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幌延深地層研究センター

幌延深地層研究センター(ほろのべしんちそうけんきゅうセンター、: Horonobe Underground Research Center)は、北海道天塩郡幌延町に所在し、日本原子力研究開発機構が管理運営する、地下350m以上の深さへの放射性廃棄物地層処分に関する研究を行う施設。同種の施設は、岐阜県瑞浪市茨城県東海村にある[3]。北海道及び幌延町との間で、本施設に放射性廃棄物が持ち込まれることはなく、処分場とすることもないとする協定を締結している[4]

幌延深地層研究センター
正式名称 幌延深地層研究センター
英語名称 Horonobe Underground Research Center
所在地 日本の旗 日本
098-3224
北海道天塩郡幌延町北進432番2
北緯45度2分36秒東経141度51分40秒座標: 北緯45度2分36秒 東経141度51分40秒
予算 36億1千万円(2011年度)[1][2]
所長 坂巻昌工
活動領域 放射性廃棄物地層処分に関する研究
設立年月日 2001年4月
所管 日本原子力研究開発機構
発行雑誌 広報誌「ひろば」
ウェブサイト http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
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施設概要編集

日本海から約14kmの内陸に位置し、宗谷本線幌延駅からは東北東に直線距離で3kmほど離れた北海道道121号稚内幌延線沿いにある。研究管理棟・試験棟・PR施設「ゆめ地創館」などからなる地上施設、東立坑・西立坑・換気立坑と排水処理施設からなる地下施設、掘削土保管場で構成される[5]。試験棟では、ボーリングコアの分析などを行っている。ゆめ地創館については民主党行政改革調査会などが事業見直しの提言を行なっていたが、機構と自治体との、放射性廃棄物を持ち込まない約束を確認する役割があり、廃止は困難であるとして、機構事業全般の紹介や原子力政策のPRを排し、地層処分研究の説明に特化した上で、当面存続する方針を固めた[6]

地下施設のうち、2013年10月までに東立坑と西立坑は地下350.5mまで掘削され、調査坑道を周回する坑道も全域が貫通した。

地層処分は数万年~10万年を超える期間の保管を要するが、極度に未来のことで予測が困難であるため、過去に遡って変化を調査し、未来を予測する。このような手法を「ナチュラルアナログ研究」と呼ぶ。本施設では、200万年前までの地層の研究が行われている[7]。瑞浪は花崗岩質の硬い地層であるのに対し、幌延は堆積岩質の比較的軟らかい地質となっている[8]。地下水系は、天水系・塩水系と呼ばれるうち、塩分を含む後者が湧出する[9]。幌延・瑞浪とも放射性廃棄物を持ち込むことはできないため非放射性同位体を用いた研究を行っており[10]、2014年度からは約100℃の熱源を入れた実物大容器を埋没し、容器の腐食などを調査する予定[11]。なお実際に放射性物質を持ち込んだ研究は東海村で行われている。

同施設の研究分野は地球科学の広範に及ぶものであり、埼玉大学静岡大学山口大学京都大学北海道大学サンディア国立研究所などと連携した研究を行っている[12]

計画では調査研究の期間を約20年と設定、第1段階は「地上からの調査研究段階」、第2段階は「坑道掘削時の調査研究段階」、第3段階は「地下施設での調査研究段階」の三段階に分けている。2013年現在では第2段階と第3段階の研究を継続している[13]

掘削により生じた残土は敷地内及び近隣の専用保管施設に保管され、試験終了後は埋め戻される[14]

