宮本ともみ

日本のサッカー選手

宮本 ともみ(みやもと ともみ、1978年12月31日 - )は、神奈川県相模原市出身の元女子サッカー選手、現サッカー指導者、解説者。元サッカー日本女子代表(代表通算77試合13得点)。現役時代のポジションはミッドフィールダー神奈川県立相模大野高等学校卒業。旧姓は「三井」。

宮本 ともみ
名前
愛称 みっち
カタカナ ミヤモト トモミ
ラテン文字 MIYAMOTO Tomomi
基本情報
国籍 日本の旗 日本
生年月日 (1978-12-31) 1978年12月31日(45歳)
出身地 神奈川県相模原市
身長 168cm
体重 59kg
選手情報
ポジション MF
利き足 右足
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
1997-99 日本の旗 プリマハムFCくノ一 47 (5)
2000-08 日本の旗 伊賀フットボールクラブくノ一 109 (7)
2009-10 日本の旗 TEPCOマリーゼ 38 (7)
2011-12 日本の旗 伊賀フットボールクラブくノ一 34 (3)
代表歴2
1997 - 2007 日本の旗 日本 77 (13)
監督歴
2015- 日本の旗 高田短期大学女子サッカー部
1. 国内リーグ戦に限る。2012年11月11日現在。
2. 2011年7月23日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

経歴 編集

選手時代 編集

小学1年生の時、兄の影響でサッカーを始めた[1]。新磯サッカースポーツ少年団、相模原SCを経て、1997年(当時18歳)でプリマハムFCくノ一(現伊賀FCくノ一)へ入団[2]。同年日本代表に初選出された[2]

1999年、第3回FIFA女子世界選手権アメリカ大会(現ワールドカップ)に出場[2]

2002年、23歳のときに結婚。周囲からは「引退するのか」と聞かれることもあったが、「『なんで結婚するからやめるんだ』という感じでした」[3]、「『(夫からは)結婚したんだからサッカーやめろ』ということは言われなかった」[4] と語っている。

2003年、第4回FIFA女子ワールドカップアメリカ大会では3試合すべてでフル出場した[5]

2004年、アテネオリンピック代表メンバーに選出された。当時の代表監督だった上田栄治は宮本を「澤穂希よりも重要な選手」と評価していた[6]。宮本はチームで唯一の既婚者であり、またチーム最長身であった。宮本は第1戦のスウェーデン戦をフルで戦った後、第2戦目のナイジェリア戦にもスタメン出場。しかし前半15分過ぎ、相手選手と交錯した際、そのスパイクが右大腿部を直撃し、8針縫う裂傷を負った[7]。倒れこんだ宮本は、立ち上がれないまま担架でピッチ外へ運ばれ、結局そのまま交代。この後チームは攻守のバランスを崩し、後半にはナイジェリアに決勝点を奪われることとなる。当時日本サッカー協会会長だった川淵三郎は「残念だね。宮本が欠場したのが痛かった。彼女がいないと攻守とも痛い」と述べた[8]。 決勝トーナメント準々決勝アメリカ戦では怪我を押して強行先発したが、1-2で敗れ、チームは敗退した[9]

2005年5月、26歳のとき長男を出産。産休・育休のため戦列を離れ、2005年シーズンは選手登録されなかったが、2006年シーズンに再び選手登録され現役復帰。

2006年10月に日本女子代表にも再び招集され、初の子持ち代表となった。このとき日本サッカー協会は民間のベビーシッターを雇い、宮本が1歳(当時)の長男を伴って代表活動ができるようにサポートした[10]

2007年、第5回FIFA女子ワールドカップ中国大会のメンバーに選出され、自身3度目のワールドカップメンバーとなった[11]

2008年、伊賀FCくノ一がなでしこリーグ2部へ降格、このときのことについて宮本は「サッカー人生で一番悔しい出来事で、なかなか受けとめることが出来なかった」「『神様がやめろって言っているのかな』と引退も考えました」と語っている[3]

2009年、東京電力女子サッカー部マリーゼ(TEPCOマリーゼ)へ移籍。移籍の理由について「年齢的にも選手生命が残り少なくなってきた中で、サッカーが集中できる環境にいたかったし、自分の経験を少しでも後進に伝えたかった」と語っている[12]

2011年、伊賀FCくノ一へ復帰[13]。同年4月29日に行われたリーグ開幕戦福岡J・アンクラス戦では2ゴールを挙げ、チームを2-0の勝利に導いた[14]

同年7月24日、なでしこリーグの岡山湯郷Belle戦で、リーグ200試合出場を達成した[15]

同年8月19日、国立競技場で行われた「東日本大震災復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!なでしこジャパンvsなでしこリーグ選抜」のなでしこリーグ選抜チームのメンバーに選出された[16][17]。試合は2-3で敗れたが、選抜チームの監督を務めた星川敬は宮本について「宮本選手の経験は内容を見ても、結果からもまだまだやれると感じました」と高く評価した[18][19]

