天宙平和連合

アメリカの非政府組織(NGO)、統一教会のダミー組織

天宙平和連合(てんちゅうへいわれんごう、英語: Universal Peace Federation; UPF)は、世界平和統一家庭連合(家庭連合)系のNGO(非政府組織)。

天宙平和連合
Universal Peace Federation
略称 UPF
設立 2005年9月12日[1]
設立者 文鮮明韓鶴子[1]
本部 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国タリータウン (ニューヨーク州)英語版[2]
会長 Thomas G. Walsh[3]
ウェブサイト https://www.upf.org/
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2005年9月12日に創設。提唱者および総裁は統一教会の教祖、文鮮明とその妻の韓鶴子。日本支部「UPFジャパン」の会長は梶栗正義[4]。梶栗は教団の関連団体である「国際勝共連合」と「世界平和連合」と「平和大使協議会」と「国際ハイウェイ財団」の会長も兼任している[5][6][7][8]

建物は統一教会と同一であり、内部の人間も同一であることから、統一教会のダミー組織と指摘されている。尚、本団体は国際連合経済社会理事会において総合協議資格を有する国連NGOでもある[9][10]

概要編集

統一教会の教祖、文鮮明は1990年代後半、国連を二院制とする改革案を提唱。人間に例えて、心の立場にある世界の宗教者指導者らが体の立場にある各国の政治家を精神的に指導をすべきだとした。 1999年2月6日、「上院」となる「超宗教議会」設置のために、韓国 ソウルで「世界平和超宗教超国家連合」(IIFWP)を創設。2005年9月12日、国連の下院作りのため、「グローバルガバナンスのモデル機構」、「アベル[注 1]国連(UN)」として、「天宙平和連合」を創設した。機関紙として月刊ニューズレター「平和大使」を発行している。

2013年、自転車イベント「ピースバイク」を開始。2015年に「ピースロード」と改称し、日本においては、自治体や政治家の協力を得て都道府県ごとに実施している[11][12]

2018年7月24日には、国際連合経済社会理事会における総合協議資格を付与された[13]

天宙平和連合は「各界の指導者で、専門性と徳望をもって社会に貢献している者」を「平和大使」に任命している。天宙平和連合の付設機関として平和大使協議会がある[14]

日本支部編集

日本支部である「UPFジャパン」の所在地は東京都新宿区新宿5-13-2成約ビル5F[15]。成約ビルの概要および主な入居団体は下記のとおり(2022年8月の時点)[16]

  • 建物名称:成約ビル
  • 所在地:東京都新宿区新宿5-13-2
  • 建物規模:地上5階
5F UPFジャパン、平和大使協議会
4F 真の家庭運動推進協議会[17]、一般財団法人国際ハイウェイ財団[8]
3F 世界平和統一家庭連合東京同胞教会[18]
2F 日韓トンネル推進全国会議、世界平和青年学生連合[19]
1F (セミナールーム)

世界平和統一家庭連合との関係編集

天宙平和連合は統一教会の新たなダミー団体[20]という批判がある。設立から約8か月後の2006年5月、集団結婚を兼ねた「祖国郷土還元日本大会」を国内12か所で開催した。次期総理が確実視されていた当時の安倍晋三を初めとする国会議員が祝電を送ったとして物議をかもした[21]

統一教会の広報は「天宙平和連合は同連合固有の目的を有して社会活動をしているのであって、当法人と別個の組織・団体であり、ダミー団体などではありません」としており、当該大会において統一教会が「合同結婚式」を主催したという記事は誤報であると説明した[22]

安倍晋三との関係編集

2005年10月、天宙平和連合の創設記念広島大会が開催。安倍晋三は同大会に祝電を送った[23]

2006年5月、天宙平和連合は「祖国郷土還元日本大会」を日本国内12か所で開催。『世界日報』によれば、男女計2,500組の合同結婚式も併催された。そのうち5月13日にマリンメッセ福岡で開かれた大会に、安倍は内閣官房長官の肩書きを付して祝電を送った。そのほか保岡興治ら6人の国会議員が祝電を送った[24][25]。6月19日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は記者会見を開き、「統一教会の活動にお墨付けを与える行動だ」として、安倍に公開質問状を出したことを明らかにし[26]、7月5日には抗議書を提出した[27]

