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大量殺人

一人以上の加害者が、複数名の被害者を殺害することとされるが、人数や期間について厳密な定義が存在しない。

大量殺人(たいりょうさつじん)は、同一の場所および時間帯において同時に複数名が死亡ないし傷害を負う犯罪を示すとされる[1]。しかし、厳密な定義は存在しない(後述)。

定義編集

大量殺人という言葉に厳密な定義が存在しないことはフリーランスライターの村野薫[2]、精神科医の影山任佐がそれぞれ著書で触れている[3]。そのため以下に定義の変遷とその時代に大量殺人と認識された事件を記す。

1914年に発生したワグナー事件において、ローベルト・ガウプドイツ語版が論文の題名にMassenmord(大量殺人)を使用したのが最初だと影山は指摘している[4]1920年にはアルブレヒト・ヴェッツェルによる1810年以降のドイツを中心の諸外国を含んだ153件の事例の研究書であるÜber Massenmörder(大量殺人者たち)が出版される[5]。ヴェッツェルは本書において未遂も含んだ二名以上の被害者が出たものから偶発的な殺人者、営利殺人、政治的目的を持つ加害者、プロの毒殺者の4つを外したものを対象とした[6]

ロバート・モラーは連続殺人に関する調査の中で大量殺人との違いを各殺人の間に時間が空くか否かとしている[7]

司法精神医学者のパーク・ディーツ英語版1968年に大量殺人を家族皆殺し、擬似的な特攻、セットアンドラン[注釈 1]の三つに区分したものを示した[8]

ロナルド・M・ホームズとスティーヴン・T・ホームズはディーツの区分したものをさらに8つに区分した。それによると教祖などの指示により門弟が行う師弟タイプ、一家心中も含めた家族皆殺しタイプ、会社での不満に端を発する不満を持った従業員タイプ、自身の背景や社会への不満から無差別殺人を行う不満を持った市民タイプ、セットアンドランタイプ、精神疾患が原因で行われる精神疾患タイプ、加害者の政治的信念に基づくイデオロギータイプ、学校内銃乱射タイプに分けられている[8]

法政大学文学部心理学科教授の越智啓太と木戸麻由美は犯行形態に基づいて[9]、公共の場に居合わせた人を狙う無差別大量殺傷型[10]、強盗殺人や暴力団事件、保険金殺人や放火などを含む犯罪型[11]、一家心中の家族対象大量殺傷事件[12]、それから精神疾患や薬物中毒が原因となるケースにも触れている[13]


関連書籍編集

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 爆弾などを仕掛けて逃げることを示す[8]

出典編集

  1. ^ 越智 2013, p. 27.
  2. ^ 村野 2002, p. 3.
  3. ^ 影山 2010, p. 163.
  4. ^ 影山 2010, p. 164.
  5. ^ 影山 2010, pp. 164-165.
  6. ^ 影山 2010, p. 165.
  7. ^ Serial Murder - Federal Bureau of Investigation”. Fbi.gov. 2009年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月25日閲覧。
  8. ^ a b c 越智 & 木戸 2010, p. 114.
  9. ^ 越智 2013, pp. 27-28.
  10. ^ 越智 2013, p. 28.
  11. ^ 越智 2013, pp. 31-32.
  12. ^ 越智 2013, pp. 33-34.
  13. ^ 越智 2013, p. 34.

参考文献編集

  • 越智啓太 『ケースで学ぶ犯罪心理学』 (初版) 北大路書房、2013年9月20日。ISBN 978-4-7628-2815-7 
  • 越智啓太; 木戸麻由美 「大量殺傷犯人の属性と犯行パターン(1)日本における大量殺傷事件の類型」 (pdf)、『法政大学文学部紀要』 (法政大学文学部) 第62巻、2010年https://www.hosei.ac.jp/bungaku/museum/html/kiyo/62/articles/Oti-Kido113.pdf 
  • 影山任佐 『犯罪精神病理学 : 実践と展開』 金剛出版、2010年8月。ISBN 978-4-7724-1154-7NCID BB03242415 
  • 村野薫 『日本の大量殺人総覧』 新潮社、2002年12月20日。ISBN 4-10-455215-1NCID BA61864222 

関連項目編集

外部リンク編集