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幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形

1970年の日本映画

幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』(ゆうれいやしきのきょうふ ちをすうにんぎょう)は、1970年(昭和45年)7月4日に公開された東宝製作の日本特撮恐怖映画。キャッチコピーは「霧が流れる無気味な森 美しい唇が…ナイフが迫る 呪いに蘇った死美人が 生血を求めてすすり泣く…」

幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
VAMPIRE DOLL
監督 山本迪夫
脚本 小川英
長野洋
製作 田中友幸
田中文雄
出演者 中村敦夫
小林夕岐子
松尾嘉代
中尾彬
南風洋子
高品格
宇佐美淳也
音楽 眞鍋理一郎
撮影 原一民
編集 岩下広
配給 東宝
公開 日本の旗 1970年7月4日
上映時間 71分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 呪いの館 血を吸う眼
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「“血を吸う”シリーズ」の第1弾。カラー、シネマスコープ作品。『悪魔が呼んでいる』と2本立て公開された。英題は、“VAMPIRE DOLL”。

あらすじ編集

激しい雷雨の夜、婚約者の野々村夕子に逢いに屋敷を訪れた佐川和彦は夕子の母・志津から半月前に起きた夕子の事故死を知らされる。夕子の死を信じられぬまま屋敷に泊まることになるが、雷鳴と共にかすかに女の泣き声が聞こえてくる。ある部屋の前に立ち止まりドアの鍵穴を覗くと誰かが座っている。その部屋に入り、クローゼットを開けるとそこに夕子の姿があった。その瞬間、和彦は後方から誰かに殴られ気絶した。気がつき、ふと部屋の窓の外に視線を走らせればまたも夕子の姿が。その夜以降、和彦の行方は途絶えてしまう。

婚約者に逢いに行ったまま戻らない兄・和彦の消息を訪ね、佐川圭子は恋人の高木浩と共に和彦の婚約者だった夕子の屋敷を訪れる。だが、そこで屋敷の主である志津(夕子の母)から夕子は死亡し、和彦は既に帰ったと告げられる。その言葉に疑惑を抱いた圭子は屋敷を探る内に、ある部屋で和彦が夕子に贈ったはずのプレゼントを発見し、更には夕子の墓のそばで血の付いた和彦のカフスボタンを拾う。和彦がいることを確信し、車の故障を口実に圭子と浩は屋敷に泊まることに。

その夜、部屋で2人は女のすすり泣く声を聞いた。ますます志津を不審に思う圭子は屋敷に留まり、彼女を警戒する。深夜、屋敷を探っていると血まみれの手にナイフを持つ夕子が現れる。2人は野々村家の過去と事故で亡くなった夕子の生い立ち、死亡した経緯を調査していく途上、死亡診断書から夕子の死亡時に立ち会った医師・山口淳之介をマークする。浩は山口が営む医院で患者として通院していた人夫の男から、夕子は死後に土葬された事実を聞き出す。圭子は和彦の消息を再び問い質すべく屋敷に戻った。

その夜、人夫の男は浩の要請で夕子の墓を掘り返し棺を開けると中にはマネキン人形が入れられていた。驚愕して逃げ出した男の前に夕子が現れる。男の悲鳴を聞いた浩は直後、森の中を彷徨う夕子を目撃する。圭子は屋敷のある部屋に閉じ込められてしまうが、そこには醜い容貌に変わり果てた兄・和彦の死体が椅子に座らされていた。ショックで悲鳴を上げる圭子の声に、「夕子は自身の娘だ」と語る山口により催眠術をかけられ意識が遠ざかりかけていた浩は我に返り、圭子を救い出す。逃げようと玄関に走った2人の前に夕子が現れるが、彼女に自身は父親だと告げようとした山口は最愛の娘に喉を掻き切られて絶命し、術者の死により催眠術の呪縛が解けて夕子は元の死体に戻る。その直後、圭子が悩まされていたすすり泣きの声が流れるが、その声の主は強姦されて産んだとはいえ愛情を注いだ娘の身に襲いかかった悲劇を嘆く母・志津の嘆きだった。

解説編集

プロデューサーの田中文雄によると、当時東宝は映画斜陽期の中、興行成績がジリ貧となっており、新味を求めた企画として田中の「好きな題材」という怪奇路線に材を求め[1]、英国ハマー・プロの「ドラキュラ映画」を参考に、「日本にもドラキュラを」との趣向で本作が企画された。本編監督を担当した山本迪夫の嗜好はショック場面で押す「ショッカー映画」だったので、田中の嗜好であるおどろおどろしい「怪奇映画」と両者の要素を織り込んだ形でストーリーが練られた。

田中は楳図かずおのファンでもあり、楳図の漫画作品『ミイラ先生』や『赤んぼう少女』などの作品からイメージを構築した。直接の原案として、「催眠術で死者を蘇らせる」という、エドガー・アラン・ポーの怪奇小説『ムッシュー・バルディモアの真相(ヴァルドマール氏の症例の真相)』を下敷きにしたと語っている[1]

またさらに、田中は制作前に、松竹映画から『吸血鬼ゴケミドロ』(1968年)を借りて参考試写を行った。「明るく楽しい東宝映画」という従来路線とは異なる怪奇映画企画にスタッフには戸惑う向きも多かったという。主役の野々村夕子役には小林夕岐子が選ばれたが、小林は脚本を読んでこの役が気に入り、大乗り気で演じたと語っている。出演者には東宝の俳優よりも日活からフリーになった俳優が多く参加している[1]

山本の発案で、小林の吸血鬼メイクには瞳を金色にするためカラーコンタクトレンズが使われた[2]。小林によるとこのレンズは全く視界が無く、撮影のたびに物にぶつかりそうになったが、ビジュアル面で絶大な効果を上げただけでなく、それがかえって不安な印象を画面に与えたと評価されている。

並映作品の角田喜久雄の小説『黄昏の悪魔』を原作とする『悪魔が呼んでいる』も、本作と同じ山本監督がメガホンをとっている。当初山本は怪奇映画の製作に乗り気ではなかったため、もう一本好きなものを撮って良いと東宝から許可を得て、本作と同時進行で製作されている[2]。また両作で同じスタッフ編成とすることで製作費を節減する狙いもあった[2]

本作は公開されるや、女性層を中心に支持を集めてヒットとなり、続く『呪いの館 血を吸う眼』、『血を吸う薔薇』と、「血を吸うシリーズ」が連作されることとなった[2]

スタッフ編集

キャスト編集

映像ソフト編集

  • 2005年4月28日に東宝ビデオよりDVDが発売された[3]。オーディオコメンタリーは小林夕岐子[3]。血を吸うシリーズ3作品を収録したDVDボックス『血を吸う箱』も同時発売[3]
  • 2014年2月7日、<期間限定プライス版>として再発売された。
  • 2015年8月19日、<東宝DVD名作セレクション>として再発売された。

脚注編集

  1. ^ a b c 宇宙船118 2005, pp. 106-107, 「DVD-BOX発売記念インタビュー 血を吸う3部作プロデューサー 田中文雄」
  2. ^ a b c d 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年、136 - 139、146頁。ISBN 9784864910132 
  3. ^ a b c 宇宙船118 2005, p. 106

参考資料編集

関連項目編集

外部リンク編集