島根県(しまねけん)は、日本中国地方山陰地方)にある県庁所在地松江市

しまねけん ウィキデータを編集
島根県
島根県の旗 島根県章
島根県旗 島根県章
日本の旗 日本
地方 中国地方山陰地方
団体コード 32000-5
ISO 3166-2:JP JP-32
面積 6,707.78km2
総人口 641,903[編集]
推計人口、2024年9月1日)
人口密度 95.7人/km2
隣接都道府県 鳥取県の旗 鳥取県
広島県の旗 広島県
山口県の旗 山口県
県の木 クロマツ
県の花 ボタン
県の鳥 ハクチョウ
他のシンボル 県の魚:トビウオ
県民歌:薄紫の山脈(1951年制定)
島根県庁
知事 丸山達也
法人番号 1000020320005 ウィキデータを編集
所在地 690-8501
島根県松江市殿町1番
北緯35度28分20秒 東経133度03分01秒 / 北緯35.4722度 東経133.0503度 / 35.4722; 133.0503座標: 北緯35度28分20秒 東経133度03分01秒 / 北緯35.4722度 東経133.0503度 / 35.4722; 133.0503
地図
県庁舎位置

島根県庁
外部リンク 公式ウェブサイト
島根県の位置

島根県行政区画図

― 市 / ― 町 / ― 村

ウィキポータル 日本の都道府県/島根県
ウィキプロジェクト

本州西部に位置し、山陰地方の西側を占める。離島隠岐諸島竹島[注釈 1]なども含む。

令制国における出雲国石見国隠岐国の3国に相当する。現在でも県内の地域分類として出雲地方石見地方・隠岐地方の3区分が用いられることがある。

名称

編集

島根県の名称の由来は、県庁の置かれた松江城が、かつて旧島根郡(嶋根郡)に属していたためとされる。「嶋根」の名は、古代の『出雲国風土記』において八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)が命名したと伝えられる[1]

1871年明治4年)7月の廃藩置県の直後には旧松江藩の領地に『松江県』が設置された。その4ヶ月後、同年11月に松江県は周辺の他県と合併して改称し、ここに『島根県』が成立した[1]

この改称の理由については、「明治維新において松江藩が倒幕に消極的であったため」と伝えられている[1]

尚、松江城下町(現在の松江市)は松江城が立地する島根郡(大橋川以北。橋北)だけでなく、意宇郡(大橋川以南。橋南)にもまたがる。

地理

編集

広袤(こうぼう)

編集
節内の全座標を示した地図 - OSM
節内の全座標を出力 - KML

国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調によると、島根県の面積は6707.78平方キロメートルである[2]。北東方向から西南方向へかけて、細長い形に広がった県である。

国土地理院地理情報 によると島根県の東西南北それぞれの端は以下の位置で、東西の長さは155.45 km、南北の長さは326.52kmである[注釈 2]

北端
北緯37度14分43秒 東経131度52分5秒 / 北緯37.24528度 東経131.86806度 / 37.24528; 131.86806 (島根県最北端)
西端
北緯34度30分15秒 東経131度40分4秒 / 北緯34.50417度 東経131.66778度 / 34.50417; 131.66778 (島根県最西端)
中心点
北緯35度46分26秒 東経132度31分38.5秒 / 北緯35.77389度 東経132.527361度 / 35.77389; 132.527361 (島根県中心点)
東端
北緯36度16分14秒 東経133度23分13秒 / 北緯36.27056度 東経133.38694度 / 36.27056; 133.38694 (島根県最東端)

南端
北緯34度18分9秒 東経131度49分13秒 / 北緯34.30250度 東経131.82028度 / 34.30250; 131.82028 (島根県最南端)
重心
北緯35度4分34秒 東経132度33分25秒 / 北緯35.07611度 東経132.55694度 / 35.07611; 132.55694 (島根県重心)

地形

編集

出雲地方

編集

石見地方

編集

隠岐地方

編集

自然公園

編集

ラムサール条約登録地域

編集

気候

編集

県内全域が日本海側気候であるが、日本海側気候の地域としては最西南端にあるため比較的温和な気候で沿岸部に豪雪地帯はない。しかし年間を通じて湿度が高く、降雨回数も多い。曇り・雨の日が晴れの日より多い。

東部沿岸部(出雲沿岸部および宍道湖周辺)

