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天竜浜名湖鉄道TH2000形気動車

天竜浜名湖鉄道TH2000形気動車(てんりゅうはまなこてつどうTH2000がたきどうしゃ)は、2001年平成13年)に、開業時から使用されていたTH1形の代替のため3両が製造された天竜浜名湖鉄道気動車である[8]2004年度(平成16年度)にTH2100形に全車改造されて形式消滅している[注釈 1]。本項では、TH2000形の保安ブレーキが変更された増備車で、2002年(平成14年)から2005年にかけて11両が製造された天竜浜名湖鉄道TH2100形気動車(てんりゅうはまなこてつどうTH2100がたきどうしゃ)[11][12][13]、TH2100形の内装を観光用に変更し、2002年(平成14年)に1両が製造された天竜浜名湖鉄道TH9200形気動車(てんりゅうはまなこてつどうTH9200がたきどうしゃ)[14]についてもあわせて記載する。

天竜浜名湖鉄道TH2000形気動車
TH2111.jpg
TH2100形TH2111
2008年5月新所原駅にて
基本情報
運用者 天竜浜名湖鉄道
製造所 新潟鐵工所[1]
製造初年 2001年[2]
製造数 3両[3]
運用開始 2001年2月17日[4]
消滅 2004年度
(TH2100形に改造)[注釈 1]
主要諸元
軌間 1,067[5] mm
最高速度 85 km/h
車両定員 119名
(座席52名)[6]
自重 30.0 t[6]
全長 18,500[5] mm
車体長 18,000[5] mm
全幅 3,188[5] mm
車体幅 2,700[5] mm
全高 3,950[5] mm
車体高 3,725[5] mm
床面高さ 1,240 mm[5]
車体 普通鋼[5]
台車 枕ばね:ボルスタレス空気ばね[5]
軸箱支持:積層ゴム式
NP131D/T[6]
車輪径 860 mm[5]
固定軸距 2,100 mm[5]
台車中心間距離 13,000 mm[5]
機関 カミンズ製N-14Rディーゼルエンジン[6]
機関出力 257 kW (350 PS) / 2,000 rpm[6]
変速機 新潟コンバーター製液体式(TACN-33-1601) [6]
変速段 変速1段、直結3段[5]
制動装置 電気指令式[6][7]
備考 TH2000形の値を記載。
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概要編集

1987年(昭和62年)3月に日本国有鉄道(国鉄)二俣線第三セクターに転換して開業した天竜浜名湖鉄道は15両のレールバス型気動車TH1形で運転を行ってきた[15]が、老朽化が進んだため、順次更新する方針が決定[5]、2001年(平成13年)に3両がTH2000形として製造され[1]、2002年(平成14年)以降は保安ブレーキの2重化により形式が変更されたTH2100形に移行[16]した上で、観光用の内装をもつTH9200形1両を含めて2005年(平成17年)までに計15両が製造された[17]。天竜浜名湖鉄道としてはじめての新潟鐵工所製の車両[18]だったが、2003年(平成15年)以降の製造は同社の鉄道車両製造部門を継承した新潟トランシスに変更されている[3]TH3000形に続いて18 m級の車体、カミンズ製大出力ディーゼルエンジンを採用した[19][8]。運転士の負担低減のため、列車情報制御装置が搭載された[5]。TH2000形、TH2100形の内装はセミクロスシート[18]、TH9200形は全席転換クロスシートで、外装塗装もTH2000形、TH2100形とは異なる[20]。TH9200形は日本宝くじ協会の助成を受けた宝くじ号であり、形式名の92は「くじ」から命名された[21]。TH2000形は2004年度(平成16年度)に改造の上TH2100形に編入されている[注釈 1]

