宝来 (さいたま市)

埼玉県さいたま市西区の大字

宝来(ほうらい)は、埼玉県さいたま市西区大字郵便番号は331-0074[2]

宝来
指扇駅
指扇駅
■ 宝来の位置(埼玉県内)
■ 宝来
宝来
宝来の位置
北緯35度55分26.26秒 東経139度33分25.47秒 / 北緯35.9239611度 東経139.5570750度 / 35.9239611; 139.5570750
日本の旗 日本
都道府県 埼玉県
市町村 さいたま市
西区
地域 大宮市
人口
2019年平成31年〉1月1日時点)[1]
 • 合計 3,837人
等時帯 UTC+9 (日本標準時)
郵便番号
331-0074[2]
市外局番 048[3]
ナンバープレート 大宮
座標の場所はさいたま市水道局北部配水場

地理 編集

さいたま市西区北西部の古荒川(かつての入間川)が作り出した沖積平野(荒川低地)上に位置する南北に長い平坦な区域である[4]。地内には古荒川によってできた南北に延びる自然堤防も見られる[5]。地区外の東域には大宮台地(指扇支台)の崖線が南北に延びる。中央を宝来川が南北に流れ、南側は滝沼川が東西に流れ下り、西側には荒川の河川区域を隔てる堤防が南北に築かれていて、それにすぐ東側に平行するように西堀川が流れる[注釈 1]。 東側を大字峰岸や大字指扇領辻や大字指扇領別所、南側を大字指扇土屋や大字西遊馬、北側を上尾市大字平方や大字西貝塚と接する。また、西側はかつて指扇地区に属する大字の入会地流作場由来の飛地郡を隔てた向う側に川越市大字古谷上がある。北西側に離れた場所に周囲を上尾市および川越市に囲まれたさいたま市の飛地で、大字宝来に属する大きく纏まった飛地[注釈 2]があり、その中央を上尾中堀川、西端を荒川が流れる。地内の荒川堤防ではさいたま築堤事業によって、堤防のかさ上げ工事が実施されている[6]

土地利用としては北部は市街化調整区域であり、ごみ処理場などの公共施設や住宅などが混在する耕地整理された水田の割合が多い農地で、国道16号や滝沼川を隔てた南部は市街化区域[注釈 1]に指定され、指扇駅に近く都市化しており、専ら住宅地となっている[5]。堤外地(河川敷)に位置する飛地では農地のほか、運動公園やゴルフ場などのレクレーション施設として利用されている。地内にかつての内囲堤の跡が道路[注釈 3]として見て取れる[7]

地価 編集

住宅地の地価は2019年平成31年)1月1日公示地価によれば大字宝来字上横手1457-9の地点で11万9000円/m2となっている[8]

歴史 編集

もとは江戸期より存在した武蔵国足立郡指扇領に属する上宝来村および下宝来村で、古くは中世末期頃より見出せる橘荘[9][注釈 4]に属していたと云われている[11][12]。現在の大字宝来の上宝来村は北半分、下宝来村は南半分に相当する。また、古くは寛永〜正保期(1624年〜1648年)頃[13]は一帯は宝来野(ほうらいや)と称される原野で、宝来野には差扇(指扇)領の13ヶ村入会の場があった[14]。宝来は蓬莱とも記されていた[12][4]1682年天和2年)指扇領の領主である山内豊前守が荒川の岸際に水除堤を築き、宝来野を開墾して上宝来村・下宝来村を村立てた[注釈 5]文政期(1818年〜1831年)には流域沿いに宝来野の残部の原野が存在していた[4][14]。村高は正保年間の『武蔵田園簿』では宝来村として野高106余、『元禄郷帳』では上宝来村では155石余、下宝来村では483石余、『天保郷帳』では上宝来村では158石余、下宝来村では492石余であった[11][12]助郷は両村とも中山道上尾宿に出役していたが幕末は大宮宿にも出役していた[11][12]化政期の戸数は上宝来村は15軒、下宝来村は62軒で、村の規模は上宝来村は東西20、南北10町、下宝来村は東西3町、南北20町余であった[11][12][17][16]。 村名は新村を村立てた際、その前途を祝す意味を込めて名付けたという[11][12]瑞祥地名)。

