宇山日出臣
宇山 日出臣(うやま ひでお/ひでおみ、1944年4月9日 - 2006年8月3日)は、日本の文芸編集者。本名、宇山秀雄。戸川安宣とともに、ミステリ小説のジャンル「新本格」の仕掛け人として知られる。
略歴編集
京都市出身[1]。同志社大学を卒業後、三井物産に入社するが、2年後[2]、中井英夫『虚無への供物』を文庫化したいという思いから、講談社に途中入社する。当初はSFに強い編集者として星新一と関係が深く、星新一ショートショート・コンテストの発案者だった。その後講談社ノベルス編集者としてミステリを担当するようになり、1987年から新人発掘して島田荘司が推薦文を書き[3]、伴走するようなかたちで、綾辻行人、法月綸太郎、我孫子武丸、歌野晶午らをデビューさせ、「新本格」ムーブメントを作り上げた[4]。「宇山日出臣」というエディターネームも、島田荘司の命名による[5]。その一方で範囲を広げ、1988年小野不由美のデビューからの担当者となる。
講談社文芸図書第三出版部(通称文三)部長として、メフィスト賞を創設する。京極夏彦、森博嗣、舞城王太郎、西尾維新らの発掘に関わり、晩年には部長を退いていたが講談社ミステリーランドを企画した。太田克史ら後進の編集者にも多大な影響を与えた。
その功績を評価され、2004年に本格ミステリ大賞特別賞を戸川安宣と共に受賞する[6]。2005年講談社を定年退職する。2006年5月21日第22回うつのみやこども賞で、3年連続して講談社ミステリーランドが受賞し、企画者として特別賞を受賞し表彰される[7][8]。在職中から酒豪として知られていた。同年8月3日肝硬変で逝去した[1]。
脚注編集
- ^ a b 47NEWS訃報記事
- ^ 『島田荘司全集』第1回配本「月報」所収島田との対談 2006年 南雲堂
- ^ 「島田荘司のデジカメ日記」245回
- ^ 2004年度 第4回本格ミステリ大賞受賞時のプロフィール 2015年2月17日リンク切れのためInternet Archiveに差し替え・同日確認
- ^ 「島田荘司のデジカメ日記」244回
- ^ 「本格ミステリクラブ通信」16号 2004年6月 <総会と本格ミステリ大賞贈呈式>
- ^ 大森望「狂乱西葛西日記全記録 2006年7月1日~8月26日」【8月10日 宇山さんのこと】 2018年4月9日閲覧
- ^ 大森望『現代SF観光局』河出書房新社 2016年
- ^ 「故・宇山さんを偲ぶコンサート」綾辻行人の記述 2015年2月17日閲覧
外部リンク編集
- 新本格の20年 編集者・宇山秀雄の仕事 - ウェイバックマシン(2009年5月24日アーカイブ分)