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拳銃弾/左:.45ACP弾と右:9x19mmパラベラム弾。丸みのある色の部分が弾丸
20世紀に英国の王立砲兵英語版隊によって用いられたさまざまな砲弾

弾丸(だんがん、: bullet)とは、火器から発射されて飛ぶ物体のこと[1]銃弾および 砲弾総称[1](つまり、それらをまとめて指すための呼称。) 一般的には単に「弾(たま)」とも言う。

概説編集

から発射され飛ぶ物体を、まとめて指すための用語が「弾丸」である。射手の狙い通りに弾丸が目標に当たれば、目標に物理的損傷を与えることになる。

弾丸の材質や形状は用途により多岐にわたる。

 
現代の典型的な実包の構造図。1:弾頭。2:薬莢。3:発射薬。4:リム。5:雷管

銃弾編集

一言で「銃弾」と言っても、現代では一般に、飛んでゆく「弾」はそれ単体で銃にこめられるのではなく、「弾」を発射するための火薬類や着火用の雷管などとともに「薬莢」と呼ばれる一種の容器に収められ一体化した形で事前に用意されている。弾頭・発射薬銃用雷管薬莢に収められ一体化した状態を「実包」や「弾薬」という。

弾頭の材質や構造はいくつかあり、たとえば広く用いられている「フルメタルジャケット」というタイプは、弾の中心部分(「弾芯」、: core コア)は合金であり、それを銅合金の覆い(「被甲」、: jacketジャケット)で覆った構造になっている。

現代の銃弾の分類法としては、弾頭の構造・形状・材質などにもとづいて「フルメタルジャケット / ソフトポイント / ホローポイント...」などと分類されることが多い。→#銃弾の種類

一方、散弾銃散弾では、実包は円柱の形にまとめられ、発射と同時に、多数の球状の小さな弾丸が「ばらまかれ」るようにして、ばらばらの状態で飛んでゆく。

なお、銃弾を実際に発射することを「発砲(はっぽう)」という。

 
さまざまな砲弾の構造

砲弾編集

砲弾は構造としては(現代では一般論として言えば)、弾体炸薬・信管・弾帯からなる[2]。使用目的により、榴弾徹甲弾照明弾焼夷弾ガス弾などがある[2]

歴史編集

鉄砲大砲が生まれた時代、弾丸というのは、(「弾丸」に「丸」という漢字が入っていることからも分かるように)金属球形にしたものであった。球形の弾は銃口から発射された後、飛んでゆくあいだ空気抵抗が大きく弾速が落ちやすく弾は遠くまで飛びづらく、また弾道が安定せず(意図しないのに、野球の変化球のように変化しがちで)目標に的中する確率も低くなりがちであった。火縄銃の場合、玉(弾)のこめかたは、1発撃とうとするたびに、まず銃を垂直に立てるように持ち、上側の穴(銃口)から火薬をパラパラと入れ、次に やはり銃口から金属玉を入れ、「さく杖」と呼ばれる棒で押して固め、(火蓋(=火皿の蓋。一種の安全装置)が撃ち終えた直後なら開いた状態なので、そのまま)火皿に着火薬を入れ、(安全のため一旦)火蓋を閉じ、「火挟」に火縄をセットする、という手順である。[3]

「たまこめ」の時間を短くするために、火薬を粉の状態のまま銃口から入れるのではなく、あらかじめ所定量を紙の袋に入れておき、それを銃口から入れる、という方法(紙製薬莢のもっとも素朴な形態)は14世紀には一応発明されていた。が、実際に広く使用されるようになったのは、後の時代である。

弾頭・発射薬・着火薬が薬莢で一体化されたものは、1808年パリで、スイスの銃職人のJean Samuel Paulyとフランスの銃職人François Prélatによって開発された。弾頭は球形で、薬莢は真鍮製もしくは製であった。これも普及したのは後の時代である。