2012年12月5日、現役を退くことを表明した[20]。同年12月22日の第34回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会準決勝のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦に出場、試合はペナルティーキック戦の末に敗れたが、宮本は後半24分に1-1の同点となるゴールを挙げ、これが現役最後の得点となった[21]

2013年3月3日、伊勢フットボールヴィレッジにて引退記念試合とセレモニーが行われた[22][23]

指導者時代 編集

2015年4月、高田短期大学女子サッカー部監督に就任した[24]

2016年4月、日本サッカー協会により、女子代表の強化や女子サッカー育成普及を担う女子委員会が新たに承認され、委員の1人に選ばれた[25][26][27]。同年12月、 U-16/17日本女子代表のコーチに選任された[28]

2019年にU-19日本女子代表コーチに就任。

2021年からなでしこジャパン(日本女子代表)コーチを務めている[29]

個人成績 編集

クラブ 編集

国内大会個人成績
年度クラブ背番号リーグ リーグ戦 リーグ杯オープン杯 期間通算
出場得点 出場得点出場得点 出場得点
日本 リーグ戦 リーグ杯 皇后杯 期間通算
1997 プリマハムFCくノ一 4 L・リーグ 15 1
1998 14 18 1
1999 14 3
2000 伊賀FCくノ一 10 12 1 -
2001 14 0 -
2002 4 0 -
2003 20 1 - 3 1 23 2
2004 L・リーグ1部 (L1) 7 1 -
2006 なでしこ Div.1 14 0 - 2 0 16 0
2007 21 1 0 0 1 0 22 1
2008 17 3 - 2 0 19 3
2009 TEPCOマリーゼ 6 21 2 - 3 0 24 2
2010 なでしこ 17 5 5 1 2 1 24 7
2011 伊賀FCくノ一 32 16 3 - 0 0 16 3
2012 5 18 0 5 0 3 1 26 1
通算 日本 1部 228 22
総通算 228 22

※2005年度は産休・育休により登録されず

代表 編集

  • 1997年6月8日 - 日本女子代表初出場 -   中国戦 (国際親善試合)
  • 1997年6月8日 - 日本女子代表初得点 -   中国戦 (国際親善試合)

選出歴等 編集

試合数 編集


日本代表国際Aマッチ
出場得点
1997 6 2
1998 10 1
1999 14 2
2002 7 1
2003 14 3
2004 9 2
2006 1 0
2007 16 2
通算 77 13

(2007年9月17日現在)

  • 出典: なでしこジャパン(日本女子代表)試合別出場記録[30]
  • 出典: なでしこジャパン(日本女子代表)選手個人記録(出場試合数ランキング)[31]

ゴール 編集

# 開催日 開催都市 スタジアム 対戦国 結果 監督 大会 出典
1. 1997年6月8日   東京 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場   中国 ○ 1-0 宮内聡 キリンカップ
2. 1997年12月9日   番禺   香港 ○ 9-0 1997 AFC女子選手権
3. 1998年12月8日   バンコク トゥパテミ・スタジアム英語版   タイ ○ 6-0 第13回アジア競技大会
4. 1999年11月12日   バロタク   ネパール ○ 14-0 鈴木保 1999 AFC女子選手権
5.
6. 2002年10月9日   昌原 昌原総合運動場   中国 △ 2-2 上田栄治 第14回アジア競技大会
7. 2003年6月9日   バンコク ラジャマンガラ・スタジアム   フィリピン ○ 15-0 2003 AFC女子選手権
8. 2003年7月5日   メキシコシティ   メキシコ △ 2-2 2003 FIFA女子ワールドカップ予選プレーオフ
9. 2003年7月22日   仙台 仙台スタジアム   韓国 ○ 5-0 日・韓・豪3ヶ国対抗国際女子サッカー大会
10. 2004年4月18日   東京 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場   ベトナム ○ 7-0 アテネオリンピックアジア最終予選
11.
12. 2007年6月3日   東京 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場   韓国 ○ 6-1 北京オリンピックアジア最終予選 [32]
13. 2007年8月4日   ハイフォン ラックチャイ・スタジアム   ベトナム ○ 8-0 [33]

タイトル 編集

クラブ 編集

個人 編集

  • 日本女子サッカーリーグ ベストイレブン:2回 (1999年、2003年)

