市田孝

日本の長距離走者(陸上競技)

市田 孝(いちだ たかし 1992年6月16日 - )は鹿児島県鹿児島市出身の陸上競技選手。専門は長距離走鹿児島市立吉野中学校鹿児島実業高校大東文化大学卒業。現在旭化成陸上部に所属。双子の弟である市田宏とは中学校から実業団まで同じチームに所属している。既婚者[1]

市田 孝
Takashi ICHIDA
Portal:陸上競技
第106回 日本陸上競技選手権大会
10000m決勝
(5月7日 国立競技場)
選手情報
フルネーム 市田 孝
ラテン文字 Takashi ICHIDA
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技
種目 長距離走
所属 旭化成
大学 大東文化大学
生年月日 (1992-06-16) 1992年6月16日(31歳)
生誕地 鹿児島県の旗鹿児島県鹿児島市
身長 164cm
体重 49kg
自己ベスト
1500m 3分49秒79(2009年)
3000m 7分54秒11(2017年)
5000m 13分27秒73(2021年)
10000m 27分48秒22(2022年)
3000mSC 8分40秒29(2016年)
ハーフマラソン 1時間00分19秒(2021年)
マラソン 2時間08分57秒(2023年)
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経歴・人物 編集

中学時代 編集

双子の弟・とともに世代のトップ選手として活躍。中学3年生の時には、全日本中学校選手権ジュニアオリンピックで3000mに出場し、いずれの大会でも孝が優勝、宏が準優勝とワンツーフィニッシュを決めるなど圧倒的な強さで名を馳せた。孝・宏と同い年の双子の長距離選手で、後に台頭することになる村山謙太紘太兄弟は、全国大会での2人のワンツーフィニッシュを見て「(当時無名であった自分たちより)3000mで1分速い。しかも自分たちと同じく双子。」と衝撃を受けたと語っている[2]

高校時代 編集

弟の宏とともに地元鹿児島の鹿児島実業高校に進学。高校3年時には全国高校駅伝で1区を担当し区間2位。6区で区間賞を獲得した宏とともに、チームの全国高校駅伝初優勝に貢献した。強力な留学生を要する学校を抑えての、日本人のみのチームでの優勝であった。

大学時代 編集

高校時代当初は体育教員志望で、日体大を希望していたが奈良修監督熱意の勧誘に打たれ宏とともに大東文化大学に進学。大東文化大学は箱根駅伝4度の総合優勝実績がありながら、2人の入学直前の第87回箱根駅伝には予選会を通過できなかったため出場ができていないなど低迷していた。そのような状況下で、宏とともにダブルエースとしてチームを支え、2人が大学2年時に大東文化大学は3年ぶりに箱根駅伝本戦に返り咲いた。そして3年時、4年時には大東文化大学はシード権を獲得するまでに復活した[3]。大学三大駅伝(出雲駅伝全日本大学駅伝・箱根駅伝)での区間賞はなかったものの4年時の全日本大学駅伝では1区を走り、村山謙太(駒澤大学)・村山紘太(城西大学)兄弟の区間賞争いに割って入り、両者からわずか1秒差の3位でタスキを繋いだ。なお、この時に大東文化大学の2区を担当したのは弟の宏であり、第一中継所のタスキリレーの際には、村山兄弟・市田兄弟と2組の双子の兄弟がレース中に1つの画面に収まるという珍しいシーンが見られた[4]

実業団 編集

2015年4月に弟の宏、鹿児島実業高校時代のチームメイトである吉村大輝流通経済大学卒)・有村優樹明治大学卒)、市田兄弟らと同じく鹿児島県出身の大六野秀畝(明治大学卒)、村山謙太・紘太兄弟とともに旭化成に入社した。入社直後の2015年5月のゴールデンゲームズinのべおかでは5000m最終A組に登場し、同僚の鎧坂哲哉大六野秀畝に次ぐ3位でゴール。表彰台を旭化成勢で独占し、旭化成陸上部の地元延岡を大いに沸かせた[5]。同年11月に九州実業団毎日駅伝で実業団駅伝デビューした際には、孝は2区を、弟の宏は3区を担当し、実業団でも双子でのタスキリレーが実現した。孝は1区を走った茂木圭次郎から先頭でタスキを受け取り、順位をキープし宏にタスキをつないだ。宏も首位を維持し、兄弟ともに旭化成の3年ぶりの優勝に貢献した[6]。 2016年2月、この年から開催されることになったクロカン日本選手権に出場。箱根駅伝で山の神として名を馳せた神野大地青山学院大学)と同僚の茂木圭次郎を2位・3位に抑え、初代クロカン日本一の栄冠を手にした[7]。2016年はトラックシーズンも好調を維持し、4月の兵庫リレーカーニバルでは10000mで日本人最高位の5位入賞、5月のゴールデンゲームズinのべおかでは10000m優勝を果たし、6月の第100回日本陸上競技選手権大会では5000m6位・10000m4位と2種目で入賞した。9月の第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会でも10000mに出場し日本人最高位となる8位に入賞する。 2017年1月のニューイヤー駅伝ではエース区間4区を担当。設楽悠太今井正人村澤明伸、神野大地ら有力選手が居並ぶ中、1時間03分06秒で区間賞を獲得。チーム順位も11位から5位に押し上げた。旭化成は後続の村山謙太、宏と2連続区間賞の活躍などで18年ぶりの優勝を果たした[8]

