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小書(こがき)とは、能楽の特殊演出のこと。番組で曲名の横に小さく表示することから、小書と呼ぶ。

解説編集

能の特殊演出には「替」(かえ)と「小書」の二種類があり、家元の許しを得て演ずることができるものを小書と呼び、家元の許しを必要としない、単なる装束の変更などは「替」と呼ばれている。家元の許しが必要な特殊演出を小書と呼ぶようになったのは、明治維新以降のことで、江戸時代に各家元が将軍家に上演可能な曲目の一覧を「書上」(かきあげ)として提出していたが、現在でいうところの「小書」は「習事」として記入している。小書をまったく持たない曲もあるが、小書を複数持つ曲も多く、複数の小書を組み合わせて曲を演ずることもある。

小書の一覧編集

表中の流儀の略称は以下の通り。

曲名 小書名称 流儀 内容
葵上 梓之出(あずさので) 観・宝・春・喜 巫女の謡の中でシテが出て二の句を謡ったあとサシ-下歌-上歌を省略し「梓の弓の音は」に続く。金春は替の扱い。
空之祈 シテ中入し、後シテ装束は緋長袴、長蔓となり祈の形が変わる。
小返之伝(こがえしのでん)
古式 世阿弥直筆本による演出。作り物・破車と前ツレ青女房が出る。
無明之祈(むみょうのいのり) シテ中入し、後シテ装束は緋長袴、長蔓となり祈の形が変わる。
長鬘(ながかずら) 喜・剛 後シテの装束が変わり長鬘を付ける。イノリの形が変わる。
安宅 勧進帳 観・喜 勧進帳をシテが独吟(常はシテ・ツレで棒読みに近い連吟)。
酌掛(しゃくがかり) 「酌掛之伝」とも。「落ちて巌に」で拍子を踏んで扇開いて角へ行き「鳴るは瀧の水」と謡ながらワキへ行き酌の形があり、その後の詞章が抜けて舞となる。橋掛かで酒をこぼす形がある。
延年之舞(えんねんのまい) 観・宝・喜 重習。舞の中に延年之手が入り三度飛び上がる形が入り緩急も変わる。宝生流延年之舞は葛野流大鼓の秘曲となっている。葛野流延年之手は掛け声が特殊となる。シテ方の流儀によって、何段目で延年之手を打つかが異なる。
滝流(たきながし) 「瀧流之曲」とも。クリ-サシ-クセを抜き「面白や山水に」で扇を角に落とし、数珠にて舞う。舞二段が過ぎて盤渉、橋掛リ欄干から流水を見る型あり、舞台に戻り扇を拾い上げワカで舞留。
貝立 泉・蔵 大蔵流は「貝立貝付」と呼ぶ。橋掛に出てほら貝を吹く形があり出立を知らせる。
遊僧之舞
安達原(黒塚) 白頭 観・宝
黒頭
長絲之伝 前シテの形の替。次第からロンギまで糸を繰る。
急進之伝 後シテの出が変わる。
敦盛 二段之舞 観・剛 前シテは草花を入れた籠に鎌を持つ。舞はニ段目に戦いの知らせで舞を留める形となる。番組変成で続く三番目物に舞があるときに限り付けられる小書。
青葉之会釈(あおばのあしらい)
語入 間語が逆になり、ワキが間に対して語る形となる。
海士 出端二段返(でわにだんがえし) 観・宝・春・剛・喜 「二段返応答」(にだんがえしのあしらい)、「二段返」とも。後シテ出端の囃子手組みが変わる。
懐中之舞 観・宝・剛・喜 玉之段を床几で舞う。
窕(くつろぎ) 観・剛 「窕之傳」とも。舞の途中、囃子方総流でシテ橋掛りに出てクツログ形が入る。
此筆之出 中入前の「この筆跡をご覧じて」の形が変わる。
脇能之式
三段之舞 早舞が三段になる。
舞返 舞の段数が増える。
解説之伝 後シテの装束が変わり輪冠白蓮戴、型も変わり舞が短くなる。
赤頭 玉之段を橋掛で舞う。後シテは面は橋姫、装束は赤頭、輪冠龍頂、大口、唐織壺折になる。重習。
替装束
変成男子 後シテ面は悪尉に変更し、装束を白頭、大龍戴、白狩衣、白半切に変える。持ち物は鹿背杖、経文となり形も変わる。