編集

松江市出雲市など東部の沿岸部は、西部に比べると冬期の平均気温が低いものの、松江市の1月平均気温は4.3と、京都市太平洋側の大都市である愛知県名古屋市とほとんど同じで、比較的温暖である。出雲市より松江市と東へいくほど雪が多いが、松江市の年降雪量は89cmと、鳥取県の米子市の133cmと比べると少なくなっている。年に1,2回、15 cm - 30cm程度のまとまった積雪があるものの、最低気温が比較的高いこともあり数日で溶けることがほとんどで、根雪となった年は非常に少ない(松江市の根雪は1961年以降で2011年/1984年/1977年/1963年の4回のみ)。しかしながら、大陸に近いために数年に一度の猛烈な寒気団に覆われると、沿岸部でも日中の気温が氷点下真冬日になることもある。夏は熱帯夜も数日あるが、山陽地方の沿岸部と比べると暑さは穏やかである。

西部沿岸部(石見沿岸部)

編集

浜田市大田市益田市江津市など県西部の沿岸部においては冬期の気温は比較的高めで1月の平均気温は約5.0 - 6.0℃と東京都心大阪市とほとんど同じで、温暖である。日本海側気候から九州型太平洋側気候への遷移地帯に属し、冬期の降水は雨が多く、積雪しても数センチメートル程度にとどまることが多く、大雪となることは少ない。梅雨末期に梅雨前線の影響で大雨となることがあり、過去にも山陰豪雨(1983年)2013年の豪雨で被害を受けた地域がある。夏は熱帯夜も数日あるが、山陽地方の沿岸部と比べると暑さは穏やかである。

内陸部

編集

内陸部は1月平均気温が0.0 - 3.0℃程と寒さが厳しく、飯南町赤名(-13.5度、2012/2/19)、弥栄(-16.3度、2012/2/19)、瑞穂(-15.2度、2012/2/19)、六日市(-13.4度、1981/2/28)などでは氷点下15℃程度まで冷え込んだことがある。[3] 西部の津和野町吉賀町を除いて全域が豪雪地帯に指定されており、標高の高い地域では1m程度の積雪に達する年もある。夏の夜は涼しく、熱帯夜となることはほとんどない。

島根県各地の平年値(統計期間:1971年 - 2000年、出典:気象庁・気象統計情報
平年値
(月単位)
隠岐 出雲・沿岸部 出雲・内陸部
隠岐の島町
西郷
隠岐の島町
西郷岬
海士 松江市
鹿島
松江 斐川 出雲 奥出雲町
横田
雲南市
掛合
飯南町
赤名
平均
気温
(°C)
最暖月 25.6
(8月)
25.8
(8月)
25.6
(8月)
26.3
(8月)
25.8
(8月)
24.0
(8月)
24.5
(8月)
23.4
(8月)
最寒月 3.9
(2月)
4.5
(2月)
4.4
(2月)
4.2
(1月)
4.5
(2月)
0.7
(2月)
2.3
(2月)
0.4
(1、2月)
降水量
(mm)
最多月 211.6
(9月)
227.0
(7月)
218.0
(9月)
240.5
(7月)
236.2
(7月)
234.2
(7月)
257.1
(7月)
282.2
(7月)
最少月 110.4
(10月)
96.4
(2月)
104.7
(4月)
114.5
(4月)
96.3
(2月)
103.4
(4月)
120.7
(4月)
116.5
(10月)
平年値
(月単位)
石見・沿岸部 石見・内陸部
大田 浜田 益田 益田市
高津
川本 邑南町
瑞穂
浜田市
弥栄
津和野 吉賀 吉賀町
六日市
平均
気温
(°C)
最暖月 26.5
(8月)
26.2
(8月)
26.8
(8月)
24.2
(8月)
23.9
(8月)
23.6
(8月)
25.7
(8月)
24.5
(8月)
最寒月 4.9
(1、2月)
5.8
(2月)
5.4
(1、2月)
2.7
(1月)
0.8
(1月)
1.5
(1月)
3.0
(1月)
1.9
(1月)
降水量
(mm)
最多月 246.3
(7月)
257.7
(7月)
223.9
(6月)
260.2
(7月)
260.6
(7月)
340.0
(7月)
285.6
(7月)
337.4
(6月)
最少月 98.3
(2月)
90.9
(2月)
87.9
(2月)
112.5
(2月)
109.2
(11月)
130.4
(4月)
99.7
(12月)
76.8
(12月)

