屋島 (高松市)

香川県高松市にある地区

屋島(やしま)は、香川県高松市東部にある一地区で、高松市役所屋島出張所の管内。屋島中町、屋島東町、屋島西町の3町からなる。かつては全域が「木田郡屋島町」(やしまちょう)として存在し、1940年昭和15年)2月11日に高松市に編入された。地区の中心に観光地で高松市のシンボルである「屋島」が存在する。

屋島地区
やしま
日章旗 日本
地方 四国地方
都道府県 香川県
自治体 高松市
旧自治体 木田郡屋島町
面積
10.44km²
世帯数
9,195世帯
総人口
21,115
登録人口、2012年10月1日現在)
人口密度
2,022.51人/km²
隣接地区 高松市古高松地区
高松市牟礼地区
高松市木太地区
海上を隔てて隣接
高松市本庁地区、高松市庵治地区
高松市女木島
高松市役所屋島出張所
高松市役所屋島出張所
北緯34度20分37.4秒 東経134度6分4.8秒 / 北緯34.343722度 東経134.101333度 / 34.343722; 134.101333座標: 北緯34度20分37.4秒 東経134度6分4.8秒 / 北緯34.343722度 東経134.101333度 / 34.343722; 134.101333
所在地 〒761-0112
香川県高松市屋島中町449番地1
屋島地区の位置(香川県内)
屋島地区
屋島地区
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潟元駅周辺地区を中心として隣接する古高松地区と一体化し、8つある高松都市圏地域拠点の1つを形成する。

地理 編集

地区は高松市北東部に位置し、山岳「屋島」を中心として古高松地区から瀬戸内海に半島状に突き出た島である。人口は2010年(平成22年)時点で2万1563人(男1万413人/女1万1150人)、世帯数は9229世帯で[1]、2010年までの10年間では減少傾向にある。面積は10.44km2[2]、人口密度は1平方キロメートルあたり2022.51人で、これでも高松市の平均の約2倍の高さであるが、屋島地区の場合は地区の中心に位置する山岳「屋島」が多くの面積を占めているため可住地面積は非常に狭く、事実上の人口密度は非常に高い。高松市中心部とは独立した拠点性のある市街地を有するが、都市としては高松市中心部と連続したベッドタウンとしての性格がある。

地形 編集

地区の中心には標高292.1mの山岳「屋島」が位置し、南部はその麓に張り付くように住宅などが密集している。その土地のほとんどが古代の干拓地か戦後埋め立てられた塩田跡地で、かつては山岳「屋島」のみが位置する平地が非常に限られた島であった。埋立が進み市街地化した南部に対し、半島状をした屋島の先端にあたる北部は、断崖絶壁「長崎ノ鼻」に代表されるようにほとんど開発がされておらず、山の斜面がそのまま海に落ち込む本来の姿が残されている。県道150号屋島停車場屋島公園線を利用することにより北部の麓を周回することが出来る。

地区は埋立が進んだ現在でも本土とは独立した島であり、相引川によって本土部分の古高松地区と隔てられている。その相引川は水位調整のための水門が設置されるまでは淡水海水が混ざり合い、干潮時には東西へ潮が引いていく光景が見られた。なお、屋島西町のうち字百石は相引川を越えた旧国道11号までが範囲で、逆に古高松地区の高松町のうち字横山は相引川を超えた屋島内までを範囲としており、屋島地区は厳密に相引川を以って境界としているわけではない。その他、旧新浜塩田・古浜塩田の埋立地である屋島西小学校や県営屋島団地のある地区も周囲が汐入川で隔てられた島である。

香川県の典型的な平野の特徴として、この地区でも屋島山麓に沿うように渇水対策のため池が多数存在する。屋島西町には長池などよく知られた池も存在するが、特に屋島東町には小規模な池が多数存在する。

