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解説編集

映画『海底軍艦』の宇宙版リメイク作品である。1988年、太陽系外宇宙から飛来した異星人の侵略に対抗するため、宇宙防衛艦「轟天」が金星に本拠を構えた異星人の「大魔艦」に立ち向かう。

本作製作の背景には、1977年アメリカSF映画未知との遭遇』『スター・ウォーズ』、アニメ映画宇宙戦艦ヤマト』が公開され、日本は空前のSFブームを迎えていたことがあった。1978年夏の『スター・ウォーズ』の日本公開を控え、東宝は本作を急遽製作して正月映画として公開した[注 1]。正月映画として年末から公開の予定でありながら脚本が仕上がったのはその前の10月に入ってからで、クランクインが公開の2か月前というタイトな製作期間であった[注 2]。監督の福田純も、のちに「とにかくもっと時間があれば面白くなったと思うね」と述べている[1]

監督と特技監督には、1970年代の東宝でゴジラシリーズとSF作品を手がけてきた福田純と中野昭慶のコンビがあたった。福田と脚本の中西隆三はゴジラシリーズの新作『ゴジラの復活』の企画に、中野は日英合作映画『ネッシー』の制作準備にそれぞれあたっていたが、製作が急遽決定した本作にスライドする形となった[2]。福田は本作を監督した後、東宝との専属契約を打ち切ったため、本作が最後の監督作品となった。

『惑星大戦争』というタイトルは『スター・ウォーズ』の邦題になる予定だったが、『スター・ウォーズ』の本国アメリカでの大ヒットや、日本ではアメリカの翌年に公開されることなどに加え、ジョージ・ルーカスが「全世界で(『スター・ウォーズ』という)タイトルを統一させる」との意向から却下され、最終的に本作のタイトルとして流用された[3]

制作期間が非常に短いことから、それを補うために本編は3班、特撮は2班で撮影された[2]。破壊される各国の都市などは『宇宙大戦争』や『世界大戦争』、『ノストラダムスの大予言』からの流用である。これは前述したようなあまりに短すぎる製作期間のため、苦肉の策であった。

当初は小松左京に原作の依頼が持ち込まれたが、彼のブーム便乗企画でない本格的なSF映画を作りたいという希望により別途企画が立てられ、『さよならジュピター』が製作されている。『海底軍艦』の宇宙版という企画自体はプロデューサーの田中友幸がかねてから温めていたもので、実現の機会をうかがっていた[2]

国内での評判はおおむね芳しくないが、海外、特にドイツでは大ヒットを記録した。有名人の賛辞としては、矢作俊彦の「なぜ日本アカデミー賞が『惑星大戦争』であってはいけないのか」という一文がある[4]

ストーリー編集

1980年代、世界各地でUFO騒ぎがおき、また電波障害により大混乱が発生した。これを宇宙からの侵略の前兆と捉えた国連宇宙局・宇宙防衛軍 (UNSF) は、宇宙防衛艦の設計建造を滝川正人に依頼、一方で隊員の訓練を開始した。しかし次第にその騒ぎは収まり、滝川は平和な地球には必要ないとして宇宙防衛艦の建造を中止、退任してしまった。

1988年秋、再びUFO騒動と大規模な通信障害が発生。国連宇宙局の三好は宇宙防衛艦「轟天」を完成させる使命を帯び、滝川を説得するため日本に帰還する。滝川は消極的だったが、彼を暗殺しようとした刺客から三好、室井、冬木によって救われる。さらに、宇宙ステーション・テラが「巨大なローマ船」という通信を残して爆発。国防軍は滝川に轟天の建造の再開と乗員の編成を要請する。

敵のUFOヘル・ファイターによって世界各地の大都市と地上の国連軍基地が壊滅状態となる中、滝川は隊員達を再招集、太平洋マウグ島で轟天の完成を急ぐ。侵入した工作員の妨害も排除しつつ轟天は完成、地球上を飛び回っていたヘル・ファイターを全滅させ、侵略軍の前線基地がある金星へと進撃を開始する。しかしその途中、三笠の遺体に扮して侵入した敵兵によって滝川の娘・ジュンが拉致されてしまう。三好は冬木達とともに、敵艦の心臓部爆破とジュンの救出のため大魔艦に潜入する。