荒川に近く東は大宮台地に挟まれた低地に属する地域で、享保寛保宝暦明和天明年間に大水が発生して田が冠水するなど[11]、古くから水害の常襲地帯であった[18]。 荒川の水防のための荒川水除堤が設けられていたが、台地縁から流入する水の排水の障害にもなり、悪水堀の開削や悪水吐圦樋(樋管)が水除堤に複数設けられていた[11][12]

宝来村に存在していた小字 編集

  • [27]
  • 上仲田
  • 根岸前
  • 下仲田
  • 槐(さいかち)
  • 八反田
  • 葭谷(よしや)
  • 横手
  • 一丁田

世帯数と人口 編集

2019年平成31年)1月1日時点の世帯数人口は、以下のとおりである[1]

大字 世帯数 人口
大字宝来 1,796世帯 3,837人

小・中学校の学区 編集

市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下のとおりとなる[28]

区域 小学校 中学校
1 - 759、861 - 928 さいたま市立指扇北小学校 さいたま市立指扇中学校
760 - 860、929以降 さいたま市立指扇小学校

交通 編集

東日本旅客鉄道(JR東日本)川越線指扇駅がある[8]

道路 編集

バス 編集

指扇駅北口方面からの路線バスが運行されている。

東武バスウエスト上尾営業所東武バスウエスト大宮営業事務所
地区内は「宝来」、「下宝来」、「指扇駅北口」停留所が設置されている[30][31]
西武バス大宮営業所
地区内は「指扇駅」停留所が設置されている[32]
さいたま市コミュニティバス乗合タクシー
地区内はさいたま市民医療センターから川越線指扇駅を経由して同線西大宮駅に至る「西区コミュニティバス」(西区役所線)の路線が通り、「指扇駅」、「指扇別所」、「宝来指扇」、「指扇病院」停留所が設置されている[33]。また、西区指扇地区乗合タクシー「あじさい号」の運行も平日限定で実施しており、地区内は「西楽園」、「宝来グラウンド・ゴルフ場」、「トワーム指扇北」、「共栄繊維」、「中宝来自治会館」、「指扇幼稚園」、「大宮ハイツ入口」、「指扇駅北口」。「ライフ前」、「やおかつ前」、「指扇病院」停留所が設置されている[34]

地域 編集

寺社 編集

かつては旧下宝来村に享保期創設の天台宗明現寺もあった[12]

  • 八雲神社
  • 宝来神明社 - 市指定有形文化財の「宝来神明社銅鏡」を所蔵していた。実物はさいたま市立博物館に展示[35]
  • 福寿庵百観音 - 市指定有形民俗文化財[36]
  • 稲荷社 - 地内の荒川の堤防付近に二ヶ所所在する

公園・緑地 編集

  • 宝来運動公園(一部)
  • 東京機器健康保険組合運動場(一部)
  • 宝来公園
  • 葭野公園 - あしや公園
  • 宝来水路公園
  • 下宝来児童遊園
  • 中宝来公園
  • 滝沼宝来広場
  • 大宮石橋公園
  • さいたま市宝来グラウンド・ゴルフ場[24]

施設など 編集

地区の南部は指扇駅前に位置しており、その周辺を中心に多くの商業施設や民間施設が立地する。

  • 指扇駅
  • 大宮西警察署 指扇駅前交番
  • 武蔵野銀行 指扇支店
  • さいたま市 健康福祉センター 西楽園
  • 西部環境センター - ごみ処理場
  • さいたま市水道局北部配水場
  • 指扇中継ポンプ場
  • さしおうぎ幼稚園
  • 埼玉自動車教習所
  • 県営大宮宝来団地
  • 穂積自治会館
  • 中宝来自治会館
  • 下宝来自治会館
  • 大宮国際カントリークラブ - クラブハウスが立地。コースは一部が飛地に位置する。
  • 指扇第一・第二横堤(荒川横堤
  • 滝沼川第一遊水地
  • 滝沼川排水機場・大圦樋管
  • 宝来樋管

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b 外部リンク節の『さいたま市地図情報』を参照。
  2. ^ 地図によっては一つの大字宝来の飛地と記されているものもあるが、『さいたま市地図情報』(外部リンク節参照)などで確認すると西区の指扇地区に属している大字の飛地の集まりであることが分かる。
  3. ^ 例えば指扇駅付近の県道58号など。
  4. ^ 橘荘に属していた村は上宝来村および下宝来村のみ。(『新編武蔵風土記稿』「橘庄 村二」[10]
  5. ^ 1664年(寛文4年)には下谷新田と称し、後に宝来村に改称したと記されている文献もある[15][16]

