戦争を知らない子供たち

北山修と杉田二郎による楽曲

戦争を知らない子供たち』(せんそうをしらないこどもたち)は、1970年に発表された、北山修が作詞し、杉田二郎が作曲した楽曲。

概要 編集

  • 1970年8月23日大阪万博でのコンサートで初めて歌われ、その模様がライブアルバム「戦争を知らない子供たち」として発売された。同年11月5日には、「全日本アマチュア・フォーク・シンガーズ」名義でシングルカットされた。
  • 翌年1971年2月5日には、ジローズの歌唱によるシングルが発売され、オリコン最高11位、累計売上30万枚以上[1]のヒット曲となった。ジローズはこの年の第13回日本レコード大賞新人賞を、作詞を担当した北山修は作詞賞を受賞した。1972年公開の映画「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」では挿入歌として使用され、1973年には、この曲の歌詞を原案にした同名の映画が制作された。
  • 世はベトナム戦争の真っ最中であり(武力衝突開始1960年、終結は1975年。なお不正規戦争で宣戦もない)、憲法の制約のある日本政府もアメリカ合衆国の戦争遂行に基地の提供といった形で協力していた。日本国内でも、一部の文化人学生を中心に、反戦平和運動は盛り上がりを見せていた。そのような中で発表されたこの曲は、日本における代表的な反戦歌となった。
  • 元々、歌詞が先に出来ており、北山は真っ先に盟友加藤和彦に作曲してもらおうと思ったら、鼻で吹いて突っ返されてしまい、やむなく杉田二郎の元に持って行ったという(2002年11月17日ザ・フォーク・クルセダーズ新結成記念解散音楽會での北山の発言より)。加藤とは逆に杉田は、北山の詞に素直に感動し、喜んで曲を付けたという。その後も北山自身、割り切れなさを感じることも多かったというこの歌詞に素直に曲を付け、胸を張って歌い続けた杉田の姿には励まされたと、5年後の1975年発売の杉田のシングル「男どうし」に寄せたコメントに書いている。

全日本アマチュア・フォーク・シンガーズのシングル 編集

戦争を知らない子供たち
全日本アマチュア・フォーク・シンガーズシングル
初出アルバム『戦争を知らない子供たち』
A面 戦争を知らない子供たち
B面 若者たち
リリース
ジャンル フォーク
時間
レーベル エキスプレス / 東芝
作詞・作曲 北山修(作詞)
杉田二郎(作曲)
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戦争を知らない子供たち」は、1970年11月5日に発売された全日本アマチュア・フォーク・シンガーズのシングル。

収録曲 編集

  1. 戦争を知らない子供たち
    作詞:北山修/作曲:杉田二郎
  2. 若者たち[注釈 1]
    作詞:藤田敏雄/作曲:佐藤勝

ジローズのシングル 編集

戦争を知らない子供たち
ジローズシングル
A面 戦争を知らない子供たち
B面 愛とあなたのために
リリース
ジャンル フォーク
時間
レーベル エキスプレス / 東芝
作詞・作曲 北山修(作詞)
杉田二郎(作曲)
馬飼野俊一(編曲)
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 11位(オリコン
  • ジローズ シングル 年表
    あなただけに1968年戦争を知らない子供たち
    1971年
    青春のわかれ道(1971年)
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    戦争を知らない子供たち」は、1971年2月5日に発売されたジローズの2枚目のシングル。

    杉田二郎の歌唱は左スピーカーから、森下悦伸(ジローズでは森下次郎名義)の歌唱は右スピーカーからしかそれぞれ聴こえない。イヤホンを使用し、片耳を外した状態で聴くと一方の歌しか聴こえない現象が発生する(ヴォーカルを左右に振り分ける手法は杉田が前年まで活動していたはしだのりひことシューベルツでも「さすらい人の子守唄」や「マイ・ハート」などで取られていた)。

    収録曲 編集

    1. 戦争を知らない子供たち
    2. 愛とあなたのために

    替え歌・パロディー 編集

    続編・オマージュ 編集

    教科書問題が話題になった1983年に、北山が続編「戦争を知らない子供たち'83」の作詞に取り組んだ。様々なミュージシャンに作曲を依頼した結果、引き受けたのは坂庭省悟。坂庭とは、はしだのりひことクライマックスの楽曲「花嫁」でタッグを組んでいる。

    1983年高石ともや&ザ・ナターシャー・セブンが、京都市の円山公園音楽堂で行われたコンサート「第2回 夏の時代」で歌唱・演奏。その日のステージで曲の説明をした坂庭省悟(クレジットは「坂庭賢亨」名義)によると、北山の原詩が長過ぎたことから、ザ・ナターシャー・セブンバージョンに短縮して、編曲しなおしたという。その後正式にレコーディングされ、坂庭賢亨名義で自主制作盤として発売されている。

    原曲は、その後北山のライブで歌われ、2007年発売のCDブック「今語る あの時 あの歌 きたやまおさむ -ザ・フォーク・クルセダーズから還暦まで-」の付録CDに収録されている。

    2002年、アフガニスタン戦争の状況にふれた今川夏如が、「戦争しか知らない子どもたち」を作詞・作曲。野田淳子太田真季らがライブで歌い、CD化されている。

    2010年に発売された中村中のアルバム「少年少女」に、「戦争を知らない僕らの戦争」という曲が収録された。

    カバー 編集

    その他 編集

    1971年には、本曲と同題名の北山による書籍がブロンズ社から出版され、ジローズの歌唱によるシングルのヒットと並行してベストセラーになった。1971年7月時点で42刷・20万部以上を発行している[5]

    1974年を舞台としたさくらももこ原作のアニメ「ちびまる子ちゃん」、1995年11月5日放送の「まる子文化祭へ行く」の劇中で、まる子が出掛けた文化祭のステージ発表で中学生がこの歌を歌っている。

    2015年通販生活CMで歌われた。

    脚注 編集

    注釈 編集

    出典 編集

    1. ^ 読売新聞」1992年7月29日付大阪夕刊、14頁。
    2. ^ 六輔交遊録「永六輔その新世界」TBSラジオ、2009年8月29日
    3. ^ a b 「ワシらも阪神タイガースのXデーが怖いんや! 西川のりお、オール巨人、月亭八方…関西お笑いタレントを襲った21年ぶりの優勝パニック!」『週刊明星』1985年10月10日号、38-39頁。
    4. ^ (3ページ目)“お前”なんてかわいいもの? 今ならありえない「#不適切な応援歌のフレーズ」まとめ、文春オンライン、2019年7月5日。
    5. ^ 『サンデー毎日』1971年8月8日号、17頁。

    参考文献 編集

    • 「特集『戦争を知らない子供たち』 北山修の歌と本が大ヒットした背景」『サンデー毎日』1971年8月8日号、16-18頁。