大気の窓(たいきのまど、: atmospheric window)とは、大気の影響が小さく、透過率が高い波長域のことである[1]。窓領域とも呼ばれる。

人工衛星などからの地表観測用センサや通信、あるいは地上からの天体観測には、大気による影響を小さくするために、この波長域が使用される。

この裏返しである、大気の影響が大きい波長域では、その原因となる分子等(例えば、水蒸気5.7~7.2µm二酸化炭素15µm帯など)により大気の状態を観測することができる。

赤外線天文学でも地上からの観測の場合、この波長域での観測に限られる。このためいくつかの波長域について略称がついている(波長が短い方からI, J, H, K, L, M等)。

大気の窓の一覧

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最も大きな分類では、以下の2つである。

近赤外線領域での細かい波長域ごとに大気透過の状況が大きく変わるため、以下のように細かく分けて呼ぶこともある。

  • 0.2~1.2µm
  • 1.6~1.8µm
  • 2~2.5µm
  • 3.4~4.2µm
  • 4.4~5.5µm
  • 8~14µm

近赤外線領域での波長ごとの透過率を示すグラフ。青い部分の上下幅が広いところが透過率の高い波長域、つまり大気の窓である。

 
地球放射の一部と太陽放射のスペクトル。横軸(Transmittance)は放射の透過率、縦軸(Wavelength)は波長。脚注は吸収粒子(Absorbing Molecule)。波長の幅が0.8micron以下である窓は、正確に表現されていない。

脚注

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  1. ^ 大気の窓(IT用語辞典バイナリ)

関連項目

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