富津市

日本の千葉県の市
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富津市(ふっつし)は、千葉県の南部に位置する

ふっつし ウィキデータを編集
富津市
富津市旗
富津市章
富津市章
富津市旗 富津市章
1971年10月1日制定
日本の旗 日本
地方 関東地方
都道府県 千葉県
市町村コード 12226-2
法人番号 8000020122262 ウィキデータを編集
面積 205.40km2
総人口 39,862[編集]
推計人口、2024年3月1日)
人口密度 194人/km2
隣接自治体 君津市鴨川市安房郡鋸南町
神奈川県横須賀市(海上で隣接)
市の木 サクラ
市の花 ツツジ
富津市役所
市長 高橋恭市
所在地 293-8506
千葉県富津市下飯野2443
北緯35度18分15秒 東経139度51分25秒 / 北緯35.30408度 東経139.85703度 / 35.30408; 139.85703座標: 北緯35度18分15秒 東経139度51分25秒 / 北緯35.30408度 東経139.85703度 / 35.30408; 139.85703
外部リンク 公式ウェブサイト

富津市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町 / ― 村

地図
ウィキプロジェクト

都市雇用圏における東京都市圏富津岬から南へ続く海岸部南房総国定公園に指定されている。世界最大級の火力発電所富津火力発電所を有する。

概要 編集

マザー牧場富津岬鋸山などで知られており、海と山々に囲まれた自然豊富な観光都市関東の富士見百景「富津市からの富士」に選定されている。

木更津港富津地区に位置し、電力金属製品一般機械器具製造業などの立地が計画されている。地区内には富津火力発電所が稼働しておりエネルギー供給基地としても重要な役割を果たしている。火力発電所としては日本最大級の総出力であり、世界でも最大級の火力発電所である[1]

富津岬から北側は京葉工業地帯となっているが、南側は南房総国定公園に指定され、フェリーターミナル浜金谷港上総湊港地方港湾)、多くの漁港を有する。

地理 編集

 
富津岬

千葉県南部に位置し、県庁所在地千葉市から約40キロメートルの距離で、東京都都心からは40 - 50キロメートル圏内である。都市雇用圏における東京都市圏に含まれる。なお、東京都(特に東京国際空港)や神奈川県からは東京湾アクアライン若しくは東京湾フェリーを利用した場合が移動距離の短縮となる。

関東平野に含まれ、東京湾(内房)に面し、北部沿岸には富津岬が突き出しているのが特徴である。内陸部には房総丘陵を抱える。

隣接している自治体 編集

人口 編集

平成27年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、5.14%減の45,601人であり、増減率は千葉県下54市町村中36位、60行政区域中42位。

 
富津市と全国の年齢別人口分布(2005年) 富津市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 富津市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

富津市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


歴史 編集

市名の由来は日本武尊伝説によるものとされている。嵐を静めるために海に投身した弟橘姫の袖が海岸に流れ着いたことに由来する(布流津)。この布流津(ふるつ)が転じて富津になったとされている。一方、袖が流れ着いた地名は袖ヶ浦で、「布流津」の「布」は弟橘姫の腰巻が小糸川の飯野の地に流れ着いたことに由来するとの説もある。

市域には縄文時代弥生時代からの遺跡が数多く分布する。房総半島では古墳時代を通じて古墳が数多く分布しているが、市域では5世紀中頃の内裏塚古墳を頂点とする内裏塚古墳群の存在があり、埴輪金銅製品などの副葬品が出土している。また、古墳後期の横穴式石室を持つ後期古墳も分布する。

律令制下では上総国天羽郡全域・周淮郡の一部に属する。平安時代後期には、治承・寿永の乱において1180年(治承4年)に源頼朝が平家方に敗退して安房国へ渡っており、市域にも関係する伝承が残されている。鎌倉時代には称名寺の寺領があり、古戸(富津)の地から年貢の輸送が行われた。戦国期には佐貫城を拠点とする真里谷武田氏や房総へ進出する安房里見氏が支配した。1567年(永禄10年)には、隣接する君津市との境界にあたる三船山において里見氏と北条氏の合戦が行われた(三船山合戦)。