2021年夏頃、日本支部「UPFジャパン」会長の梶栗正義は、同年9月に開催されるUPF主催の「希望前進大会」の日本側の登壇者として、元首相3人にオファーをするがいずれも断られた。そこへ、教団の尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)世界宣教本部長から、ドナルド・トランプ米国大統領の出演が決まったことを告げられる。ユン・ヨンホは梶栗に、トランプ元大統領の登壇を手土産に、安倍に接触するよう指示。梶栗は再度安倍の説得に動き、8月24日、安倍はこれを承諾。9月7日、安倍は大会用のビデオメッセージを撮影した[28][29]

同年9月12日、韓国・清平の清心ワールドセンターでUPF主催の「希望前進大会」が開催。教団のオンラインプラットフォームであるPeacelinkから全世界に配信された[30]。安倍は同大会にビデオメッセージを送り、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」「UPFの平和ビジョンにおいても、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします」と述べた[31][32][33]

前述のトランプ元大統領以外にも、潘基文国連事務総長(UPF組織委員長[34])、カンボジアフン・セン首相ニジェールのモハメド・バズム大統領コンゴ共和国ドニ・サスヌゲソ大統領フィリピングロリア・アロヨ大統領ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ欧州委員会委員長といった錚々たる面子が演説者として紹介された[35]

統一教会とその関連団体は、世界の政治的指導者、有名人、他の宗教団体の著名な聖職者らを講演者として招く際、常に最高額の報酬を支払ってきたという。彼らが身にまとった有名性を利用することで教団の信頼性を高めることが、何より統一教会側にとって大事なことであった、と指摘されている[36]。2021年9月の大会の際も安倍に対し報酬が支払われている[36][37]

2022年7月8日、奈良市で行われた参院選自民党候補の街頭演説会で、安倍が銃で撃たれ死亡した[38]。実行犯の男は、安倍がビデオメッセージを送った大会の動画をインターネットで見て、安倍の殺害を決意したと供述している[39]

ピースロード編集

2013年、UPFは、文鮮明が1981年に掲げた「国際平和高速道路」構想の実現のため[11]、「2台の自転車が人と人を繋ぎながら北海道を起点として日本列島を縦走し、韓国へと3800kmを連結」(ピースロード公式サイトの文言より)する活動を実施。この活動は「ピースバイク」運動と名付けられた[12]

2015年、「ピースバイク」は「ピースロード」に改称される。以後、都道府県ごとにサイクリングイベント「ピースロード」が頻繁に開催されるようになった[12]。開催地にあるマスメディアも好意的に取り上げており、ピースロードの公式サイトでも「多数のメディアで取り上げられている」と述べていた。しかし、2022年7月発生の安倍晋三銃撃事件以降、統一教会が問題視されるようになると、ピースロードの記事を掲載していた前述のマスメディアに対しても説明責任を求める声がSNS上にてあがった。これを受けて、毎日新聞社はウェブ上に配信した3本の紹介記事の内容を差し替えたほか、ブロック紙地方紙の各社でもピースロード関連のウェブ記事を削除する動きが相次いだ[40][41]

その都度立ち上げられる実行委員会の役員には、統一教会の幹部が就任することが多い。2019年においては、統一教会日本教会副会長の田中富広(田中は翌年会長となる)が首都圏実行委員長を務め、統一教会第10地区長を歴任した李倉培が北千葉実行委員会の共同実行委員長を務めた[42][43]

また実行委員会の役員には、元職も含め、国会議員、地方議会議員、首長など多数の政治家が就任している。以下はその一覧表である。

都道府県 委員長 委員・顧問・事務局長など
北海道 清水誠一[42]
宮城県 土井亨[44]
栃木県 増渕賢一[42]
茨城県 山岡恒夫[45]
千葉県 森茂樹[45]
埼玉県 浅野目義英[45] 鶴崎敏康[45]
東京都 山田忠昭[46]
富山県 村椿晃[47]
高田重信[42]
山本徹[48]
武田慎一[49]、山田清志[49]
石川県 紐野義昭[42]
福井県 田村康夫[42] 宮崎弥麿[45]
静岡県 佐地茂人[50] 宮沢正美[51]、加藤元章[51]仁科喜世志[52]村田悠[注 2]
岐阜県 伊藤秀光[53] 山本勝敏[53]
愛知県 工藤彰三[54]
藤田和秀[54]
京都府 二之湯智[55][56]
奈良県 小林茂樹[57]
島根県 細田重雄[42]
岡山県 河本勉[42] 小川信幸[58]
広島県 石橋林太郎[59]
香川県 平井卓也[60][61]
熊本県 主海偉佐雄[42] 木原稔[62]西野太亮[62]馬場成志[62]小野泰輔[63]
岩下栄一[42]、城戸淳[64]、今中真之助[42]
鹿児島県 長田康秀[65] 小里泰弘[66][67]保岡宏武[66][67]金子万寿夫[66][67]、柴立鉄平[65]
沖縄県 西田健次郎[45]
新垣哲司[42]