自治体

編集

県下には8市・5郡・10町・1村がある。

島根県では、は川本町のみ「まち」で、それ以外は全て「ちょう」、は「むら」と読む。

東部(出雲地域)

編集

出雲国の区域(ただし出雲市の一部、飯南町の一部は旧石見国

松江圏域
出雲圏域
雲南圏域

西部(石見地域)

編集

石見国の区域(ただし大田市の一部は旧出雲国

浜田圏域
益田圏域
大田圏域

隠岐(隠岐地域)

編集

隠岐国の区域

隠岐圏域

市町村合併

編集
昭和51年4月 平成23年1月 平成24年1月
出雲地方 松江市(旧制) 松江市(新制) 松江市
(平成23年8月1日
東出雲町を編入合併)
八束郡 鹿島町
島根町
美保関町
八雲村
玉湯町
宍道町
八束町
東出雲町
安来市(旧制) 安来市(新制) 安来市
能義郡 広瀬町
伯太町
仁多郡 横田町 奥出雲町
仁多町
出雲市(旧制) 出雲市(新制) 出雲市
(平成23年10月1日
斐川町を編入合併)
平田市
簸川郡 大社町
湖陵町
多伎町
佐田町
斐川町
大原郡 大東町 雲南市
加茂町
木次町
飯石郡 三刀屋町
掛合町
吉田村
頓原町 飯南町
赤来町
石見地方 大田市(旧制) 大田市(新制) 大田市
邇摩郡 温泉津町
仁摩町
江津市(旧制) 江津市(新制) 江津市
邑智郡 桜江町
邑智町 美郷町
大和村
石見町 邑南町
瑞穂町
羽須美村
川本町
浜田市(旧制) 浜田市(新制) 浜田市
那賀郡 旭町
金城町
三隅町
弥栄村
益田市(旧制) 益田市(新制) 益田市
美濃郡 美都町
匹見町
鹿足郡 津和野町(旧制) 津和野町(新制) 津和野町
日原町
六日市町 吉賀町
柿木村
隠岐地方 隠岐郡 西郷町 隠岐の島町
布施村
五箇村
都万村
西ノ島町
海士町
知夫村

都市圏

編集
※かつて八束町、美保関町は米子都市圏の一部を構成していた。

歴史

編集

原始・古代

編集
 
西の原からみた三瓶山
  • 島根県下では、旧石器時代の遺跡は松江市とその周辺および中国山地の中央部辺り(旧瑞穂町)とで15カ所ほど知られている。宍道湖北岸の遺跡からは瑪瑙製台形様石器[注釈 3]瑪瑙もしくは玉髄製の台形様石器、石核、剥片、凝灰岩製石核などが出土している。
  • 旧石器時代 約2万年前に姶良火山灰(AT)が降る。また隠岐産の黒曜石が出回り始める。
  • 縄文時代の草創期(約1万3千-1万年前)や早期(約1万年前-6千年前)には、古中海湾沿岸部に縄文「集落」が形成され、海面上昇で古宍道湖が出来、沿岸に縄文人が進出してくる。続く前期(約6千年前-5千年前)には、アカホヤ火山灰(AKh)が降る。古中海湾・古宍道湖湾の広がり最大となる。山陰各地にも縄文集落が現れ、貝塚ができる。中期(約5千年前-4千年前)には瀬戸内地方九州地方との交流進む。山間部にも交流拠点集落現れる。後期(約4千年前-3千年前)に入り、大きな縄文集落が作られる。このころに三瓶山の大平山の噴火が起こる。噴出物の流失物で出雲平野の骨格できる。晩期(約3千前-2千数百年前)には、山陰西部で九州との交流活発になる。打製石器の土掘り具(石斧など)が盛んに使用されるようになる。
  • 県東部の出雲地方は、古代日本において最も文化の発達した地域の一つであった。特に弥生時代においては、大量の青銅器が出土した荒神谷遺跡加茂岩倉遺跡や、大型の四隅突出型墳丘墓安来市古代出雲王陵の丘、出雲市西谷墳墓群)があり早期に鉄器を有するなど、特徴的でかつ先進的な文化が山陰一帯に存在し、その中心的勢力が島根東部から鳥取県西部にかけて存在した。
  • 古墳時代には雲南市加茂町の神原神社古墳から「卑弥呼の鏡」と言われる景初3年(239年)銘のある三角縁神獣鏡が出土している。6世紀半ばごろに山代二子塚古墳(松江市)という94メートルの大前方後方墳が築かれる。少し遅れておよそ91メートルの今市大念寺古墳(出雲市)が築かれる。出雲の東西に拮抗する大古墳が築かれたが、7世紀初頭には二子塚のすぐ東隣に一辺45メートルの大型方墳山代方墳)を築いている。前方後方墳から方墳に移行したは大和政権の大王陵の変化と同じである。
  • 奈良時代に記された『古事記』『日本書紀』『出雲国風土記』に、出雲を舞台としたスサノオ大国主神話が語られるなど、朝廷においてもその存在は大きなものであった。また神話にその創建が語られている出雲大社は、代々出雲国造家がその祭祀を司り現在に至っている。

