恋しさと せつなさと 心強さと
「恋しさと せつなさと 心強さと」(いとしさと せつなさと こころづよさと)は、1994年7月21日に発売された篠原涼子の4枚目のシングル。小室哲哉プロデュースにより篠原涼子 with t.komuro名義で発表されている。
「恋しさと せつなさと 心強さと」 | ||||||||
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篠原涼子 の シングル | ||||||||
初出アルバム『Lady Generation 〜淑女の世代〜』 | ||||||||
B面 | GooD LucK | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | ||||||||
ジャンル | ||||||||
レーベル | Epic/Sony Records/Cha-DANCE | |||||||
作詞・作曲 | 小室哲哉 | |||||||
プロデュース |
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ゴールドディスク | ||||||||
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チャート最高順位 | ||||||||
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篠原涼子 シングル 年表 | ||||||||
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「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」 | |||||||||||||||||
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篠原涼子の配信限定シングル | |||||||||||||||||
リリース | 2022年9月17日 | ||||||||||||||||
規格 | デジタル・ダウンロード | ||||||||||||||||
ジャンル | J-POP | ||||||||||||||||
時間 | 4分19秒 | ||||||||||||||||
レーベル | avex trax | ||||||||||||||||
作詞者 | 小室哲哉 | ||||||||||||||||
作曲者 | 小室哲哉 | ||||||||||||||||
プロデュース | 小室哲哉 百瀬慶一(ノンクレジット) | ||||||||||||||||
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本作の発売当時、篠原は東京パフォーマンスドールに在籍中だったため、Epic/Sony Records内に設立された東京パフォーマンスドールのプライベートレーベルCha-DANCEよりリリースされた[注 1]。
2022年9月17日、原曲を手掛けた小室がリアレンジを行い、篠原がボーカルを新録し、28年ぶりにセルフカバーをした「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」がavex traxより配信リリースされた[3]。
制作編集
篠原が所属していたアイドルグループ・東京パフォーマンスドールの楽曲も数多く手掛けていた小室哲哉は、ライブ会場を何度も訪れては東京パフォーマンスドールのライブの様子を観ていた。スポンサーからは「大物を使ってミリオンを獲得してください」という条件を出されたが、『ダウンタウンのごっつええ感じ』で顔が広くなりつつあった篠原に可能性と潜在能力を見出した[4]。小室は当時の篠原の印象を「東京パフォーマンスドールでの活躍する姿とバラエティでの姿のギャップがすごい。この子は負けない子だな。くじけないだろうなと思った。」と語っている[5][信頼性要検証]。
TM NETWORKのライブ『TMN 4001 DAYS GROOVE』の2日目が終わった翌日の夕方に小室はレコーディングスタジオに行き、篠原のボーカル録りに付き添った。これがTMN終了後の小室の初仕事となった[6]。
2022年9月17日、小室がリアレンジを行い、篠原が原曲キーでボーカルを新録してセルフカバーした「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」が配信でリリース[7]。2023年に発売された対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター6』の家庭用版日本イメージソングに起用された[8]。
音楽性編集
アニメーション映画『ストリートファイターII MOVIE』のタイアップテーマソング制作のオファーを受けた後、当初は主題歌になることを想定して「GooD LucK」を制作していたが[10]、映画のプロデューサーから「TRFの『寒い夜だから…』の出だしみたいに、歌・メロディー・音がいっぺんに入ってくるような曲をお願いします」という注文を受けて、本作を作り上げた[11]。「GooD LucK」は最終的にエンディングテーマ・カップリングとなった[10]。
制作の際にイメージしたキャラクターは春麗であり、そこから「戦う男性を褒めるでもけなすでもなく、とにかく温かく見守る女性。笑顔を見せるのも本当に想っている男性にだけ」という女性像を思い浮かべた[10]。
「いとしさ」は本来「愛しさ」と書くのだが「『愛』という漢字は『愛の讃歌』『愛燦燦』『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』等で沢山出てしまったから、他の漢字にする」「『いとしさ』の方がメロディーに合う」という意向から「恋しさ」と表現することにした[11]。