1953年5月21日、地元民が引き上げた爆雷が解体中に爆発。死者2人、重傷2人、家屋全半壊10戸[2]

1973年市外局番が0478から0439に変更。

1979年統一地方選挙のタイミングで市長選挙が実施される。4月22日に投開票が行われたが、5人の立候補者がいずれも有効投票数の4分の1を得られなかったため全員が落選。6月17日投開票の再選挙には3人が立候補し、現職が再選した[3]。なお、地方自治体の首長選挙において、法定得票に達する候補者が存在しなかったことを理由とする再選挙の実施は公職選挙法施行以降では本事例が初めてとなった[5]。また、再選となった現職の白井長治は最初の選挙の時点では3番目の得票だったため、再選挙において当選する「逆転勝利」にもなった[6][7]

2016年6月1日、防災行政無線放送等変更。

沿革 編集

現在の富津市は1971年に新設合併で誕生した3代目の富津町が市制施行したものであるが、ここでは前身となった旧富津村、旧富津町についても述べる。2代目富津町までは旧周淮郡内の小さな町にすぎなかったが、3代目富津町が旧天羽郡全域を町域に収めたことで現在の市域が成立した。

周准郡青堀村 A 君津郡青堀村 D 青堀町 H L 富津市
周准郡飯野村 君津郡飯野村
周准郡富津村 君津郡富津村 B 富津町
天羽郡大貫村 君津郡大貫村 C 大貫町 G 大佐和町 K
天羽郡吉野村 君津郡吉野村 F
天羽郡佐貫町 君津郡佐貫町
天羽郡湊町 君津郡湊町 H 天羽町
天羽郡天神山村 君津郡天神山村
天羽郡竹岡村 君津郡竹岡村
天羽郡金谷村 君津郡金谷村
天羽郡環村 君津郡環村 I 峰上村 J
天羽郡駒山村 君津郡駒山村 F
天羽郡関村 君津郡関村 E 関豊村
天羽郡豊岡村 君津郡豊岡村
B 1897年(明治30年)12月1日
D 1926年(大正15年)4月10日
E 1926年(大正15年)4月24日
F 1937年昭和12年)4月1日
G 1955年(昭和30年)3月30日
H 1955年(昭和30年)3月31日
I 1955年(昭和30年)4月25日
J 1963年(昭和38年)10月1日
K 1971年(昭和46年)4月25日
L 1971年(昭和46年)9月1日

行政 編集

市長 編集

歴代市長 編集

特記なき場合『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』などによる[8]

氏名 就任 退任 備考
1 佐久間清 1971年(昭和46年)9月1日 1975年(昭和50年)
2 白井長治 1975年(昭和50年)5月14日 1983年(昭和58年)
3 黒坂正則 1983年(昭和58年)1月30日 1995年(平成7年)
4 野口岡治 1995年(平成7年)1月 1996年(平成8年)8月20日[9] 在任中に死去
5 白井貫 1996年(平成8年)10月 2004年(平成16年)
6 佐久間清治 2004年(平成16年)10月7日 2016年(平成28年)
7 高橋恭市 2016年(平成28年)10月6日 現職

警察・消防 編集

富津市消防本部

立法 編集

県政 編集

国政 編集

経済 編集

商業 編集

 
イオンモール富津

観光業が盛んであり、それに伴う消費活動は多い。商業施設などの大型店は、ロードサイド型店舗が多い。

商業施設 編集

工業 編集

木更津港湾に係る基幹産業(大規模施設)として、発電所を有する。

漁業 編集

海苔アサリバカガイ(アオヤギ)など海産物の産地となっている[10][11]

  • 第2種漁港
  • 第1種漁港
    • 金谷漁港(かなや - )
    • 萩生漁港(はぎゅう - )
    • 竹岡漁港(たけおか - )
    • 佐貫漁港(さぬき - )
    • 大貫漁港(おおぬき - )
    • 小糸川漁港(こいとがわ - ) - 君津市に位置するが漁業協同組合は富津

