打鐘
打鐘(だしょう、ジャン)とは、
- 日本の競輪競走において、ゴールまで間もなく残り1周であることを選手・観客に周知させるため、審判係員がゴール1周半前から1周前にかけて手動で鐘を打ち鳴らすことを言う。「ジャン、ジャン」と音が鳴るから(聞こえるから)そう呼ばれている。高知競輪場(銅鑼)以外の競輪場では、半鐘(木槌を使用[1])やベル型を用いており[2]、ミッドナイト競輪においては近隣への影響を考慮して消音対応もされている。なお、TIPSTAR DOME CHIBAにて行われている250競走「PIST6」では、鐘は打たずベルを鳴らしている。
- 競輪を題材とした山本康人の漫画。以下で述べる。

『打鐘』(ジャン)は、山本康人の漫画。しまかおるからのペンネーム変更後に執筆した最初の作品である。秋田書店「プレイコミック」に連載されていた。
あらすじ 編集
火の玉先行を武器にグランドスラム目指して闘う主人公・S級レーサー立花ワタルと、グランドスラム制覇を争うライバル、天才レーサー清原良との戦いを軸に織り成す熱血ケイリン漫画。選手名は全て架空だが、連載当時活躍していた選手名をもじった選手が多数登場している(井上茂徳→丹波茂雄、等)。
作中ではKEIRINグランプリ'89も中止にならず開催している。
連載当初、実際の競輪界では怪物滝澤正光の全盛期であり、連載終了時は吉岡稔真、神山雄一郎の2強時代になっており、ちょうど狭間の時期の架空のチャンピオンになっている。
余談だが、山本康人が後に連載した「競輪王ゼロ」には、火の玉フォームで戦う二世選手の「立花嵐」が登場する。
登場人物 編集
主要人物 編集
- 立花ワタル
- 本作の主人公。先行することに命をかける若き競輪レーサー。火の玉先行と呼ばれる逃げを武器に競輪界最高の栄誉とされるグランドスラム達成を狙う。友達は少なくストイックな性格。他人のためには走らないという信念を持つ。雑草魂でスポ根漫画における典型的なキャラクターである。モデルは坂本勉であるが、実際には坂本はオリンピックメダリストでアマチュア時代からのエリートレーサーである。ホームバンクは西武園競輪場。なお、引退後の様子は「競輪王ゼロ」にて触れられている。競輪S級21連勝の記録を持っている。
- 清原良
- 全編を通じてワタルの最大のライバル。ワタルの師を落車事故で死亡させてしまってから因縁を持つようになる。当初は線の細い天才レーサーであったが、滝河、ワタルとの対決を通じて次第に「悪魔」と呼ばれるほどのレーサーに変貌する。ワタルと違い、先行、捲くり、追い込みの全てを使いこなす自在選手。
- 桜千恵造
- ワタルの同期のレーサーで唯一無二の親友。なぜかワタルとウマが合う。選手としての生き方に悩みワタルと衝突したり良に弟子入りしたりなど、波乱の選手人生を送っている。能力にはムラがあり記念競輪や特別競輪を優勝することもあるが、A級に落ちてしまうこともあり悩みの種となる。陽子の兄。
- 桜陽子
- 知恵造の妹で高校生の頃からワタルとの知り合い。当初は高校生らしい子供っぽいところもあったが、成長し大人びてからはワタルへ想いを寄せるようになる。そしてレーサーとして悩むワタルの助けとなり結ばれる。
- 秋葉
- 競輪を担当とするスポーツ紙の記者。ワタルに興味を持ち常に取材をしている。ワタルとは未亡人をめぐり恋のライバルとなるがワタルが身を引く形で未亡人と結ばれることになる。ワタルとは立場や年齢差を越えて常に対等の立場、タメ口で話す仲である。
- デスク
- 秋葉の同期のスポーツ紙のデスク。トラブルを引き起こす秋葉を諫める役をしている。立場を越えて秋葉とは親友である。妻とは男女の仲で半年ご無沙汰になったり、反抗期の息子がいたりと彼も悩み多き人間である。
- 滝河修平
- 「怪物」と呼ばれる競輪界最強の先行選手。デビュー直後からワタル、清原の前に立ちふさがり幾度となく死闘を繰り広げる。人間的にも巨大な人物でワタル、清原にレーサーとしての生き様を見せる。モデルは滝澤正光。
- 本多冬美
- 「戦慄の核弾頭」の異名を持つ捲くり主体のレーサー。当初からワタルと激闘を繰り広げるが、後にワタルを「怪物」になったと認めることになる。モデルは本田晴美。
- 仲野浩一
- 「キング」の異名をとる競輪界最高の実績を持つレーサー。連載初期からワタルの前に立ちはだかるが、直接的な因縁はあまりなく、別格の存在として描かれている。モデルは中野浩一。
- 丹波茂雄
- 「神脚」の異名をとる競輪界最高の追い込みレーサー。ワタルを次代を担うレーサーと認め、戦いを通じて競輪選手として成長させていく。ワタルにとってもう一人の師ともいえる存在。モデルは井上茂徳。
その他 編集
実在の選手を元に以下の選手が登場してる。
- 北日本
- 関東
- 「江戸鷲」 山口拳二=山口健治(東京:38期)
- 「猛将」 緒崎雅彦=尾崎雅彦(東京:39期)
- 「重戦車」 麦原善一=萩原善一(埼玉:48期)
- 「万能戦士」 戸辺英世=戸辺英雄(茨城:51期)
- 「機動戦士」 毛呂田勝仁=諸田勝仁(埼玉:54期)
- 「荒武者」 巻坂正巳=坂巻正巳(茨城:55期)
- 「貴公子」 白岩護=白石護(東京:55期)
- 「ジャンボ」 斎藤強=斎藤剛(埼玉:56期)
- 「ヤングドラゴン」長谷戸純也=長谷部純也(茨城:57期)
- 「和製ランボー」波形一郎=波潟和男(東京:57期)
- 「ダッシュ一番」田森進=森田進(埼玉:57期)
- 「超ド級」 山神竜一郎=神山雄一郎(栃木:61期)
- 「マッハ狼」 稲荷一番=稲村成浩(群馬:69期)
- 南関東
- 中部
- 近畿
- 中国
- 四国
- 「メガトン先行」原富忠男=富原忠夫(徳島:43期)
- 「徳島の雄」 三紀輝明=三木輝明(徳島:52期)
- 九州
- その他
- 「鋼の肉体」 ステファン・ペイロ=ステファン・ペイト(豪)
- 「黒い稲妻」 ネルソン・ザウルス=ネルソン・ベイルス(米)
- 「怪人」 ミハエル・ピューマー=ミハエル・ヒュープナー(独)
Vシネマ版 編集
1993年版と1994年版とも、同じ製作会社であり同じ西村和彦主演だが、両方に関連はない。
脚注 編集
- ^ 川崎競輪場におけるミッドナイト競輪の実施について
- ^ 鐘コレ(競輪場/鐘コレクション) 1/8 - Perfecta Navi、2018年3月20日(Perfecta編集部)