学士(理学)

学士の学位の一つ

学士(理学)(がくし りがく、Bachelor of Science (B.S., BS, B.Sc., BSc, Bc.))は、学士学位の一つ。理学領域の主な学士号の一つで上位の教育課程では修士(理学)博士(理学)などの学位がある。旧学位制度では理学士と称した[1]

各国の履修年数
  3年
  4年
  5年
  6年

日本

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当該学位は主に四年制大学理学部理工学部数学物理学化学など理学系統の学部学科で取得が可能である[2]。 日本では1877年(明治10年)、東京開成学校と東京医学校を合併し、東京大学理学部設置数学科、物理学科、化学科(純生化学、応用化学)、生物学科(動物学、植物学)、 星学科、工学科(機械工学、土木工学)、地質学科、採鉱冶金学科の8学科が開設され[3]1879年明治12年)には旧東京大学大学の卒業生に授与される学位として、法学士・理学士・文学士医学士製薬士の5種が定められた[4]1887年(明治20年)の帝国大学令発布により、学士号は学位から称号へと移行。1920年(大正7年)には大学令が発布され、私立専門学校令に基づく専門学校であった私立大学も正式に大学として認められた。これに伴い、早稲田大学が従前の理工科を理工学部へと移行するなどし、私立大学でも理学士号が授与されるようになった[5]

第2次世界大戦終戦後、1947年(昭和22年)、学士は学校教育法に基づく称号となり、大学も新制大学に移行。1956年(昭和33年)には文部省により大学設置基準が定められ、理学士も29種ある学士号の一つと定められた[1]

その後、1991年(平成3年)に学校教育法はじめ学位規則が改正され、学士号は再び学位として位置づけられるとともに、それまで「○学士」と専攻分野を先頭に冠していた名称を改め「学士(○○)」と専攻分野を括弧で付記する表記に変更され、理学士の称号は学士(理学)の学位に移行。この制度改正に伴い、従前の制度で授与されていた理学士の称号については学校教育法附則にて学位と看做されることとなった[注釈 1]。これまで通り、主に大学理学部や理工学部など理学関連の学部学科を卒業する場合に授与されるほか、新たに創設された学位授与機構(現在の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)でも数学・情報系、物理学・地学系、化学系、生物学系、総合理学分野で一定の受験資格を満たし、学位審査を合格した場合に学士(理学)の学位を取得する道が開かれた[6]

広がりを見せる理学分野の学士号

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なお、一連の学位制度の改正に伴い、従来29種に限定されていた専攻分野の名称を各大学で自由に定めることが可能となった[1]。この結果、学士号の種類は年々増加しており[7]、理学分野及び異なる学問領域でも「○○理工学」と称する学位名称が誕生している[8]

理学および関連分野の学士号の例(日本の例:その一部)[8]
数学
理学 工学 理工学 情報工学
物理学
理学 理工学 物理科学
化学
理学 学術 応用生物科学 工学 理工学
生物学
理学 農学 生物資源科学 学術 工学
地学
理学 学術
その他
理学 工学 理工学 総合理工学 環境理工学
工学
機械工学関係
工学 理工学 デザイン工学 機械機能工学 情報理工学
電機通信工学関係
工学 情報工学 理学 理工学 情報
情報メディア科学 総合理工学 情報工学 情報学 情報理工学
コンピューター科学 情報アーキテクチャ学 情報通信工学 理学 学術
芸術 環境科学 建築創造学
応用工学関係
工学 理工学 環境理工学 理学 生物資源科学
経営工学関係
工学 理工学 経営情報科学 経営学 産業科学技術
ライフデザイン
その他
工学 学術 情報学 コンピューター理工学 情報工学
情報理工学 総合科学 コンピュータサイエンス ソフトウェア情報学 理工学
理学 デザイン工学 総合理工学 情報科学
農学
農業工学
農学 環境理工学

各国の制度

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注釈

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  1. ^ 学校教育法 附則(平成三年四月二日法律第二三号) 抄 の4 改正前の学校教育法第六十三条第一項の規定による学士の称号は、改正後の学校教育法第六十八条の二第一項の規定による学士の学位とみなす。

出典

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  1. ^ a b c 日本学術会議編「学位に付記する専攻分野の名称の多様化について (PDF) 」参照。
  2. ^ 早稲田大学ウェブサイト「早稲田大学学位規則」参照。
  3. ^ 東京大学ウェブサイト「東京大学大学院理学系統研究科・理学部 理学」参照。
  4. ^ 宮地正人佐藤能丸櫻井良樹編『明治時代史辞典第1巻』(吉川弘文館2011年) 487頁、488頁参照。
  5. ^ 早稲田大学ウェブサイト「歴史 理工学術院とは」参照。
  6. ^ 大学評価・学位授与機構編『新しい「学士への途 (PDF) 』(独立行政法人大学評価・学位授与機構、2013年) 71頁~75頁参照。
  7. ^ 「学士号急増、580種 受験生集めで次々に学部学科 文科省、ルール検討」『朝日新聞』2007年11月4日朝刊2社会34面、「「学士」乱立700種超す 感性デザイン、教育ファシリテーション...自由化で急増」『朝日新聞』2012年10月6日夕刊2社会10面、「ユニーク 難解「学士」増殖 700種 グローバル地域文化 映像身体...」『読売新聞』2013年7月31日東京夕刊1面参照。
  8. ^ a b 独立行政法人大学評価・学位授与機構編『H21年度 学位に付記する専攻分野の名称一覧(学士) (PDF) 』(独立行政法人大学評価・学位授与機構、2009年)から一部を掲載。
  9. ^ Strickland, Jodie. “PE”. Required Credits: Civil, Environmental, Chemical, Electrical and Mechanical Engineering As Reported on the American Society for Engineering Education Website. NSPE. 2011年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月11日閲覧。
  10. ^ https://www.insidehighered.com/news/2010/06/03/aacu
  11. ^ http://www.newsweek.com/why-college-shouldnt-take-four-years-lamar-alexander-81423

参照文献

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文献資料

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  • 宮地正人、佐藤能丸、櫻井良樹編『明治時代史辞典第1巻』(吉川弘文館、2011年) ISBN 4642014616

インターネット資料

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報道資料

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  • 『朝日新聞』2007年11月4日朝刊
  • 『朝日新聞』2012年10月6日夕刊
  • 『読売新聞』2013年7月31日東京夕刊

関連項目

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