岩水寺(がんすいじ)は、静岡県浜松市浜北区にある高野山真言宗別格本山の寺院。山号は龍宮山。総本尊は嵯峨天皇病気平癒の薬師如来。本尊の厄除子安地蔵菩薩(国の重要文化財)は安産祈願・子授け祈願で知られる。

岩水寺
山門
所在地 静岡県浜松市浜北区根堅2238
位置 北緯34度50分43.4秒 東経137度47分36.0秒 / 北緯34.845389度 東経137.793333度 / 34.845389; 137.793333座標: 北緯34度50分43.4秒 東経137度47分36.0秒 / 北緯34.845389度 東経137.793333度 / 34.845389; 137.793333
山号 龍宮山
宗旨 真言宗
寺格 別格本山
本尊 薬師如来 地蔵菩薩
創建年 (伝)725年
開基 (伝)行基
別称 家をまもるは岩水寺
札所等 遠江四十九薬師霊場 第28番
浜名湖七福神(福禄寿)
文化財 木造地蔵菩薩立像、木造薬師如来坐像、陶製五輪塔(重要文化財)ほか
公式HP ::岩水寺::
法人番号 6080405003394 ウィキデータを編集
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脇本尊は弘法大師と不動明王。[1]

厄除子安地蔵菩薩は天竜川龍神であり、かつ母の化身であるが故、家をまもるは岩水寺と呼ばれる。

山号の龍宮山は天竜川の龍神を祀るお宮を意味するが為、明治の神仏分離令により神社、水天宮(龍神=水天)となる所であった。

2つの本尊(薬師如来・厄除子安地蔵)編集

薬師如来(総本尊)編集

  • 岩水寺は神亀2年(725年)人々の病魔退散、健康長寿を祈念した行基菩薩が薬師如来の尊像を刻み、開創。 その後、弘仁6年(815年)春、先年の薬子の変にて心身痛められておられました嵯峨天皇に、病魔退散の祈願をし、天皇は健康を取り戻されたと、伝う。
  • 明治の神仏分離令の際、薬師堂を中心とした岩水寺と、地蔵堂を中心とした龍宮山(水天宮)とに分離される所であった為、住職が薬師堂から地蔵堂に移り住み抵抗した。現在地蔵の方が有名であるのも、その為である。

厄除子安地蔵(本尊)編集

  • 坂上田村麻呂の天竜川龍神伝説。
  • 安産祈願に特徴有。地蔵のお腹を借りて出産。安産の御神体の中にある布の色により性別が分かるといわれる。古ければ古い程ご利益があるといわれる。但し出産前に見てはいけない。
  • 厄除け祈願に特徴有。体の厄のみならず、心の病や自身の罪を消去する等。
  • 初代は弘法大師作と伝う。現在は2代目・運覚作。
  • 地蔵菩薩は普通男性だが、母であり、実際に子供を産んでいる女性が神仏になったという、非常に珍しい仏。裸形着装像であり、体が女性である。

