娘と私
『娘と私』(むすめとわたし)は、獅子文六による小説。
『主婦の友』1953年1月号から1956年5月号まで連載された。獅子文六にとって初めての私小説で、ストーリーはもちろん、登場人物名もほぼ実在のモデルに準拠している。1958年にNHKでラジオドラマ化された後、1961年4月からは『連続テレビ小説・娘と私』としてテレビドラマ化された。その後も、1962年には映画化も行われたほか、フジテレビでもテレビドラマとして放送された。
あらすじ編集
「私」は演劇を学ぶために留学したパリで現地の娘・エレーヌと結婚、帰国後に一人娘・麻里が生まれる。エレーヌは病に倒れ、フランスへ戻ってそこで没する。「私」はその後、麻里との2人だけの生活を経て再婚。戦中・戦後を経て、やがて麻里は結婚する。
作中には『悦ちゃん』『海軍』『てんやわんや』『自由学校』など、それまでに発表された作品の執筆時のエピソードも描かれている。
ラジオドラマ編集
テレビドラマ編集
娘と私 | |
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ジャンル | ドラマ |
脚本 | 山下与志一 |
出演者 |
北沢彪(主演) 小林美七子→北林早苗→北城由紀子 ほか |
ナレーター | 北沢彪 |
時代設定 | 昭和初期 - 昭和26年 |
制作 | NHK |
放送 | |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1961年4月3日 - 1962年3月30日 |
放送時間 | 月曜 - 金曜8:40 - 9:00 |
放送枠 | 連続テレビ小説 |
放送分 | 20分 |
連続テレビ小説編集
半世紀以上にわたって続く連続テレビ小説の第1作である。連続テレビ小説では唯一の1回20分放送作品である(放送時間が、シリーズとしては現時点で最初で最後)。また、再放送の時間も13時台から放送された唯一の作品でもある(本作は放送時間が朝8:40 - 9:00であった(再放送は13:00 - 13:20))。次作『あしたの風』以降は、1回15分となる。
本作は月曜日から金曜日までの週5日の放送であった。次作『あしたの風』以降は土曜日の放送が実施された週6日の放送となり、2020年前期放映の『エール』まで週5日放送の作品が途絶える[注 1]。
主人公は「私」と表記された。連続テレビ小説シリーズ史上、主人公が特定の氏名を持たない唯一の作品であるとともに、数少ない男性主演作品である[1]。役者のセリフよりも情景描写の「語り」が中心におかれていた。語り・セリフともに、原作小説の文章が多用されていた。
当時はビデオ技術が不十分であったため、ほとんどの放送資料が消失している。NHKアーカイブス保存番組検索によると166回、179回、最終回が現存している。また放送ライブラリーでも、最終回が公開されている。
『梅ちゃん先生』(2012年度上半期)第155話で、当時の時代背景の説明で簡単ではあるが言及された。
主な出演者編集
- 私
- 演 - 北沢彪
- 主人公・語り。
- 麻里
- 演 - 小林美七子→村田貞枝(現・北林早苗)→北城由紀子
- 主人公の娘。
- 千鶴子
- 演 - 加藤道子
- 主人公の後妻。
- 鍋島
- 演 - 久富惟晴
- 麻里の夫。
- 佐山
- 演 - 村上冬樹
- 主人公の旧友。
- 佐山の妻
- 演 - 山岡久乃
- 為吉
- 演 - 陶隆
- 植木屋。
- 婆や
- 演 - 小峰千代子
- 加藤
- 演 - 巖金四郎
- 編集長。
スタッフ編集
1958年のラジオドラマ版と同一のスタッフで製作された。
NHK 連続テレビ小説 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
-
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娘と私
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NHK 平日8:40 - 9:00枠 | ||
(放送休止中)
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娘と私(本放送)
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茶の間の科学
(月 - 土) |
NHK 平日13:00 - 13:20枠 | ||
娘と私(再放送)
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フジテレビ版編集
娘と私 (フジテレビ版) | |
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ジャンル | テレビドラマ |
脚本 | 池田一朗 |
演出 | 若杉光夫 |
出演者 | 芦田伸介、鰐淵晴子ほか |
制作 | フジテレビ |
放送 | |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1966年10月4日 - 1967年4月4日 |
放送時間 | 火曜21:00 - 21:30 |
放送枠 | フジテレビ火曜9時枠の連続ドラマ |
放送分 | 30分 |
特記事項: 国際羊毛事務局一社提供。 |
フジテレビ系で1966年10月4日 - 1967年4月4日に放送。「国際羊毛事務局」の単独提供で、「ウール・アワー」という冠が付いている。
主な出演者(フジテレビ版)編集
スタッフ(フジテレビ版)編集
フジテレビ系 火曜21時枠前半 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
娘と私
(フジテレビ版) |
火曜映画劇場(第2期)
(20:00 - 21:26) 待ッテマシタ! (21:26 - 21:30) ※30分繰り下げ |
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映画編集
1962年4月1日公開。モノクロ作品。製作は東京映画。配給は東宝。併映は『女難コースを突破せよ』(監督:筧正典。主演:小林桂樹)と、短編記録映画『皇太子ご夫妻のアジア旅行』(構成・編集:渡辺武仁)。
主な出演者(映画)編集
- 岩谷士郎:山村聡
- 岩谷麻理:小橋玲子(8 - 10歳時)→星由里子(16 - 24歳時)
- 岩谷エレーヌ:フランソワーズ・モレシャン
- 岩谷千鶴子:原節子
- 北川きよ:杉村春子
- リシェール:キャラン・ドロウ
- 植村:松村達雄
- 大観堂:古今亭今輔 (5代目)
- 渡辺:小沢栄太郎
- 千鶴子の父:三津田健
- 彼岸花の親爺:東野英治郎
- 病院の先生:滝田裕介
- 日本人の尼僧:菅井きん
- 山崎努
スタッフ(映画)編集
脚注編集
外部リンク編集
- 連続テレビ小説 娘と私 - NHKアーカイブス
- 娘と私 - 『キネマ写真館』(映画演劇文化協会)Webサイトより
- テレビを見ない時間帯を変えた“朝ドラ” - マンガで読むNHKヒストリー