中世

編集
 
松江城(国の史跡・天守は国宝)

近世

編集
出雲地方
石見地方
隠岐地方
  • 隠岐は松江藩領であったが、一時的に石見銀山の代官の支配下に置かれて幕府直轄領とされていた時期もある。
  • 隠岐では幕末に島民らが松江藩の代官を追放して自治を行っていた時期がある(隠岐騒動)。

近・現代

編集
 
1909年(明治42年)竣工の島根県庁舎
 
1945年(昭和20年)の終戦直後に発生した松江騒擾事件で全焼した島根県庁舎
  • たたら製鉄が衰退し、木炭産業に移行するとともに、鉄山師の一部は雲伯鉄鋼合資会社の設立などにより和式製鉄法の近代化を行い現在に至っている。一部、古来のたたら製鉄が再現され少量操業も行っている。

年表

編集

人口

編集

人口規模

編集

最盛期

編集

島根県の人口は、県民歌薄紫の山脈』の歌詞に「九十万の県民の……」とある[11]ように、1950年代には90万人を超えていた。1955年(昭和30年)には約93万人に達した[12]

人口減少

編集

しかし、以後は減少傾向が続き2014年平成26年)には70万人を割った[13]。翌2015年(平成27年)の第20回国勢調査では69万4,352人と記録された。

1920年大正9年)の第1回国勢調査では71万4,712人であったため、第1回調査に対する人口の増減率では全国の都道府県で本県が最下位となった[12]。また第1回調査での人口を以後の調査で下回った、全国で最初の都道府県となった(太平洋戦争による大規模な疎開の発生によって第6回調査(昭和22年)のみ一時的に急減した東京都を除く)。

地域別に見ると、出雲地域は1950年代から2020年代にかけて50万人前後のほぼ横ばいで推移しているのに対し、石見地域と隠岐地域はそれぞれ38万人から18万人、4万人から2万人と半減しており、二大都市である松江市・出雲市への集積が進んでいる[14]

県外との比較

編集

日本の都道府県人口としては、隣接する鳥取県に次ぎ全国で2番目に少ない。また政令指定都市の中で最少の静岡市よりも少なく、政令指定都市以外では最大の人口の船橋市よりも少ない。人口密度は、西日本では高知県に次いで低い。

課題

編集

島根県の『県民ホットライン』には、県民が考える人口減少の要因として「はっきり言って魅力がない」「働ける職場がない」「医療福祉が十分でない」「人間関係が保守的で変化を拒む気風は煩わしいから嫌だと思われている」などの意見が2015年までに寄せられた[12]

県はそれらの意見に対し、解決策として「県内産業の振興と雇用の確保」「企業誘致の推進と観光振興」「売れる農林水産品づくり」「県外からのUターンIターン対策」の4つを提唱した[12]

統計

編集

2018年(平成30年)の合計特殊出生率は1.74で、沖縄県に次いで全国2位。自然増減率は-0.71%で全国41位、社会増減率は+0.01%の転入超過で全国14位だった。

 
島根県市町村人口増減率分布図(2005年度と2010年度国勢調査から算出)

都市圏

編集

10万人以上の都市雇用圏(2015年国勢調査時点の10%都市圏)

 
島根県と全国の年齢別人口分布(2005年) 島根県の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 島根県
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
島根県(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 773,575人
1975年(昭和50年) 768,886人
1980年(昭和55年) 784,795人
1985年(昭和60年) 794,629人
1990年(平成2年) 781,021人
1995年(平成7年) 771,441人
2000年(平成12年) 761,503人
2005年(平成17年) 742,223人
2010年(平成22年) 717,397人
2015年(平成27年) 694,352人
2020年(令和2年) 671,126人
総務省統計局 国勢調査より