全体的な方向性は「子供が大人になっても、歌える歌」を志向した[12]。
プロモーション編集
発売当時カラオケ店で流れるEpic/Sony Recordsのミュージック・ビデオ (MV) は「ポップス歌手本人が映るのはNG」という規定があった。対して小室は「なぜ演歌ならOKなのに、ポップスでは駄目なのか」と主張し、Epic/Sony Records系列の楽曲で初めて女性アーティスト本人が映るMVをカラオケ店で流すことを許可された[注 2]。そのため、MV制作は小室が親交の深かったエイベックスが担当するなど、小室は音楽制作だけではなく、どのように露出展開するかまでに言及した[13]。ただし本作の後に発売された篠原の楽曲がカラオケ映像に入ることは、歌手活動休止まで一度も無かった。
小室は「力強くて格好良い、自立した大人の女性」の印象を確立するため、篠原に「バラエティ番組ではいくら大笑いしてもいいから、歌う時は『ちょっと怒ってんのかな』って思われてもいいから歯を見せて笑わないで。話さなくてもいい」と指示した[10]。
タイアップ、他媒体での使用編集
表題曲は1994年公開の東映系アニメーション映画『ストリートファイターII MOVIE』の劇中で挿入歌のように流れているが、エンドロールには主題歌として表記されている。
後にカプコンから1995年にリリースされたアーケードゲーム『ストリートファイターZERO』のゲーム中においても、映画でのシーンを再現した隠しモード「ドラマチックバトル」にて、本曲のインストバージョンがBGMとして使用された。本曲は家庭用ゲーム機への移植版では当初使用されなかったが、2006年発売のPlayStation 2版『ストリートファイターZERO ファイターズ ジェネレーション』で家庭用初収録されている[注 3]。また、2015年発売のニンテンドー3DS用ゲームソフト『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』の限定版「オリジナルゲームサウンドエディション」に、本曲が収録されている[14]。
本曲のセルフカバー版「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」は、2023年にカプコンより発売予定の対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター6』の日本イメージソングとして起用された[7]。
アートワーク編集
アニメーション映画『ストリートファイターII MOVIE』というタイアップがすでに決まっていたため、CDジャケットは「表が篠原のアーティスト写真」「裏はアニメの絵柄」を入れることで、篠原のファン・アニメ方面のファン・原作ゲームのファンのそれぞれをターゲットにできるようにし、店頭で2か所の売り場を確保できるデザインにした[15]。
反響編集
初回出荷は2万5000枚であったが、ロングセラーとなった[16]。
累計売上は202.1万枚(オリコン調べ)。日本の女性ソロ歌手で初めてCDシングル売上200万枚を突破し、ダブルミリオンを記録した作品となった[注 4]。
小室はNIKKEI STYLEのインタビューの中で、ヒットの要因は『ストリートファイターII MOVIE』であるとし、「映画館に見に行った人の曲の記憶が強くて、それでだんだんじわじわ、夏休み中に売れていったんです。」と振り返っている[17]。
1994年、本曲で『第45回NHK紅白歌合戦』に初出場した[18]。
2022年、セルフカバーした「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」で28年ぶり2回目となる『第73回NHK紅白歌合戦』に出場した[12][19]。
チャート成績編集
「恋しさと せつなさと 心強さと」編集
オリコン初登場は20位以下であったが、徐々に順位が上昇し[16]、1994年9月26日付と、翌々週10月10日付のオリコン週間シングルチャートで1位を獲得した。
1994年9月度・10月度の2か月連続でオリコン月間シングルチャート1位を獲得した。
1994年オリコン年間シングルチャートでは3位だが、累計売上では、年間1位の「innocent world」と年間2位の「ロマンスの神様」を上回っている。
オリコン調べによると、映画タイアップ曲のCDシングル[20]および、アニメタイアップ曲のCDシングル[20]において売上歴代1位を記録している。
表題曲「恋しさと せつなさと 心強さと」とカップリング曲「GooD LucK」は、1995年8月21日に発売されたオリジナルアルバム『Lady Generation 〜淑女の世代〜』にも収録されており、こちらでもオリコン週間アルバムチャートで1位を獲得している。
「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」編集
2022年9月17日付のオリコンデイリーデジタルシングル(単曲)ランキングで1位を獲得した[21]。
受賞歴編集
- 1994年『第36回日本レコード大賞』優秀賞を受賞[1]。
- 1994年『第36回日本レコード大賞』編曲賞を受賞[1]。
- 1994年『第27回日本有線大賞』有線音楽優秀賞を受賞。
- 1995年『第9回日本ゴールドディスク大賞』ベスト5・シングル賞を受賞[2]。
- 2019年『平成アニソン大賞』映画主題歌賞(1989年 - 1999年)を受賞[22]。
評価編集
