両数 積車 2.6
換算両数 空車 1.0
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概要 編集

木製のあおり戸と妻板をもつ、2軸ボギー無蓋車である。日本国有鉄道(国鉄)トキ10形を縮小したような形状で、「トキ」を称するものの荷重は16トンで、国鉄でいえば"ム"級の荷重に過ぎない。1953年昭和28年)に井川線が中部電力専用線として全通するのに備えて、同年12月に製造された形式である。

cトキ201 - 225の25両が三菱重工業で、cトキ226 - 250の25両が近畿車輛でそれぞれ製造された。当時のダム建設で、大井川流送できなくなった木材輸送に主に用いられ、cワフ0形と連結して大井川本線にも乗り入れた。また、井川線として旅客営業が開始されてからは、乗客が多く客車だけでは足りない場合に、旅客列車に使用されたこともある。

その後は、貨物輸送の減少と旅客輸送の増加から、廃車解体されたり、同社スロニ200形スロフ300形スハフ500形クハ600形などの客車に改造されるなどして数を減らしているが、2022年令和4年)現在ではcトキ226 - 230の5両が在籍しており、事業用として石炭ガラの輸送などにも使用されている[1]。全50両のうち、cトキ231・232の2両は1978年(昭和53年)1月17日付で、cトキ208 - 210の3両は1990年平成2年)5月22日付で、cトキ233 - 250の18両は1972年(昭和47年)11月15日付でそれぞれ廃車となったが、cトキ201 - 207・211 - 225の22両は客車に改造された。改造車両の詳細は以下のとおり。

改造車両一覧
車号 除籍時期 新車号 竣工時期
cトキ201 2001年4月2日 スロフ316 2001年4月25日
cトキ202 不明 スロフ315 2000年4月25日
cトキ203 不明 スロフ314 1999年3月30日
cトキ204 不明 スロフ310(2代) 1991年7月
cトキ205 不明 スロフ311 1991年7月
cトキ206 不明 スロフ312 1991年7月
cトキ207 不明 スロフ313 1991年7月
cトキ211 不明 スロフ309 1987年1月12日
cトキ212 不明 スロフ310(2代) 1987年1月12日
cトキ213 1983年4月 スロフ308 1983年7月7日
cトキ214 1981年5月 スロフ307 1981年7月2日
cトキ215 1979年3月 スロフ306 1979年7月7日
cトキ216 1978年10月 スロフ305 1979年1月9日
cトキ217 1972年11月15日 スハフ501 1972年12月
cトキ218 1972年11月15日 スハフ502 1972年12月
cトキ219 1972年11月15日 スハフ503 1972年12月
cトキ220 1962年7月 スロフ303 1962年7月20日
cトキ221 1962年7月 スロフ304 1962年7月20日
cトキ222 1962年2月 スロフ301 1962年5月29日
cトキ223 1962年2月 スロフ302 1962年5月29日
cトキ224 1961年7月 スロニ201 1961年8月4日
cトキ225 1961年7月 スロニ202 1961年8月4日

井川線において井川方に連結した制御客車(クハ600形)から千頭方に連結した機関車DD20形ED90形)を制御するための引き通し線をもつが、これは日本の貨車としては極めて珍しい。引き通し線をもつ理由はアプト式区間を運行するためである。

脚注 編集

  1. ^ 保育社『私鉄の車両14 大井川鉄道』に写真が掲載されている。

参考文献 編集

  • 保育社『私鉄の車両14 大井川鉄道』
  • ネコ・パブリッシング『RM LIBRARY 96 大井川鐵道井川線』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 87年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 '91年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 '92年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 '99年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 '01年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 '02年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表2022』