犠牲を払いつつもジュンを救出した三好は大魔艦からの脱出に成功。轟天と大魔艦は金星の空で激突する。

登場キャラクター編集

ヨミ惑星人編集

太陽系から2万2千光年、地球がメシエ13と呼ぶ球状星団、恒星ヨミノ第3惑星から来た侵略宇宙人。惑星自体が年老いたため新しい星を求め、第3惑星に似た地球に目をつけた。金星に大魔艦で根城を構え、地球をヘル・ファイターで攻撃する。

司令官ヘル(演:睦五郎)は装束ともにローマ帝国風にまとめられている。ヘルの兜は小林知己らによってFRPで作られた。地球人と風貌は似ているが、体色が緑色をしている。ヘルはテレキネシスを発する杖を武器にしている。

兵士は全員、布製の覆面をかぶっており、地球人に化けて行動するシーンが見られた。つま先が丸く反り返った兵士の靴は、『怪獣大戦争』のX星人のものの流用。光線銃は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』の赤イ竹の自動小銃の小道具を流用。

宇宙獣人編集

  • 身長 3メートル
  • 体重 400kg

大魔艦内で警護に当たる全身毛むくじゃらの怪物。知能は高くないが、ヘルの命令には従順で、ジュンを捕縛し、相手を光線銃をも無力化する鉞型の武器で攻撃する。

脱走したジュンと三好に襲いかかるが、三好の投げた電磁ナイフによって絶命する。

演技者はプロレスラーのマンモス鈴木。東宝特美スタッフによる造形。頭の角や、鉞状の武器はFRPで作られた。

登場メカニック編集

地球側編集

宇宙防衛艦「轟天」
スペース・ファイター
  • 全長 17メートル
  • 全幅 3.8メートル
  • 最大速度 195,000 km/s
  • 備砲 レーザーカノン砲(2門)
轟天に21機が艦載されている宇宙戦闘機。轟天側面のリボルバー式カタパルト射出口から発進する。本編では室井、ジミーら5人が乗り込んで、ランドローバーの攻撃隊を支援するため、バリアーを張った大魔艦に攻撃を仕掛け、ヘルファイターとドッグファイトを繰り広げるが、次々撃墜され、最後に残った室井機も、浮上した大魔艦の攻撃に粉砕される。
デザイン・造形は井上泰幸。2ほどのサイズのミニチュアが数機作られた。
ランドローバー
  • 全長 27メートル
  • 全幅 5.7メートル
  • 最大速度 (陸上)350 km/h、(空中)マッハ3.8
  • 備砲 レーザーカノン砲(2門)
轟天から発進する惑星探検車。4人乗りでルーフからは気象観測装置を出す。ホバークラフトで空中も移動できる。武装として車体前上部にレーザーカノンを有するが、未使用。
デザイン・造形は井上泰幸。3尺サイズのミニチュアが作られた。