檀ノ浦と壇ノ浦 編集

 
南麓で望む屋島
 
地蔵寺で望む屋島
 
地蔵寺の門前で西尾根を望む

屋島東町の檀ノ浦は、治承・寿永の乱(源平合戦)の屋島の戦いの舞台となった古戦場であるが、山口県下関市にも同音の壇ノ浦が存在する。下関の壇ノ浦に対して屋島の檀ノ浦は「檀」の左側が「つちへん」でなく「きへん」であり、加えてどちらも源平の古戦場であるため紛らわしく、しばしば両者が混同されることがある。

屋島の景観 編集

高松市のシンボルである屋島は南北に細長く、日常的に高松市民は山の上が平たい屋根のような形を見慣れている。しかし、屋島の麓であるこの屋島地区やお膝元である古高松地区からは、細長い屋島の断面を見るような構図になるため、平べったいとか細長い印象はほとんど無い。また、地区から見える屋島の南端は頂上付近の崖がむき出しになっており、地区民が日常的に見る屋島の景観は大多数の高松市民のそれとは大きく異なっている。

人口 編集

2002年(平成14年) 23,780人
2003年(平成15年) 23,823人
2004年(平成16年) 23,653人
2005年(平成17年) 23,239人
2006年(平成18年) 22,869人
2007年(平成19年) 22,269人
2008年(平成20年) 21,991人
2009年(平成21年) 21,729人
2010年(平成22年) 21,563人
高松市 / 登録人口10月1日時点)

隣接する地域 編集

* 高松市本庁地区、庵治地区、女木島は海上を隔てて隣接。

高松市屋島出張所管内 編集

  • 屋島中町 761-0112
  • 屋島東町 761-0111
  • 屋島西町 761-0113

歴史 編集

この地区はその名が歴史上に広く登場する歴史の重要な舞台である。地区中央に位置する山岳「屋島」には天智天皇が築いた古代山城屋嶋城」(やしまのき)や鑑真によって開創した屋島寺があるほか、地区東部の檀ノ浦は那須与一が扇の的を射抜いた故事で有名な源平合戦「屋島の戦い」の舞台となっている。→詳細は屋島町を参照。

1940年昭和15年)2月11日に高松市の一部となる。高松市への合併に伴い設定された町名のうち、区域は合併前の大字、すなわち1890年明治23年)の町村制施行前における自然村の区域をそのまま継承したが、名称は東潟元→屋島中町、西潟元→屋島西町、屋島→屋島東町に改称された。

合併から1年後には太平洋戦争に突入し、屋島地区でも屋島神社参道が整地拡張されて飛行機の秘匿場所となったほか、戦争の末期にあたる1945年(昭和20年)春には隣接する古高松地区に本土決戦に備えた緊急用の「陸軍屋島飛行場」(Kirai Airfield)の建設が開始される。この緊急用飛行場は結局使用されることは無かったが、同年7月4日高松空襲の際にはこの屋島飛行場を狙ったと思われる空襲が失敗し、屋島山上の獅子霊巌(屋島東町)部分が被爆した。

戦後になると潟元など現在の地区の大部分を占めていた塩田イオン交換膜製塩法の普及でその全てが埋め立てられ、その広大な空き地は宅地や公共施設用地などに利用されるなどで高度経済成長期には屋島地区は高松市有数のベッドタウンとして人口が急増した。

年表 編集

高松市編入以前は「屋島町」を参照

町名の変遷 編集

実施後 実施年月日 実施前
屋島中町 昭和15年2月11日 大字東潟元
屋島東町 大字屋島
屋島西町 大字西潟元

経済 編集

高松市の平均と比較して第一次産業(-2.3%)及び第二次産業従事者(-1.7%)の割合がやや低く、第三次産業従事者(+4.0%)の割合がやや高い。

第一次産業 編集

  • 就業者数:127人、構成比:1.2%(2005年国勢調査)[4]

