怪盗グルーのミニオン危機一発
『怪盗グルーのミニオン危機一発』(かいとうグルーのミニオンききいっぱつ、英: Despicable Me 2)は、2013年公開のアメリカ合衆国の3Dコンピュータアニメーション・コメディ映画。「怪盗グルー」シリーズの2作目である。前作に引き続いてイルミネーション・エンターテインメントが製作、ユニバーサル・ピクチャーズが配給、ピエール・コフィンとクリス・ルノーが監督、シンコ・ポールとケン・ダウリオが脚本を執筆した。スティーヴ・カレル、ラッセル・ブランド、ミランダ・コスグローヴが前作と同じ役の声優を務め、また、ミス・ハッティー役であったクリステン・ウィグは新キャラクターのルーシー・ワイルド役となる。他に新キャストとしてベンジャミン・ブラット、スティーヴ・クーガンが参加する。2013年7月3日より公開された[1]。
怪盗グルーのミニオン危機一発 | |
---|---|
Despicable Me 2 | |
監督 |
ピエール・コフィン クリス・ルノー[1] |
脚本 |
シンコ・ポール ケン・ダウリオ[1] |
製作 |
クリス・メレダンドリ ジャネット・ヒーリー[1] |
出演者 |
スティーヴ・カレル クリステン・ウィグ ベンジャミン・ブラット ミランダ・コスグローヴ ラッセル・ブランド スティーヴ・クーガン ケン・チョン |
音楽 |
ヘイター・ペレイラ ファレル・ウィリアムス |
主題歌 |
「Happy」 ファレル・ウィリアムス |
編集 | グレゴリー・パーラー |
製作会社 | イルミネーション・エンターテインメント |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ 東宝東和 |
公開 |
2013年7月3日 2013年9月21日 |
上映時間 | 98分[2] |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $76,000,000[3] |
興行収入 |
$970,766,005[4] $368,065,385 25億円[5] |
前作 | 怪盗グルーの月泥棒 3D |
次作 | 怪盗グルーのミニオン大脱走 |
あらすじ
皮肉屋の怪盗グルーは前作から一転、心を入れ替え、バナナが大好きなミニオンたちに支えられながらマイホームパパになろうと努力していた。ある日、彼は世界トップクラスの超極秘組織「反悪党同盟」に引き抜かれ、相棒となったルーシーと共に捜査にあたることになる。そんな折、彼の家から無敵のチームであるミニオンたちが何者かにさらわれてしまう。
登場人物
- フェロニアス・グルー: スティーヴ・カレル
- 本作の主人公。ミニオン達のボス。前作では盗みや嫌がらせなど、人々を困らせることが大好きで、子供嫌いの悪党だったが、本作では引退して三姉妹の良き養父たらんと務め、他所の子どもたちにもパーティーを開いて優しくしている。現在はジャムとゼリーの開発に熱意を注いでいるとのこと。異性の友人ジリアンから、変な女ばかり交際相手として斡旋され、うんざりしている。今作では過去のトラウマから女性恐怖症の一面があることが描かれている。
- ネファリオ博士: ラッセル・ブランド
- グルーの家に暮らすマッドサイエンティスト。頭脳明晰だが奇人。悪党をやめ、グルー同様、ゼリーとジャムの開発をしているが、悪事三昧だった昔を恋しくも思っていることから、やる気がないらしく、不味い物ばかりが発明されるなど全然順調ではない。
- 前作の時点で年齢は約150歳と関連書籍で紹介されたが、スピンオフ作にて42年前の青年の姿が描かれたため、実際は80-90歳代と推測される。
- マレーナ・グルー: ジュリー・アンドリュース
- グルーの母。本作では、結婚式の場面に一瞬だけ顔を見せ、健在ぶりが紹介された。かなりキツイ言動が目立つが、本当は優しい性格。
- ミニオン:ピエール・コフィン/クリス・ルノー
- グルーの手下の黄色く小柄な生物たち。能天気で明るくやる気はあるが、ドジな性格で失敗を重ねてしまう。基本的に騒がしく楽しいことを好む。いたずらも好き。掃除のときは、メイドの恰好もする。空気がなくても生きていける。自らが話す言葉は独特の言語(ミニオン語(Minionese))であるが、人間の言葉は理解できるようである。本作ではPX-41により紫色で凶暴なイーブルミニオンに変身させられる。
- なお、「ネファリオ博士がバナナから作ったという設定」が日本では一般的に知られているが、誤訳。「原語版ではシリアルから作ったことになっている」というのも公式設定ではない。
- マーゴ・グルー: ミランダ・コスグローヴ
- 前作でグルーの養女となり同居している三姉妹の長女。しっかり者で面倒見がいいが、理屈屋で過保護な所がある。フチありの眼鏡をかけている。本作ではボーイフレンドができるが、失恋に終わる。(そのボーイフレンドはグルーによって氷漬けにされた)
- イディス・グルー: ダナ・ガイアー