TH2000形、TH2100形、TH9200形で諸元が異なる点[6][22][3]
形式 TH2000 TH2100 TH9200
座席 セミクロス セミクロス 転換クロス
製造数[3] 3 11 1
製造初年[2][23][24] 2001年 2002年 2002年
定員[3] 119人 119人 103人
座席定員[3] 52人 52人 44人
車両質量[3] 30.0 t 30.0 t 30.7 t

車体編集

 
TH9200

新潟鐵工所製の軽快気動車NDCの一種で、TH3000形に続いて18 m級車体を採用した[18][8]。開業時から使用されているTH1形では、バス用部品を多用したリベット構造の車体が採用されたが、TH2000形では一般の鉄道車両と同様、溶接構造を採用し、車体長も3 m延長されている[5]。前面は貫通式、乗務員室は左側で、乗務員室側にのみ乗務員用扉が設けられた[5]。1,000 mm幅の引き戸の客用扉が片側2か所、両車端に設けられた[5]。幅1,200 mmの窓7組が設けられ、冷暖房効率の向上のため熱線吸収ガラスの固定式となった[5]。戸袋部に窓はなく、全車トイレの装備はない[5]。 TH2000形、TH2100形の外装はアイボリーホワイトをベースとし、オレンジブルーグリーンの帯が入った[15]。TH9200形の外観塗装は一般公募による白にオレンジ、ブルー、グリーンが鮮やかに意匠化されたものとなった[25]

TH2000形、TH2100形は4人掛けボックスシート8組を備え、扉付近のみロングシートとなった[5]。TH9200形は全席転換クロスシート[21]で、TH2000形、TH2100形では掛川寄り、TH9200形では新所原寄り助士側に車椅子スペースも設置された[5][21]。TH9200形の車椅子スペース付近の座席は1人掛けとなっている[21]。TH2000形、TH2100形座席表布は青系、TH9200形は緑系である[21]。天井は平天井となり、ラインデリアが設置された[5]ワンマン運転用の機器は鉄道車両用に開発されたもので、各種データの記録機能をもっている[5]

TH9200形はイベントや団体輸送に対応するため、DVDプレーヤーワイヤレスマイクによるカラオケ装置を備え、車内両妻面には22インチ液晶ディスプレイが設けられた[21]。客用扉と座席の間にガラスの仕切りが設けられている[21]

走行装置編集

エンジンは、カミンズ製N-14Rディーゼルエンジンを1基搭載、定格出力257 kW (350 PS) / 2,000 rpmに設定された[6][22]。動力は変速1速、直結3速の新潟コンバーター製TACN-33-1601液体変速機を介して2軸駆動の台車に伝達される[6][5][26][21]。燃費改善のため、変速域が狭くなっており、変速は自動的に行われる[6][7]。台車はボルスタレス空気ばね、積層ゴム式NP131D/Tが採用された[6][5][22]制動装置は電気指令式となったため、従来車両との連結運転はできない[26]。TH2100形、TH9200形では保安ブレーキが2重化されている[16]

タッチパネル式液晶ディスプレイによって機関始動、ワンマン運転機器の設定、応急処置が行える列車情報制御装置(TICS)が搭載され、各種スイッチが省略された[5][27]

TH2110からTH2114の5両には、空転防止用の砂撒き装置が設置されている[28]

空調装置編集

暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である。冷房装置は能力17.4 kW(15,000 kcal/h)のもの2基が設置された[6][22]