姉妹都市・提携都市 編集

日本国内
日本国外

地域 編集

教育 編集

千葉県立君津商業高等学校
千葉県立天羽高等学校

高等学校 編集

中学校 編集

小学校 編集

図書館 編集

交通 編集

鉄道路線 編集

大貫駅(JR東日本)
浜金谷駅(JR東日本)
鋸山ロープウェー

乗車人員が最も多いのは青堀駅。市役所に近い駅は大貫駅である。

ロープウェー 編集

バス路線 編集

高速バス 編集

青堀駅 - 君津駅南口 ⇔ バスターミナル東京八重洲 / 東雲車庫東京湾アクアライン経由)
館山 - 国道竹岡 - 上総湊駅前 - 国道富津浅間山 ⇔ 東京駅(降車は日本橋口、乗車は八重洲南口)(東京湾アクアライン経由)
館山 - 富津浅間山バスストップ ⇔ 東京駅(降車は日本橋口、乗車は八重洲南口)(東京湾アクアライン経由)
館山 - 富津浅間山バスストップ ⇔ バスタ新宿(東京湾アクアライン経由)
館山 - 富津浅間山バスストップ ⇔ 羽田空港 - 横浜駅(東京湾アクアライン経由)
館山 - 富津浅間山バスストップ ⇔ 蘇我駅 - 千葉駅 - 千葉みなと駅(館山自動車道経由)

路線バス 編集

  • 市内の路線バスは日東交通が運行している。

道路 編集

船舶 編集

浜金谷港フェリーターミナル
東京湾フェリー(かねや丸)

港湾 編集

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事 編集

名所・旧跡 編集

観光スポット 編集

自然 編集

施設 編集

  • 鋸山美術館(旧:金谷美術館)
  • TEPCO新エネルギーパーク(休業中)
  • 富津埋立記念館

温泉 編集

海水浴場 編集

  • 金谷海水浴場
  • 竹岡海岸海水浴場
  • 上総湊海水浴場
  • 新舞子海水浴場
  • 大貫中央海水浴場
  • 富津海水浴場
  • 津浜海水浴場(海水浴場開設休止中[12]

祭事・催事 編集

  • 真福寺御影供(4月21、22日)
  • 日本三大くも合戦(5月4日)フンチの横綱決定戦
  • 浅間神社羯鼓舞(7月第1日曜日)
  • 富津市民花火大会(7月第4土曜日)
  • 富津ふるさとまつり(8月16日)
  • 吾妻神社馬だしまつり(9月17日)
  • JAきみつ富津地区農業まつり(前身・富津市産業まつり)(11月第2日曜日)
  • 東日本大震災追悼花火in竹岡(3月11日前後)

名物・名産 編集

 
竹岡ラーメン(梅乃家)

文化財 編集

富津市の国・県指定および国登録文化財一覧[13]

