媒介変数
数学における媒介変数(ばいかいへんすう)、 助変数(じょへんすう、英: auxiliary variable; 補助変数)、パラメータ(英: parameter[注 1]; 母数、径数[注 2])は、主たる変数(自由変数)に対して補助的に用いられる。異なる変数の間の陰伏的な関係を記述する媒介変数は、その媒介変数が変化したときの系の振る舞いを見るという意味で「変数」と見ることができるが、対照的に主変数の変化に伴う系の振る舞いを調べたい場合などでは、しばしば補助変数は(「値を取り換えることができる」という意味で値は任意にとれるけれども)「定数」として扱われる。
広範な各分野において、より特定の意味で用いられるが、一般に「パラメータ」は特定の系(事象や対象や状況など)を決定したり分類したりする助けとなる任意の特徴量を言う。つまり、パラメータは系の同定(あるいは、状態や振る舞いの評価、条件の特定など)に際して有用あるいは重大な役割を果たす系の要素となるものである。
概観編集
補助的な変数を含む函数編集
函数を定義することには、変数を一つまたは多数、引数として指定することが含まれる。補助変数を含む形で函数を定義することもできるが、ふつう補助変数はその函数のとる引数としてはリストしない。補助変数を含めて考えるとき、実際には一つの函数ではなく函数の族の全体を定めているのだと考えなければならない。例えば、一般の二次函数を
函数がパラメータに依存して決まることを陽に表すために、パラメータを函数名に含めることができる。例えば、底 b-の対数を定義するのに定義式として
パラメータを含む函数の全体をひとつの「パラメータ付けられた族」(parametric family), すなわち函数の添字付けられた族と見ることはしばしば有用である。
解析幾何学編集
解析幾何学において曲線は適当な函数の像としてしばしば与えられる。この函数の引数は常に「媒介変数」と呼ばれる。例えば、原点を中心とする半径 1 の円は複数の表し方がある:
これらは他の分野では函数と呼ぶことはあるかもしれないが、解析幾何学においてはその独立変数を媒介変数とする媒介方程式として特徴づけられる。
解析学編集
解析学において、補助変数に依存する積分をしばしば考える。例えば
論理学編集
論理学において開述語 (open predicate) に引き渡される(あるいは、開述語が引数にとる)項を「パラメータ」と呼び、その述語の中で局所的に定義されるパラメータを「変項」と呼び分ける場合がある[注 3]。この余分な区別は代入を定義するときの面倒にたいして効果がある(この区別が無いとき、変数の取り込みを避けるためには特別の注意を要する)。大抵の文献では、単に開述語に引き渡される項という意味で変項と呼んで、代入の定義において自由変数と束縛変数とを区別するという手段をとる。