島根県人口動態

編集

1960年(昭和35年)時点では全国39位の人口規模であったが高度経済成長期の人口流失は非常に大きく、1975年には鳥取県に次ぐ人口の少ない県(46位)となり現在まで約半世紀に渡って人口順位に変動は見られない。現在においても人口流失は止まっていないが1960年代は年間15000人の社会減少となっていたが,近年は1500人前後に収まっており、人口減少こそ続いてはいるが自然動態が年々悪化している中で、総人口は高度経済成長期のような年間1万人を超えるような大幅な人口減少は見られない。全国においても中下位の人口増加率と健闘している。

表1. 国勢調査結果に基づく島根県の人口推移
実施年 人口(人) 増減人口(人) 人口増減率(%) 国内増減率(%) 増加率全国順位
1960年 888,886 - - - -
1965年 821,620   67,266   7.57   5.20 47位
1970年 773,575   48,045   5.85   5.54 46位
1975年 768,886   4,689   0.61   7.92 46位
1980年 784,795   15,909   2.07   4.57 42位
1985年 794,629   9,834   1.25   3.40 37位
1990年 781,021   13,608   1.71   2.12 42位
1995年 771,441   9,580   1.23   1.58 47位
2000年 761,503   9,938   1.29   1.08 44位
2005年 742,223   19,280   2.53   0.66 44位
2010年 717,397   24,826   3.34   0.23 41位
2015年 694,352   23,045   3.21   0.75 35位
2020年 671,126   23,226   3.34   0.75 32位

高知県との人口推移比較

編集

島根県・高知県の二県は人口規模,面積,人口密度,高齢化率も似ている。人口規模の近い高知県と比べて島根県の人口動態を考察する。1960年(昭和35年)時点では35,000人程島根県が高知県の人口を上回っていたが、2005年(平成17年)時点では反対に高知県が約54,000人島根県の人口を上回るまで差が広がった。ただ近年の島根県の人口増加率は30位前後で推移しており2024年8月現在の人口では14,000人程まで高知県との人口差が縮小している。長年46位の人口順位が続く島根県だが、近い将来、高知県の人口を再び上回ると予測されている。

表2. 島根県・高知県の人口推移
実施年 島根県人口(人) 高知県人口(人) 島根県増加率 高知県増加率
1960年 888,886 854,595 - -
1975年 768,886 808,397   13.5   5.4
1990年 781,021 825,034   1.6   2.1
2005年 742,223 796,292   5.0   3.5
2020年 671,126 691,527   9.6   13.2

政治

編集

県政

編集

財政

編集

平成16年度以降の財政力指数は、都道府県の中で19年間ワースト1である[15]

国政

編集

衆議院小選挙区が2。参議院では、島根県選挙区として全県で1区を構成していたが、2016年の第24回参議院議員通常選挙より鳥取県選挙区と合区され、鳥取県とともに1区を構成する合同選挙区が創設された。

経済・産業

編集

農業

編集
 
三瓶山裾野での放牧。

全国的な流れと同様に島根県においても農業の衰退が進んでおり、島根県の総農家数・耕地面積・農業生産額も年々低下している。農業生産額の割合では、が全生産額の33.3%で最も多く、野菜が16.2%、乳用牛が13.7%、肉用牛が13.6%を占めている[16]。特産品としては米(仁多米きぬむすめなど)、ブドウ西条柿牛肉メロンなどがある。付加価値が高く、観光との相乗効果が見込める薬草ハーブの栽培にも力を入れている[17]

  • 総農家数(2015年) - 33,513戸
  • 耕地面積(2015年) - 37,000ha
  • 農業生産額(2016年) - 629億円[18]

水産業

編集

日本海に面しているため漁業が盛んに行われており、総漁獲量(2011年)は15万3,000トン[19]中国・四国地方で最も漁獲量の多い県である。

2010年の調査では、ベニズワイガニの漁獲量が5,163トンで全国1位、ブリ類の漁獲量が17,963トンと全国1位、アジ類の漁獲量が33,432トンで全国2位を誇っている[20]。 また、宍道湖などで採れるしじみは、2014年(平成26年)には3622トンで4年ぶりに日本一の漁獲高となった[21]