沿革編集

1980年ごろ、町長及び町議会は札幌市皮革なめし工場の誘致を試みた。同じころ、原子力船むつの母港の誘致も行ったが、いずれも成功には至らなかった。1981年2月、泊発電所に次ぐ道内二か所目の原子力発電所を誘致すべく、町費を投じてボーリング調査をしたが、沿岸の浜里地区の地盤は脆弱で、立地には不適であった[15]1981年夏、上山利勝町議会議長(後の町長)と旧知の仲だった中川一郎科学技術庁長官から、南太平洋諸国の反対により頓挫した海洋投入に代わる放射性廃棄物施設の誘致話を持ちかけられた。3000トン級の港湾を整備し、町営倉庫の保管料と電源三法交付金が町の歳入となるというものであった[15]1982年2月25日毎日新聞のスクープ記事により動燃による低レベル廃棄物施設計画が公知となると、町内の商工業者は誘致期成会を結成。近隣の浜頓別町と東利尻町(現:利尻富士町)の議会は反対の決議を採択するなどの反応を見せた。1983年1月の中川の死去、同年4月の北海道知事選挙で誘致に否定的な横路孝弘の当選、長崎県的山大島鹿児島県馬毛島など他の候補地が現れたことなどにより、幌延の誘致計画は白紙に戻るかに見られた。しかし、1984年4月21日共同通信は高レベル廃棄物のガラス固化体貯蔵施設計画を報じた。これを受け、中川町議会では誘致反対の決議を採択するなど、一部の周辺町村は反対の動きを強めた。

2000年10月24日、北海道は「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を制定。特定放射性廃棄物の試験研究の必要性と、廃棄物の受け入れが困難である旨を定めたものであるが、事実上受け入れ表明と引き換えとなった[16]

2001年3月、当時の核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)は北海道と幌延町に深地層研究計画を説明、同年4月に幌延深地層研究センターが開所した。ヘリコプターによる調査や地上調査ののち、同年10月よりボーリング調査を開始。2002年5月に深地層研究が発電用施設周辺施設整備法第2条施設に加えられた。幌延町北進地区と、同町上幌延地区の候補地のうち、ガスの湧出や道路事情などを考慮し、同年7月に北進地区が選定された[17]2003年3月に用地を取得。2005年4月に地上施設、同11月に地下施設とPR施設を着工した。2007年6月にはPR施設「ゆめ地創館」がオープンした。

2013年10月9日、すでに掘削が終わっていた東西の立坑と換気立坑を結ぶ周回坑道の全域が貫通した[18]

脚注編集

  1. ^ 平成23年度における「幌延深地層研究センター」の事業に係る予算額(幌延深地層研究センター)
  2. ^ “幌延深地層研究センター:詳細示さず決算初公表 住民団体は反発−−昨年度分 /北海道”. 毎日jp. (2012年10月2日). http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20121002ddlk01040293000c.html 2012年11月3日閲覧。 
  3. ^ KeigoTakedaのツイート(264654557890617345)
  4. ^ センター紹介 -センターについて-(幌延深地層研究センター)
  5. ^ センター紹介 -施設の概要について-(幌延深地層研究センター)
  6. ^ “幌延深地層研究センター:「ゆめ地創館」は当面存続の方針−−原子力機構/北海道”. 毎日jp. (2012年9月1日). オリジナルの2012年10月23日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121023090419/http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20120901ddlk01040189000c.html 2012年11月3日閲覧。 
  7. ^ KeigoTakedaのツイート(264655170091237376)
  8. ^ KeigoTakedaのツイート(264654669131956224)
  9. ^ KeigoTakedaのツイート(264655231361617920)
  10. ^ KeigoTakedaのツイート(264655386563452928)
  11. ^ 北海道・幌延の深地層研が調査坑道を公開 来年度から本格研究 - 北海道新聞 2013年10月29日
  12. ^ 地域振興|幌延深地層研究センター(幌延町)
  13. ^ 幌延深地層研究センター [平成25年度の調査研究について
  14. ^ KeigoTakedaのツイート(264655507728519168)
  15. ^ a b 『核に揺れる北の大地』p24
  16. ^ 『核に揺れる北の大地』p117
  17. ^ 研究所設置地区の選定について (PDF) (2002年7月、核燃料サイクル開発機構幌延深地層研究センター)
  18. ^ 幌延深地層研究センター地下施設(研究坑道) 深度350m調査坑道周回坑道の貫通について

参考文献編集

  • 滝川康治『核に揺れる北の大地』七つ森書館、2001年。ISBN 4-8228-0149-7

関連項目編集

外部リンク編集