床几之型
八講
楽器 替間
嵐山 白頭 観・宝・剛 後シテの装束が代わり白頭になる。位が重くなり方も変わる。
祝言之式 翁付の番組で祝言切能として後半部分のみ演ずる。この場合「白頭」も付く。
猿聟(さるむこ) 替間。
蟻通 故実 立廻りの形が変わる。ワキ方に重い習いがある。
真之働
淡路 祝言之式
急々之舞
碇潜 船出之習
生田敦盛 替之型
一角仙人 酔中之楽
井筒 三度之次第
物着 観・宝・喜 シテ中入りせず物着、間狂言を省き、ワキ待謡と一声もない。大小に習の手が入る。
彩色之傳 「いつの頃ぞや」の後にイロエが入る。形も変わる。
刻詰之次第(きざみつめのしだい) シテの幕離れに大小の替手組みが入る。
下略之留(げりゃくのとめ)
段之序
古比之舞
段之序 剛・喜
鵜飼 真如之月 イッセイ後のサシ-下歌-上歌は省略、形が変わる。森田流笛では常は吹かない送り笛を吹く。早笛に緩急がつく。
空之働 「むなのはたらき」、「そらはたらき」と読む。イッセイ後のサシ-下歌-上歌は省略、形が変わる。
無間
浮舟 彩色
雨月 長序之働 真之序之舞のカカリを替える。
二度之返 「月は洩れ」の句を2度返す。
彩色之傳
右近 真之一声 翁付のときに用いるもの。シテの出が真之一声になり位が重くなる。
善知鳥 外之濱風 キリの謡と形が変わる。
替之翔 カケリの形が変わる。
組落シ 翔の型が変わる。
采女 美奈保之傳 クリ-サシ-クセを抜く、装束・形が変わる。
平調返 笛方の習事で、低い調子のアシライ吹きになる。舞や形も変わる。
干之掛 観・剛 序之舞のカカリが変わる。
彩色 剛・喜
小波之傳(こなみのでん)
彩色
和扇之舞(にぎおうぎのまい) 舞が変わる。
弄月之舞(ろうげつのまい) 舞が変わる。
素囃(しらばたらき) 一子相伝
習留(ならいのとめ)
江口 平調返 観・宝 笛方の習事で、低い調子のアシライ吹きになる。舞や形も変わる。
甲之掛(かんのかかり) 観・宝 「干之掛」とも。序之舞のカカリの譜が変わる。形も変わる。
脇留
彩色
合掌留
絵馬 寛之舞 神楽の二段目を過ぎたところでいきなり「面白や」と謡いだす。
五段之舞
女体 後シテ天照大神が常の男神から女神に替る。
大勢 替間
老松 長序之傳 舞の序が長くなる。
返留之傳 留の文句を繰り返す。
彩色之傳
彩色之働 春・剛
紅梅殿(こうばいどの) 観宝 後ツレ紅梅殿が出て三段之段を舞う。
紅梅天女合舞
紅梅天女
紅梅殿出 作り物が出る。
大江山 替之型
大社 神子神楽(みこかぐら) 蔵・泉 替間。
小塩 車之仕方
姨捨 弄月之舞(ろうげつのまい)
前後之替
大原御幸 庵室留 シテが作り物に入り留める。
寂光院 クセ後の法皇の詞、シテ謡を別の詞章に置き換える。
杜若 恋之舞 地次第の後「別れこし」からサシ-クセを省き、直ぐに「花前に蝶舞う」となり、序之舞の二段オロシで橋掛に行き影を映す型が入る。
彩色之傳 「色ばかりこそ」の後にイロエが入る。
素囃子(しらばやし) 観・春 序之舞がイロエに変わる。口伝の習いがある。
伊勢之傳(いせのでん) 遊女の霊が杜若の精と偽り現じて舞うというもの。形が変わる。
沢辺之舞 破掛序之舞となり、舞中に橋掛かりにて杜若を見込む風情となる。
袖神楽
日蔭之糸
増減拍子
盤渉
景清 小返 「日向とは日に向かう」に囃子の替えの手組みが入る。
松門之出
大返
杖之型
花月 替之型
柏崎 笹留 別名「笹拍子」
大返之傳 観・宝 地「頼もしや」の後に大小の手組みがはいる。宝生は「大返」と呼ぶ。
舞入
春日龍神 龍女之舞 「白頭龍女舞」とも。後ツレ龍女二人出て三段之舞を舞台と橋掛で合舞。謡の順序が変わり、後シテの装束も白頭に変わる。