  • 漁業従事者数(2008年) - 3,689人[22]
  • 漁業経営体数(2008年) - 2,343経営体[22]
  • 漁業総船隻数(2008年) - 3,240隻[22]
  • 総漁獲量(2011年) - 15万3,000トン[19]
  • 総生産額(2011年) - 200億円[19]

建設業

編集

島根県では、建設事業者数は4,657社で全事業者数の約12%、従業員数でも32,723人と全産業の従業員数の約11%を占めている[23]。全国では、建設業の全産業に占める事業所数は9.7%・従業員数は6.9%[24] となっており全国と比べても島根県でも建設業が占める割合が大きくなっている。

特に公共工事の比率は66.94%と高知県に次いで全国2位[25] と高く建設業において公共事業が大きな役割を担っている。しかし近年の国や県・市町村の財政難などから公共事業は減少しており、建設業を取り巻く環境は厳しくなっている。

製造業

編集

島根県の製造品出荷額等は9,840億円(2010年)[26] であり鉄鋼が1,578億円(2010年)[26] と最も高い割合を占めている。江戸時代から明治時代にかけてたたら製鉄が栄え、古くからの鉄鋼技術を背景に島根県では鉄鋼産業が盛んに行われておりプロテリアル(旧・日立金属)や東洋製鉄NTN鋳造など鉄鋼関連の企業が多数集積している。この他、情報通信機械が1,565億円、電子部品デバイスが1,295億円と続いている[26]

情報通信機械の分野では出雲市に本社を置く島根富士通ノートパソコンの生産拠点を構えており、出雲市の本社工場では年間200万台のノートパソコンが生産されている。

製造業出荷額等は2010年の統計データでは、島根富士通や島根島津出雲村田製作所などが本社・工場を構える斐川町(当時)が2,634億円[26] と県内の市町村でトップとなっている。なお、斐川町は2011年出雲市と合併しており、2010年時点の統計では、出雲市が3,818億円が製造業出荷額等でトップとなっている[26]

小売業

編集

島根県の小売業の年間商品販売額は1999年の約8,463億4,700万円、事業所数は1994年の12,018事業所、従業員数は2002年の50,546人をピークにそれぞれ年々減少傾向にある[27]。2009年現在では、年間商品販売額は約7317億5,300万円事業所数は8,952事業所、従業員数は45,628人となっている[27]

百貨店日本百貨店協会に加入している店舗)は存在しない[28]。2024年1月14日まで一畑百貨店松江店(松江市)が営業していたが、同日をもって閉店したことにより「百貨店ゼロの県」となった[29][30]

大型スーパーでは、イオンモールなどのイオングループ複数社や、広島県イズミなどが島根県内で総合スーパー(GMS)やショッピングセンターなどを展開している。出店が進む一方で、競争が激化し2000年代にはマイカル(現:イオンリテール)の浜田サティ (現在のゆめマート浜田)や出雲サティ、ジャスコ(現:イオンリテール)の浜田店(現在はトライアルが出店)や平田店(現在はショッピングセンターViVAが出店)などが閉店している。

地場スーパーには、みしまやふくしまフーズマーケット ホックグッディーキヌヤラピタといった店舗がある。

観光業

編集
 
出雲市の稲佐の浜の沖ノ御前
 
隠岐郡知夫村の知夫赤壁

島根県の観光入込客延べ数は、年間33,158千人(2015年[31] となっている。観光入込客延べ数変動の要因は尾道松江線の全線開通や松江城が国宝に指定されたこととなっている[31]

市町村別の上位では、出雲市が12,495,489人と最も多く、次いで松江市が 10,061,918人、浜田市が 1,825,247人となっている[31]。観光施設では、出雲大社が607万6千人と最も多くの観光客を集めている[31]

県外からの観光客入り込み割合は、広島県が22.9%、近畿地方が18.7%、関東地方が13.1%となっている。中国地方4県の合計では、県外観光客入込客数全体の5割近くを占める[31]

島根県の観光客による観光消費額は1,367億円(平成27年度)と推定されており、観光消費額が県内に及ぼす経済波及効果は1,634億億円と推定されている[31]