たとえば米国では南北戦争の時期(1861年~1865年)でシャープス銃が用いられたが、この銃は、発射薬+弾という方法で装填することもできたし、一体型の紙薬莢で装填することもできた。1860年代~1870年代になると、米国でいくつもの銃製造業者がリボルバーを製造し(そこにはスミス&ウェッソン社もあった)、それに金属製の薬莢に入った実包が用いられ、金属製薬莢を用いた実包の普及が進んだ。現在、使用されている実包はおおむねこの形状を継承している。

後に、弾頭の形状は空気抵抗を減らすために弾頭の先が尖った形に進化したものが開発されたり、反対に、着弾した時にターゲットの身体(肉体)をより激しく傷つけるためにあえて弾頭の先が平らな形状や窪んだ形状のものなども開発された。

かつて用いられた「球形の弾丸」は現代では廃れて戦場では見られなくなったが、砲丸投で使われる丸い砲丸がその名残を今に伝えている。

日本の戦国時代の弾丸

戦国時代の日本では鉄砲の需要にともない弾丸の材料であるの需要も高まったが、長篠古戦場から出土した弾丸の分析結果から、7割が国産であり、3割が外国産で、タイ産鉛も確認されており(後述書)、これは南蛮貿易により 取り寄せられたものとみられる[4]。他の金属製の弾丸の場合、鉛製弾丸に比べて飛距離が短いという欠点があるが(前掲書 p.42)、西日本から出土する弾丸のほとんどが鉛製であり、東日本では製の弾丸が多く、地理的要因による物流の格差がみられる(前掲書 p.42)。平山優は武田軍の軍役定書から長篠の戦いにおける銃器保有率は武田方も織田方も大差はなかったとしており、問題だったのは、銃弾の材料の方であったとする(前掲書 pp.36 - 39)。

銃弾の種類編集

 
製の薬莢を持つ7.62x39mm弾フルメタルジャケット弾
フルメタルジャケット弾(full metal jacket/被覆鋼弾、完全被甲弾)
貫通性が高い通常の弾丸。弾芯が金属(メタル)の覆い(ジャケット)で覆われているメタルジャケット弾の一つ。ボール(Ball)弾とも呼ばれる。
ほとんどのフルメタルジャケット弾は、弾芯であるをギルディング・メタル(真鍮。混合率は95%、亜鉛5%)で覆っている。
用ライフルでは、目標衝突時の弾頭変形を防ぎ貫通力を高めるため、このフルメタルジャケット弾が使われる。
メタルジャケット弾にはフルメタルジャケット弾(弾頭を完全に真鍮で覆った弾)とパーシャルジャケット弾(弾頭の先端部分以外を真鍮で覆った弾)があり、パーシャルジャケット弾は、目標に衝突した際にメタルに被われていない弾頭先端が変形し破壊力を増す構造で、主に大型動物のハンティング用に用いられる。ハーグ陸戦条約第23条の「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること」への抵触を避けるなどの人道上の理由から、軍用弾にはフルメタルジャケット弾が用いられる。
 
