放置座礁外国船(ほうちざしょうがいこくせん)は、沿岸で座礁したまま放置された外国船で、船主側の撤去拒否や行方不明等で処理の見込みが立たない船のこと。

1993年の座礁以来、種子島犬城海岸(鹿児島県中種子町)で放置されていたパナマ船籍「NUGGETS No.7」(2003年6月)。2008年に撤去。

放置される原因編集

座礁した船の撤去には、多額の費用を要することとなるが、船主の財政難、船主責任保険(PI保険)未加入により費用が捻出できず、撤去が不能となるケースが多い[1]サブスタンダード船は、PI保険未加入である比率が高い。船舶油濁損害賠償保障法が適用された後、日本に入港するためにはPI保険の加入が必要となった。

サブスタンダード船は、日本の港湾への入港が不可能と見られたが、内容に問題があるPI保険に加入して日本に入港するようになった。保険の質に問題があるかどうかは、船舶が座礁するまで証明されない問題もある。2007年4月17日に、宮城県亘理郡山元町太平洋沖で座礁したセントビンセント・グレナディーン船籍の貨物船「JANE号」が良い例である。第二管区海上保安本部は、改正海洋汚染防止法を全国で初めて適用したが、速やかに撤去されなかった。

海外売船されて外国船籍船として、日本から出港する多くの元内航船は、経費を抑えるために検査が簡単、又は殆ど検査を行わなくても登録が出来る国家に登録される便宜置籍船として登録される。問題のある便宜置籍船国は、自国に登録される船舶が、国際条約を順守する監視・監督を怠り、責任を負わない。

ポートステートコントロール(PSC:外国船舶監督官)の検査が簡単だったり、検査に来なかったりするので、問題があるにも関わらずサブスタンダード船の状態で出港できる事例がある。問題がある状態のサブスタンダード船である確率が非常に高いので、出港後に海難事故(座礁)を起こす。経費削減の一環でPI保険に加入しない事例があった。結果として、改正船舶油濁損害賠償保障法以前に放置された、全ての外国船籍船はPI保険未加入であった[2]

座礁船の一覧編集

海外売船されて外国籍船舶になり日本から出港した船舶が座礁し放置されるケースも多い。改正船舶油濁損害賠償保障法後、売船されたベリーズ船籍浚渫船「豊栄」が平成22年12月23日に宮崎市折生迫で座礁し放置されている[3]

主な放置外国船籍座礁船[4]
船籍 船名 座礁場所 座礁年月日 撤去 PI保険
  パナマ TATONG 沖縄県浦添市 1986年8月26日 No
  インドネシア NATRASEAS1 鹿児島県喜界島 1992年2月12日 Yes
  パナマ NUGGETS No.7 鹿児島県種子島中種子町 1993年5月3日 Yes
  ベリーズ 長生3号 大分県南海部郡蒲江町深島 1994年8月2日 No
  ベリーズ OCEAN BRAVE 鹿児島県大島郡瀬戸内町 1996年8月13日 No
  ホンジュラス DAISEN-300 鹿児島県喜界島 2000年12月12日 Yes
  ホンジュラス NOJIMA No.2 鹿児島県南大隅町佐多岬浮津鼻付近 2000年12月25日 Yes
  ホンジュラス MD-511 鹿児島県南大隅町佐多岬浮津鼻付近 2000年12月25日 Yes
  朝鮮民主主義人民共和国 CHONG LYU 2 山口県豊北角島 2001年10月6日 Yes
  朝鮮民主主義人民共和国 チルソン号 茨城県日立市日立港 2002年12月5日 Yes
  ホンジュラス キンユウ 宮崎県宮崎市一ツ葉海岸 2003年10月7日 Yes
  セントビンセント
・グレナディーン
JANE 宮城県山元町沖 2007年4月17日 Yes
  カンボジア DERBENT[5] 北海道利尻島 2008年1月1日 Yes
  ベリーズ 豊栄 宮崎県折生迫 2010年10月24日 No
  モンゴル TJ88 沖縄県伊良部島 2013年1月14日 No
  カンボジア AN FENG 8[6] 青森県深浦町 2013年5月1日 Yes

問題点編集

  • 燃料を搭載した船では、燃料である重油流出事故を招くことがある。
  • 漁業への被害や補償問題を招く。
  • 誰も撤去しない場合、最終的には漂着先の都道府県が費用を負担し、解体することとなる。
  • 改正船舶油濁損害賠償保障法で、外国船籍船にPI保険への加入が要求されるようになったが、実効性の問題がある。結果として船舶撤去や漁業被害等の問題が放置される[7]

解決方法又は予防策編集

PSCが問題がある船舶に対して厳しく検査を行い、問題があれば出港停止命令を出す。ISMコードに関してもPSCが厳しいチェックを行い、船員の教育や質を改善する。問題のあるサブスタンダード船が日本の港に簡単に再入港できないようになる(現状は、サブスタンダード船であってもPSCに不備を指摘されないケースがあるので問題の解決にはなっていない)。改正船舶油濁損害賠償保障法で要求される、保障契約証明書の発行プロセスに不備があるので、改善する必要がある[8][9]

国土交通省は放置座礁船対策について対応しているが[10]、サブスタンダード船の取締りが、放置座礁船対策に繋がるとは考えていないようである。国土交通省が公開している放置座礁船の多くは、日本船籍の航船が外売されて税関の輸出許可を受けてから、出港直後に日本の領海内で座礁している[11]

ギャラリー編集

脚注・出典編集

注釈編集

出典編集

関連項目編集

外部リンク編集