掻い掘り

池や沼の水をくみ出して泥をさらい、天日に干すこと
搔い掘りから転送)

掻い掘り(かいぼり)は、池や沼の水をくみ出して泥をさらい、魚などの生物を獲り、天日に干すことである[1]換え掘り(かえぼり)、換え乾し(かえぼし)[2]池干し泥流しなどのよび方もある。井戸の水をくみ出してたまった土砂を取り除く井戸浚え(いどさらえ)を指すこともある。

掻い掘り後の井の頭池(2016年2月)
掻い掘り実施中の和田堀公園の和田堀池(2018年1月29日撮影)

農業用のため池を維持するために行われてきた、日本の伝統的な管理方法である。稲作が終わる晩秋から早春にかけての農閑期に、池の水を抜き天日に干し、堆積したヘドロや土砂を取り除いて肥料にし、獲った魚を利用してきた。

栄養塩類を含んだ泥や水を排出し、また池の底を空気にさらして微生物による分解を促進することで、水質を浄化する効果がある[3][4]

現在は、農業目的の他に、水質改善や、外来生物駆除のための掻い掘りが、各地で行われている[5]

絶滅したと思われていた水生植物が、掻い掘りによって数十年ぶりに復活した事象も報告されている[6]

関連項目 編集

  • 生物多様性
  • 緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦 - 掻い掘りを取り上げたテレビ東京のテレビ番組
  • 渡良瀬遊水地 - 谷中湖のある渡良瀬遊水地では、谷中湖落成直後の1990年夏に、谷中湖からの放流水が原因と考えられるカビ臭が、下流の浄水場で発生し、水道水が臭くなったという苦情が殺到。異臭の原因になる植物プランクトンや放線菌などを死滅させるために、2004年から毎年1度、3月上旬から下旬にかけて、谷中湖の湖面を2割にして、干し上げを行なっている。

脚注 編集