鹿野淳は「『アイドルグループのメンバー』『カラオケで徹底的に歌いやすい、演歌的とも言えるメロディ展開』『盛り上がれるし、踊れるけど切ない歌』ある意味それらが完璧な化学反応を起こして生まれたヒットだが、その完璧さはその後の小室が数々のヒット曲を生んだこともあり、本楽曲は『平成のヒット必勝法』として位置付けられていった」と評している[23]。
収録曲編集
恋しさと せつなさと 心強さと編集
全作詞・作曲・編曲: 小室哲哉。 | |||
# | タイトル | タイアップ | 時間 |
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1. | 「恋しさと せつなさと 心強さと」 | 東映系映画『ストリートファイターII MOVIE』主題歌 | |
2. | 「GooD LucK」 | 東映系映画『ストリートファイターII MOVIE』エンディングテーマ | |
3. | 「恋しさと せつなさと 心強さと」(オリジナル カラオケ) | ||
合計時間: |
恋しさと せつなさと 心強さと 2023編集
全作詞・作曲・編曲: 小室哲哉。 | |||
# | タイトル | タイアップ | 時間 |
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1. | 「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」 | カプコン対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター6』日本イメージソング | |
合計時間: |
収録アルバム編集
- 恋しさと せつなさと 心強さと
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- サウンドトラック・アルバム『ストリートファイターⅡ オリジナル サウンドトラック』(1994年8月1日)
- オリジナル・アルバム『Lady Generation 〜淑女の世代〜』(1995年8月21日)(オリジナルとExtended Mixを収録)
- ベスト・アルバム『Sweets-Best of Ryoko Shinohara-』(1997年11月1日)
- コンピレーション・アルバム『ARIGATO 30 MILLION COPIES -BEST OF TK WORKS』(2000年3月23日)
- コンピレーション・アルバム『THE GREATEST HITS - 小室哲哉作品集 - a』(2006年2月22日)
- ベスト・アルバム『GOLDEN☆BEST 東京パフォーマンスドール』(2008年11月5日)
- コンピレーション・アルバム『TETSUYA KOMURO ARCHIVES “K”』(2018年6月27日)
発売日一覧編集
- 恋しさと せつなさと 心強さと
地域 | リリース日 | レーベル | 規格 | 規格品番 |
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日本 | 1994年7月21日 | Epic/Sony Records/Cha-DANCE | 8cm CD | ESDB-3495 |
台湾 | 2004年9月21日 | エイベックス・グループ(台湾) | CD | |
中国 | 2006年5月15日 | ユニバーサルミュージック(中国) | CD |
- 恋しさと せつなさと 心強さと 2023
リリース日 | レーベル | 規格 |
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2022年9月17日 | avex trax | デジタル・ダウンロード |
カバー編集
- KONAMIから2010年にリリースされたアーケードゲーム『pop'n music 18 せんごく列伝』に版権曲カテゴリの1曲としてカバーバージョンを収録。
- Purple Days - 2010年にレンタル限定リリースしたシングル「TSUYOKUNARE/恋しさと せつなさと 心強さと」に収録。
- m.o.v.e - 2010年にリリースしたアルバム『anim.o.v.e 02』に収録。
- MAX - 2010年にリリースしたアルバム『BE MAX』に収録。
- AAA - 2011年にリリースしたシングル「ダイジナコト」に収録。
- 吉川友 - 2012年にリリースしたアルバム「ボカリスト?」に収録。
- 小室哲哉の作品を当人公認のもと、ボーカロイドによりカバーしたコンピレーションアルバム「小室哲哉 meets VOCALOID」に収録。
- 華原朋美 - 2014年にリリースしたアルバム『MEMORIES -Kahara Covers-』に収録。
- Machico - 2014年にリリースしたアルバム『COLORS』に収録。
- 2015年にリリースされたアニメ「Classroom☆Crisis」BD/DVD 第2巻 完全生産限定版特典CDにて領家マコト(津田美波)がカバー。
- May'n - 2017年5月31日に配信限定でリリース。2017年10月18日にリリースされたアルバム『PEACE of SMILE』に収録。
- 2017年5月26日に発売されたNintendo Switch版『ウルトラストリートファイターII -The Final Challengers-』での30周年テーマソングとしてカバーしており、また同作における「バディファイト」モードでの「リュウ&ケンVSベガ」との組み合わせ限定で流れるステージBGMとして起用されている。
- 2020年8月31日、ゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』にRAISE A SUILEN[レイヤ(Raychell)]によるカバーが収録[26]。2021年2月24日発売のアルバム『バンドリ! ガールズバンドパーティ! カバーコレクション Vol.5』でCD初収録[27]。