屋島西町・屋島中町には住宅地が多いため住宅地の間を縫うようにわずかなが存在する程度である。それに対し屋島東町には住宅地が少なく、屋島の斜面に張り付くように農地が存在し、麓の平地にも存在する。また、明治初期には屋島の木々を利用した林業が多く行われ、長崎鼻港、石場港、立石港から機帆船によって木材が積出されていた[5]が、2005年(平成17年)の林業従事者は2人にまで減少した。また、屋島西町の浦生集落は浦生漁港を中心とした漁村であり漁業従事者も多い。地区全体の漁業従事者は2005年(平成17年)時点で34人であり、香西地区下笠居地区とほぼ同数である。

第二次産業 編集

  • 就業者数:1821人、構成比:17.7%(2005年国勢調査)[4]

地区内は土地が狭く、その土地の多くが住宅地として利用されているため企業の立地は少ない。周辺に立地する企業の多くは古高松地区に位置する。

第三次産業 編集

  • 就業者数:8356人、構成比:81.1%(2005年国勢調査)[4]

ベッドタウンという性格上住宅地が多いため近隣商業が中心である。大型ショッピングセンター「パワーシティー屋島」は地区内はもとより隣接する古高松地区からも集客がある。2007年(平成19年)4月19日にショッパーズモール屋島跡に西村ジョイ屋島店が開店し中四国最大級のホームセンターとなった。

主な商業施設
主な企業
  • 四国総合研究所
  • 百十四銀行屋島支店
  • 香川銀行潟元支店
    • 香川銀行の屋島支店は古高松地区内の高松町に位置するため、この支店は潟元支店としている。
  • 銀星自動車学園
  • パナソニック電工四国営業所・リビングショールーム高松

教育 編集

大学
小学校・中学校
幼稚園・保育所
  • 高松市立檀浦幼稚園
  • のぞみ幼稚園(私立)
  • やしま幼稚園(私立)
  • 屋島教会幼稚園(私立)
  • 高松市立屋島保育所
  • あすなろ保育園(私立)

行政 編集

主な行政施設

生活 編集

公共施設[6][7][8]
  • 屋島郵便局
  • 高松市屋島競技場
  • 屋島少年自然の家
  • 香川県水産試験場
  • 高松市東部下水処理場

(コミュニティセンター)

  • 屋島コミュニティセンター(公民館
  • 屋島東コミュニティセンター(公民館)
  • 屋島西コミュニティセンター(公民館)

交通 編集

屋島西町と屋島中町はバスか鉄道(ことでん)の利用が可能であり、特に潟元駅周辺や琴電屋島駅周辺は公共交通機関には非常に恵まれている。それに対し、屋島東町は公共交通機関が鉄道・バス共に脆弱なため自家用車での移動が中心となる。高松市中心部に向かうには地区中心部の場合は公共交通機関の利用の他、それ以外の地域でも自転車による通勤・通学も可能な距離である。しかし、高松市内の他の地区に向かうにはその地区の公共交通機関が脆弱な地区が多いため、やはり自家用車での移動が中心になる。

道路 編集

国道
主要地方道
一般県道
市道

鉄道 編集

屋島西町に位置することでん潟元駅を中心に市街地を形成し、同駅はことでん志度線の中では瓦町駅に次いで利用客の多い駅である。

JR高徳線屋島駅が存在するが、地区内に存在しないばかりか屋島地区の中心からは離れた場所に位置するため、同駅は事実上古高松地区の中心駅となっている。ことでん志度線の駅のうち琴電屋島駅古高松駅はいずれも古高松地区との境界付近に位置するため中心駅とはならないが、屋島・古高松両方の地区民が利用する駅でもある。

ことでん

バス 編集

地区内を通る一般バス路線は2線あり、全線がJR高松駅発で地区内では屋島西町のみを通る。そのうち浦生線ことでん瓦町駅を経由し、香川県道155号牟礼中新線を路線とするなど人口密集地を経由したのち「新川」で屋島方面に向かうが、屋島大橋線は高松駅から高松港沿いに直接屋島方面へ向かうルートをとる。浦生線の終点は「浦生」、屋島大橋線の終点はその一つ手前の「健康ランド前」である。浦生線は1日わずか3往復のみである。