ヨミ惑星人側編集

金星大魔艦
  • 全長 159メートル(230メートルの説あり)
  • 全幅 72メートル
  • 最大速度 ワープ航法可能
  • 航続距離 無限
  • 備砲など
    • 主砲:スペース・ビーム砲(1門)
    • 副砲:艦橋ビーム砲(9門)、艦尾ビーム砲(8門)、艦側オール状ビーム砲(左右18門ずつ、合計36門) 艦首底部ビーム砲(4門)
    • ヘル・ファイター(75機)
    • ヘル・ミサイル(64発)
    • 重力砲(あらゆる物質を破壊する重力波を出す)
  • バリアー発生装置
  • 多次元スタビライザー
恒星ヨミノ第三惑星人の宇宙戦艦で、劇中では「ローマ船」、「大魔艦」と呼ばれる。金星地表のその艦体が収まる巨大な岩山に潜み、そこを前線基地としてきた。
帆船のキャビン風の後部には怪物型の像があり、そこが起き上がってヘル・ファイターを発進させる。着地時は上部のスタビライザーを畳み、回転式のバリアー発生装置を使って艦全体を覆い、敵の攻撃を寄せ付けないが、ヘルファイター発進時にはバリアーを一時解除しなければならない。
スペースファイターのジミー達の犠牲でバリアー発生装置を潰され、艦首部の怪物の頭を模したエアーダクトから、轟天攻撃隊の侵入を許すが、艦内には籠形の電磁バリアーや、レリーフ型の侵入者攻撃ビームなどのセキュリティ機能も持つ。メカは6進法によってコントロールされる。
轟天との一騎討ちで、互角の砲撃戦を行うが、次第に轟天が優勢になり、砲撃と体当たりで砲座を潰されたものの、奥の手である艦橋下の秘密兵器重力砲で反撃し、轟天を大破させるが、滝川博士が開発したエーテル爆弾を搭載したメインドリルの特攻には重力砲も無力で、その体当たり自爆によって墜落し、金星と共に吹き飛んだ。
デザイン原案は井上泰幸で、帆船のイメージだったものを、鯨井実がローマ船のイメージで仕上げた[5]。船体側面にあるオール状のビーム砲は、特技監督の中野昭慶が子供時代に観た海賊映画に登場するガレー船がモデルになっている[6]。造形は井上、アルファ企画。6尺ほどのスケールのミニチュアが作られた。
ヘル・ファイター
  • 全長 9メートル
  • 全幅 6メートル
  • 最大速度 ワープ航法可能
  • 備砲 50ミリバルカン砲(1門)、コスモ・レーザー砲(2門)、パルス・レーザー砲(1門)
大魔艦から発進する球形に小さな翼と長砲身が付いた小型戦闘機。地球に飛来して円盤騒ぎと電波障害を引き起こし、パルス・レーザー砲で世界各国の都市を攻撃するが、地球に攻めてきた編隊は、浮上した轟天の航空爆雷で全滅する。金星では轟天のスペースファイターとの戦いを展開する。
1尺サイズのミニチュアが数機作られた。透明ポリ樹脂のセパレート式で、ボルトで上下を固定して球体型にしている。その形状から、スタッフから「お釜ファイター」と呼ばれた。電飾を仕込んであり、発光する。

スタッフ編集

※映画クレジット順

本編編集

特殊技術編集


キャスト編集

※映画クレジット順

※以下クレジット表記なし

漫画編集

映像ソフト編集

  • 1997年12月21日にレーザーディスクが東宝ビデオより発売された[7]
  • 2004年11月26日、DVDが発売された。
  • 2014年2月7日、<期間限定プライス版>として再発売された。
  • 2015年8月19日、<東宝DVD名作セレクション>として再発売された。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 東映も1978年4月に『宇宙からのメッセージ』を公開している。
  2. ^ もっとも、当時のプログラムピクチャーとしては前年の東映映画『河内のオッサンの唄』が、第1作11月27日公開のヒットを受けて製作した第2作の公開日が12月25日という例をはじめ、1本立て大作であった金田一耕助シリーズですら4か月スパンと、続編も1年以上先でないとキャストを押さえることができない今日の製作事情とは大幅に事情を異にする。ただ、少なくとも特撮映画には過酷な日程であったことは事実である。

出典編集

  1. ^ 福田純、染谷勝樹「第二章 福田純監督インタビューII 『惑星大戦争』(77)」『東宝映画100発100中! 映画監督福田純』ワイズ出版、161頁。ISBN 4-89830-063-4
  2. ^ a b c 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年、196 - 199頁。ISBN 9784864910132 
  3. ^ SCREEN 2005年10月号 「スター・ウォーズ」シリーズ トリビア30連発[要ページ番号]
  4. ^ 矢作俊彦「夢を獲える檻」『複雑な彼女と単純な場所』東京書籍、107頁。ISBN 4-487-75115-2
  5. ^ 『特撮映画美術監督 井上泰幸』キネマ旬報社、2012年、163頁。ISBN 978-4-87376-368-2
  6. ^ 「撮影秘話」『東宝特撮映画DVDコレクション』第34号、デアゴスティーニ・ジャパン、2011年2月、 11頁、 雑誌コード:20691-2/1。
  7. ^ 『宇宙船YEAR BOOK 1998』朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、1998年4月10日、62頁。雑誌コード:01844-04。

関連項目編集

外部リンク編集