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ a b c d “第36回 日本レコード大賞”. 日本作曲家協会. 2022年1月7日閲覧。
- ^ a b “第9回日本ゴールドディスク大賞”. 日本ゴールドディスク大賞. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “篠原涼子×小室哲哉のタッグが再び実現、「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」完成”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2022年9月17日) 2022年9月18日閲覧。
- ^ 角川書店刊『月刊カドカワ』1994年12月号、pp.114-117。
- ^ TBS系『歌のゴールデンヒット〜オリコン1位の50年間〜』2017年2月13日放送。
- ^ 講談社刊『小室哲哉 深層の美意識(講談社文庫版)』神山典士著、pp.231-232。
- ^ a b “篠原涼子、「恋しさと せつなさと 心強さと」をセルフカバー 小室哲哉氏が新たにアレンジ、28年の時を経て復活!「スト6」日本版イメージソングに”. サンスポ (産経デジタル). (2022年9月17日) 2022年9月17日閲覧。
- ^ “小室哲哉、28年ぶりタッグ組んだ篠原涼子と2ショット「彼女の才能を偶然引き出せただけ」”. 日刊スポーツ (2022年9月17日). 2022年9月17日閲覧。
- ^ “篠原涼子×小室哲哉、「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」MV公開”. Billboard JAPAN. (2022年12月9日) 2022年12月9日閲覧。
- ^ a b c d “【SPUR】そうだったんだ!? 小室さん”. SPUR.jp. (2017年5月30日) 2017年5月30日閲覧。
- ^ a b “小室哲哉さん “3人の小室哲哉”が議論していたヒット曲の裏側”. NHK (2022年11月23日). 2022年11月23日閲覧。
- ^ a b “篠原涼子の28年ぶり紅白出場を次男が大喜び、人前での歌唱は「ハケンの品格」以来”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2022年12月29日) 2022年12月29日閲覧。
- ^ シンコーミュージック刊 『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』 市川哲史著、p.170。
- ^ “『ワルキューレの冒険』が3DSで復活!限定版『PXZ2』の特典として…あの小牟も参戦”. exciteニュース (2015年7月3日). 2022年10月12日閲覧。
- ^ 飛鳥新社刊 『プロデューサーは次を作る』:中谷彰宏・小室哲哉著、pp.137-138。
- ^ a b J-POPが激変した時代〜宇多田ヒカルの登場と20世紀の大掃除、cakes、2016年11月2日。
- ^ “小室哲哉 伝説のアニソン名曲はこうして生まれた”. NIKKEI STYLE (日本経済新聞社・日経BP社). (2016年9月5日) 2022年9月17日閲覧。
- ^ “第45回NHK紅白歌合戦”. NHK紅白歌合戦ヒストリー. NHK. 2021年10月14日閲覧。
- ^ “【紅白】“28年ぶり”篠原涼子 小室哲哉との共演で「恋しさとせつなさと心強さと 2023」を披露”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2022年12月31日) 2023年1月19日閲覧。
- ^ a b 『オリコン・ウィーク The Ichiban』2001年1月1・8日号(第23巻第1号、通巻1079号)オリコン(現:オリコン・エンタテインメント)、p.46。
- ^ ストリートファイター / STREET FIGHTER [@StreetFighterJA] (2022年9月20日). "オリコン1位" (ツイート). Twitterより2022年12月5日閲覧。
- ^ “平成アニソン大賞”. アニソン大賞. ソニー・ミュージックエンタテインメント. 2019年3月8日閲覧。
- ^ FACT刊『サラバ!平成狂想曲』p.157。
- ^ Inc, Sony Music Solutions. “音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~”. mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~. 2021年10月14日閲覧。
- ^ Inc, Sony Music Solutions. “音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~”. mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~. 2023年2月8日閲覧。
- ^ bang_dream_gbpの2020年8月18日のツイート、2020年8月21日閲覧。
- ^ “バンドリ! ガールズバンドパーティ! カバーコレクション Vol.5”. BanG Dream!(バンドリ!)公式サイト. 2020年11月24日閲覧。
関連項目編集
- 朝日昇 - 試合の入場曲として使用した。
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