白頭
別習・龍神揃 後ツレ龍女二人、竜神五人ほどでて橋掛に並び、シテが呼び挙げる。
町積(ちょうずもり) 替間で大蔵流の重習。
合浦 一拍子之傳 「一拍子」とも。ワキへ宝珠を渡しキリを一拍子で謡い出す。全体が重くなる。
葛城 大和舞 観・宝・春 舞が笛方の重習、アシライ吹きの「大和舞」に変わり、シテは幣を持って舞う。位が非常に重い。
脇留
神楽 宝・剛 惣神楽。舞が五段神楽になる。
鉄輪 早鼓 「早鼓之伝」、「中入之伝」とも。中入を早鼓に変更。前シテの装束も変わる。
兼平 長胡床(ながあぐら) 後シテの床几での形が長くなる。
賀茂 素働(しらばたらき) 前場ロンギがツレ謡に、後シテ装束が輪冠に雷状の戴が付き働の型も変わる。一子相伝。
御田 蔵・泉 替間。御田のみ単独で演ずることもある。
通小町 雨夜之傳 観・剛
杖之型
替装束
邯鄲 藁屋 作り物が藁屋になり、舞は盤式楽になる。
夢中酔舞 黒垂、唐帽子、法被着流に装束を変更。来序なく楽は二段ヲロシより地となり、座して「いつまでぞ」の謡に変わり、枕を狂言に渡す。梅若実日記30年6月12日に「楽バンシキニ段空下りナシ皆台ノ上」と記載があり、舞は一畳台の上のみで舞う形がある。
傘之出 宝・喜 蟻通と同型の長柄の傘で出る。
笠之次第 「笠」とも。シテは笠を持って出る。
盤渉 宝・剛 舞が盤渉楽になる。
十二段楽 舞が変わる。
月之働
置鼓
咸陽宮 ニ三返之傳 琴之段の謡の一部を繰り返す。
琴歌之独吟 別習。
菊慈童(枕慈童) 前後之習
遊舞之楽
木曽 願書 この小書が付かない場合は「願書」を読まない。
恐之舞(かしこみのまい) 舞の形が変わる。
梓之出
清経 恋之音取 観・宝・春・剛・喜 シテの出が「恋之音取」という特殊なアシライ吹きになる笛方の重習。宝生、喜多では「音取」、金剛では「披講之出端」と呼ぶ。
曲中之会釈(くせなかのあしらい)
替之型
金札 古式 後ツレ天女が出る。
国栖 白頭 観・宝・春・剛 後シテ装束が白頭になり装束も変わる。位は重くなる。
天地之声 後シテ幕内から「王を藏すや」と謡い出し「即ち姿を」で舞台に走り入る。このとき白頭になる。
熊坂 替之型 後シテは床几にかからず安座し、地より立って舞う。
床几之形
長床几(ながしょうぎ) 後シテ、常より長く床几にかかって形を行う。
青野ヶ原道行 ワキの語。
鞍馬天狗 白頭 観・宝・春・喜 後シテ装束変わり白頭。位が重くなる。
白式 白頭で装束が白基調に変わる。
素翔(すのかけり) 重習。
素働 白頭の重習、一子相伝。
別習・天狗揃 後ツレ多数出て橋掛に天狗が並びシテが呼び挙げる。前場で子方が多数でるため「稚児揃」と呼ぶことがある。
大勢
車僧 黒頭
白頭
呉服 脇能之式
祝言之式
作り物出 機台の作り物が出る。十六世宝生九郎「謡曲口伝」には、呉服の作り物は「替」の扱いだったとしている。
源氏供養 舞入 観・宝・剛・喜 イロエに替えて破掛中之舞を入れる。
脇留 観・剛 「脇留之傳」とも。
真之舞入 松平出雲守の注文で作った小書。クセを源氏五十四帖の名前を織り込んだものに変更し序之舞を追加する。
語入 ワキの語りが入る。
玄象 窕(クツロギ) 観宝剛 早舞の途中で囃子方総流しの内にシテ橋掛に出てクツログ型が入る。
脇能之式 「初能之式」とも。
早装束 間狂言を省く。
替之型 梅若家にある小書。
舞返 宝・剛 舞が五段+五段になり緩急が付く。
源太夫 楽拍子
恋重荷 彩色之傳
小鍛冶 黒頭 後シテ黒頭になり、位が急になる。
白頭 観・宝・喜 前シテは尉、後は早笛なく働も抜く。緩急が付く。白頭は「神狐」とする。
