富士五山(ふじござん)は、駿河国富士郡にて建立された日興門流の5つの有力本山の総称。

歴史 編集

鎌倉時代の末期、日蓮宗開祖日蓮の高弟日興及びその弟子たちによって駿河国富士郡に創設された。各寺共に日興の法脈を継承し、『甲斐国志』の日興の條には五山を指して「富士五箇寺」とある[1]

また貝原益軒『壬申紀行』には「富士のすそ野に日蓮宗の五ヶ寺あり。北山の重巣本門寺、西山門本寺、上野の妙蓮寺、大石寺、大宮の久遠寺あり」とある[2]羽倉簡堂が記した天保9年(1838年)の「東游日歴」には「岳西五大寺」(岳西は富士山の西の意)とあり、原得斎が記した文政11年(1828年)『富嶽行記』には「富(士)山の裾に五ヶ所の法華寺あり」とある[3]。このように「五寺」という認識は広く流布されていた。

脚注 編集

  1. ^ 浅間神社社務所編、『富士の研究 第1』、433頁、古今書院、昭和3-4年
  2. ^ 板坂耀子、『近世紀行集成(叢書江戸文庫 17)』37頁、国書刊行会、1991
  3. ^ 井上卓哉、「登山記に見る近世の富士山大宮・村山口登山道」12・18頁、『富士山かぐや姫ミュージアム館報』第32号、2017年

関連項目 編集