主な戦績 編集

大会 種目(区間) 順位 記録 備考
2007 第34回全日本中学校陸上競技選手権大会 3000m 優勝 8分37秒71 弟・宏が準優勝
第38回ジュニアオリンピック陸上競技大会 3000m 優勝 8分26秒34 弟・宏が準優勝
2010 第61回全国高等学校駅伝競走大会 1区(10.0 km) 区間2位 29分38秒 鹿児島実業高校
初優勝
2014 第46回全日本大学駅伝対校選手権大会 1区(14.6 km) 区間3位 42分59秒
2016 第99回日本陸上競技選手権大会 クロスカントリー(12 km) 優勝 35分59秒 初代優勝者
第64回兵庫リレーカーニバル 10000m 5位 28分22秒57 日本人1位
第27回ゴールデンゲームズinのべおか 10000m 優勝 28分16秒00
第100回日本陸上競技選手権大会 5000m 6位 13分48秒52
10000m 4位 28分22秒13
第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 10000m 8位 28分20秒01 日本人1位
2017 東京マラソン2017 マラソン 50位 2時間19分24秒 初マラソン
第101回日本陸上競技選手権大会 10000m 3位 28分39秒00
3000mSC 10位 8分59秒44
第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 10000m 12位 28分08秒22 日本人1位
(2年連続)
2018 東京マラソン2018 マラソン 35位 2時間15分09秒
第102回日本陸上競技選手権大会 5000m 10位 14分34秒21
10000m 3位 28分34秒61
第66回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 10000m 8位 28分30秒83 日本人1位
(3年連続)
第72回福岡国際マラソン マラソン 12位 2時間12分32秒
2019 第103回日本陸上競技選手権大会 10000m 8位 28分45秒05
第67回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 10000m 6位 28分39秒89 日本人1位
(4年連続)
第73回福岡国際マラソン マラソン 29位 2時間19分05秒
2020 第104回日本陸上競技選手権大会 10000m 11位 27分52秒35 1組目1位
2021 第49回全日本実業団ハーフマラソン ハーフマラソン 2位 1時間00分19秒 日本人1位・旭化成新記録
第105回日本陸上競技選手権大会 5000m 28位 14分56秒26
10000m 4位 27分54秒45
READY STEADY TOKYO 5000m 優勝 13分27秒73
2022 第106回日本陸上競技選手権大会 10000m 3位 27分49秒12
2023 第71回別府大分毎日マラソン マラソン 11位 2時間09分15秒 初サブテン
シカゴマラソン2023 マラソン 10位 2時間08分57秒 自己ベスト
第107回日本陸上競技選手権大会 10000m 12位 27分57秒08

実業団駅伝戦績 編集

年度 大会 区間 区間順位 記録 総合順位
2015年度
(入社1年目)
第52回九州実業団対抗毎日駅伝大会 2区 区間3位 32分16秒 旭化成優勝
第60回全日本実業団対抗駅伝競走大会
出走なし
旭化成7位
2016年度
(入社2年目)
第53回九州実業団対抗毎日駅伝大会 5区 区間賞 39分43秒 旭化成2位
第61回全日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間賞 1時間03分06秒 旭化成優勝
2017年度
(入社3年目)
第54回九州実業団対抗毎日駅伝大会 1区 区間3位 36分34秒 旭化成2位
第62回全日本実業団対抗駅伝競走大会 3区 区間賞 38分27秒 旭化成優勝
2018年度
(入社4年目)
第55回九州実業団対抗毎日駅伝大会 1区 区間3位 37分20秒 旭化成優勝
第63回全日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間16位 1時間06分18秒 旭化成優勝
2019年度
(入社5年目)
第56回九州実業団対抗毎日駅伝大会 5区 区間賞 37分35秒 旭化成優勝
第64回全日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間9位 1時間05分06秒 旭化成優勝
2020年度
(入社6年目)
第57回九州実業団対抗毎日駅伝大会 6区 区間賞 31分25秒 旭化成優勝
第65回全日本実業団対抗駅伝競走大会 7区 区間9位 47分35秒 旭化成3位
2021年度
(入社7年目)
第58回九州実業団対抗毎日駅伝大会 3区 区間賞 30分37秒 旭化成優勝
第66回全日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間17位 1時間05分34秒 旭化成3位
2022年度
(入社8年目)
第59回九州実業団対抗毎日駅伝大会 3区 区間賞 31分21秒 旭化成5位
第66回全日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間16位 1時間05分49秒 旭化成16位
2023年度
(入社9年目)
第60回九州実業団対抗毎日駅伝大会 4区 区間賞 27分16秒 旭化成2位
第66回全日本実業団対抗駅伝競走大会 7区 区間賞 48分05秒 旭化成3位

出典 編集

  1. ^ “陸上の市田孝と西田美咲が結婚「互いに更に成長を」”. 日刊スポーツ. (2020年5月22日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/202005220000765.html 2024年3月14日閲覧。 
  2. ^ 『箱根駅伝2015 陸上競技マガジン1月号増刊』ベースボール・マガジン社、2014年 より
  3. ^ [1] 箱根駅伝公式Webサイト
  4. ^ [2] 第46回全日本大学駅伝-ハイライト
  5. ^ [3] 鎧坂、大六野、市田孝13分30秒台
  6. ^ [4] 【動画】『九州実業団駅伝ハイライト』元日号砲!ニューイヤー駅伝 − スポーツナビ
  7. ^ [5] <クロスカントリー>市田孝が初優勝 日本選手権 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
  8. ^ [6] ニューイヤー駅伝inぐんま 第61回全日本実業団対抗駅伝競走大会 日本実業団陸上競技連合