県内に本社を置く主要企業

編集
製造業
金融業
サービス(その他)
卸・小売業
その他

県内に拠点事業所を置く主要企業

編集

指定金融機関など

編集
指定金融機関
指定代理金融機関

生活・交通

編集

警察

編集

島根県警察本部の管轄にある。2005年(平成17年)4月1日に再編が行われ、以下の12警察署が置かれている。

海上保安庁

編集

第八管区海上保安本部の管轄にある。

  • 境海上保安部(鳥取県境港市)
    • 隠岐海上保安署(島根県隠岐郡隠岐の島町)
  • 浜田海上保安部(島根県浜田市)

交通

編集

空港

編集

鉄道

編集

県内一帯で普通列車の本数は毎時1本以下となっており、県内における営業列車の運用は臨時列車を除きすべて当日中に終了する(=日付越えの運用は行われていない)。

現行の鉄道路線
廃止された鉄道路線
建設が凍結された鉄道路線(未成線

バス事業者

編集

島根県内を運行する路線バス事業者(リムジンバス、デマンドバス、自治体バスを除く)。

道路

編集
高速道路
一般道路

フェリー・高速船

編集

医療・福祉

編集
災害拠点病院
保育所

教育

編集

大学

編集

国立大学

編集

公立大学

編集

なお、島根県内に本部を置く私立大学・短期大学はない[32]。かつては島根中央女子短期大学が存在した。他都道府県に本部を置く大学のキャンパスはある。

通信制大学

編集

私立

編集

短期大学

編集

公立

編集

私立

編集

高等専門学校

編集

国立

編集

専修学校

編集

特別支援学校

編集

高等学校

編集

中学校

編集

小学校

編集

幼稚園

編集

学校教育以外の施設

編集

農業大学校

編集

職業能力開発短期大学校

編集

図書館

編集

博物館

編集

美術館

編集

マスメディア

編集

新聞

編集

情報誌

編集

放送

編集

テレビ局・ラジオ局

編集

ケーブルテレビ局

編集

コミュニティFM

編集

島根県の電波事情

編集

島根県は平地が少なく起伏に富んだ地形の地域が多い。そのため、テレビやラジオの受信環境は必ずしも安定しているとは言えない。そのため、共聴設備やケーブルテレビ経由での受信が必須となる地域も多い。また、朝鮮半島に近いこともあって韓国などの電波との混信も少なくなかったが、地上デジタルテレビ放送やケーブルテレビ網の整備、FM補完中継局の開始とともに解消されつつある。

