小倉明彦

日本の神経科学者、教育家

小倉 明彦(おぐら あきひこ、1951年7月3日[1] - )は、日本の神経科学者、教育家。大阪大学名誉教授。東京都中野区生まれ。理学博士東京大学 1981)。専門は神経生物学、とくに記憶の細胞機構。 

略歴 編集

業績 編集

イオンチャンネルの細胞膜上局在性の発見(高橋景一、H. Machemerと共同)、グリア細胞神経伝達物質受容体をもつことの発見(天野武彦と共同)、単一神経細胞内カルシウムイオン定量法(カルシウム顕微鏡)の開発(工藤佳久、尾崎一穂らと共同)、カルシウム濃度変動を指標とした神経回路網観測法の開発(天野武彦、工藤佳久らと共同)、海馬長期増強現象へのカルシウムの関与(工藤佳久、加藤宏司らと共同)、虚血性神経細胞死のカルシウム過負荷仮説の提唱(工藤佳久と共同)、カルシウム透過性グルタミン酸受容体の発見(工藤佳久と共同)、活動依存性神経細胞生存のカルシウム代謝回転仮説の提唱(冨永恵子と共同)、シナプス新生・廃止を伴うシナプス長期可塑性現象RISE・LOSSの発見(冨永恵子と共同)、ゆらぎ原理に従うシナプス新生過程の発見(冨永恵子と共同)、など[3]。 

教育家としての活動 編集

大阪大学新入生の五月病防止対策として「料理生物学入門」を開講した。受講生とともに料理しながら、食品や調理の意味や背景を解説する授業だが、「食品化学や調理科学を学ぶ」のではなく、「料理を題材にして科学を体感する」ことが趣旨だとする[4]。また、同趣旨の学外授業をしばしば行っている[5]。著書や訳書には、自作の漢詩[6]や自筆のイラスト[7]を載せる習慣がある。2021年1月NHKEテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」出演時にも、自作の漢詩の一節を披露した。

主な著書 編集

  • 「記憶の細胞生物学」 冨永恵子と共著、シリーズ生命機能3、朝倉書店 2011.
  • 「実況・料理生物学」 阪大リーブル30、大阪大学出版会 2011./文春文庫 お-70-1、文芸春秋 2017.
  • 「芸術と脳」 近藤寿人編、阪大リーブル42、大阪大学出版会 2013.
  • 「お皿の上の生物学」 築地書館 2015./角川ソフィア文庫 K-137-1、KADOKAWA 2020.
  • 「つむじまがりの神経科学講義」 晶文社 2020.

主な訳書 編集

  • 「細胞の分子生物学 第2版」 B. Alberts ほか著、中村桂子・松原謙一監修、大隅良典・桂勲・丸野内棣と共監訳、教育社 1990.
  • 「細胞の分子生物学 プロブレムブック」 J. Wilson ほか著、大隅良典・桂勲・丸野内棣と共監訳、教育社 1993.
  • 「ニューロンの生物学」 F. Delcomyn 著、冨永恵子と共訳、トッパン/南江堂 1999.

脚注 編集

  1. ^ 「日本紳士録」第80版 交詢社出版局 2007
  2. ^ 「人事興信録」第44版 興信データ 2007
  3. ^ 「記憶の細胞生物学」 朝倉書店 2011
  4. ^ 大阪大学教育実践センター編「魅力ある授業のために」 大阪大学出版会 2007
  5. ^ 例、大阪ガス「アカデミクッキング」
  6. ^ 例、「ニューロンの生物学」 トッパン/南江堂 1999 あとがき
  7. ^ 例、「実況・料理生物学」 大阪大学出版会 2011 本文、裏表紙、帯

関連項目 編集