車歴編集

TH2000形・TH2100形・TH9200形車歴
形式 車両番号 製造年月 製造所 改番年 改番後形式 改番後番号 廃車
TH2000 2001 2001年1月[2] 新潟鐵工所[2] 2004年度[注釈 1] TH2100 2101 -
TH2000 2002 2001年1月[2] 新潟鐵工所[2] 2004年度[注釈 1] TH2100 2102 -
TH2000 2003 2001年1月[2] 新潟鐵工所[2] 2004年度[注釈 1] TH2100 2103 -
TH2100 2104 2002年2月[23] 新潟鐵工所[23] - - - -
TH2100 2105 2002年2月[23] 新潟鐵工所[23] - - - -
TH2100 2106 2002年2月[23] 新潟鐵工所[23] - - - -
TH2100 2107 2002年12月[24] 新潟鐵工所[注釈 2] - - - -
TH2100 2108 2002年12月[24] 新潟鐵工所[注釈 2] - - - -
TH2100 2109 2002年12月[24] 新潟鐵工所[注釈 2] - - - -
TH2100 2110 2003年11月[30] 新潟トランシス[30] - - - -
TH2100 2111 2003年11月[30] 新潟トランシス[30] - - - -
TH2100 2112 2004年12月[31] 新潟トランシス[31] - - - -
TH2100 2113 2004年12月[31] 新潟トランシス[31] - - - -
TH2100 2114 2005年12月[32] 新潟トランシス[32] - - - -
TH9200 9200 2002年12月[24] 新潟鐵工所[注釈 2] - - - -

運用編集

1987年(昭和62年)3月に国鉄二俣線を第三セクターに転換して開業した天竜浜名湖鉄道は15両のレールバス型気動車で運転してきた[33]が、老朽化が進行したため、1998年(平成10年)ごろから代替車両の検討が進み、2000年度(平成12年度)から順次新型車両に置き換えていくことが決定した[5]。2001年(平成13年)1月にTH2000形として3両が投入された[1]が、2002年(平成14年)2月に製造された車両から、保安ブレーキが2重化され、TH2100形に形式が変更されている[16]。天竜浜名湖鉄道として初めて導入された新潟鐵工所製の気動車だった[8]が、2001年(平成13年)11月27日に新潟鐵工所が会社更生法の適用を申請して経営破綻[34]石川島播磨重工業の支援を受けて2003年(平成15年)2月3日に設立された新潟トランシスに鉄道車両の製造部門が継承された[29]ため、TH2100形の製造者も新潟トランシスに変更されている[30]。2005年(平成17年)12月までに15両が製造された[17]が、うち2002年12月に製造された1両はイベント運転や団体輸送を考慮した内装のTH9200形となった[21]。TH9200形は、2000年(平成12年)に導入したTHT100形・THT200形によるトロッコ列車「そよかぜ」の運行が季節、天候に依存することから、通年使用できる多機能型車両として構想された、日本宝くじ協会の助成金による「宝くじ号」である[21]。イベントなどで使用しないときは通常の列車で運用されている[21]。TH2000形は2004年度(平成16年度)に改造を受け、TH2100形に編入されている[注釈 1]。電気指令式ブレーキを採用したため、在来車両との併結運転はできない[8]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ a b c d e f g 本項の参考文献にあげた資料に、TH2000形のTH2100形への改造時期を明記したものはないが、「鉄道車両年鑑2004年度版」の「在籍車両形式別両数表」にはTH2000形が記載されている[9]一方、2005年版の同じ表には記載がない[10]ため、2004年度中に改造・改番が行われたものと推定した。
  2. ^ a b c d 本項の参考文献には2002年12月製造の4両の製造者は新潟トランシスと記載されている[24][3]が、新潟トランシスの設立は2003年2月[29]であることから、この4両の製造者は新潟トランシスの前身のひとつである新潟鐵工所であると推定される。