通信社

編集

文化・スポーツ

編集

方言

編集

食文化

編集
郷土料理
郷土銘菓

住文化

編集

伝統工芸

編集
経済産業大臣指定伝統的工芸品
伝統工芸品

スポーツ

編集
チーム
大会

観光

編集

文化財

編集
世界遺産
無形文化遺産
国宝
重要伝統的建造物群保存地区
重要文化財
重要無形民俗文化財
国の名勝

祭事

編集

郷土芸能・民謡

編集

島根県を舞台とした作品

編集

映画

編集

テレビドラマ

編集

小説

編集

漫画

編集

アニメ

編集

ゲーム

編集

島根県出身の人物

編集

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 竹島(韓国名:独島)は2023年3月現在、大韓民国(韓国)が実効支配している。
  2. ^ ただし、この広袤(こうぼう)には現在、日本国政府の施政権が及んでいない竹島を含んでいる。
  3. ^ 石核から不定形に剥離された剥片を素材として、鋭い縁辺を刃部として、その側辺の両側辺を加工を加え、台形または長方形状に仕上げた小型の剥片石器。柄を付けて刺突具または切削具として使用されたと推測される。後期旧石器時代初頭の打製石器。
  4. ^ BSSは鳥取県米子市が本社であるが、テレビ放送開始当初は東京・大阪・愛知などの大都市以外「1県1局」が原則であり、鳥取県は既にNKTが開局していた。これではこの原則を外れるのでやむを得ず島根県松江市に本局を構えた。このためラジオは鳥取・島根2県広域ながら、テレビは島根県だけが対象という変則状態が続いたが、その後NKT、TSKを含めた3局で相互乗り入れが行われるようになり今日に至っている。また一時期はこの名残でテレビ朝日系のワイドショーがBSSとNKT同時放送か、同じ番組を時差ネットで放送したこともあった。詳細は山陰放送#テレビ放送開始とエリア拡大参照。
  5. ^ テレビ東京系は松江市と安来市、後発局であることとエリア内での受信ができないことを理由に同意が得られない平田地区を除いた出雲市のみ、独立放送局は松江市と安来市、出雲市の平田地区のみ視聴可能。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f 島根県のプロフィール > 誕生までのあらまし”. 島根県政策企画局広聴広報課. 2022年1月5日閲覧。
  2. ^ 全国都道府県市区町村別面積調 国土地理院 2013年11月28日閲覧
  3. ^ 気象庁・気象統計情報
  4. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、55頁。ISBN 9784816922749 
  5. ^ 「死者・不明八九三人、家屋全半壊五千戸に」1943年(昭和18年)9月24日 朝日新聞(昭和ニュース事典編纂委員会編『昭和ニュース事典第8巻 昭和17年/昭和20年』本編p.225 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  6. ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、99頁。ISBN 978-4-10-320523-4 
  7. ^ 「海底資源開発で連携 日本海沿岸の10府県」産経新聞』2012年9月8日[リンク切れ]。他の参加府県は秋田県山形県新潟県富山県石川県福井県京都府兵庫県鳥取県
  8. ^ 「メタンハイドレート活用研究 10府県が会議設立」神戸新聞』2012年9月8日[リンク切れ]
  9. ^ 「日本海の資源開発で連携、連合設立。本県など日本海側10府県」新潟日報』2012年9月10日
  10. ^ 「メタンハイドレート、日本海でも調査を 10府県が連合」朝日新聞』2012年9月9日
  11. ^ 県民の歌「薄紫の山脈」”. 島根県政策企画局広聴広報課. 2022年1月5日閲覧。
  12. ^ a b c d “<国勢調査>大正時代よりも人口が減るかも知れない都道府県はどこだ?”. THE PAGE. (2015年9月11日). https://news.yahoo.co.jp/articles/e5389524e2217a4d1a7fa824720c9401097495d8 2022年1月5日閲覧。 
  13. ^ “島根県の人口70万人割れ 4月、55年の93万人から25%減”. 日本経済新聞. (2014年4月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASFB28002_Y4A420C1EAF000/ 2022年1月5日閲覧。 
  14. ^ 島根県の人口動態
  15. ^ 総務省 (2022年). “地方公共団体の主要財政指標一覧 各年度の全都道府県の主要財政指標” (Excel). 2024年1月14日閲覧。
  16. ^ 農林水産省統計部 (2018)『平成30年生産農業所得統計』
  17. ^ 日本経済新聞』朝刊2019年12月19日33面【山陰経済特集】きらめく山陰 人を呼ぶ:「星空舞」や薬草 食に新顔
  18. ^ 島根県農林水産業の現状”. 2019年4月7日閲覧。
  19. ^ a b c トビウオ通信(平成24年第2号)島根県水産技術センター(2012年8月16日閲覧)
  20. ^ 農林水産省統計部(2010年)『平成22年漁業・養殖業生産統計』
  21. ^ 長宗拓弥「シジミ漁獲量:県、4年ぶり全国一 青森から奪還 湖沼別でも宍道湖」『毎日新聞』2015年4月25日
  22. ^ a b c 島根県政策企画局統計調査課 (2008)『2008年漁業センサス調査結果報告書』
  23. ^ 島根県政策企画局統計調査課 (2011年)『平成21年経済センサス - 基礎調査 島根県分結果確報』
  24. ^ 総務省 (2011年)『平成21年経済センサス‐基礎調査』
  25. ^ 国土交通省総合政策局建設統計室(2011年)『平成22年度建設総合統計年度報』
  26. ^ a b c d e 島根県政策企画局統計調査課 (2012年)『平成22年工業統計調査結果報告書』
  27. ^ a b 島根県政策企画局統計調査課 (2009年)『平成19年商業統計調査結果報告書』pp.13
  28. ^ 日本百貨店協会:会員・コラボレーション会員 - 日本百貨店協会(2012年8月17日閲覧)。
  29. ^ 一畑百貨店閉店のお知らせ”. 一畑電車. 2023年12月17日閲覧。
  30. ^ “デパートゼロ県”地方の苦境 県内唯一の一畑百貨店閉店へ”. NHK. 2023年12月17日閲覧。
  31. ^ a b c d e f 島根県商工労働部観光振興課 (2016年)『平成27年島根県観光動態調査結果』
  32. ^ 私立学校 - 島根県総務部総務課

関連項目

編集

外部リンク

編集
先代
松江県母里県広瀬県
浜田県
行政区の変遷
1871年 -
次代
-----