黒頭別習 一子相伝、前シテは喝食、稲穂を持つ。後シテ面は狐蛇、乱序で出て緩急が付き動きはさらに急になる。黒頭は「霊狐」とする。
小袖曽我 替之型
小督 恐之舞 かしこみのまい。舞が変わる。作り物の片折戸を置く場所が変わる。
替装束 後シテは装束を替え、袴は大口から指貫になる。
胡蝶 物着 (文化2年の書上に記載があるが、現行謡本に記載が無いので、おそらく廃止された小書)
脇留之伝 (文化2年の書上に記載あり)
西行桜 比多杖之伝
杖之舞 序之舞を杖で舞う。
素囃子
彩色 序之舞がイロエに変わる。
脇留
杖之型 宝・剛
序之拍子
流木留
逆鉾 替装束 後シテの装束が白頭、または黒頭になる(黒頭は替の扱い)。
祝言之式
白式 装束がすべて白になる。宗家のみの一子相伝。
桜川 舞入
実盛 長胡床(ながあぐら) 後シテの床几での形が長くなる。
七騎落 恐之舞 舞の形が変わる。
自然居士 忍辱之舞(にんにくのまい) クリ前に舞が入る。
石橋 大獅子 前シテ尉、後は白頭1、赤頭1の二人、または、白1、赤3の4人出て相舞。獅子の段数も変わり作り物も変わる。
師資十二段之式 獅子の段数が変わる。
連獅子 宝・春・剛・喜 白と赤の2人で相舞。金剛は「和合連獅子」とよぶ。
古式
狻猊之式(さんげいのしき) 白1赤2の三人相舞。
俊寛 落葉之伝 「落つる木の葉の盃」の形が変わる。
鍾馗 黒頭 後シテ黒頭、動きが早くなる。
白頭
昭君 舞働 「おどろを戴く」の後に舞働きが入る。
早装束 後シテ中入の後、すぐ早笛二段で子方が出る。替の扱い。
猩々 観・宝・春・剛・喜 重習。舞が乱になる。
乱掛
乱留
双之舞 猩々二人出て、乱を合舞。
壺置 観・剛・喜 壺の作り物が出る。喜多は「壺出」。
乱和合 猩々二人でて乱を合舞。
乱膝行 乱の途中にワキへ膝行する形がある。宗家の披で出ることが多い。
七段乱 乱の段数が常の五段から七段になる(他流は常が七段)。
七人猩々 猩々7人出て壺の作り物が出る。
九段 乱が九段になる(常は七段)。
正尊 起請文 常は起請文を読まないが「自筆にこれを書き付け御前に於て読みあぐる」と起請文を読む。
翔入(かけりいり) 「おめきさけんで戦ふたり」の後にカケリが入る。
白髭 勧進聖 替間。
代主 知波夜之傳(ちはやのでん) 「知波夜之舞」とも。
須磨源氏 早舞の途中でシテ橋掛に出てクツログ形が入る。
隅田川 彩色 観・剛 「我思う人はありやなしや」の後にイロエが入る。金剛は「後之彩色」と呼ぶ。
鉦之音 念仏の鐘の打ち方が変わる。
六字鉦鼓 同上。
住吉詣 悦之舞
移リ舞
蘭拍子
誓願寺 三躙(みつのひょうし) クセ冒頭「聖衆来迎す落日の前とかや」に拍子が入る。
乏佐之走(ぼうさのはしり) 「乏佐之翔」(ぼさがけ)とも。序之舞を立廻りに変える。クセを抜くこともある。
来迎拍子(らいごうびょうし) 宝・剛
札之仕形(ふだのしかた)
善界 白頭 観宝 後シテ装束変わり白頭、位が重くなる。
黒頭 昔は観世に白頭はなく黒頭のみだったとの記載が謡曲秘伝にある。
関寺小町 筆染之傳 クセのアゲ羽後「硯を鳴らしつつ」の形が変わる。
移拍子之傳 子方舞の後「幾久しさぞ万歳楽」の後に扇で二つ拍子を入れる。
殺生石 白頭 観・宝 作り物なくシテは幕に中入り。後は幕の内から謡い出し、面は野干、装束は白頭、白狩衣と白基調に変更する。「二つに割るれば」でシテ幕より舞台に走り入る。後の型も変わり緩急がつく。
女体 後シテは泥眼、白垂、天冠に狐戴、緋大口、白狩衣の女体。シテ橋掛かりで仏倒れがある。
蝉丸 替装束
替之型 蝉丸をシテ、逆髪がツレ(双シテ扱いも多い)。道行は笹を持って橋掛りで舞う。
舞入
琵琶之会釈(びわのあしらい)
千手 郢曲之舞(えいきょくのまい) 単に「郢曲」とも。謡の一部を省略し形が変わる。舞がイロエ掛りになる。