- 三姉妹の次女。好奇心旺盛で、何にでも手を付けたがる為に、よく騒動を巻き起こしては、グルーを困らせる。白い長靴が好きでいつも履いている。本作では、忍者の恰好での忍びの技やヌンチャクの技も披露する。日本語版ではグルーの声優が笑福亭鶴瓶であることから、グルーが「有名人で言えばだれに似ているか?」という質問に「鶴瓶」と答えている。
- アグネス・グルー: エルシー・フィッシャー
- 三姉妹の三女。純粋な性格で誰にでも友好的に接するが、内面では愛に飢えている。三姉妹の中で最もグルーに懐いている。ぬいぐるみのユニコーンがお気に入り。母の日の朗読の練習で、自分にも母親が居たらと思うようになり、ジレンマから朗読に力が入っていない。また、このことからルーシーに早く母性を見出していた。
- ジリアン: ナジム・ペドラッド
- グルーの近所に住む友人。世話焼きタイプの女性で、女友達も多く、グルーに恋人を斡旋するが、みんな変な女ばかりなのでグルーは閉口している。
- シャノン: クリスティン・スカール
- ジリアンの紹介でグルーとデートした女性。髪の毛のあるグルーを、カツラではないかと疑ったので、猛獣向けの薬で気絶させられた。
- ルーシー・ワイルド: クリステン・ウィグ
- 超極秘組織「反悪党同盟」の女性エージェント。青いワンピースを着ている。グルーとコンビを組み、ロシアから盗まれた「PX-41」の行方を追うが一緒にいることでグルーへ好意を抱くようになる。口紅を改造した銃を持ち、潜水艦や飛行機に変わる青い自動車を乗り回す。大仰な口調とテンションが特徴で、性格も行動も強引だが、上司には従順。その場の即断力に優れている曲者でもある。
- サイラス・ラムズボトム: スティーヴ・クーガン
- 超極秘組織「反悪党同盟」の局長。ルーシーの上司だが、ミニオン達からは姓(羊の下半身、羊のおしり)が可笑しいと笑われた。
- エドアルド・ペレス: ベンジャミン・ブラット
- モールにメキシコ料理の店「サンサ・イ・サルサ」を出している。胸板にメキシコの国旗のペイントをしている。グルーは、彼の正体が伝説の悪党「エル・マッチョ」ではないかと疑っている[6]。
- アントニオ・ペレス: モイセス・アリアス
- エドアルドの息子。気が強くデートの邪魔をしたグルーに金的をかましたが、節操のない部分もあり、マーゴとデートの途中で別の少女に惹かれてしまうなど、浮気性である。
- フロイド・イーグル: ケン・チョン
- モールにウイッグ専門店を出している。盗まれた「変身薬」の容器が店内にあるのがわかり、ラムズボトム局長に犯人と疑われる。
- 怪盗エルマッチョ
- 名前にもある通り、まさに「マッチョ」な悪党。とんでもない怪力の持ち主で現金輸送車を強盗するときには武器を一切使わずパンチで走行車を止め、そのまま車ごと持って行ったという。酒場の店員を投げ飛ばしてボトルをコップに注ぎコップごと噛み砕くというマッチョな行いだが、お金は払う。20年前に、航空機から巨大なサメと共に100キロのダイナマイトを体に巻きつけて火山に飛び込むという華々しい最期を迎えたと言い伝えられているが、現場には焼け焦げた胸毛しか残っていなかったらしい。
- コッコちゃん(Rooster)
- 番犬の代わりに店を見張るニワトリ。エドアルドに可愛がられている。可愛らしい外見に似合わず、攻撃は強烈である。
キャスト
役名 | 原語版声優 | 日本語吹き替え版 |
---|---|---|
グルー | スティーヴ・カレル[1] | 笑福亭鶴瓶 |
ルーシー・ワイルド | クリステン・ウィグ[7] | 中島美嘉 |
エドアルド・ペレス (怪盗エル・マッチョ) |
ベンジャミン・ブラット[8] | 中井貴一 |
アグネス | エルシー・フィッシャー[9] | 芦田愛菜 |
マーゴ | ミランダ・コスグローヴ[1] | 須藤祐実 |
イディス | デイナ・ゲイアー[10] | 矢島晶子 |
ネファリオ博士 | ラッセル・ブランド[1] | 伊井篤史 |
アントニオ・ペレス | モイセス・アリアス[11] | 宮野真守 |
サイラス・ラムズボトム | スティーヴ・クーガン[1] | 坂口芳貞 |
フロイド・イーグル | ケン・チョン[12] | 山寺宏一 |
ジリアン | ナジム・ペドラッド | 雨蘭咲木子 |
シャノン | クリスティン・スカール | 高乃麗 |
客室乗務員 | ヴァネッサ・ベイヤー | 魏涼子 |
ミニオン・スチュワート | ピエール・コフィン | 青山穣 |
ミニオン・ケビン | 多田野曜平 | |
ミニオン・トム | 佐藤せつじ | |
ミニオン・デイブ | クリス・ルノー | 桜井敏治 |
その他
製作
2010年7月、プロデューサーのクリス・メレダンドリは続編について発言した[13]。公開予定日は暫定的に2013年7月3日となった[14]。2011年10月14日、ミランダ・コスグローヴは自身の公式FacebookとTwitterで最初の収録が行われたことを報告し[15]、2012年2月にはアニメーション制作が始まったことを明した[16]。
