手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜

手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』(てをつないでかえろうよ〜シャングリラのむこうで〜)は、今井雅之による日本戯曲。今井の原作・脚本・演出・主演により2009年に初演、2010年および2014年に再演された。

手をつないでかえろうよ
〜シャングリラの向こうで〜
作者 今井雅之
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 戯曲
初出情報
初出 舞台公演
初演情報
場所 新国立劇場小劇場
初演公開日 2009年11月11日
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
テンプレートを表示

奈良橋陽子監督、川平慈英主演により映画化され、2016年5月28日に公開された[1]

概要 編集

特攻隊員の姿を描いて1988年の初演以来国内外で繰り返し上演され度々映像化もされた今井の代表作『THE WINDS OF GOD』の「パート2」との位置づけで、2009年2月に執筆された。戦争のシーンが全く出てこない作品であることについて、「争い事を戦争であらわすのではなく、なぜ人間というのは、そうやって争いごとを起こすのだろう、というのを何とか上手い方法で描けないものだろうか、と思って、考えたのが、この『手をつないでかえろうよ』です」と語っている[2]。「生と死」という重厚なテーマをモチーフに、自分探しの旅に出た主人公が旅先で出会った女性との会話を通じて中学生から49歳までの過去を回想しつつ、人生、宇宙、神や「自分とは」「生きることとは」などといった様々なテーマを問い続けてゆく、ロードムービーのような旅の物語である[3]

2009年秋に東京名古屋大阪の3都市にて初演され好評を博し、翌2010年に全国公演[2]、さらに2014年に再演されている。

あらすじ 編集

軽度の知的障害を持つ真人は、中学校の特殊学級で同じ障害を持つ咲楽と出会い、不器用な愛情表現を交わしつつ成長して、やがて結婚する。しかし、真人は咲楽を守るために犯罪を犯してしまう。

真人は咲楽と約束していた新婚旅行に思いを馳せつつ1人車を運転して姫路から伊勢神宮へ自分探しの旅に向かう途中、ヒッチハイクしていた女性・麗子が車に乗り込んでくる。麗子に桜楽の面影を重ねつつ饒舌な麗子と車の中で交わす会話を通して、神とは、歴史とは、人間とは、といった疑問が投げかけられ、咲楽の残したなぞなぞ「エッチと銭の間にあるものってな〜んだ」の答えが次第に明らかとなる。やがて伊勢神宮に到着すると、麗子が車の中に置き忘れた箱の中から思いもよらないものを見つける[2][4]

登場人物 編集

尊 真人
主人公。軽度の知的障害を持つ。
武内 麗子
真人が旅先で出会う女性。
咲楽
真人の幼なじみで、妻。
緒方 弁慶
ヤクザの親を持つ不良。
尊 義男
真人の父。
砂川 哲
緒方とコンビを組む不良。
武内 剛志
麗子の夫。
平岡 修二
新入りのヤクザ。

出典:[5]

公演リスト 編集

2009年 編集

Nana Produce Vol. 2『手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』として、2009年11月11日から11月23日まで、東京名古屋大阪の3都市にて上演。

  • 原作・脚本・演出 - 今井雅之
  • 出演 - 今井雅之、田崎那奈、秋山実希重松隆志、豊島侑也、江藤聖矢

2010年 編集

薩摩宝山PRESENTS『手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』として、2010年9月1日から9月26日まで、東京・新宿SPACE107など全国11都市・全21公演にて上演[2][4]

  • 原作・脚本・演出 - 今井雅之
  • 出演 - 今井雅之、秋山実希、田崎那奈、重松隆志、及川いぞう、豊島侑也、江藤聖矢

2014年 編集

リブマックスPresents『手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』として、2014年3月19日から3月31日まで大分神戸、大阪、東京の4都市にて上演。