草子洗小町 彩色
乱拍子 乱拍子が入る。
卒都婆小町 彩色
一度之次第
中略 「中之下略」とも。
習留(ならいのとめ)
三度返之次第
大会 大勢
当麻 初能之式 装束変わり、舞は黄鐘になる。
三番目之式
二段返 後シテの出端の囃子手組みが変わる。
乏佐之走(ぼうさのはしり) 舞がイロエに変わる。
窕之傳(くつろぎのでん) 舞の中で総流しにて橋掛りに出てクツログ形が入る。
高砂 流シ八頭 観・宝・春・剛・喜 「八頭之形」「流八頭」とも。
流之型
八段之舞 神舞五段+急之舞三段に変わる。緩急が付く。
祝言之式 観・剛・喜
太極之伝
作り物出 作り物の松立木が出る。形も変わる。
真之型 春剛 金剛は「真之習」と書くこともある。
無序破急之伝
七五三之出端
祝言之掛
祝言之舞
真之掛之舞
真之掛留
真之舞
真之留
忠度 替之型 前シテ負芝に花を付ける。後シテは形が変わり立廻りを抜く。
龍田 移神楽 神楽を扇で舞う。
神楽留 「三段神楽」とも。神楽を地直りせず三段で留める。
二段之舞留
七震応答(ななつゆりあしらい) 神楽の笛の譜が変わる(五段神楽)。
玉井 貝尽 替間
田村 長胡床(ながあぐら) 床几での形が長くなる。
替装束
替之型
白式 前後とも装束変わり、白を基調としたものになる。位が上がる。
長床几 長胡床とほぼ同じもの。
白式
祝言之翔
白田村 装束が白基調のものになり、面は天神に変わる。
竹生島 翁付之式 観宝
女体 剛・喜 後シテと後ツレが逆転し弁財天がシテ、天女舞は盤渉楽に変わる。留は謡の終了の後1クサリ残り弁財が常座でトメ拍子を踏む。
道者 喜多流小書・女体のときに出る替間。
土蜘蛛 入違之伝 前シテの退場とワキ登場が橋掛り上で入れ違いになる。
黒頭 観・宝 後シテ黒頭で位が急になる。宝生は替の扱い。
替装束
千筋之伝
欄干越
替之型
ささがに 近年になって作られた小書。「かに」が二人出る。
土車 小返
経正 古式
烏手(からすで) 笛方森田流の重習、シテの出が特殊なアシライ吹きになる。
鶴亀 曲入 巴園の曲を追加しシテが舞う。小習事。
定家 闇夜ノ一声 後シテ出の一声が変わる。
和扇之舞(にぎおうぎのまい) 舞の形が変わる。
心味ノ拍子
埋留(うもれどめ) キリの形が変わり作り物の中で留める。
九ケ之傳 替の手組(詳細不明)。重習。
天鼓 弄鼓之舞(ろうこのまい) 前シテ、イッセイ-サシ-下歌-上歌を抜き、ワキの呼び掛けで出る。常は太鼓無いが太鼓が入り舞は盤渉楽になりキリの形も変わる)。
盤渉 楽が盤渉になる。
呼出
東岸居士 橋立
橋柱 謡を追加する(『謡曲秘伝書』に記載あり)。
道成寺 赤頭 「赤頭之傳」とも。前の装束も変わり、後シテは赤頭を付け、面は真蛇となる。
中之舞数躙(なかのだんかずびょうし) 乱拍子の型が変わる。
無躙之崩(ひょうしなしのくづれ) 乱拍子の留が変わる。
五段之舞 急之舞が五段になる。
次第三遍返 梅若家の小書。
乱拍子鱗返之傳 梅若家の小書。
赤頭替装束 梅若家の小書。
古式 前シテの面が曲見から孫次郎になり、装束も無紅唐織から紅入唐織となる。烏帽子は前折、乱拍子が八段から六段に変わる。後シテは不動頭を被る。
赤頭 赤頭をかぶり法被、半切。急之舞は五段。
東方朔 桃仁 替間。官人1、仙人3、桃仁の精が出る。
唐船 干之掛応答(かんのかかりのあしらい) 楽のカカリに替の譜、手組みが入る。
盤渉 観・宝 舞が盤渉楽になる。
棹之掛 さおのかかり。
道明寺 笏拍子 「笏拍子之傳」とも。「取るや笏拍子とうとう」から楽の初段までシテは笏で拍子を打ちながら舞を舞う。
神楽之傳
観・宝・剛・喜 舞の中に橋掛でクツロギがある。