2012年2月、アル・パチーノがグルーの敵役を務めることが報じられた[8]が、映画公開二か月前に突然、降板した。代役はベンジャミン・ブラット。2012年4月、スティーヴ・カレル、ラッセル・ブランド、ミランダ・コスグローヴ、クリスティン・ウェグが続投し、またさらにスティーヴ・クーガンがサイラス・ラムズボトム役で加わった[1]。
公開
2012年3月1日、ミニオンがザ・ビーチ・ボーイズの「バーバラ・アン」の替え歌を歌っているティザー予告編がオンライン上で公開された[17]。この予告編は2012年3月2日に劇場公開された同じくイルミネーション・エンターテインメント製作の『ロラックスおじさんの秘密の種』にも付けられた[18]。
2本目の予告編は2012年10月31日に公開された[19]。
3本目の予告編は2013年3月19日に公開された[20]。
スピンオフ
テレビ放送
回数 | 放送局 | 放送枠 | 放送形態 | 放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 平均世帯視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | フジテレビ | 土曜プレミアム | 本編ノーカット | 2017年7月22日 | 21:00 - 23:10 | 130分 | 8.8% | 『怪盗グルーのミニオン大脱走』公開記念で地上波初放送[24]。 笑福亭鶴瓶(グルー役)、生瀬勝久(『怪盗グルーのミニオン大脱走』ドルー役)、松山ケンイチ(『怪盗グルーのミニオン大脱走』バルタザール・ブラット役)が見所を紹介した。 |
2 | 日本テレビ | 金曜ロードSHOW! | 2020年12月18日 | 21:00 - 22:54 | 116分 | 7.8% | ||
3 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 2023年2月24日 | 21:00 - 22:54 | 116分 | 6.0% |
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
備考
- 2017年6月30日に、米国で続編『怪盗グルーのミニオン大脱走(Despicable Me 3)』が公開された[25]。日本での公開は2017年7月21日。
- 本作のサウンドトラックに収録されている「Happy」は、後日ファレル・ウィリアムスのソロ楽曲としてシングルカットされ、人々が踊るPVの派生バージョンが、世界各地で作られるなど話題を集めた[26]。このミュージックビデオにはミニオンたちも登場している。
- アカデミー賞、長編アニメ映画賞、歌曲賞にノミネートされた。
参考文献
- ^ a b c d e f g h i Kit, Borys (May 1, 2012). “Steve Coogan Joining Voice Cast for 'Despicable Me 2' (Exclusive)”. The Hollywood Reporter May 2, 2012閲覧。
- ^ “DESPICABLE ME 2 (U)”. British Board of Film Classification (2013年5月24日). 2013年5月27日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (July 1, 2013). “Box Office Preview: 'Despicable Me 2' Set to Upstage 'Lone Ranger'”. The Hollywood Reporter July 2, 2013閲覧。
- ^ “Despicable Me 2”. Box Office Mojo. 2022年10月9日閲覧。
- ^ 2013年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ キャスト欄を見てもわかるように、声優も同一人物。
- ^ Puchko, Kristy (March 19, 2013). “Gru Meets His Match In Latest Despicable Me 2 Trailer”. CinemaBlend.com March 19, 2013閲覧。
- ^ a b Fleming, Mike (February 3, 2012). “Al Pacino Makes Animated Film Debut In "Despicable Me 2"”. Deadline February 4, 2012閲覧。
- ^ Racheal (July 2, 2012). “Despicable Me Minion Mayhem is now open at Universal Studios”. Behind the Thrills August 20, 2012閲覧。
