惜春鳥』(せきしゅんちょう)は、1959年4月28日日本で公開された映画。カラー映画。

惜春鳥
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
製作 小出孝
脇田茂
出演者 津川雅彦
小坂一也
石濱朗
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
編集 杉原よし
製作会社 松竹
公開 日本の旗 1959年4月28日
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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ストーリー 編集

東京の大学に進学した岩垣、旅館の跡取り息子の峯村、工場に勤める手代木、バーテンの牧田、実家の会津塗を手伝っている馬杉。現在は境遇の違う仲間5人が、岩垣の帰郷により久しぶりに再会する。

福島県会津若松市を舞台に大人へと成長していく青年たちの友情を描く抒情篇。青年たちや男女の心情と白虎隊の哀史とが絡む。

スタッフ 編集

キャスト 編集

論評 編集

男性同士の親密な関係に着目した論考が少なくない。

木下はこの映画で一種捨身のカムアウトとすら思えるほどに、はっきりとゲイの青年の心情を浮き彫りにする。邦画メジャーの中で、初めてゲイの青年が<可視>のものとなった、と言ってもいい[1] — 石原郁子(映画評論家)
『惜春鳥』が「ゲイ・フィルム」として論じられる理由はもう一つある。山本豊三演じる馬杉の不自由な足である。不自由な足は男性性の弱体化であり、萎えたファルスの象徴である[2]
馬杉が女性に興味を示さない反面、同級生の岩垣(川津祐介)に対して友情以上の心情を抱えているように見える奇妙さ、つまり「正しいセクシュアリティ」からの逸脱が映画空間に可視化されたものとして、馬杉の不自由な足は理解されてきた[2] — 久保豊(金沢大学准教授)
いま初めて観る人は、作中に描かれる男同士の愛情表現の強烈さに驚くだろう。(中略)ゲイ・フィルムであるかどうかは別として、作中の山本が川津を恋しているのは、間違いなくその通りだとおもう[3] — 長部日出雄(小説家)

脚注 編集

  1. ^ 石原郁子 1999, p. 226.
  2. ^ a b 久保豊「『夕やけ雲』(1956)における木下惠介のクィアな感性―― 少年同士の情動表象をめぐって」 『映画研究』10号、2015年。
  3. ^ 長部日出雄 2005, p. 398.

参考文献 編集

  • 石原郁子『異才の人 木下恵介―弱い男たちの美しさを中心に』パンドラ、1999年5月。ISBN 978-4768478042 
  • 長部日出雄『天才監督 木下惠介』新潮社、2005年10月30日。ISBN 978-4103374084 

外部リンク 編集