妖異金瓶梅』(よういきんぺいばい)は、山田風太郎連作時代・伝奇推理小説。中国の「四大奇書」のうちの「金瓶梅」に題材をとりながら、オリジナルの物語で進む推理小説である[1]

妖異金瓶梅
著者 山田風太郎
発行日 1954年
発行元 講談社
ジャンル 推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
次作 秘抄金瓶梅
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主な登場人物 編集

西門慶(せいもん けい、さいもん けい)
清河県の生薬を商う裕福な商人。大勢の夫人や美童、取り巻きの幇間らを屋敷に同居させている。
応伯爵(おう はくしゃく)
西門慶の友人で義兄弟の誓いを結んだ仲。放蕩のすえに破産して、西門慶の屋敷に居候している遊び人。本作の探偵役。
潘金蓮(はん きんれん)
西門慶の第五夫人で「金瓶梅」の「金」に相当。
李瓶児(り へいじ)
西門慶の第六夫人で「金瓶梅」の「瓶」に相当。
龐春梅(ほう しゅんばい[2]
潘金蓮付の女中(小間使い)。「金瓶梅」の「梅」に相当。西門慶と妾の関係にある。
呉月娘(ご げつじょう)
西門慶の正夫人。元・第二夫人だったが、正妻が死んで第一夫人になった継室。一家の取りまとめ役。
陳恵英(ちん けいしゅう)
西門慶の亡き正妻。作中では娘と婿を遺してすでに死去。
李嬌児(り きょうじ)
西門慶の第二夫人。元は廓(遊郭)の歌い手。
孟玉楼(もう ぎょくろう)
西門慶の第三夫人。呉服屋の未亡人だった。
孫雪娥(そん せつが)
西門慶の第四夫人。もとは龐春梅のような女中あがり。夢遊病の気がある。
宋恵蓮(そう けいれん)
西門慶の第七夫人。小さな足を誇る。原作では来旺の元妻だが、本作では言及されていない。
鳳素秋(ほう そしゅう)
西門慶の第八夫人。夫人になってから日が浅い。原作には出てこない。
来旺児(らい おうじ)
西門慶の屋敷の門番。
画童(がどう)
西門慶が寵愛する美少年。17歳。
琴童(きんどう)
西門慶が寵愛する美少年。18歳。
可九(か きゅう)
検屍役人。警官のような仕事もする。
蘇竜眠(そ りゅうみん)
画家。西門慶の招待客。

内容 編集

中国はの時代。清河県の生薬商・西門慶は、妻と7人の妾を同居させていた。その西門家で怪事件が連発し、西門慶の友人・応伯爵が事件の謎を解き明かそうとする。

収録作品 編集

  • 赤い靴
  • 「美童と美女」
  • 「閻魔天女」
  • 「西門家の謝肉祭」
  • 「変化牡丹」
  • 「銭鬼」
  • 「麝香姫」
  • 「漆絵の美女」

書誌情報 編集

『妖異金瓶梅』は講談社から単行本で出版された後、角川文庫、広済堂文庫、扶桑社文庫[3]で文庫化された。

脚注 編集

  1. ^ 「四大奇書」は「金瓶梅」に替えて「紅楼夢」を入れる場合もある。
  2. ^ 「ほう」の漢字は、まだれに龍
  3. ^ 扶桑社文庫は続編の『秘抄金瓶梅』と合本になっている。