その他、JR屋島駅からは琴電屋島駅を経由し、休止した屋島ケーブルの代替路線として屋島スカイウェイを通り屋島山上へ向かう路線バスが運行されている。

ことでんバス
  • 浦生線:新川 - 浦生
  • 屋島大橋線:高松テルサ - 健康ランド前
  • 屋島山上線:琴電屋島 - 屋島山上

船舶 編集

  • 立石港
  • 石場港
  • 長崎鼻港
  • 浦生漁港

メディア 編集

放送 編集

ケーブルテレビ
地上波テレビジョン放送

古高松地区前田山の大規模送信所高松局」を受信する。 デジタル放送であるので一定の電界強度を確保すればゴースト障害やちらつきは起らないため、1本のアンテナで高松局の受信が可能である。

過去のアナログ放送においては、屋島東町の牟礼地区との境界付近では大規模送信所に近すぎるなど電界強度が強すぎて良好な受信が困難であったり、屋島西町の浦生集落では山岳「屋島」の山陰となって高松局が良好に受信できなかったりする場合があるため、高松局以外を受信するが、岡山局を受信すると民放は両県を1つの放送対象地域としているため問題はないが、NHKは各県を放送対象地域としているのでNHK高松が視聴できない。 そのため各難視聴地域に設けられているNHK高松専用の中継局を岡山局と併せて受信していた。 これらの場所ではアンテナを複数設置し、以下の表の「岡山」とそれ以外の1ヶ所を併せて受信していた。

局名 NHK高松 NHK岡山 RNC KSB RSK OHK TSC 出力 偏波面 送信
場所
総合 教育 総合 教育
デジタルリモコン番号 1ch 2ch 1ch 2ch 4ch 5ch 6ch 8ch 7ch
高松 デジタル 24ch 13ch - - 15ch 17ch 21ch 27ch 18ch NHK1kW/民放500W 水平 前田山
アナログ 37ch 39ch - - 41ch 33ch 29ch 31ch 19ch NHK10kW/民放5kW
岡山
(北讃岐)
デジタル (24ch) (13ch) 32ch 45ch 20ch 30ch 21ch 27ch 18ch 2kW(200W) 水平 金甲山
アナログ - - 5ch 3ch 9ch 25ch 11ch 35ch 23ch V10kW/U20kW
浦生 アナログ 56ch - - - - - - - - 1W 垂直 屋島北嶺
薬師 アナログ 56ch 58ch - - - - - - - 1W 垂直 源氏ヶ峰
は廃止

偏波面が「垂直」のものは、アンテナを通常の「水平」の場合から横に90度回転させ、大地に対して素子を垂直に立てていた。

ラジオ放送

AM放送
FM放送

県外波

名所・旧跡・観光・レジャー 編集

出身有名人 編集

脚注 編集

  1. ^ 登録人口(平成22年10月1日現在)/第2表 町別・男女別人口” (EXCEL). 高松市 (2010年10月1日). 2010年11月12日閲覧。
  2. ^ 平成18年版高松市統計年報/1.土地・気象” (EXCEL). 高松市 (2006年4月1日). 2009年11月18日閲覧。
  3. ^ a b 高松市歴史資料館 編『屋島ーシンボリックな大地に刻まれた歴史ー』、高松市、2014年57頁。
  4. ^ a b c 統計区別集計(平成17年国勢調査)/25 統計区,産業(大分類),従業上の地位(3区分)別15歳以上就業者数” (EXCEL). 高松市 (2005年10月1日). 2010年11月12日閲覧。
  5. ^ 香川の港湾”. 香川県土木部港湾課. 2010年11月12日閲覧。
  6. ^ コミュニティセンター一覧”. 高松市. 2009年11月18日閲覧。
  7. ^ 郵便局一覧/香川県内”. 日本郵政. 2009年11月18日閲覧。
  8. ^ 高松地区の都市公園” (PDF). 香川県 (2007年12月3日). 2014年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集