所職

官職・不動産をはじめ様々な経済的な収益権が付随され、財産として譲渡・売買・質入などの対象となった職

所職(しょしき)とは、官職不動産をはじめ様々な経済的な収益権が付随され、財産として譲渡・売買・質入などの対象となった

概要 編集

本来、職とは官職などが受け持つ職務のことを指していたが、職には職務に対する報酬として、在任中には給田給名が支給され、職を退くと給付者によって没収されていたことから、職は土地()の給付を含めた経済的収益権と表裏一体のものと考えられ、後には一種の財産権とみなされるようになった。10世紀以後、荘園寺院国衙在庁官人の間で様々な職(所職)が形成されるようになった。時代が下るにつれて実際の職務と関係なく、譲渡(相続を含む)・売買・質入が行われるようになり、更には地頭の設置に伴う地頭職の確立や名主作人における名主職作職の発生など、新たな所職が登場するようになり、中世を通じて経済的活動の対象となった。

参考文献 編集

  • 棚橋光男「所職」(『国史大辞典 7』(吉川弘文館、1986年) ISBN 978-4-642-00507-4
  • 今井林太郎「所職」(『日本歴史大辞典 5』(河出書房新社、普及新版:1985年) ISBN 978-4-309-60905-8