脚注 編集

  1. ^ 「ボクのママはサッカー選手」東京電力女子サッカー部マリーゼ 宮本ともみ 百年旅行 Jリーグのある風景番組公式HP、2016年6月4日閲覧。
  2. ^ a b c 宮本 ともみ ジャパン・スポーツ・プロモーション公式HP、2016年6月4日閲覧。
  3. ^ a b とことんインタビュー 女子サッカー元日本代表 宮本ともみさん 朝日新聞デジタル(三重).2011.3.31、2016年6月4日閲覧。
  4. ^ 【ママさんなでしこ第1号・宮本ともみ(3)】「全然イケメンじゃない」夫は炎の消防士 「初対面で遅刻され…」恋の炎が 産経WEST.2013.10.13、2016年6月4日閲覧。
  5. ^ 【ママさんなでしこ第1号・宮本ともみ(4)】世界で魅せた“奥様ボランチ” 同居の義父母が「自慢の嫁…と思う…はず」 産経WEST.2013.10.13、2016年6月4日閲覧。
  6. ^ なでしこ支えた“人妻ボランチ”宮本 「沢より重要な選手」と評価 スポニチアネックス.2011.9.25、2016年6月4日閲覧。
  7. ^ 【ママさんなでしこ第1号・宮本ともみ(5)】「子連れ遠征」直訴の理由 アテネ五輪8針の大けが、愛息への思い 産経WEST.2013.10.14、2016年6月4日閲覧。
  8. ^ 【サッカー】宮本負傷で黒星、なでしこホロ苦「8強」 サンスポ.com、2016年6月4日閲覧。
  9. ^ なでしこテッサロニキに散る、米国に1-2惜敗 SANSPO.COM、2016年6月4日閲覧。
  10. ^ 総合 : なでしこ初 宮本選手が親子で代表合流 協会がベビーシッター雇いサポート 伊賀タウン情報YOU.2006.11.13、2016年6月4日閲覧。
  11. ^ 総合 : 【紙面から】3度目のW杯に挑むママ選手 なでしこジャパン 伊賀市丸柱 宮本ともみ選手 伊賀タウン情報YOU.2007.9.7、2016年6月4日閲覧。
  12. ^ 私を語るTOP vol.251 東京電力女子サッカー部マリーゼ 朝日SALLY WEB MAGAZINE、2016年6月4日閲覧。
  13. ^ 「一からのスタート」宮本ともみ選手がくノ一に入団 伊賀タウン情報YOU.2011.2.1、2016年6月4日閲覧。
  14. ^ 開幕戦くノ一快勝 復帰の宮本が「恩返し」の2ゴール なでしこリーグ・福岡AN戦 伊賀タウン情報YOU.2011.4.29、2016年6月4日閲覧。
  15. ^ 得点でチーム牽引 中心2選手 伊賀タウン情報 YOU.2011.8.12、2016年6月4日閲覧。
  16. ^ 東日本大震災復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!なでしこジャパン(日本女子代表)vsなでしこリーグ選抜 JFA公式サイト、2016年6月8日閲覧。
  17. ^ 星川監督「なでしこジャパンの弱点を突きたい」慈善試合 女子日本代表戦メンバー発表会見 スポーツナビ.2011.8.8、2016年6月8日閲覧。
  18. ^ 「これからは色々なプレッシャーを背負って勝たねば」佐々木監督 「後半はプラン通リ、なでしこの弱点をつけた」選抜・星川監督 試合後のコメント 澤、宮間、近賀、選抜宮本、木龍、小林 スポーツライター・増島みどりのザ・スタジアム.2011.8.20、2016年6月8日閲覧。
  19. ^ なでしこリーグ選抜の星川監督「相手のウィークポイントをつけた」 SOCCER KING.2011.8.19、2016年6月8日閲覧。
  20. ^ 宮本ともみ選手引退のお知らせ 伊賀フットボールクラブ公式サイト2012.12.5、2016年6月4日閲覧。
  21. ^ 伊賀宮本ラストピッチで惜別弾/皇后杯 ニッカンスポーツ.2012.12.23、2016年6月4日閲覧。
  22. ^ 「伊勢フットボールヴィレッジ」オープンイベントで宮本ともみの引退セレモニー実施 SOCCER KING.2013.3.3、2016年6月4日閲覧。
  23. ^ なでしこジャパン初のママさん選手、引退試合飾る スポニチアネックス.2013.3.4、2016年6月4日閲覧。
  24. ^ 「元なでしこJAPAN」 宮本ともみ氏が高田短期大学女子サッカー部監督に就任 高田短期大学公式HP.2015.4.3、2016年6月4日閲覧。
  25. ^ なでしこ新任委員に代表77戦、宮本ともみさん ニッカンスポーツ.2016.4.15、2016年6月4日閲覧。
  26. ^ 「なでしこ」再建目指し元代表・宮本ともみさんを委員に選出 SANSPO.COM.2016.4.15、2016年6月4日閲覧。
  27. ^ 女子委員会メンバー決定!元なでしこ宮本ともみ氏らが就任 スポニチアネックス.2016.4.15、2016年6月4日閲覧。
  28. ^ 2016年度JFA第12回理事会を開催 JFA公式サイト.2016.12.8、2016年12月8日閲覧。
  29. ^ ナショナルコーチングスタッフ|日本代表”. www.jfa.jp. 日本サッカー協会. 2024年2月21日閲覧。
  30. ^ なでしこジャパン(日本女子代表)試合別出場記録”. 日本サッカー協会 (2008年7月29日). 2021年6月12日閲覧。
  31. ^ なでしこジャパン(日本女子代表)選手個人記録(出場試合数ランキング)”. 日本サッカー協会 (2008年7月29日). 2021年6月12日閲覧。
  32. ^ 試合情報”. www.jfa.or.jp. 日本サッカー協会. 2024年2月21日閲覧。
  33. ^ 試合情報”. www.jfa.or.jp. 日本サッカー協会. 2024年2月21日閲覧。

外部リンク 編集