2014年10月27日から10月30日まで、東京、加古川北九州の3都市にて上演。

  • 原作・脚本・演出 - 今井雅之
  • 出演 - 今井雅之、さとう珠緒、高橋明日香、重松隆志、土井よしお、松本勝、江藤聖矢

映画 編集

手をつないでかえろうよ
〜シャングリラの向こうで〜
HOLD MY HAND[7]
監督 奈良橋陽子
脚本 今井雅之
製作 野村祐人
片岡秀介
製作総指揮 奈良橋陽子
岡本昭彦
出演者 川平慈英
すみれ
七海
岡安泰樹
吉田敦
勝也
LiLiCo
藤田朋子
別所哲也
中居正広(友情出演)
板尾創路
音楽 Face 2 fAKE
主題歌 JAY'EDMY WAY
撮影 今井裕二
制作会社 ユナイテッド・パフォーマーズ・スタジオ
KURUWA.LLC
製作会社 ユナイテッド・パフォーマーズ・スタジオ
吉本興業
配給 KATSU-do
公開 2016年5月28日
上映時間 107分
製作国  
言語 日本語
テンプレートを表示

2015年に他界した今井雅之による脚本を、主演の川平慈英、監督の奈良橋陽子ほか、今井にゆかりあるキャスト・スタッフによって映画化、今井の一周忌にあたる2016年5月28日に公開された[1]。英題は『HOLD MY HAND』[7]

台本は2014年中に完成し当初は今井自身の主演が予定されていたが、今井の病状の悪化に伴って今井と親交の深かった川平が代役を務めることとなった[8]

公開に先立って、『島ぜんぶでおーきな祭 第8回沖縄国際映画祭』にて2016年4月23日に初上映された[9]

今井の三回忌にあたる2017年5月28日にDVDが発売された[10]

キャスト 編集

スタッフ 編集

関連商品 編集

サウンドトラック 編集

DVD 編集

  • 【初回限定版】手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜(2017年5月28日、よしもとアール・アンド・シー、YRBN-91130)
  • 手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜(2017年5月28日、よしもとアール・アンド・シー、YRBN-91131)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 酒井法子の降板にともなう代役[6]

出典 編集

  1. ^ a b “今井雅之さん主演舞台「手をつないでかえろうよ」、川平慈英×奈良橋陽子監督で映画化”. 映画.com. (2015年10月16日). https://eiga.com/news/20151016/25/ 2016年5月2日閲覧。 
  2. ^ a b c d 岩瀬春美 (2010年8月13日). “今井雅之、全国ツアー「手をつないでかえろうよ」を語る”. 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/showbiz/stage/spotlight/OSK201008110106.html 2016年5月4日閲覧。 
  3. ^ 今井雅之が「生と死」という重厚なテーマを扱う新作舞台で全国公演”. チケットぴあ. ぴあ (2010年6月30日). 2016年5月31日閲覧。
  4. ^ a b “俳優・今井雅之さん、舞台「手をつないでかえろうよ」をPR”. 梅田経済新聞. (2010年8月5日). http://umeda.keizai.biz/headline/839/ 2016年5月4日閲覧。 
  5. ^ 岩瀬春美 (2010年9月17日). “理想郷の向こうとは 舞台「手をつないでかえろうよ」”. 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/showbiz/stage/spotlight/OSK201009170069.html 2016年5月2日閲覧。 
  6. ^ “のりピー降板舞台、代役は“あすピー”高橋明日香”. ORICON STYLE (オリコン). (2014年1月14日). https://www.oricon.co.jp/news/2033028/full/ 2016年5月4日閲覧。 
  7. ^ a b HOLD MY HAND”. MOVIE. 8th OKINAWA INTERNATIONAL MOVIE FESTIVAL. 2016年5月29日閲覧。
  8. ^ “今井雅之さん遺作舞台が映画化 5・28の命日公開で主演は川平慈英”. ORICON STYLE (オリコン). (2015年10月16日). https://www.oricon.co.jp/news/2060815/full/ 2016年5月2日閲覧。 
  9. ^ 小谷野俊哉 (2016年4月24日). “今井雅之さん遺作 沖縄初上映に川平慈英「クーッ」”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1636554.html 2016年5月2日閲覧。 
  10. ^ “よみがえる今井雅之さん 三回忌5・28「手をつないでかえろうよ」DVD発売”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2017年3月13日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/03/13/kiji/20170313s00041000100000c.html 2017年5月22日閲覧。 

関連項目 編集

外部リンク 編集