- ^ Gaier, Dana (June 26, 2012). “@Emilyxoxo708 yes, i was the voice of edith in despicable me and i am working on the sequel :)”. Twitter August 18, 2012閲覧。
- ^ IMTA (May 16, 2012). “IMTA Alum Moises Arias in We The Party!”. That IMTA Blog April 9, 2012閲覧。
- ^ Wolfe, Jennifer (October 31, 2012). “New Despicable Me 2 Trailer Released”. Animation World Network November 10, 2012閲覧。
- ^ “Chris Meledandri's Illumination Game Plan Includes 'Despicable Me' Sequel, 'Minion' Spinoffs, Dr. Seuss, The Addams Family”. Deadline.com. 2010年10月23日閲覧。
- ^ “Universal Dates Savages, Despicable Me 2 and Oblivion”. ComingSoon.net (2011年6月16日). 2011年6月18日閲覧。
- ^ Miranda Cosgrove: "First day on Despicable Me 2!!! ;)" on Facebook
- ^ Radish, Christina (February 7, 2012). “Producer Chris Meledandri Talks Dr. Seuss Biopic and DESPICABLE ME 2; Confirms Biopic Will Probably Be Live-Action with Animated Seuss Characters”. Collider.com May 2, 2012閲覧。
- ^ “The Despicable Me 2 Teaser Trailer and Poster Hit! Read more: The Despicable Me 2 Teaser Trailer and Poster Hit!”. ComingSoon.net. (March 1, 2012) March 2, 2012閲覧。
- ^ The Lorax (March 3, 2012). “When you see The Lorax...”. Twitter March 6, 2012閲覧. "When you see The Lorax in theaters, see if you can spot the minion from Despicable Me! (The new Despicable Me 2 trailer doesn't count!)"
- ^ “Despicable Me 2 Trailer and Images”. Collider.com. (October 31, 2012) October 31, 2012閲覧。
- ^ “The New Trailer for Despicable Me 2 is Here!”. ComingSoon.net. (March 19, 2013) March 19, 2013閲覧。
- ^ “Universal Dates Minions Movie Dec. 19, 2014”. Deadline. (August 21, 2012) August 22, 2012閲覧。
- ^ “Universal, Illumination Move their ‘Minions’ to Summer 2015”. VARIETY. (2013年9月20日) 2014年8月8日閲覧。
- ^ Fleming, Mike (July 23, 2012). “Illumination And Universal Hatch ‘Despicable Me’ Spinoff About The Minions”. Deadline July 24, 2012閲覧。
- ^ 『TVステーション』ダイヤモンド社、関東版2017年16号、P.44頁。
- ^ “Universal Dates 'Despicable Me 3,' New 'Grinch Who Stole Christmas'”. The Hollywood Reporter (2014年1月15日). 2014年9月6日閲覧。
- ^ “【動画】世界中でブーム、ファレル・ウィリアムス「Happy」の原宿版PV公開”. Fashionsnap.com (2014年4月30日). 2014年8月5日閲覧。