岩水寺伝説編集

  • 岩水寺に伝わる伝説は数多いが、ここでは一番有名、かつ地名にもなった天竜川の龍神伝説(正式名称:袖ヶ浦干水記)を挙げる。江戸時代の写本が岩水寺と静岡県立図書館に所蔵されている。[2]また近現代の写本も各地にあり、地域や時代によりそれぞれ微妙に異なる箇所もあるが、ここでは岩水寺の伝説を挙げる。
  1. 延暦年間(約1200年前)、坂上田村麻呂が勅命により東征。天竜川が荒れていた為、渡河する事が出来ず浜松市の船岡山に陣を張る。
  2. 船岡山の鬼門方向にある岩水寺に参拝し、総本尊の薬師如来に祈る。
  3. 岩水寺東側の天竜川(別名磐田の海)、袖ヶ浦にて玉袖姫が田村麻呂のもとに現れる。
  4. 後に玉袖姫は田村麻呂の妃となり、やがて妊娠。産屋を建ててもらうが、中を絶対に見てはいけないと言う。
  5. 7日経ち嵐の夜。姫が産屋を出ないため、、遂に田村麻呂将軍は産屋の中を覗いてしまう。そこにいたのは姫ではなく赤い大蛇で、驚きながらも将軍は産屋に入る。
  6. 大蛇は玉袖姫の姿に変身し、赤子と干水珠、及び子安の宝珠を将軍に託して寺の赤池(閼伽池)へ。そして赤池から鍾乳洞、さらに諏訪湖に帰る。
  7. 7年後、赤子は赤蛇丸と名を変へ将軍と共に浜松へ再訪。天竜川は荒れていた。
  8. 田村麻呂将軍は姫から授かった宝珠の内の一つ、干水珠を天竜川に投げ入れる。するとみるみる水が治まり、そこが陸地となった。(現在の浜松市東区有玉地区)
  9. 21歳となった赤蛇丸、名を坂上田村麻呂俊光と変える。嵯峨天皇に奏上し、母親の化身である地蔵菩薩を弘法大師に作って頂き、岩水寺に奉納。地蔵菩薩の胎内へ宝珠の内の一つ、子安の宝珠を納める。
  10. 田村将軍の守り本尊、十一面観世音菩薩を祀る社として、白山妙理大権現宮が岩水寺鬼門に建立される。(本地垂迹説により白山妙理大権現と十一面観世音菩薩は 同体とされる。)
  11. 田村将軍東征時の念持仏、阿弥陀如来を祀る社として、八幡宮が岩水寺裏鬼門に建立される。(本地垂迹説により八幡大菩薩阿弥陀如来は 同体とされる。)

関係地編集

  • 有玉神社[3]・・・干水珠を祀る神社(浜松市東区)
  • 椎ケ脇神社[4]・・・赤蛇を祀る神社(浜松市天竜区
  • 白華寺[5]・・・俊光公が産湯を使ったとされる井戸がある。(浜松市中区)
  • 潮海寺[6]・・・潮海寺の薬師如来を勧請し、祈願したとの説もある。(菊川市)
  • 磐田市坂上町・・・田村将軍が上陸した地と伝わる。
  • 奥山方広寺[7]・・・岩水寺に宿泊した開祖の無文禅師の元へ玉袖姫が訪れ、龍神に変身し、水を満たす珠を授けた。龍神を祀る神社が奥山方広寺椎河龍王神社。お札は女性の姿である。(浜松市北区)
  • 甲斐善光寺[8]・・・竣工の際に岩水寺住職であった源瑜上人が、法事を司どった。上人の生国は出羽の図であって、四十歳の頃より五穀を断って木食をし、其折善光寺の大勧進々勤めていた。
  • 諏訪大社・・・伝説では厄除子安地蔵の化身である赤蛇(玉袖姫・赤龍神)が、諏訪湖から通って田村将軍にお使いえした。ちなみに岩水寺は赤蛇・女性神。諏訪大社は白蛇・男性神である。甲斐善光寺、及びこの縁により、武田軍襲来の際岩水寺は武田軍の味方をした。徳川家が旧領地を奪回した後、塔頭12坊の内、学頭遍照院を始め、金剛王院等11坊が廃された。

伽藍編集

  • 薬師堂(根本堂:総本尊薬師如来を祀る)
  • 本堂(地蔵堂:本尊厄除子安地蔵菩薩を祀る)
  • 白山妙理大権現宮(十一面観音堂:鬼門護り)
  • 八幡宮(阿弥陀堂:裏鬼門護り)
  • 奥之院(弘法大師堂:六角堂の拝殿と五角堂の本殿から成る)
  • 地安坊大権現堂(護摩堂)
  • 聖徳太子堂(観音堂)
  • 田村神社
  • 水子堂
  • 四天王堂
  • 金城稲荷堂
  • 弁天堂
  • 鐘楼堂
  • 仁王門
  • 鍾乳洞
  • 御神木(楠:浜松市指定天然記念物)
  • 御神木(イチョウ:浜松市指定保存樹木)