番号 指定・登録 類別 名称 所在地 所有者または管理者 指定年月日 備考
1 国指定 記念物(史跡 弁天山古墳 富津市小久保字弁天3017-1他 富津市 昭和4年12月17日
2 内裏塚古墳 富津市二間塚1980他 富津市他 平成14年9月20日
3 記念物(天然記念物 竹岡のヒカリモ発生地 富津市萩生1176 皇神社 昭和3年11月30日
4 高宕山のサル生息地 富津市大字豊岡字南八郎沢1283他 国・他 昭和31年12月28日
5 県指定 有形文化財(建造物) 三柱神社本殿 富津市竹岡4452 三柱神社 昭和48年3月2日 1棟
6 有形文化財(絵画) 絹本著色清涼殿八宗論図 富津市小久保2204 真福寺 昭和56年3月13日 1幅
7 有形文化財(彫刻) 木造薬師如来立像 富津市湊219 東明寺 昭和29年3月31日 1躯
8 木造阿弥陀如来坐像 富津市上530 道場寺 昭和53年2月28日 1躯
9 木造虚空蔵菩薩坐像 富津市岩坂242-2 湊第七区(岩坂区) 昭和54年3月2日 1躯
10 銅造釈迦如来及び両脇侍坐像 富津市篠部937 万福寺 昭和55年2月22日 3躯
11 有形文化財(工芸品) 釈迦涅槃図(万治元年在銘) 富津市竹岡349-1 松翁院 昭和29年3月31日 1幅
12 有形文化財(考古資料) 金谷神社の大鏡鉄 富津市金谷4020 金谷神社 昭和41年12月2日 1個
13 記念物(史跡) 織本花嬌の墓 富津市富津36 大乗寺 昭和32年10月21日
14 内裏塚古墳(国指定の史跡を参照) 富津市二間塚1946他 千葉県 昭和40年4月27日
15 絹横穴群 富津市絹 個人 昭和41年5月20日
16 飯野陣屋濠跡 富津市下飯野 個人 昭和42年3月7日
17 大満横穴群 富津市岩坂 個人 昭和55年2月22日
18 記念物(天然記念物) 環ノ大樟 富津市東大和田12 興源寺 昭和10年3月26日
19 富津州海浜植物群落地 富津市富津2342-1他 国・千葉県・富津市 昭和29年12月21日
20 竹岡のオハツキイチョウ 富津市竹岡9 薬王寺 昭和40年4月27日
21 無形民俗文化財 吾妻神社の馬だし祭り 富津市西大和田・絹・中・岩瀬・上・近藤・八田沼 吾妻神社氏子 平成29年3月7日
22 国登録 登録有形文化財(建造物) 宮醤油店店舗他 富津市佐貫字西正石247 個人 平成19年7月31日 9件
23 山静堂主屋 富津市関尻字堂前483 個人 平成19年7月31日 1件
24 鈴木家住宅主屋他 富津市金谷字上原2288-1他 個人 平成22年1月15日 5件
25 加藤家住宅主屋 富津市笹毛字北舷1 個人 平成24年8月13日 1件

著名な出身者 編集

脚注 編集

  1. ^ JERA 富津火力発電所
  2. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、92頁。ISBN 9784816922749 
  3. ^ シコリ・疲労感ズシリ 決着はついたが『朝日新聞』1979年(昭和54年)6月18日朝刊 13版 23面
  4. ^ 中村雅和 (2022年10月3日). “品川区長選で異例の「再選挙」 トップ不在の臨時体制 今後の流れは”. 産経新聞. 2022年10月4日閲覧。
  5. ^ その後は2003年の北海道札幌市長選、2007年1月の鹿児島県西之表市長選、同年11月の千葉県市川市長選、2022年10月の東京都品川区長選など、2022年の時点で本件を含めて7例存在する[4]
  6. ^ 市川市長選、再選挙に 法定得票数に達せず 38年ぶり県内2例目”. 千葉日報 (2017年11月28日). 2022年3月28日閲覧。
  7. ^ 日本放送協会 (2018年5月10日). “再選挙ってなに?”. NHK選挙WEB. 2022年3月28日閲覧。
  8. ^ 歴代知事編纂会 1983, 931-933頁.
  9. ^ 日外アソシエーツ 1999, 346頁.
  10. ^ 富津っ子管理人. “富津「剥き子」さんのバカガイ加工技術と、どれも美味しい青柳メニュー/礒崎水産”. 富津っ子. 2019年6月7日閲覧。
  11. ^ “アオヤギ産地 富津”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 27. (1991年12月21日) 
  12. ^ 津浜海水浴場 | 富津市”. www.city.futtsu.lg.jp. 2019年6月7日閲覧。
  13. ^ 千葉県. “富津市の国・県指定および国登録文化財”. 千葉県. 2019年6月7日閲覧。
  14. ^ ゆかなの解説”. goo人名事典. 2021年10月21日閲覧。

参考文献 編集

  • 歴代知事編纂会 編集『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 第1、歴代知事編纂会、1983年。 
  • 日外アソシエーツ 編『現代政治家人名事典』日外アソシエーツ、1999年。ISBN 481691529X 

関連項目 編集

外部リンク 編集

行政
観光

地域情報