軌道力学において放物線軌道 (ほうぶつせんきどう、parabolic trajectory) とは、ケプラー軌道の中で離心率がちょうど1に等しいような軌道のことである。

緑色が放物線軌道。e=1となっている

軌道の形状 編集

放物線軌道の形は次の式で表される。

 

ここで

  •   は中心天体からの距離、
  •   は中心天体まわりの単位質量あたりの角運動量 (角運動量保存則より定数)、
  •  近点から測った角度 (真近点離角)、
  •  万有引力定数
  •   は中心天体の質量、
  •   は物体の質量

である。

真近点離角   が180°に近づくに従って上式の分母が0に近づき、  の大きさは無限大へ向かう。

軌道のエネルギー 編集

このとき軌道エネルギー (単位質量あたり) は次のように与えられる:

 

  は物体の速度である。

軌道の速度 編集

放物線軌道上の物体の速度の大きさは次式 (第二宇宙速度)で表される。

 
  •   は中心天体からの距離、
  •   は万有引力定数、
  •   は中心天体の質量、
  •   は物体の質量

である。

この式から分かるとおり、中心天体からの距離が無限大に向かうに従って、速度の大きさはゼロに漸近する。

関連する項目 編集