今合返(こんごうがえし) 次第を返して謡うワキ方の習。
酌之舞 観・宝
笏之舞 観・宝・春・喜 前シテのサシ-下歌-上歌を省略、後シテは笏を持ち舞が変わり、キリは幕に舞い込み脇留。
脇留 観・剛
舞返 「舞返之伝」とも。舞が盤渉五段+急之舞三段になる。
十三段之舞 観・剛 五段早舞+五段舞返+三段急之舞になる。
思立之出 観・喜 ワキ方の習いで「思い立つ」以下の謡が変わる。
白式舞働之伝 全身白い装束なのに黒頭で初冠。
舞留
遊曲 宝・春・剛・喜
袖之留
曲水之舞
木賊 早開之傳(はやひらきのでん) 舞を省略し形も変わる。
ヒットリの序 序之舞のカカリに替の譜を使う。
朝長 懴法(せんぼう) 観・宝・春・剛・喜 太鼓方の重習。シテの出端が特殊なものに変わる。
三世十方之出(さんぜじゅっぽうので) 観剛喜
大崩之語 ワキの替語。下掛宝生流の一子相伝。
草間 替間
鳥追舟 大返 地「打つ鼓」の後に三クサリ囃子方の替の手組みが入る。
仲光 愁傷之舞(しゅうしょうのまい) 舞の中にシオル形が入る。
難波 恐之舞(かしこみのまい)
鞨鼓出之傳 鞨鼓台が出る。
六ノ拍子(ろくのひょうし) 六躙と書く場合もある。
錦木 鸚鵡盃之舞(おうむはいのまい) 後の形が変わり「杯の」でツレの前で扇にて両手で杯を受ける型が入り、その後常座へ行き破掛急之舞となる。
白頭 観・宝・春・剛・喜 白頭になり装束も変わり位が重くなる。喜多は面に青飛出を使うこともある。
野宮 平調返 序之舞のカカリが平調という低音の譜に変わる。
千之掛 観・剛 序之舞のカカリが変わる。
火宅留 観・春・剛
合掌留 観・宝・喜 破之舞の留に扇を鳥井に置き合掌する型が入る、キリの型も変わる。
車之傳 宝・剛・喜 金剛「車出之傳」、喜多「車出」。車の作り物が出る。
破舞留
野守 白頭 サシ-下歌-上歌を省き作り物へ中入り、後は装束変わり白頭、舞働を省略しキリの形が変わる。
黒頭 後シテ黒頭ほか装束が変わる。
天地之声 白頭・黒頭と併用。作り物出ず、シテ中入し装束と形が変わる。後シテの持つ鏡が特大のものになる。
急之留
白頭
黒頭
居留 曲の留が飛安座になる
白楽天 波夜陀麻之傳(はやたまのでん) クセを抜き舞が変わる。
長序 舞のカカリが変わる
鶯蛙(うぐいすかわず) 替間。
羽衣 和合之舞 序之舞と破之舞が連続する。ワカから「舞の袖」までは省略。
彩色之傳 羽衣では最も重い小書。クリ-サシ-クセが抜け地次第の後すぐに「南無帰命天子」となり、序之舞は盤式。破之舞はイロエに変わり緩急がつく。
脇留 シテが幕に舞込み、脇が留拍子を踏む。
盤式 宝・剛 序之舞が盤渉になり、キリでシテは幕に舞い込んで脇留、地謡の最後「失せにけり」がなく囃子のアシライで留める。
替之型
床几之物着 春・剛
舞込
霞留
雲井之舞
半蔀 立花供養(りっかくよう) 観・宝・剛・喜 立花の作り物が出て、形も変わる。ワキの語りが入る。宝生では「立花」と呼ぶ。
替之型
橋弁慶 笛之巻 前場を「笛之巻」に変え、曲名も「笛之巻」になる。
弦師 替間。
芭蕉 三度之次第 「芭蕉に落ちて」の次第が3度繰り返しになる。
蕉鹿(しょうろく) 08/12/03に国立能楽堂で出ている(詳細不明)。
刻ツメ之次第
平調返
鉢木 替装束
黒頭
花筐 筐之伝 後シテ籠を打ち落とされた後の謡が変わり、クルイは籠を持って舞う。
大返 観・宝・剛・喜 「大返之傳」とも。クルイ「恐しや」の後に囃子方の替手組みが入り、シテの立廻りが付く。
舞入 観・宝・剛・喜 イロエを破掛中之舞に変える。
安閉留 「女御留」とも。キリの詞章が変わる。
班女 笹之傳 観・剛
替之型
彩色
檜垣 彷彿之一声(ほのかのいっせい)