出典編集

  1. ^ a b c 『新車年鑑2001年版』p99
  2. ^ a b c d e f g h 『新車年鑑2001年版』p177
  3. ^ a b c d e f g h 『私鉄気動車30年』p168
  4. ^ 天浜線の歴史
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 『新車年鑑2001年版』p121
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 『新車年鑑2001年版』p173
  7. ^ a b 『レイルマガジン』通巻230号付録p14
  8. ^ a b c d e 『私鉄気動車30年』p96
  9. ^ 『鉄道車両年鑑2004年版』p231
  10. ^ 『鉄道車両年鑑2005年版』p233
  11. ^ 『鉄道車両年鑑2004年版』p130
  12. ^ 『鉄道車両年鑑2005年版』p102
  13. ^ 『鉄道車両年鑑2006年版』p130
  14. ^ 『鉄道車両年鑑2003年版』p119
  15. ^ a b 『レイルマガジン』通巻250号p26
  16. ^ a b c 『鉄道車両年鑑2002年版』p112
  17. ^ a b 『鉄道車両年鑑2006年版』p224
  18. ^ a b c 『新車年鑑2001年版』p17
  19. ^ 『私鉄気動車30年』p95
  20. ^ 『鉄道車両年鑑2003年版』p19
  21. ^ a b c d e f g h i j k 『鉄道車両年鑑2003年版』p156
  22. ^ a b c d 『鉄道車両年鑑2003年版』p180
  23. ^ a b c d e f g 『鉄道車両年鑑2002年版』p195
  24. ^ a b c d e f 『鉄道車両年鑑2003年版』p215
  25. ^ 乗車・車両のご案内
  26. ^ a b 『新車年鑑2001年版』p122
  27. ^ 『鉄道車両年鑑2003年版』p157
  28. ^ 『私鉄車両編成表 2017』p95
  29. ^ a b 『鉄道車両年鑑2015年版』p30
  30. ^ a b c d e 『鉄道車両年鑑2004年版』p222
  31. ^ a b c d 『鉄道車両年鑑2005年版』p223
  32. ^ a b 『鉄道車両年鑑2006年版』p215
  33. ^ 『私鉄気動車30年』p94
  34. ^ 倒産した上場企業データ

参考文献編集

書籍編集

  • 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5

雑誌記事編集

  • 鉄道ピクトリアル』通巻708号「新車年鑑2001年版」(2001年10月・電気車研究会
    • 「魅力のNEW FACE 2000年度民鉄車両編」 pp. 13-20
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 93-109
    • 天竜浜名湖鉄道(株)運転課 村松 基安「天竜浜名湖鉄道 TH2000形」 pp. 121-122
    • 「車両諸元表」 pp. 173-174
    • 「2000年度 車両動向」 pp. 175-183
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻723号「鉄道車両年鑑2002年版」(2002年10月・電気車研究会)
    • 「2001年度 民鉄車両動向」 pp. 104-120
    • 「2001年度車両動向」 pp. 190-200
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻738号「鉄道車両年鑑2003年版」(2003年10月・電気車研究会)
    • 「2002年度のニューフェイス」 pp. 8-20
    • 岸上 明彦「2002年度民鉄車両動向」 pp. 109-130
    • 天竜浜名湖鉄道(株)運転課 村松 基安「天竜浜名湖鉄道 TH9200形」 pp. 156-157
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 180-183
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 208-219
  • 『レイルマガジン』通巻250号(2004年7月・ネコ・パブリッシング)
    • 寺田 祐一「私鉄・三セク気動車 141形式・585輌の今!」 pp. 4-50
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻753号「鉄道車両年鑑2004年版」(2004年10月・電気車研究会)
    • 岸上明彦「2003年度民鉄車両動向」 pp. 120-140
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 216-227
    • 「在籍車両形式別両数表(2003年度末現在)」 pp. 228-236
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2005年版」(2005年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2004年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 214-239
    • 「在籍車両形式別両数表(2004年度末現在)」 pp. 230-239
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2006年版」(2006年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2005年度民鉄車両動向」 pp. 118-140
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 205-220
    • 「在籍車両形式別両数表(2005年度末現在)」 pp. 221-230
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻909号「鉄道車両年鑑2015年版」(2015年10月・電気車研究会)
    • 服部 郎宏「多種多様な車両を生み出す気鋭の車両メーカー 新潟トランシス新潟事業所を見る」 pp. 30-46
  • 『私鉄車両編成表 2017』(2017年7月・交通新聞社
    • 「天竜浜名湖鉄道」 pp. 95

Web資料編集