.357マグナム弾/左:ソフトポイント弾、右:ホローポイント弾
 
ライフル弾/上:12.7x99mm NATO弾、中:ベルトリンクで連結された5.56x45mm NATO弾で、円錐状の銅色の部分が弾丸。右下:比較用の拳銃弾 ライフル弾は全長が拳銃弾の5倍から10倍弱
ソフトポイント(soft point
弾頭先端がギルディング・メタルで覆われておらず、鉛が剥き出しの弾丸。命中すると柔らかい鉛により弾頭が激しく変形・破砕し、目標内部で運動エネルギーを効率的に伝えることにより、致命的なダメージを与える。弾丸が破砕するため貫通力は低い。
貫通力の低さから狙撃時に犯人を貫通した弾丸による二次被害防止のため、主に警察用として利用されている。
ホローポイント(hollow point/JHP)
弾頭がすり鉢のように窪んでいる弾丸。人体などに命中すると、先端がキノコ状に変形(マッシュルーミングという)し、径が大きくなった先端部が運動エネルギーを効率よく目標に伝達して大きなダメージを与える。主に狩猟用として利用されている。
純銀弾(Silver Bullet)
は価格が鉛や真鍮より大幅に高いうえ、銃弾としてはコストに見合うメリットがないため、実用の弾丸としては作られていない。銀白色の外見をもつ弾頭としては「シルバーチップ」と呼ばれるものがあるが、これは、アルミニッケル合金を利用したホローポイント弾であり、製ではない。
曳光弾(tracer bullet)
発射されると後方に光を曳く、弾道を視認しやすくするための弾丸。トレーサーとも呼ばれる。機関銃などの照準確認用として通常弾に一定の割合で混合され用いられる。飛翔距離と共に内蔵した発火薬が減少して軽くなるため、ある程度の距離を飛翔すると通常弾とは違う弾道を描くので、あくまで目安である。また、射手に"残弾あと僅か"を示す目的で使用されることもある。
一般的には、5-7発に1発の割合で曳光弾が混入される(残数確認の場合は残り5発程度の部分に用い、つまり、弾込めの場合はまず5発の曳光弾を入れてから通常弾を入れる)。限定的な焼夷効果もある。
 
国連軍が使用するライフル用のゴム弾
ゴム弾(rubber bullet)
弾頭を硬質ゴムで作成した弾丸。。弾丸の重量やその構造上、有効射程が短く、目標に対して弾丸が貫通することがないので非致死性兵器として、警察軍隊による暴動鎮圧などに用いられる。
切れ目の有る円筒状で先端にくぼみがあり、発射されると先端のくぼみが受ける風圧で切れ目に沿って十字形に開いて飛翔するタイプ、プラスチックや金属にゴムを塗ることで射程を伸ばしたタイプなどがある。
1970年代からはより安全とされるプラスチック弾英語版も登場している。
エクスプローダー(exploder)
ホローポイントのくぼみに銃用雷管や少量の火薬を埋め込み、命中すると炸裂する。殺傷能力の向上を期待されたが、威力の上昇が製造コストの上昇に見合わなかったため、現在では製造されていない。
散弾(shot)
射出時に、弾薬に内包されている多数の子弾が飛び出す。散弾銃を参照。
フランジブル弾(frangible bullet
粉体金属(銅、スズなど)を押し固めた弾丸。
人体には貫入するが、壁や柱など固い物質に当たると粉々に砕けるため跳弾しない。屋内戦闘での跳弾防止の他、運行中の航空機内でも使用出来るためスカイマーシャルが犯罪者制圧に利用する。
フレシェット弾flechette
APFSDS様のプラスチック製サボを用いて状の弾体を発射する弾丸。矢は1本とは限らず、散弾銃の散弾代わりに矢型子弾を詰めた実包も存在する。
フレシェット弾は、1980年代オーストリアステアー社によってACR (Advanced Combat Rifle) として試作され、従来のライフル銃を大きく凌ぐ初速と貫通力を実現したが、軽量であるため横風の影響を受け易く、ライフル弾のような命中精度は実現できなかった。
水中銃弾
APS水中銃など用の実包で、水中での弾道特性に配慮した矢状(ただし、矢羽は無い場合が多い)の弾体を発射する弾丸。日没後、夜明け前や薄暗い水中などでの使用に備え、弾道確認のために曳光弾もある。
ダムダム弾(Dumdum bullet
19世紀に、英領インドコルカタ近郊、ダムダムにあるダムダム工廠で製造された対人用拡張弾頭の総称。いずれも命中時に弾頭が裂け、肉体組織への激しい裂傷と止血しづらい銃創により体の末端部や腹部に命中しても殺傷力が高まるようになっている。
戦争遂行には不必要なほどの殺傷力を持つとして、1899年ダムダム弾禁止宣言がなされ、体内で弾頭が変形する弾丸の使用が禁止された。1907年のハーグ陸戦条約第23条5項においては、明示されてはいないが、戦時下でこのような「不必要な苦痛を与える兵器の使用」の禁止が謳われている。 現在でも戦争における使用は禁止されているが、これに拘束されない狩猟や警察などでは、一発で多大なダメージを与えることができ、また対象物内部で弾丸が止まる可能性が高い(貫通による二次被害の軽減)ため、現在でも多く使用されている[注釈 1]
 