出典 編集

  1. ^ a b さいたま市の人口・世帯(時系列結果)”. さいたま市 (2019年7月2日). 2019年8月15日閲覧。
  2. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年8月15日閲覧。
  3. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年8月15日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 770頁。
  5. ^ a b c 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 961頁。
  6. ^ さいたま築堤~さいたま地区の暮らしを守る荒川の一大プロジェクト〜” (PDF). 国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所. 2019年9月26日閲覧。
  7. ^ a b 『大宮のむかしといま』 218-226頁。
  8. ^ a b 国土交通省地価公示 鑑定評価書 - 国土交通省(2019年1月11日).2019年8月15日閲覧。
  9. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 545頁。
  10. ^ 新編武蔵風土記稿 足立郡.
  11. ^ a b c d e f g h i j 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 273頁。
  12. ^ a b c d e f g h i j k l 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 461頁。
  13. ^ 『大宮のむかしといま』 58-61頁。
  14. ^ a b 新編武蔵風土記稿 下寳来村 寳来野.
  15. ^ 韮塚一三郎『埼玉県地名誌―名義の研究―』北辰図書出版、1971年6月20日、49頁。NDLJP:9640131 
  16. ^ a b 新編武蔵風土記稿 下寳来村.
  17. ^ 新編武蔵風土記稿 上寳来村.
  18. ^ a b 「我が町の災害アーカイブス」編集委員会 (2017年3月). “「我が町の災害アーカイブス」調査報告書 調査表 さいたま・越谷方面” (PDF). 公益社団法人日本河川協会 彩の川研究会. pp. 37-38. 2019年8月15日閲覧。
  19. ^ 学校の沿革”. さいたま市立指扇小学校. 2019年8月15日閲覧。
  20. ^ 『大宮のむかしといま』 資料7頁。
  21. ^ 上尾百年史編集委員会・編『上尾百年史』上尾市役所、1972年2月10日、98-108頁。 
  22. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 407頁。
  23. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 1420頁。
  24. ^ a b c d e 西区の沿革(西区略年表)”. さいたま市役所 (2018年10月1日). 2019年8月15日閲覧。
  25. ^ 『大宮のむかしといま』 資料29頁。
  26. ^ さいたま市の福祉 平成29年度版” (PDF). さいたま市役所. p. 189 (2017年12月). 2019年8月9日閲覧。
  27. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 1389頁。
  28. ^ さいたま市立小・中学校通学区域一覧”. さいたま市 (2019年4月1日). 2019年8月1日閲覧。
  29. ^ 外部リンク節の『さいたま市地図情報』によると県道さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線と表示。
  30. ^ 路線図 上尾営業所 (PDF) - 東武バス.2019年8月6日閲覧。
  31. ^ 路線図 大宮営業事務所 (PDF) - 東武バス.2019年8月15日閲覧。
  32. ^ 西武バス 大宮営業所バス路線案内図 (PDF) - 西武バス.2019年8月15日閲覧。
  33. ^ 西区コミュニティバスを運行しています”. さいたま市 (2018年6月19日). 2019年8月15日閲覧。
  34. ^ 西区指扇地区乗合タクシー「あじさい号」の運行ルートを変更します”. さいたま市 (2019年3月4日). 2019年8月15日閲覧。
  35. ^ 文化財紹介 宝来神明社銅鏡”. さいたま市役所 (2016年8月8日). 2019年8月15日閲覧。
  36. ^ 文化財紹介 福寿庵百観音”. さいたま市役所 (2016年9月12日). 2019年8月15日閲覧。

参考文献 編集

  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日。ISBN 4040011104 
  • 『大宮のむかしといま』大宮市、1980年11月3日。全国書誌番号:81007009NCID BN03449939 
  • 新編武蔵風土記稿
    • 「橘庄」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ135足立郡ノ1、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763997/21 
    • 「上寳来村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ152足立郡ノ18、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764000/27 
    • 「下寳来村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ152足立郡ノ18、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764000/28 
      • 「下寳来村 寳来野」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ152足立郡ノ18、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764000/28 

関連項目 編集

外部リンク 編集