老少之出(ろうしょうので)
掛索之手
舞出之拍子(まいでのひょうし) 「舞之出躙(まいのでびょうし)」とも。
雲雀山 脇留
大返
氷室 白頭 観・宝 後シテの装束変わり面はべし見悪尉、白頭。
百万 法楽之舞 「わが子の行へ」の後に笹を持ったまま三段之舞が入る。初段オロシに下ニ居で合掌の形がある。クリを省きクセも笹を持って舞う。
替之型
舞入 宝・剛・喜
六字留 六字留は金春流太鼓方の習事。
富士太鼓 現之楽 楽が緩急のあるものに変わる。舞の途中で橋掛へ出て鞨鼓台を見込む型が入る。キリの形も変わる。
替楽 (梅若実日記の明治24年4月29日、宝九郎「富士太鼓替楽」とある)。
狂乱之楽 剛・喜
藤戸 蹉た之傳(さたのでん) キリの型が変わりイロエが入る。
後之出端
替装束
先陣楽器
大根渡
替語
二人静 立出之一声(たちいでのいっせい) 観) 常のツレがシテに代わり、クセ・序之舞は菜摘の女ひとりで舞う。静の霊は一の松で床几にかかる。
船弁慶 前後替 中之舞が序之舞になり、後シテの出が変わる。
重前後之替 イロエを抜き、中之舞は盤渉序之舞に、後シテの出が変わり残留。
早装束
緩之傳 くつろぎのでん。
白式 片山家の小書
後之出・留之伝
無明之祈
白波之伝
遊女ノ舞
替ノ出
語入 「船中之語」とも。ワキの替語。
名所教 替間。船中で名所を挙げる替語。
巻絹 替装束 ツレ装束が変わり梅の枝に幣をつけて持つ。神楽の形が変わりキリは緩急が付き脇留となる。
出端之傳
彩色之傳
神楽留 神楽が直らず留になる。
五段神楽 神楽が惣神楽となる。
イロエ
替装束
松風 見留(みとめ) 観・宝・春・喜 破之舞の留で橋掛から作り物の松を見込む型が入る。
村雨止
曲ノ出打切 クセ前「哀れに消えし浮き身なり」の後に打切が入る。
曲中打切 クセの上ゲ羽前に打切が入る。
五段之物着 物着アシライが変わる。
戯之舞 観・喜 中之舞の中で松を回り、松に付けた短冊をとって「立ち別れ」と謡い破之舞を抜く。他の形も変わる。
中ノ止
脇留
真留
灘返 宝・春 「灘の汐汲む」の謡いを繰り返す。
身留(みどめ) 春・喜
戯之舞(たわむれのまい)
松虫 勧盃之舞(かんぱいのまい) クセ留「舞い奏で遊ばん」でワキがシテに酒を勧め、これを受けて舞となる。二段オロシを省き橋掛にてワカで舞留め。キリはシテ幕へ入りワキ留。
松山鏡 急之留
舞働
松山天狗 三段之楽
三井寺 無俳之傳(をかしなしのでん) 前シテ装束は壺折、笠、守りをかける。間狂言との問答なく、後シテも装束が変わる。
三輪 誓納(せいのう) 「素働誓納」とも。一子相伝の重習。神楽の形が変わり装束も変わる。
二段舞留 神楽二段を待った後、幣を捨て替の四段、五段を舞う。
素囃子 「千早振…」の後の神楽を抜き、直ぐに「天の岩戸」と続き「常闇の世と早成りぬ」の後に神楽を幣で舞う。
彩色之傳 「常闇の世と早成りぬ」の後にイロエが入る。
刻詰之次第 シテ幕離れに囃子方の替の手組みが入る。
諸神楽 笹で神楽を舞う。
白式 後の装束が喝食蔓に白大口、白狩衣となり作り物の引き回しも白になる。ロンギ「隠れ神を出さんとて」の後作り物から出て短い舞があり作り物の前に座す。その後「岩戸の前にて是を嘆き」と立って神楽、神楽の直りで橋掛りに出、囃子方総流しにて作り物のうちに戻り、地「神楽を奏して」に続き「岩戸を少し開き給えば」でシテ作り物より出て立廻り、橋掛りに行き留める。
白式神神楽 誓納に対抗する重習。
誓納 宗家方とは別の誓納。
神遊
神道 観世の誓納に匹敵する重習。
三光 金春信高の作、観世・誓納、片山・白式神神楽に対抗したもの。
岩戸之舞 (2004/11/19 国立能楽堂 喜多流シテ:香川靖嗣)。
