怪談噺(かいだんばなし)とは、落語の演目のなかで幽霊化け物死神などといった怪異を扱うの総称[1]文化文政のころにはじまり、幕末から明治期に隆盛した[2]。林家の始祖で、文化・文政・天保に活躍した初代林家正蔵(当時は「林屋」と表記)が怪談噺の元祖とされており、三遊亭圓朝(初代)や桃川如燕なども名手とされた[2][注釈 1]

概要 編集

落語は笑いを主体とした滑稽噺が多く、ほかに親子や夫婦の情愛を描いた人情噺があるが、怪談をもとにした怪談噺もひとつのジャンルを形成している。一般にはに演じられることが多い。

高座に背景を用意し、音曲を入れる演出方法(この音曲を「ハメモノ」という)を採用することも多い[1]。「芝居噺」と称される噺も同様の演出がとられる[注釈 2]小道具照明などを用い、実際に幽霊を出す演出もある。

落語史上最大のスターといわれる三遊亭圓朝も怪談噺を得意とした[1][3]。圓朝作『怪談牡丹灯籠』は名作中の名作として知られ、グリム童話から翻案したといわれる『死神』のほか、自作の『真景累ヶ淵』『怪談乳房榎』などいずれも傑作ぞろいで、歌舞伎でもよく上演される[1][3]

それに対し『質屋蔵』(質屋庫)は上方落語で、原話は明和4年(1767年)『友達ばなし』「手習い師匠」などにさかのぼる古い噺であり、滑稽の要素を含む[4]

戦後では8代目林家正蔵(林家彦六)が特に怪談噺を得意とし、『怪談牡丹灯籠』『真景累ヶ淵』『一眼国』などを演じた。彦六創作の怪談噺に『年枝の怪談』がある。

おもな怪談噺 編集

上に掲げたもののほかに、

などがある。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 初代正蔵は「怪談の正蔵」と称せられた。
  2. ^ 「ハメモノ」は上方では一般的であるが、江戸・東京ではあまり多くはみられない。

出典 編集

参考文献 編集

  • 矢野誠一草柳俊一『落語CD&DVD名盤案内』大和書房〈だいわ文庫〉、2006年3月。ISBN 978-4-415-30493-9 
  • 渡邉寧久監修『CD付 落語入門』成美堂出版、2008年11月。ISBN 978-4-415-30493-9 

関連項目 編集