探偵物語 (1951年の映画)

アメリカ合衆国の映画作品 (1951)

探偵物語』(原題: Detective Story)は、ウィリアム・ワイラー監督、製作による1951年アメリカ映画である。シドニー・キングスレー同名の舞台を原作としている。

探偵物語
Detective Story
監督 ウィリアム・ワイラー
脚本 フィリップ・ヨーダン
ロバート・ワイラー
原作 シドニー・キングスレー英語版
製作 ウィリアム・ワイラー
音楽 ヴィクター・ヤング
撮影 リー・ガームス英語版
編集 ロバート・スウィンク
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1951年11月6日
日本の旗 1953年2月4日[1]
上映時間 103分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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日本での邦題は「detective」を「探偵」と直訳したことによるものであるが、作品の内容を踏まえれば「刑事物語」と訳す方が適切であり、誤訳の一種と言える。

ストーリー 編集

ニューヨーク21分署の刑事部屋を舞台に、様々な人間模様を描く。

ジム・マクラウド刑事(カーク・ダグラス)は犯罪を一切許さない非情な男である。担当する事件の捜査の過程で、彼は自分の新婚の妻メアリー(エリノア・パーカー)が、彼が憎んでいる容疑者、シュナイダー医師によって堕胎の手術を受けていた事実を知ることとなる。

心優しく、美しい妻を許したいと思いつつも、生来の厳格な性格から、心から許すことができないマクラウドは苦悩する。そのことを悟った妻は身を引くように、彼のもとを去ってゆく。

ブロディ刑事は会社の金を使い込んだ青年アーサーと話をし、海軍の事故で亡くなった自分の息子に似ている彼を、なんとか立ち直らせたいとの想いを抱く。その想いは面会に刑事部屋に来ていたアーサーの幼なじみのスーザンも同じだった。ブロディはアーサーを担当しているマクラウドに「公判請求を取り下げてもらえないか」と頼むが、厳格なマクラウドは受け入れない。

取調べが済み、拘留待ちの強盗犯チャーリーとルイスの二人組みは手錠をされて、椅子に座っていた。自暴自棄になったチャーリーは目の前を通った刑事の腰から拳銃を奪い、周囲の警官を下がらせ立てこもろうとする。しかし、その場にいたマクラウドはチャーリーの警告を無視し、彼に近づき腹に三発の銃弾を受ける。同時にチャーリーはその場で取り押さえられる。

救急車を呼ぼうとするが、マクラウドは死を覚悟し牧師を呼べと言う。死を目前にしてマクラウドはブロディにアーサーの調書を持ってくるように言う。マクラウドは目の前でそれを破らせる。そして、分署長に告訴は取り下げだと告げ、メアリーの名を呼び、神に救いを祈りながら息を引き取る。

ブロディ刑事はアーサーに二度と馬鹿なことをするな、と厳しく言い聞かせて彼を釈放する。アーサーとスーザンは手をとりあって21分署を去ってゆく。

キャスト 編集

日本語吹き替え 編集

役名 俳優 日本語吹き替え
NHK フジテレビ
ジム カーク・ダグラス 草薙幸二郎 宮部昭夫
メアリー エリノア・パーカー 中西妙子 平井道子
ブロディ刑事 ウィリアム・ベンディックス 武内文平 塩見竜介
スーザン キャシー・オドネル 塚田恵美子
カール ジョージ・マクレディ 島宇志夫
モナハン ホレイス・マクマホン 吉沢久嘉
ミス・ハッチ グラディス・ジョージ
チャーリー ジョセフ・ワイズマン 山田康雄
万引き犯 リー・グラント 島木綿子
タミ・ジャコペッティ ジェラルド・モーア
ギャラガー フランク・フェイレン 清川元夢
アーサー クレイグ・ヒル 野島昭生
ルイス マイケル・ストロング
ジョー ルイス・ヴァン・ロッテン
ダーキス バート・フリード 藤本譲
シムズ ワーナー・アンダーソン 北村弘一
オブライエン グランドン・ローデス
キャラハン ウィリアム・フィリップス 藤本譲
バーンズ ラッセル・エヴァンズ
不明
その他
N/A 立壁和也
上田敏也
仲木隆司
高田竜二
石森達幸
遠藤晴
宮下勝
演出 春日正伸
翻訳 飯嶋永昭
調整 山田太平
制作 東北新社

映画賞受賞・ノミネート 編集

賞・映画祭 部門 候補 結果
アカデミー賞[3] 主演女優賞 エリノア・パーカー ノミネート
助演女優賞 リー・グラント
監督賞 ウィリアム・ワイラー
脚色賞 フィリップ・ヨーダンロバート・ワイラー
ゴールデングローブ賞[4] 作品賞(ドラマ部門) ノミネート
主演男優賞(ドラマ部門) カーク・ダグラス
助演女優賞 リー・グラント
英国アカデミー賞[5] 総合作品賞 ノミネート
カンヌ国際映画祭[6] グランプリ ウィリアム・ワイラー ノミネート
女優賞[7] リー・グラント 受賞

脚注 編集

  1. ^ Detective Story (1951) - Release dates”. IMDb. 2011年4月23日閲覧。
  2. ^ 番組表検索結果詳細”. NHK. 2019年9月12日閲覧。
  3. ^ 『アカデミー賞のすべて』 共同通信社、2007年4月9日発行。
  4. ^ The 9th Annual Golden Globe Awards (1951)”. HFPA. 2010年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月23日閲覧。
  5. ^ Film Nominations 1951”. bafta.org. 2011年4月24日閲覧。
  6. ^ Cannes Film Festival Awards for 1952 IMDb 2017年9月16日閲覧。
  7. ^ 『映画検定 公式テキストブック』 212頁、キネマ旬報映画総合研究所 編、2009年3月30日 改訂版。

外部リンク 編集