沿革編集

9月12日 天宙平和連合を創設。
10月3日 - 14日 韓国ソウル市、東京など日本の主要都市やなどで記念大会を開催。
1月13日 ローマ教皇庁科学アカデミーのワークショップにG.ウォルシュが参加[68]
7月24日 国際連合経済社会理事会における総合協議資格を取得
7月3日 G.ウォルシュら代表団がフランシスコ教皇と面会[69]
1月31日 国連「世界諸宗教調和週間」を記念してウィーン国際センターにおいて、天宙平和連合、その関連団体である世界平和女性連合並びに世界平和青年学生連合、国連薬物犯罪事務所オーストリアのNGO「Growth4Peace」、ウィーン国連特派員協会の共催で会議を開催[70][71]
8月9日 韓国の清心平和ワールドセンターで「神統一世界安着のための100万希望前進大会」(以下、「希望前進大会」)なる集会を開催し、潘基文(前国連事務総長-当時)やフン・セン(カンボジア首相-当時)、マッキー・サルセネガル共和国大統領-当時)、スティーヴン・ハーパー(第28代カナダ首相)らが登壇する[72]
9月27日 同センターで第2回「希望前進大会」がオンライン形式で開催され、ムニブ・ユナン(ルター派世界連盟前議長-当時)、ケルヴィン・フェリックス(カトリック教会司祭枢機卿)、ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ(第117代ポルトガル首相、第11代欧州委員会委員長)、ディック・チェイニー(第46代アメリカ合衆国副大統領)らが登壇する[73]
11月22日 同センターで第3回「希望前進大会」がオンライン形式で開催され、ナサルディン・ウマル(現イスラティクル・モスク管長[注 3]-当時)、ジョージ・ウェア(第25代リベリア共和国大統領)、クリストファー・ヒル(元米国国務次官補(東アジア及び太平洋担当))、サーレワーク・ゼウデ(現エチオピア大統領-当時)、イヴ・ルテルム(第67代ベルギー首相)、マヒンダ・ラージャパクサ(第26代スリランカ大統領)、マリオ・ポンセ(前エルサルバドル立法議会議長-当時)らが登壇する[75][76][77]
12月6日 同センターで第4回「希望前進大会」がオンライン形式で開催され、ポーラ・ホワイト(元米国chair of the evangelical advisory board)、ケルヴィン・フェリックス(現カトリック教会司祭枢機卿-当時)、ノエル・ジョーンズ(現City of Refuge Church牧師)らが登壇する[78][79]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ アベルとは旧約聖書に出てくるアダムとイブの次男でカインの弟。統一教会ではより神に近い側をアベル側、アベル的などと表現し、より悪魔に近い側をカイン側、カイン的と表現する。ここでは「天宙平和連合」を既存の国連より、より神側に近い国連と定義づけているということ。
  2. ^ 裾野市長の村田悠は2022年8月10日の取材で、「私が実行委員に名前が入っていたということについては、私は承諾していない」と述べている。また同年7月30日・31日に行われる予定だった「東静岡縦走ピースロード2022」について、後援を要請されていた裾野市は、統一教会がバックについているものであるとして、後援を不許可とした[51]
  3. ^ Nasaruddin Umarのページによれば、彼は2016年よりイスラティクル・モスクの"Imam Besar"であるという。外務省のプレスリリース(平成29年11月20日付)では同氏の肩書を「イスティクラル・モスク管長」と表記しているので、これに倣った[74]

出典編集

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  78. ^ 「WCLC創立1周年記念 神統一世界安着のための世界キリスト教聖職者希望前進大会」開催”. 光言社. 2022年7月27日閲覧。
  79. ^ 4th Rally of Hope - Believers Unite for Peace”. Universal Peace Federation. 2022年7月27日閲覧。

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集