室君 阿母利之舞(あもりのまい) 中之舞を神楽三段に変える。
望月 古式 獅子頭が白頭になり、形が変わる。
紅葉狩 鬼揃 前後ともツレ多数(通常三人)出て、形、装束とも変わる。
曲舞之会釈(くせまいのあしらい) 謡曲秘伝書に小書名のみ記述がある。
盛久 恐之舞(かしこみのまい) 男舞のヲロシ省略し拍子を踏まない。
夢中之出 替の扱い。道行を省略する。
真之掛
屋島(八島) 弓流(ゆみながし) 観・喜 後の装束変わり「くつばみを浸して攻め戦う」の後にイロエが入り扇を落とす形がある。床几を小鼓方と替え、真之床几で形を行う。大習。
素働(しらばたらき) 弓流の中で弓を拾いに行き流れ足の形が入る。キリは大小流しにシテ幕に入りワキが留める。
脇留
大事(だいじ) 大習。
那須ノ語 間の語りが変わる。大習。
那須与市語 間の語りが変わる。
嗣信ノ語 間の語りが変わる。
山姥 白頭 後が白頭になり形も変わり位が重くなる。
雪月花之舞 観・宝 古くは「法会初能之式」とも。宝生では「雪月花」とよぶ。立廻の部分にシテ「吉野龍田の花紅葉」、地「更科越路の月雪」の一句入り三段之舞になる。
二重踞(ふたえのひょうし)
長杖之伝 「長杖」とも。クセをすべて杖で舞う。
杖之型 上に同じ。
杖拍子
夕顔 山ノ端之出(やまのはので) シテは作り物の中にあり、ワキ道行後の「五条あたりにありげに候」に対し「山の端の心も知らで行く月の」と謡いかけ、以降掛け合いとなる間に後見引回しをはずす。以降は謡、形も変わり緩急が付き位は重くなる。
法味之傳(ほうみのでん) サシ-下歌-上歌を抜く。
合掌留
雪踏拍子 舞の中の拍子が特殊な踏み方になる。
遊行柳 青柳之舞 序之舞が一段で終わる。
朽木留 観・宝 舞の前後の方が変わる。シテは作り物に入り留。クセを省略することもある。
弓八幡 三段之舞 神舞が三段になり緩急も変わる。
熊野 村雨留 中之舞の途中で村雨のため舞を止める形になる。
膝行留 舞の終わりで短冊に和歌を書きワキへ膝行で渡す型が入る。
読次之傳 文之段でシテ、ワキが文を分けて読む。
墨次之傳 短冊を書くときの墨を取る形が変わる。
一式之習 四つの小書(村雨留、膝行留、読次之傳、墨次之傳)すべてを付けて演ずる。
膝行 宝・春・喜 膝行留とほぼ同じ。
三段之舞 宝・春・剛・喜
漆膠(しっこう)
短冊之傳
花之留
楊貴妃 甲掛リ 「干之掛」とも。序之舞のカカリの笛アシライが変わる。
彩色之舞 舞のほかにイロエを追加する。
臺留(うてなどめ) シテは宮に入り残留になる。
玉簾 宝・春・剛 小宮の作り物を鬘帯で飾る。形も変わる。
夜討曽我 十番斬 五郎、十郎仲入りせず後見座に引き物着、間狂言が終わり「十番斬」の謡が入り切組、その後常の一声「寄せかけて」に続く。
養老 水波之伝 後シテ装束は黒頭・芍薬輪冠。間狂言なく後ツレ出る。舞台左を波、右を水と縦二分し、シテは波側、ツレは水側で境界を踏み出さない心得で舞う、後シテは急之舞五段、初段オロシ後は盤渉となり緩急が激しく位は急となる。
彩色之傳
祝言之式
吉野静 応変之舞(おうへんのまい) 舞の段数が変わる。
吉野天人 天人揃 シテと同じ出で立ちの後ツレが4人または6人出て、舞台、橋掛で相舞になる。
弱法師 盲目之舞
双調返 梅若家の小書。
双調之舞(そうじょうのまい) 中之舞が黄鐘から双調と低くなる。
舞入
雷電(妻戸) 替装束 前後とも装束が変わる。
舞入 後シテ装束が変わり早舞を舞う。
龍虎 白頭 後シテ装束変わり白頭。
輪蔵 比多杖之傳(ひたえのでん) 楽を杖で舞う。
鉢叩 替間
篭太鼓 舞入 「涙にむせぶ心かな」の後に中之舞が入る(「宝生流謡本」参照)。

参考文献編集

関連項目編集