.38スペシャル弾のワッドカッター(HBWC)と命中によって開いた穴
ワッドカッター(wadcutter
射撃競技用の弾丸。先端が平坦で、紙の標的にパンチしたように丸い穴を開けるため着弾位置の確認が容易である[注釈 2]。また、形状が円筒に近いため、他の弾丸に比べて銃身内との接触面積が大きく、より正確な弾頭の中心軸周りの回転が得られ、安定した弾道特性を持つ。
競技射撃には後端が中空になっているため低速域の安定性が高い Hollow Base Wadcutter(HBWC)が使われている。中空で軽いため殺傷能力は低いが、安定した弾道特性等に着目し、弾頭重量を増すことで貫通力を高め、また塞がりにくい円形の傷を与えることで殺傷力を強化したセミワッドカッター(SWC)も開発されており、一つで標的射撃・小型獣の狩猟・護身に対応できることから、.38スペシャル弾など拳銃用の実包が販売されている。
ピストン・プリンシプル弾
薬莢そのものに消音効果を持たせた弾丸。薬莢内部にピストンがあり、発射ガスをピストンで受け止める事で弾丸を押しだし、発射ガスを薬莢内部にとどめ、発射音を軽減する構造を持つ。
自動追尾弾
2015年、アメリカ国防高等研究計画局は、動く目標を自動追尾する50口径の銃弾の開発に成功したことを発表している[5]

砲弾の種類編集


弾丸と伝説・迷信・フィクション編集

大昔は概して、弾は撃ったがなかなか的に当たらない、などということが一般的で、射手はそれに悩まされていたが、 ドイツでは伝説に、「発射すれば必ず狙った標的に当たる」とされる「魔法の弾丸」(魔弾)という、まるで射手の願望を投影したようなものが登場するようになり、これをモチーフにして、19世紀にカール・マリア・フォン・ウェーバーが『魔弾の射手』というオペラ作品を仕立て上げた(1821年初演)。「百発百中の弾」という魅力的なモチーフは、その後もさまざまな作品に登場することになった。

戦国期の日本では、『関東古戦録』巻三に「勇猛な大将はの弾丸で撃ち抜けば、後で禍はない」という迷信が記され、上杉景虎に対し、黄金の弾を3回撃ったが、命中しなかった、とも記されている。

ハリウッドでは20世紀に「狼男は(ほぼ)不死身だが、の武器は効く」などという設定にして、フィクションのストーリー展開を盛り上げる手法が現れ、狼男を銀の弾丸で殺す、という内容のフィクションも現れた。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ パッケージにも「使用は司法関係者に限る」の注意書きがされている事が多い
  2. ^ 先端が尖った弾丸では、紙を指で突き抜くような乱れた穴になるので、着弾の中心が判別しにくく、競技の際に採点に影響が出る

出典編集

  1. ^ a b 広辞苑第六版「弾丸」
  2. ^ a b 大辞泉「砲弾」
  3. ^ この一連の「たまこめ」作業にかかった時間というのは、結局、射手の腕によってまちまちであり、(どれほどの時間がかかったか調べるために、何度も検証実験が行われているが、要は人によってバラバラで、実験ごとに様々な時間が示され)、たとえば不慣れな射手(や平常心を失い手元がおぼつかなくなっている状態)では1~2分ほどかかり、熟練の射手が落ち着いて行う場合でも、数十秒程度かかったなどと推定されてもいる。1発撃つと、次の1発をこめるためにこれだけの時間が必要で、その間、敵の攻撃にさらされた、ということである。
  4. ^ 『月刊 歴史街道』 平成31年4月号 PHP研究所 p.39.記事・平山優
  5. ^ 動く標的を自動追尾、「かわせない銃弾」の実験に成功 CNN(2015年4月30日)2017年6月24日閲覧

関連項目編集

外部リンク編集