文化財編集

  • 木造薬師如来坐像 本尊 伝行基作
  • 木造地蔵菩薩立像 運覚作(国の重要文化財)
    像内に五輪塔形木柱、蓮台付月輪を納める
    附 像内納入品
    建保五年慈含造像願文・建保三年慈含願文・地蔵宝号結縁名帳 1巻
    法華経要品等 5巻
      • 紺紙金銀字般若心経 1巻 建保五年六月十三日良印奥書
      • 包紙 1枚 諸尊種子・実西願文がある
      • 茶地平絹香袋 1口
      • 念珠 包紙添 1連
      • 刀子 柄・鞘付 1口
      • 白綾地裂 1枚
      • 宋銭 包紙添 10枚
      • 木実 1箇
      • 獣皮 1箇
      • 真綿 1枚
      • 浅葱糸 1束
      • 漆塗箱 2合
      • 横笛 1管
      • 蝙蝠扇 1握
      • 運覚造像記 1通
      • 結縁交名 3通
像高165.3センチ、檜材の寄木造。鎌倉時代の作。鎌倉時代に一部で造像された「裸形着装像」すなわち、裸形の像に布製の衣を着せて安置する形式の像である。本像の特色は、玉眼(眼の部分に水晶を嵌め込む技法)を用いるほか、歯の部分にも水晶を用い、わずかに唇を開いて歯をのぞかせる形にしている点で、他に類をみない技法である。像は保存状態がよく、表面の彩色も当初のものが残る[9]。像内から造像記を含む納入品が発見され、慶派の仏師・運覚が建保5年(1217年)に京都の六波羅蜜寺で制作したことが明らかになった[10]。像は2011年に国の重要文化財に指定[11]、附(つけたり)指定の像内納入品は2015年に追加指定された[12]。2019年に像内納入品の名称を一部変更[13]

関連文化財編集

  • 陶製五輪塔[14](国の重要文化財) - 岩水寺境内地、根堅勝栗山経塚出土と伝え、久安2年(1146年)の銘がある。愛知県陶磁美術館蔵。
  • 浜北人骨 -旧石器時代の人骨。岩水寺境内地、根堅遺跡より出土。東京大学総合研究博物館に保管されている。
  • 岩水寺駅[15](国の登録有形文化財)-天竜浜名湖鉄道の駅。

交通編集

脚注編集

  1. ^ 岩水寺  安産祈願・お宮参り・子宝・家内安全・開運厄除子安地蔵尊”. www.gansuiji.jp. 2019年9月29日閲覧。
  2. ^ 岩水寺  安産祈願・お宮参り・子宝・家内安全・開運厄除子安地蔵尊”. www.gansuiji.jp. 2019年9月29日閲覧。
  3. ^ 有玉神社のホームページ” (日本語). aritama. 2019年9月29日閲覧。
  4. ^ 浜松たんぼう” (日本語). 浜松たんぼう. 2019年9月29日閲覧。
  5. ^ 白華寺 - 浜松の神社仏閣特集 - Do!はままつ”. dohama.jp. 2019年9月29日閲覧。
  6. ^ 菊川市/潮海寺”. www.city.kikugawa.shizuoka.jp. 2019年9月29日閲覧。
  7. ^ みどころ(方広寺散策~哲学の道)|臨済宗方広寺派大本山 方広寺(ほうこうじ)”. www.houkouji.or.jp. 2019年9月29日閲覧。
  8. ^ 甲斐善光寺〔御堂建立〕 - 北杜市歴史文学館:楽天ブログ” (日本語). 楽天ブログ. 2019年10月2日閲覧。
  9. ^ 文化庁文化財部「新指定の文化財」『月刊文化財』573、第一法規、2011、p.10
  10. ^ 静岡新聞 2015年3月14日
  11. ^ 平成23年6月27日文部科学省告示第101号
  12. ^ 平成27年9月4日文部科学省告示第143号
  13. ^ (変更前)「法華経要品等6巻」⇒(変更後)「法華経要品等5巻、紺紙金銀字般若心経 1巻 建保五年六月十三日良印奥書」(令和元年7月23日文部科学省告示第31号)
  14. ^ 陶製五輪塔(とうせいごりんとう)”. www.pref.aichi.jp. 2019年9月29日閲覧。
  15. ^ 岩水寺” (日本語). 天浜線(天竜浜名湖鉄道株式会社) - 日本の原風景に出逢う旅。. 2019年9月29日閲覧。

外部リンク編集